スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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4、壁が形成される

ウォールボアを倒したものの、前線を進める事は出来ず。その結果に、案の場上層部はぎゃんぎゃん喚いているようだった。

 

バカな話である。

 

呉美玲奈大尉でなくても知っている。

 

今までは中型を倒す事さえ出来なかった。

 

どの中型も、どれだけの兵力をぶつけても足止めすら出来なかったのだ。

 

それを立て続けに倒し、倒すためのノウハウを蓄積できている。それだけでどれだけの進歩だか。

 

勝利が当たり前だと考えている連中の無能さには反吐が出る。

 

社会の上層にいる人間はみな優秀で心優しいだのの寝言が昔は当たり前のように唱えられていたと聞くが。

 

人間が全盛期の1%にも足りない数に減り。

 

それが大嘘だと言う事が。より分かりやすくなったからだろう。

 

玲奈のような下っ端でも、それがうんざりするような嘘だと、一発で分かるのだった。

 

偵察に出る。

 

本当に戦線は一歩も進んでいない。

 

それだけじゃあない。

 

小型シャドウは、濃尾にも多数……以前以上の数が出ている。

 

四国をあっさり陥落できて。どこか調子に乗っていたのかも知れないとさえ感じる。シャドウは確認されているだけで億単位いる。

 

しかも、それは「確認されている」範囲の数。

 

いきなり最初は虚空から現れたように、無尽蔵に援軍を繰り出せても不思議ではないのである。

 

報告を送る。

 

「明らかに前回の戦闘時よりも増えています。 敵の群れの中には、キャノンレオン、グリーンモア、ウォールボア……あれは! スプリングアナコンダです!」

 

「なんだと……」

 

「明らかにこれ以上は進ませないという布陣です。 しかもそれぞれの中型は、一体ずつではありません」

 

「分かりました。 情報の収集よりも身の安全を優先。 安全を確認しながら、確実に敵の数を分析してください」

 

途中から広瀬大将が割って入る。

 

頷くと、そのまま分析を続ける。

 

前の戦闘で、被害者は100人弱に抑えたものの、それでも相手は明らかに此方を追い返すためだけに戦ったという雰囲気だった。

 

もしもあのグリーンモアが本気で襲ってきていたら、こんな程度の被害ではすまなかっただろう。

 

小型を相当数倒したが。

 

小型なんぞ相手にとっては幾らでも出せるのかも知れない。四国で勝ったのも、単に相手が四国に興味を無くしただけではないのかと思うのだ。

 

それに、四国は調査してみて分かったが。

 

恐らく人間が侵出する前の状態まで環境が戻されていた。インフラの整備以外で、自然を傷つけないように。

 

そういう達しまで出ている。

 

ナジャルータ博士が以前に調べたのだが、汚染や自然への無茶な破壊が目だった国や地域は、シャドウに徹底的に潰された傾向があるという。

 

ただ、それもよく分からない事もあって。

 

人間がいる前の時代まで戻されている節がある。

 

それでいながら、シャドウが見逃した地域では、どれだけ廃液を垂れ流そうと無視しているようなので。

 

シャドウの性質はまったく分かっていないのだ。

 

今の時点では、シャドウの機嫌を伺いながら奪回作戦を立てていくしかない。

 

琵琶湖は安全確保した。

 

それで膨大な真水を容易に手に入れる事が出来るようになった。

 

後はダムなどを作って、更に真水の入手を容易にしたいところではあるのだが。まだまだシャドウがいる事を考えると、それも難しい。

 

偵察を終えて戻る。

 

一応今回の戦闘も勝利と喧伝しているようだ。確かにあの被害で中型1、小型多数を倒しているし。倒した中型は撃破例なしのウォールボアだ。戦果は戦果だが。前線は一歩も進んでいない。

 

海路は相変わらずイエローサーペントが日本海も太平洋も巡回しているので、揚陸部隊を出して後方を強襲なんて事は極めて難しいし。

 

偵察部隊を出すのでさえ命がけなのだ。

 

戻ると、軽く上層部のやりとりを見る。

 

今回の件について文句を言おうとしてたところに、畑中博士が満面の笑みでプレゼンを開始していた。

 

それを見て全員押し黙る。

 

そして狂気のプレゼンが開始されて、その間ずっと静かになったので、玲奈も思わず笑ってしまった。

 

今後ずっと畑中博士がプレゼンをしてくれれば、アホな上層部も大人しくなるのではないだろうか。

 

そうとさえ思う。

 

畑中博士は噂によると、自分が描く絵が意味不明なものなのは分かっていないらしい一方。

 

プレゼンをするとアホ共が黙ることは理解しているらしいので(もの凄い高IQらしいのに変な話ではあるが)、それを意図的に使っているのだろう。

 

プレゼンが終わるとアホな上層部の連中がみんな魂が抜けて目が死んでいるので、いい気味である。

 

広瀬大将が咳払いして、現状の説明をする。

 

「偵察部隊からの情報もあり、濃尾への進出は極めて難しくなりました。 若狭も相変わらずの守りであることから、中国地方か九州で戦果を上げるしかありません。 今まで斃せた記録がない中型を少しずつ斃す。 そうして、実績を重ね、超世王セイバージャッジメントの性能を上げていき、いざという時に備える事しか、我々には今出来ないのです。 超世王セイバージャッジメントを動かすには畑中准将が必要で、ウォールボアとの戦闘での負傷もあって三ヶ月は動けません。 各国はその間に資源の増産、螺旋穿孔砲を主体とした歩兵装備の刷新、戦車から歩兵戦闘車へ戦闘車両の切り替え、螺旋穿孔砲オートキャノンの装備……今まで小型に確実な戦果を上げている編成への変更を進めてください。 25年、やられ放題だった中型を倒す事はそれだけ難しい。 それはなんどでも、心に命じてください」

 

その通りだ。

 

胸が空いたので、後は休む事にする。

 

大尉というと士官であり、立派な地位である。

 

まだ若すぎると思うが、玲奈は恐らくだが、超世王セイバージャッジメントのデチューンモデルを任される事になる。

 

それを思うと、大尉という地位は恐らく適切なのだろう。

 

昔は花形だった空軍のパイロットも士官としての地位をもっていたらしいから、それと同じである。

 

嘆息すると、ますます厳しくなるなと思った。

 

畑中准将が動けない間は。

 

下手をすると、玲奈が出なければならないのだから。

 

 

 

(続)








ついに快進撃が止まりました。新種は斃せたものの、今までにあった明確な進捗がついに止まったことになります。

八方ふさがりの状況到来。

これを打開するには。

思い切った戦略の転換が必須となります。








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