スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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シャドウが本腰を入れ始めます。

このタイミングで援軍到来です。

ただでさえ人間側が不利で、相手が興味を示していないも同然だったから戦果を重ねられていたのに。

それも本腰を入れられると、非常に厳しい状況が来ます。







1、影の援軍

近畿全域で小競り合いが続いている。また、わずかなごく一部の範囲だけは、日本海側に進出も出来ている。

 

近畿では無く九州の長崎辺りなのだが。そこで、とんでもないものが目撃されていたのである。

 

シャドウが海を泳いでいた。

 

それも、中型種を中心に相当数。

 

それをイエローサーペントとブライトイーグルが護衛している。泳いでいる中型種は、あれはグリーンモアだ。

 

中型種シャドウは平気で泳ぐ。

 

例えば水が苦手なイメージがある猫だが、虎は普通に泳ぎが達者だし。スナドリネコという魚を水に入って捕る事を得意とする猫もいる。

 

シャドウの場合は、元々生物であるかも怪しい事もあるが、どうも空気抵抗や水の抵抗を受けていない節すらあり。

 

小型も中型も、機動力はともかくとして、平気で泳ぐことで知られていた。

 

少なくともグリーンモア四体。

 

それに、日本では今まで確認されていなかった中型種も、海を泳いで移動しているのが分かった。

 

九州には上陸はしなかったが、そのまま日本海を東に進んでいる。

 

中型種の前には、日本海の荒波なんかなんの役にも立たない。それどころか、小型種ですら、海を平気で移動する。

 

流石に海では機動力が落ちるのだが。

 

それでも水際殲滅が通じるほど甘い相手ではないし。

 

何よりも、あれが東に向かっているということは、下手をすると若狭に上陸してくるだろう。

 

攻撃してみろ。

 

そう挑発するように、中型種を中心としたシャドウの群れが、海を進んでいく。長崎の僅かな観測所で、それを歯がみしながら見る事しかできないのが、今の人間の残念な現実である。

 

すぐに会議が行われた。

 

訓練から戻ったばかりの菜々美もそれに参加させられる。

 

映像を見て、うへえとぼやくしかない。

 

ちなみに、姉の兵器はまだ調整中だ。シミュレーションを試して欲しいという声さえ上がっていない。

 

つまり、あれが合流する前に敵をたたくという選択肢は無い。

 

「あれはウォールボアです。 日本では今まで確認されていませんでしたが……」

 

「グリーンモア最低四体に加えて、ウォールボアか」

 

うめき声が上がっていた。

 

ウォールボアは、菜々美も資料映像だけは見た事がある。中型種としては、重厚な体つきをしている種だ。

 

特徴は傾斜がついた分厚い板のような構造体がついていて、それがまんま頭になっていること。

 

目などは存在していない。

 

シャドウにはそもそも動物には似ていても、例えばスプリングアナコンダは顔が猫に似ていたり。

 

ランスタートルは顔がワニに似ていたりと。

 

名前の由来になっている動物にはあまり似ていないし。

 

そもそもの問題として、此奴らがどうやって周囲を察知しているかさえもよくわからないのだ。

 

なおこのウォールボアは、その斜めになっている頭を用いて、ブルドーザーのように整地するように人間を襲う。

 

この斜めの板は高熱を発しており、接してしまうと一瞬で炎上するほどの凄まじい代物だ。

 

その上ウォールボアは足が速い。

 

あまり知られていない事だが、猪突などと言われるのに対して。実際の猪は非常に優れた足を持っており、その場で急カーブなど余裕でこなす。

 

木の近くで待ち受け、相手が突っ込んできたところで避ければ、猪が木に頭をぶつけて死ぬ。

 

そんな事は起きえないのだ。

 

ウォールボアもそれは同じで、走ると言う事に特化している事もあり、時速400㎞程度は確認されている。

 

それも今の時点で確認されている速度は、である。

 

これは面倒だと菜々美は思った。

 

そもそもあの板部分、相当に熱に強いと見て良い。真っ向勝負をするにしても、なんとかナックルでさえ押し負けるかも知れない。

 

それだけじゃない。

 

グリーンモア四体も上陸してきたら、文字通り手に負えなくなる。

 

勿論。今すぐランスタートルを倒しても、それが何か+になる訳でも無い。若狭を奪還するという自己満足が満たされるだけだ。

 

