スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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4、無能の仕事

天津原はGDFの代表として、各国の代表と会談をしていた。

 

飛翔種の撃破。

 

史上最大の戦果。

 

それと同時に、神戸を守る四個師団の総戦力一割を超える被害。このため、補填が急務だった。

 

これに対して、各国の対応は冷ややかだった。

 

現在、もっとも大きな人間が暮らしている街が神戸だが、これは半地下都市であり、それについては他の人間の都市もそうだ。或いは離島であったりする。シャドウが出たら、半地下だろうか地上だろうがひとたまりもないのだが。

 

それはそれとして、飛翔種のEMPのターゲットにされないということで、地下に移行して、成功した都市の代表が神戸であり。

 

それに倣って他の都市も地下に移行。

 

その過程で。

 

多数の民間人を切り捨てた都市も多かった。

 

皮肉な話で、そういった都市が真っ先にシャドウに潰されたのだが。それについてはどうでもいい。

 

問題は、神戸だけでは物資が足りないと言う事だ。

 

今でも細々と海路で補給路は存在しており、もっとも苛烈にシャドウと戦っている神戸には輸送船が命がけで来る。

 

勿論それらがイエローサーペントなどの海棲中型シャドウに襲われる事も多く。年々船舶は減る一方なのだが。

 

それはそれとしても、なおも物資はいるのだ。

 

だから天津原は、調整をしなければならない。

 

それに対して、各国は冷淡である。

 

自分達の国に秘密兵器を寄越せ。

 

それでシャドウを退治しろ。

 

そういった命令を直接出してくる。

 

中にはシャドウ撃破の最大貢献をしたのは我が国だから、GDFの主導権を寄越せとかいう国もいるし。

 

神戸近辺を我が国の領土にするとか息巻いている国まである。

 

そういった連中をどうにか宥めながら。

 

物資を集めなければならないのが天津原の苦しいところだった。

 

日本の幾つかある離島とも、やりとりをしなければならない。流石に小規模な離島ではもはや現在空海ともに行く手段が存在しておらず。

 

それらの離島にはどうにか通信がつながった場合、連絡をするくらいしか出来る事はない。

 

最近はそういった離島にシャドウが出る事はないが。

 

それでももしも離島に一体でもシャドウが出たら、それでおしまいになる可能性が高いのだ。

 

手を打たなければならない。

 

あらゆる重圧が、能力がある訳でも無い天津原に掛かっていた。

 

ため息をつくと、胃薬を飲む。

 

二世議員なんていうが。

 

親が金と地盤と知名度があっただけ。

 

他に大した対立候補がいたわけでもなかった。

 

天津原が神戸市長になった頃は、世界中があらゆる意味で滅茶苦茶になっていた。貧富の格差の拡大。安かろう悪かろうの精神の蔓延によるあらゆるテクノロジーの劣化。国家がマフィアの同類と化して、その場さえ良ければいいと考えて、ありとあらゆる搾取と不義理を働く状況。国内の不満を逸らすための軍事的冒険。全てがシャドウが来なくても、地球は近いうちに滅びていた事を示していた。

 

天津原はそんな中で、たまたま市長になっただけ。

 

シャドウが出てからは、国からの指示で都市の地下かを進めたが、そうしている主要都市が悉くシャドウに潰されていった。はっきりいって、神戸が潰されなかった理由がわからない。

 

ただ生き延びただけの無能。

 

それは天津原も自分で分かっていた。

 

今だって、この席を譲れるなら譲りたいくらいである。

 

だが、こんな状況でもまだ自分の利権を確保したい連中が、GDFのスポンサーになって好きかって言っている。

 

連中の中にはシャドウを舐めきっていて、自分の国に畑中博士がいればすぐにでもシャドウを殲滅できると考えているものまでいる。

 

そんな連中がGDFの代表になったら終わりだ。

 

今は兎に角、大きな打撃を受けた部隊を再建するしかない。

 

とにかく物資を回させて、部隊の再建を急がせていると、連絡が入る。もう誰にも会いたくない。

 

恐らく鬱病になっているのだと思う。

 

それでも、仕事を辞められないのが悲しかった。

 

「だれかね」

 

「広瀬中将です。 ああ、大将でしたね」

 

「広瀬君か。 早く体を治してくれたまえ。 私の方では、各国を抑えておくだけで精一杯なんだ」

 

「そうでしょうね。 それに、もっと大規模な画期的勝利を各国は求めているんじゃないですか?」

 

その通りだ。

 

広瀬は本物の英雄だと、天津原は考えている。だから、考えが見透かされる事も不愉快ではなかった。

 

「シャドウをまとめて倒すような方法はないのかね」

 

「不可能です。 そもそも奴らが最初アメリカに現れたとき、どうやって現れたかさえ分かっていません。 その後世界中に現れた時だって同じです。 最近だって、琵琶湖にイエローサーペントが現れています。 ひょっとすると、神戸の地下街にいきなり小型種が現れる可能性だってあります」

 

「やめてくれ。 そんなことになったら、もう何もかも終わりだ」

 

「……シャドウを迂闊に刺激する事は、人間を破滅させることだと各国を説得してください。 畑中姉妹が頑張ってくれてはいます。 ですが、二人とも人間です。 私もそれは同じ。 とにかく今は、シャドウを倒せる方法の蓄積と、シャドウの解明が急務です。 無能な強欲者達は抑えてください。 それだけです」

 

通話が終わる。

 

分かっている。

 

無能なのは天津原も同じだ。汚職だってしたし、とても人には言えないようなスキャンダルだって抱えている。

 

何より天津原はいわゆる裏口入学で有名大学に入った。それは墓の下まで持っていきたい事だ。エリート教育の本場である北米でさえ行われている裏口入学。天津原みたいな凡人がやっていないわけもなく。

 

そしてどの国も腐りきっていたシャドウの発生前には。

 

金持ちはそういう事をしながら、優生論を貴んでいたりしたのだった。

 

溜息しか出ない。

 

腐った三流の政治家……いや政治家ですらない政治屋である事は自覚できている。そして各国の今の代表者は。

 

人間の数が全盛期の1%をだいぶ下回った今ですら、殆ど性根は変わっていない。

 

シャドウがもしも本気で攻めてきたら。

 

神戸だってひとたまりも無く陥落してしまうだろう。

 

特にどうやっても勝ち目が全く見えないとさえ言われる大型シャドウがもしも此方に来たりしたら。

 

はっきりいって考えたくも無かった。

 

机から取りだしたのは、いざという時のためにおいてある自殺用のクスリだ。

 

シャドウが神戸の地下に出たり。

 

或いは大型が此方に向かってきて、畑中博士が対応が無理だと言った場合。その時は飲もうと考えている。

 

自分の意思では何もできなかった人生だったが。

 

死に方くらいは自分で選ぶ。

 

天津原は、そういう考えでいるのだった。

 

 

 

(続)








天津原代表は、はっきりいって運だけで今の席に着いた人です。

清廉潔白でも無く手腕もない。

ただ周りに謝りながら、胃を痛めつつ仕事をする。それだけの人です。

しかしながら、こういう人でも必要なのも事実。

世界は天才だけでは動いてはいないのです。残念な話なのですが。






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