スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

40 / 115








4、痛み分けの結果

どうにか鹿児島に防衛線と監視拠点を構築したものの、被害は甚大。ここ最近では最大規模の損害。

 

それが判明すると、上層部にはやはり動揺が走っていた。

 

一対一で超世王と戦うのではなく、明確に削りに来ていた。戦闘の過程を見れば、それは誰の目にもあきらかだ。

 

シャドウの中には人間が入っているのでは無いのか。

 

そんな声さえあった。

 

上層部は誰の責任問題だの、ああだこうだ喚いているのもいるが。

 

それより今は、損害を補填し。

 

今後をどうするかの問題である。

 

広瀬大将が、雁首並べた無能共に説明する。

 

それを菜々美は、病室から見ていた。

 

今回はいつもほど負傷はひどくないが。それでも一週間は安静にしろと言われた。有り難い話である。

 

後で気付いたのだが、頭使い過ぎて鼻血が出ていた。

 

多分シャドウとしても、菜々美の処理能力の限界を計るつもりもあったのだろう。それはまんまと達成されてしまったと言う訳だ。

 

「シャドウは明確に戦略的な行動を行っている事が今回はっきりしました。 人間をこれ以上進ませるつもりはない。 そう判断して良いかと思います。 これから余程の技術的シンギュラリティか、兵力の増強か、シャドウの弱点の発見でもない限り、前線を進めるのは困難でしょう」

 

「それをどうにかするのが君の仕事ではないのかね!」

 

「静粛に」

 

嵐山が言うと。

 

上層部がぴたりと黙る。

 

相変わらず凄まじい迫力だな。今の時代の無能な上層部なんて、一睨みで黙らせる威厳がある。

 

咳払いすると、ナジャルータ博士が言う。

 

「現在分析を行っていますが、ランスタートルとグリーンモアは明らかに戦略的指揮に特化した中型種です。 だからこそに狡猾な戦い方をしてくる。 先に多数のグリーンモアが大陸より到来しましたが、これは恐らく、中型が日本で多数倒されている事に起因していると見て良いでしょう。 日本ではどう動いても、簡単に中型を倒せる状態は当面こないと思います。 小型も戦略的に中型と連携を開始しており、戦えば必ず大きな被害が出ます。 そして被害を許容できるほど、今の人間は経済力も人口も足りてはいないのです」

 

「だったらどうするというんだ! 化け物どもを追い出して、さっさと領土を奪還するのが、お前達の仕事だろう!」

 

「口を慎んでいただこう」

 

「……っ!」

 

嵐山が一喝すると、黙り込むどっかの国の元首。

 

実際問題、中型を倒す事すら夢物語だったのにそれを成し遂げ。

 

四国の奪回にも成功している。

 

今までが上手く行きすぎたのだ。

 

此奴ら無能共は、一日でシャドウを地球中から駆逐するような戦果を望んでいる。それに対して、阿呆と一喝できる存在が必要だった。

 

やっとそれが出来る人が出て来てくれた。

 

それだけの話だ。

 

「現実問題として出来るのは、現在は日本近海に多数いるイエローサーペントを撃破して回る事です。 世界中で二千を超えるイエローサーペントがいることが確定していますが、日本近海のものだけでも斃せれば、最大都市の神戸周辺の制海権を守ることができるようになるでしょう。 今までは命がけだった海上輸送が、それだけで負担をかなり減らせると思いますし、巡視艇でのスカウト任務で、手薄な土地を発見できたり、或いは孤立している孤島を発見できる可能性もあります」

 

「そのイエローサーペントも、あの不細工なロボットに対抗する手段を身に付け始めているのだろう!」

 

「超世王セイバージャッジメントがなければ、中型の一体だって倒す事はできませんでした。 今も皆怯えながら、シャドウにどうにも対抗すらできなかったでしょう。 それを忘れて、寝言をいうのはいい加減にしてください」

 

ナジャルータ博士もずばりいう。

 

上層部の無能ぶりは犯罪的だなと思う。

 

21世紀の前半くらいから、世界中のどこの国もこうだったらしい。

 

シャドウが現れなければ、第三次大戦が起きていただろう。そう言われている所以であると言える。

 

姉が咳払い。

 

それで周囲が黙った。

 

「今回の戦闘で、懸念されていたグリーンモアの戦闘データと撃破データが取れました。 次回からはグリーンモアをより楽に斃せると思います。 イエローサーペントがかなり対策を練っているのは掴んでいますので、今後は対策を進めます。 シャドウの側も対策はしていますが、少なくとも超世王セイバージャッジメントに完璧なメタをはった個体は出現していない。 25年何も進歩していなかった存在です。 多少本気を出したところで、素の力は変わっていません。 相手の出来る限界を見極めたとき、勝つのは人間です。 た、だ、し! そのためには、攻勢に出るときに、相応の人口、経済力、それに最低でも小型は斃せる訓練を受けた兵士達。 全てが必要です。 これからは対小型を中心に各国では誘き寄せての少数ずつの撃破を螺旋穿孔砲で行ってください。 日本だけではなく、それなりの「大国」でなら、師団規模の兵力は用意できるはず。 なら、少数の小型なら広瀬ドクトリンで撃破出来る筈ですね。 ましてや無能無能と広瀬大将を罵っていた方々、貴方たちの自慢の将軍と練度の高い兵士達なら楽勝でしょう」

 

姉も随分と毒舌を吐くな。

 

それに、各国が陽動作戦を開始すれば、それだけシャドウも中型を分散せざるをえない。その間に、力を蓄えるしかないというわけだ。

 

菜々美は会議がしめられると、携帯端末をおく。

 

しばらくはイエローサーペント狩りが続くだろう。ブライトイーグルは地上の戦力が確定で護衛につくから、簡単に斃せる相手ではない。

 

他にも斃せていない中型はまだまだいる。

 

それらとの戦いにも備えつつ。

 

今は、出来る範囲で中型を削って行かなければならなかった。

 

 

 

(続)








先の話で詳細はわざわざ描写しませんでしたが、最新鋭兵器の部隊は一瞬で全滅しました。

25年を経て世代を挙げた戦車や武装でもこうです。

基本的に既存の近代兵器は一切シャドウに通じない。

それが分かりやすいかと思います。







感想評価などよろしくお願いいたします。励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。