広瀬大将が発言する。

 

「あれらが上陸してきたら、若狭には手を出すのが不可能になります」

 

「分かっている! だったらさっさと今のうちに戦力を削らないか!」

 

「不可能です。 ランスタートル二体を相手にする兵装を今開発している最中です。 前回にランスタートルを倒したヒートブレイクナックルは、量産出来る装備ではなく、更にはランスタートル以外の相手には相性が悪い。 今の時点では、手詰まりとしか言えません」

 

「それをどうにかするのが……」

 

咳払い。

 

嵐山だ。

 

嵐山が辣腕を振るい始めてから、言いたい放題だった各国の首脳も大人しくなってきている。

 

淘汰は強力な個体を産むという妄想があるが、あれは大嘘だ。

 

実際には淘汰が行われれば、運が良い個体が生き残るだけ。各国でも、ただ生き残っただけの者達が今は国政を回している状態で。

 

たまたま生き残れた嵐山の眼光に、誰もが明らかに射すくめられていた。

 

「軍事の専門家である広瀬大将の発言を素人が遮るのは感心しませんな。 広瀬大将、続けてください」

 

「ありがとうございます、嵐山主席補佐官。 とりあえず、敵の出方を窺いつつ、今は戦力の再編制、相手の出方を窺うべきでしょう。 ただでさえ連戦の疲弊で、各師団は消耗から立ち直れていません。 若狭に固執するのではなく、あのシャドウの大規模な群れが向かった先を見届け次第、狙いを変えるべきかと思います」

 

「……分かった」

 

「それでは一度失礼します」

 

会議が終わる。

 

嵐山が出るようになってから、会議が楽になっていい。

 

菜々美は伸びをすると、訓練に戻る。

 

そしてしばらく体を動かしていると、広瀬大将から連絡が来ていた。

 

どうやらあの中型の群れは、一部が中国地方に上陸。その中にはグリーンモア二体がいるそうだ。残りは恐らく若狭に向かっているという。

 

巡視艇が決死の観測を続けてくれている。ブライトイーグルがいるから、航空機からの監視は出来ない。

 

スカウトが決死の探査をしてくれているということだ。犠牲覚悟で巡視艇が追っているのである。

 

そして、懸念通り残りは若狭に続々と上陸しているようだ。

 

そうなってくると、無謀な戦闘は避けないとまずいか。

 

更に悪い情報が入ってくる。

 

若狭に展開しているシャドウが、小型多数を加えて、前線に出て来ているという。その中には、例のウォールボアだけではない。確認されていたキャノンレオンに加え、三体目のランスタートルまでいるそうだ。

 

勿論これを迎え撃つ力なんぞない。

 

だが、人間が取り返した京都にまで南下してくる様子はないそうだ。

 

前線のスカウトが連絡を送ってきているが、三体目のランスタートルも含めて、敵は京都北部の山岳地帯に陣取ると、睨みを利かせてそれでおしまいのようだ。

 

これは、此方の侵攻を防ぐための行動か。

 

いずれにしても、これは天地がひっくり返っても勝てる相手では無い。ふっと菜々美は笑うと、しばらく侵攻はなしだなと思った。

 

多少は休めるかも知れない。

 

それにしても、シャドウが援軍を呼んだのだとすれば、一気に面倒な四個師団を片付けてしまえばいいのに。

 

取り返された土地には固執する様子が無いのもまたおかしな話だ。

 

広瀬大将の見解が聞きたいところだが。

 

今はそれはしなくてもいい。

 

ともかく、訓練をして、動きを待つ。敵が琵琶湖近辺まで進んでくるような事態は警戒していたが。

 

それも今の時点ではないようだ。

 

訓練を終えると、宿舎に戻る。今の時点ではうごきなし。京都のスカウトは交代で相手を見張っているようだが。

 

彼等の代わりが出来る訳でもない。

 

とにかく今は待つ。

 

仕事はそれぞれの担当をやる。

 

それだけなのだ。

 

さっさと寝て、それで起きる。

 

顔を洗っていると、火傷になって痕が残った場所が、少しだけマシになっているように見えた。

 

まあ、それなら良いのだが。

 

姉から連絡が来る。

 

工場にお呼ばれが掛かっていた。

 

 

 

工場に出向くと、シミュレーションマシンが設置され。また妙ちきりんな装備が開発されていた。

 

