スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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シャドウが出現した時、最初に滅茶苦茶に蹂躙したのが北米です。これは当時世界最強だったから、かも知れませんね。

いずれにしても北米の軍は速攻でホワイトハウスとペンタゴンが落とされたこともあり、一瞬でシャドウに滅ぼされてしまいました。

今では合計して二百万人ほどが生き延びていますが、それぞれの都市は接続もろくに出来ておらず、街を迂闊に出ればシャドウに殺されるだけです。

それを少しでも是正すべく戦いが始まります。






イナゴは空を覆う
序、北米戦線


北米、旧メキシコ国境近く。

 

この辺りに存在している唯一の人間の街、ネオロスアンゼルス。Nロサンゼルスということも多い。

 

この都市は42万という人口規模を持ち、神戸ほどではないがそれなりの都市として現在では世界的に存在感がある。大きめの港湾も存在している此処は、シャドウが現れた頃に南米からも人が逃げ込んだこともある。現在ではカオスの極みな混血が起きていて、純粋な白人は殆どいない。使われている言葉もスペイン語の方が多いほどだ。

 

此処に逃げ込んだ南米の人間には邪悪な事で知られたメキシコの麻薬カルテルの生き残りもいたのだが。

 

それらは25年の間に全て駆除が完了。

 

現在では此処は北米の軍事最先端基地という扱いを受けている事もあり、広瀬ドクトリンにそった編成の新生第一師団がついに就任。

 

残念ながら治安はお世辞にも良くない事もあって、警察の代わりをしていた第一師団ではあるが。

 

今回、試験的に北米にいる小型シャドウの駆除作戦が開始されていた。

 

GDFの最精鋭である第二師団が当面動けないこともある。

 

それに、この間北米の軍需産業の生き残り達が鼻息も荒く戦場に送り出したアレクサンドロスⅢ戦車や他にも「シャドウに通用する」と彼等が自信満々だった兵器類が、南九州での激戦で壊滅した事もある。

 

こういった各地で編成された部隊が。

 

それぞれ対シャドウ戦の実績を積み。

 

少なくとも小型対策では、各地の都市が自衛出来ることを示さなければならなかった。

 

指揮官であるアルムート中将は既に老齢だ。

 

北米でもコネで成り上がる将官は多く、そういった連中は有名大学に裏口入学していたりもした。少なくともシャドウが現れる25年前まではそれが常態化していた。

 

エリート教育の本場が聞いて呆れる話ではあるのだが。

 

シャドウが現れる前はどこの国でも似たような事があったらしい。

 

アルムートはシャドウが現れる前には少佐どまりだった人物だが、それなりの戦歴は積んでいる。

 

だが同年代のコネで成り上がる将官にどんどん出世で追い抜かれていき。

 

それらを黙って見ている事しかできなかったが。

 

対シャドウ戦で生き残ってしまい。

 

悲惨な撤退戦の中で民間人の救助作戦を何回か成功させた事もある。

 

今、北米の新生第一師団の司令官を任されていた。

 

もうじいさんだが大丈夫か。

 

そう兵士達はいうが、長身のアイルランド系混血の白人であるアルムートは、歩兵戦闘車の上で微動だにせず。

 

小型シャドウの配置を冷静に見極めた上で、開戦の指示を出していた。

 

オープンファイヤ。

 

その指示と同時に、螺旋穿孔砲が小型数体を射貫く。それで敵が動き出す。小型でも、相手はシャドウ。

 

兵士達には恐怖の対象だ。

 

いかに近代兵器がシャドウの前に無力で。

 

今まで世界を私物のように扱っていた人間が、シャドウの前に紙屑のように引き裂かれていったか。

 

それは現実を見るのを拒否して。

 

自分は今でも偉いと思い込んでいる一部の阿呆以外は。だれでも知っている。

 

この世界は、少なくとも地球はもう人間のものじゃない。

 

兵士達は誰もが知っているから、訓練をしても誰もが怖れる。ましてや中型が出て来たら、この師団は全滅確定だ。

 

アルムートの指揮は冷静を極めた。

 

とにかく確実に小型をクロスファイアの焦点に引きずり込み、広瀬ドクトリンにそって編成された狙撃大隊を機動運用して、味方に接近する小型を確実に仕留める。

 

オートキャノンを搭載した歩兵戦闘車も機動させて活用し、特に仕留めづらいシルバースネークは自動照準のオートキャノンを頼らせる。

 

それでも小型に接近されると、どうしても兵士達は恐怖で手元が狂う。

 

ただでさえ巨大な螺旋穿孔砲で、時速百数十㎞で接近して来る小型シャドウを狙い撃たなければならないのだ。

 

しかも北米の軍勢が戦闘慣れしていたのはシャドウが出る前まで。

 

今はもう、敗残兵か新兵しかいないのである。

 

冷静な指揮だが、それでも被害は出る。

 

狙撃大隊がしくじり、小型の接近を許す。後は虐殺だ。引きちぎられる部隊に集る小型を、冷静にアルムート中将が撃ち抜かせる。

 

そうして三時間ほど掃討戦が続き。

 

小型400程を仕留めた代わりに、北米新生第一師団は兵135名を失っていた。

 

だが、それで充分過ぎる程の大戦果だ。

 

アルムート中将は冷静に兵を撤退させる。

 

あまり戦闘を拡大させると、中型が姿を見せる可能性が高い。そして、この戦果は、北米の大統領を喜ばせるのに充分だった。

 

Nロサンゼルスに戻った第一師団は疲弊しきっていたが、それでも「シャドウに対して北米でも勝利」という伝聞が、複数に別たれた都市にしかいない北米の民に届けられていた。