一つは改良型のなんとかナックルだというのは分かる。前よりも更にごっつくなっている。

 

ランスタートルの突撃を防ぐための工夫だろう。

 

また、もう一つの装備が作られ始めているようだ。

 

ばかでかい注射器みたいなのがあるが、あれはなんだろう。小首を傾げていると、ナジャルータ博士が姉と話しているのが見えた。

 

「若狭に今進むのは自殺行為だと話をしていますが、上層部には納得していないものもいるようです。 そのため、最悪の事態には備えておいてください」

 

「分かったわー。 それにしても、全てに対応するのは骨ねえ」

 

「全身に武器を仕込んで高速機動できるようなスーパーロボットに超世王セイバージャッジメントが仕上がってくれればいいのですが」

 

「そうだとしても、結局長時間熱攻撃を叩き込むしか、中型を倒す手段もないし。 ばったばったと敵をなぎ倒すような事は無理ね」

 

姉の言葉は、あれで現実的だ。

 

それに菜々美も、今の話には全面的に同意できる。

 

そもそもとして、人型ロボットになった超世王は今の時点ではあまり想像がつかない。今はまだ、機械のクリーチャーみたいな姿だ。

 

とりあえずナジャルータ博士は、三池さんの作ったプリンを堪能すると、さっさと帰っていった。

 

その後、姉と三池さんと、三人で話す。

 

やはり若狭への侵攻を諦めるべきという広瀬大将と、どうにか若狭に集まっている中型を始末して欲しいという派閥で割れているそうだ。

 

広瀬大将を解任して、言う事を聞く人間をすげ替えようとさえ画策している者もいるそうだが。

 

もしそんな事をすれば、兵士達が一斉にサボタージュを起こす。

 

既に広瀬大将は軍神として崇められている状態で、兵士達が無能な上層部の指示より、広瀬大将の指示を聞くのは明白すぎることだった。

 

バカ共でも。

 

それくらいは理解出来るだろう。

 

「現時点では、超世王セイバージャッジメントは、次の段階に入ろうとしているの」

 

「次の段階?」

 

「ええ。 複数の中型シャドウを、連戦で倒して行く段階」

 

「……」

 

そもそもとしてだ。

 

最初の対キャノンレオン戦でもそうだったが、超世王はずっと想定外の事態で苦戦し続けて来た。

 

それを考えると、姉の言う事は正しい。

 

姉が提示する勝率はいつも正しかった。

 

一回目は勝てる。

 

だがそういうときこそ、相手が真の力を出してきたり、二体目が出て来たりで、大苦戦を強いられた。

 

それを考えると、確かに時間差各個撃破を出来るようにする時期なのかも知れないと、菜々美も思う。

 

最初からそうできればいうことなどないのだが。

 

今でさえ、変態兵器のオンパレードなのだ。

 

これを更に組み合わせ、全体の継戦力を挙げていくとなると。更に機構は複雑になるだろう。

 

超世王の量産は今の時点では無理だ。

 

毎回別物といっていいほど姿が変わる上に、コストだって掛かりすぎる。

 

そんな変態兵器に毎回乗せられるのは菜々美なのだが。

 

それはそれとして、確かにこいつでないとシャドウを斃せないのも事実としてあるので、乗るしかないのである。

 

渋面を作ってしまっていたかも知れない。

 

姉は見た目だけなら100点のルックスでにんまりと笑う。

 

「データは常に更新し続けているから、毎回前よりは楽に戦えるはず。 そしてここしばらくの戦いで、更にそのデータは充実して来ている。 今回の根本的アップデートで、二体以上の中型を連戦して、苦戦しない事を目指すわ」

 

「乗っている身としては、耐久に問題があると思う」

 

ずばりと指摘する。

 

毎回限界を超えて戦うような状況になっている。それでも頑張ってくれているコアユニットには驚かされるが。

 

それはそれとして、どうにか耐久を改善できないのか。

 

それで、姉がこっちだと案内してくれる。注射器みたいなのは、前から準備してくれていたものらしい。

 

工場の奧で、なんだかよく分からないものが同時に作られていた。

 

金属の塊、だろうか。

 

「なんだよこれ……」

 

「装甲というのはね、どれだけ堅くても限界があるの。 恐らく宇宙最強の硬度を持つ物質だって、シャドウの攻撃は防げ無いどころか、近代兵器の攻撃だって防げないでしょうね。 だからシャドウが現れる前くらいから、戦車なんかにも複層構造が採用されていたし、リアクティブアーマーなんかの武装で、相手の攻撃を緩和する手段が採られていた、のだけれども」

 

「それは知ってる。 軍事学の基礎だよな」

 

「ええ。 ところがね、それを覆す例外というものがあるの」

 

姉は言う。

 

物質はなんぼでもその気になれば圧縮できるのだと。

 

ブラックホールのことだろうか。

 

超重力の井戸の底では、時空間すら歪むような凄まじい密度の物質があり。それこそ地球を野球のボール程度にまで圧縮したような状態になっているのだと。

 

それは聞いた事があるが。

 

そんな事、人間にはまだ出来ない技術の筈だが。

 

ところが、それが出来ると姉は言う。

 

「太陽系だと、太陽の中心部などの物質はそれと似たような状態になっているのだけれども、流石にそれは取り出せない。 だけれど、擬似的にそれと似たような状態になっている場所が意外と身近にあってね」

 

「どこだよそれ」

 

「地球の核」

 

「!」

 

なるほど、それは確かに在るのかも知れない。

 

勿論中性子星やブラックホールなんかにあるような、超圧縮された物質などとは比較にならない程密度は低いだろうが。

 

「これは厳密には地球の核ではなくて、月で発見されたものでね。 シャドウが来る前に、もう一度だけ北米の宇宙開発で、月に人が行ったのだけれど。 その時に回収されたものよ」

 

「月?」

 

「ジャイアントインパクト仮説というものがあってね」

 

説明を受ける。

 

ジャイアントインパクトというのは、原初時代の地球に、火星くらいのサイズの惑星が激突した事件だ。ジャイアントインパクト仮説というのは、そういう事件が起きたことを想定した仮説である。

 

これは凄まじい衝撃を引き起こし、吹っ飛んだ物質の一部がまとまって、月になったと言う説がある。

 

月は色々と衛星としては不可解な存在で。

 

様々な仮説が出てはいたのだが。

 

どうもこれが正しいらしいと結論が出ているそうである。

 

その証拠に。

 

地球とぶつかって木っ端みじんになった惑星の中心核が発見された。これはそのまま加工するのも困難なほど重い物質であるという。

 

「話はわかったが、これしかないんだろ」

 

「ええ。 だからこれを、装甲表面で高速移動させ、インパクトの中心点で相手の攻撃を防御させるのよ」

 

「いや、また随分と無茶な事を考えたもんだな。 そもそもこの小石でどれくらい重いんだ?」

 

「戦車二両分くらい」

 

うげっと声が出る。

 

それはつまり、戦車二両……100トンくらいか。それを貼り付けたまま、超世王は動き回る事が最低でも要求されるというわけか。

 

出来るのか。そんなこと。菜々美にも不安になってきた。

 

「シャドウが出る前の技術で、月からこれを持ち帰るのですら精一杯だったのが人間の限界。 そして今は、これに頼りながら、今まで簡単に喰い破られていた超世王の装甲をどうにかしなければならない、ということね」

 

「どれくらい効果があるんだ姉貴。 確かに実質上40式だった超世王の装甲だと、姉貴がつくったヒヒイロカネなんとか装甲を加えても、防御には限界があったけど」

 

「これの硬度を確認する限り……というよりも、これは硬度がどうとかよりもものが突破出来るものではないわねえ。 だからこれに何か通るものはないという前提で、これに衝撃を全て集中させて、周囲の装甲は全部その衝撃を緩和し逃がす。 それを前提とした装甲になるかしらね」

 

「なるほどな」

 

とりあえず、そういうものだというのは理解出来た。

 

理解は出来たし、まあ姉の作るものなら信頼しても良いだろう。

 

問題は迷走している作戦だ。

 

若狭への攻撃作戦は一旦停止してくれればいいのだが。そうでなかった場合は、このちいさな石が頼りになる。

 

「これって科学的には精製出来るのか」

 

「うーん。 現状の技術だと無理かしらね。 原子炉をこれのためだけに動かし続けて、数年は最低でも掛かるかな」

 

「現実的じゃないな……」

 

「少なくともあのお馬鹿さん達は待てないでしょうね」

 

同感だ。

 

いずれにしても、核融合炉はどうにか実用化はされているのだが。それでも神戸を賄うので精一杯。

 

増設なんかしたら、またシャドウが攻撃を開始する恐れもある。

 

今は相手がどうしてかこっちの行動を静観しているからなんとかなっているだけ。シャドウにしてみれば、中型がこの程度やられたくらいでは痛痒にも感じていない可能性が高いが。

 

もっと別の理由で、此方の行動を放置しているのかも知れない。

 

いずれにしても、次の作戦が決まるまでは、新しい兵装のテストだ。

 

パイルバンカーについても、調整が始まっている。

 

ランスタートル戦も、取得できたデータをどうにかして、それで連戦を突破するしかないだろう。

 

菜々美は無能呼ばわりされることが時々あるが、それについては別にどうとも思っていない。

 

広瀬大将が庇ってくれる事もあるし。

 

今更それでどうこう感じる事もない。

 

菜々美自身、自分を天才だと思った事もない。

 

天才だったら、戦いの度に増える全身の傷に説明がつかないし。明らかに寿命をすり減らしながら戦う事もないだろう。

 

まあ、いずれにしてもだ。

 

今は、やれることをやっていくしかない。

 

キャノンレオンだって、今でも決して楽な相手ではない。

 

それにこの間のスプリングアナコンダとの戦闘で、彼奴は菜々美を見ていた。目は機能しているとは思えなかったが、明らかに菜々美を認識していた。

 

今後シャドウは、超世王ではなくて、菜々美を主敵として認識し、攻撃してくるかもしれない。

 

そうなるとデコイは通じなくなるだろう。

 

新種や、戦い方がよく分かっていない中型と戦う事になった場合。

 

それは非常に不利になる可能性がある。

 

超世王を破壊するのではなく。

 

内部の菜々美を狙って来た場合。

 

それは恐らくだが、超世王を破壊する目的の攻撃よりも、遙かに苛烈で容赦が無いモノになるはずだ。

 

そして菜々美が受ける手傷も、以前より遙かに増える。入院の期間も、長くなる可能性が高かった。

 

更に姉は、どんどん超世王に機能を追加している。

 

40式はパワーがある戦車だが、この車体をベースにしていた現在まででは限界が出始めている。

 

それは菜々美も、操縦していて明らかに感じていた。

 

今後はパワーパックの独自開発など、更にやることが増えるかも知れない。

 

いつもへらへらしている姉だが。

 

もしも負担が限界に達して倒れでもしたら。

 

菜々美が殺されるよりも、人類が受けるダメージは大きいはずだ。一応健康診断は受けてくれているようではあるのだが。

 

シミュレーションマシンで、改良された装備のチェックをしながら、無言で手を動かす。

 

確かに改良されている。

 

だが、いきなり楽勝になるわけでもなんでもない。

 

シャドウはどれもこれも強い。

 

小型でさえ40式を単騎でひっくり返す事になんも変わっていないし。

 

人間の技術力だって、姉みたいなのが幾らでもいるわけでもない。

 

それに軍需産業はかなり保守的で、未だにM44ガーディアンにこだわっている者も多く。

 

最近ではついに超世王の戦果はプロパガンダで、あんなゲテモノ兵器は廃棄すべきだというデモまで発生したらしい。

 

SNSなどで指嗾されたようだが。

 

それにしても、菜々美としても愚かすぎて溜息しかでないのが実情だった。

 

ともかく手を動かす。

 

頭に叩き込む。

 

改良点は、ログから姉が勝手に割り出してくれるが。三池さんに報告しておいて、それも姉に反映してもらう。

 

アラームが鳴ったので休憩。今日は休憩を入れつつ、もう一セット訓練をすることが出来るだろう。

 

シュークリームを三池さんが作ってくれたので、ありがたくいただく。

 

黙々と食べてから、訓練に戻る。

 

いやはや、材料も限られているのに、本当に美味しいな。下手な人間が作るとそもそもあれは膨らまないらしいのだが。

 

元気も出る。

 

それで、訓練にも身が入るのだった。








変態兵器を開発しどんどん実用化していく畑中博士。

凄まじい技術力で、人間の全盛期にも間違いなくトップ層の科学者にいられただろう逸材ですが。

それが好き放題手腕をふるえてなお。

どうにもならない状況が続きます。








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