 

それで歓喜する人間はそれほど多くは無かった。

 

特に中型を斃せていない以上、あまり意味がある戦いでは無い事も、分かっている者は多かった。

 

それでも、北米で25年ぶりに発生した戦術的勝利である。

 

戦略的勝利ではない事は確かだった。

 

第二師団の練度がいかに段違いかも戦果ではっきりした。

 

それでも。

 

希望が点ったのは事実だった。

 

 

 

北米での勝利は、菜々美のところにも届いていた。勝利と言っても小型相手の勝利。第二師団が大損害を受けてしばらくは再編で忙しい今は、そうかとしか言う事ができないのも事実である。

 

北米でも40式は生産されているため、デチューンモデルの超世王は作る事が出来るはずである。

 

ただ潜水艦型のは厳しいし。

 

何よりもデチューンモデルは基本的に複数種類の中型に対応できる性能をしていないのも問題だ。

 

今問題になっているのは、少なくとも三種類以上の中型を、ダメージを抑えて勝つと言う性能。

 

姉が設計図を何度も造り替えているのを工場で見た。

 

流石にまだしばらくは造れそうにない。

 

今、菜々美がやるのは。

 

中型、特にイエローサーペントの駆逐である。

 

姉は更に水中戦用の超世王に改良を加えていて、今日既に菜々美は一体倒している。今日中にもう一体行けるかも知れない。

 

今、太平洋沖で、狙っている一体の方へ移動中。

 

空中には幸いブライトイーグルはいない。

 

あいつに接近されると、どうにもならない。EMPは水中でも容赦なく動作するのだから。

 

上に巨大な鯨がいる。

 

確かセミクジラと言われる奴だ。ちなみに虫の蝉ではなくて、背中が美しいからセミクジラである。

 

数がかなり少ない種類だと聞いているが。

 

まあ、人間がいなくなれば数も回復する。

 

そういうものである。

 

それに絶滅種をどうやってかシャドウが復活させているというのもある。セミクジラも、シャドウがどうやってか数を回復させたのかも知れない。

 

イエローサーペントまで距離5000。無言のまま移動。

 

トイレなどもあるが、それらも完全な消音仕様だ。床も全て音を立てないように徹底されている。

 

自動運転もあるが、これはコアユニットによる制御で、どうしても菜々美が要所で手を入れなければならない。

 

姉もちゃんとこれについてはそう事前に説明を入れている。

 

どうにかして「名人芸からの脱却」をしてほしいと現場から要望があるのだが。

 

超世王のテクノロジーは姉に依存しており、それは当面難しい。呉美大尉みたいな使いこなしている者もいるが、あの子も菜々美が見る限り、天才の領域の人間だ。皆が真似できる事では無い。

 

だが、確かに誰でも使えるものでないと、シャドウの駆逐は厳しい。

 

トイレを済ませて、席に戻る。

 

この間の会戦でのダメージがあまり大きくなかった事もあって、退院は比較的早くできたが。

 

医師には細かいダメージが確実に蓄積していて、いずれ寿命を縮めると警告もされている。

 

それは分かりきっている事なので、菜々美も仰る通りでとしか返せない。

 

ともかく今は、一体でも中型を倒す事だ。

 

日本だけでも確認されているだけで数百は中型がいるのだ。

 

これ以上、「手詰まり」の状態は避けなければならない。

 

よし。

 

下を取った。

 

イエローサーペントは。上千二百mにいる。

 

やはり画期的な対策は出来ないようで、体の周囲に泡を吹きだして、それをセンサーにしているようだ。

 

空母打撃群を単騎で潰す相手だが。

 

とにかく音を一切出さずに接近し、それで瞬殺を決める事でどうにかなる。

 

これに気付くまで25年掛かったというべきか。

 

そもそも高出力プラズマの長時間照射などの高温でしかシャドウを倒せない事がわかるまで25年というべきか。

 

ともかく今は。

 

その成果を用いて、奴を撃つ。

 

近付いてくると、イエローサーペントが見えてくる。

 

相変わらず生理的に受けつけない形状だが、それはどうでもいい。とにかく泡をかいくぐる。

 

あの泡が、どの体の位置から。

 

どのような法則性で出ているのか。

 

それらは姉が解析してくれた。

 

イエローサーペントはソニックブームを自在に操るシャドウだが、あれはその技術の一種だ。

 

だが、それも全能というわけではない。

 

音で探知している以上、どうしても隙は出来る。

 

その隙を縫って、ドリルを叩き込み。

 

そして、離れる。

 

上で身をよじって暴れるイエローサーペントが、滅茶苦茶にソニックブームを放つ。コレで動物に一切被害を出さないというのだから凄まじい。

 

とにかく深海に潜る。

 

距離を取れば採るほど直撃のリスクはさがる。

 

ましてや今回は探知されていない。ほぼ直撃の可能性はないと見て良いだろう。

 

千mを潜り、岩陰に。

 

至近をソニックブームが掠めたが、それもどうにか当たらずに済んだ。冷や汗を掻き、イエローサーペントが倒れるまで待つ。

 

奴が死んだのを確認。

 

ドリルを回収。ドリルがエネルギー切れだ。今日は帰投する。

 

あれを半使い捨て型にしてから、エネルギーの蓄積量という課題が出た。これは姉も解決できていない。

 

無言で海中を戻る。

 

今日は二体イエローサーペントを損害なしで斃せた。それだけでかなりの戦果だ。それも太平洋から沖縄近海を回遊していた奴を。

 

日本近海にいる個体を、十体は斃して欲しい。

 

そう言われているが、まあ簡単にはいかないだろう。

 

数体斃したら、恐らくはブライトイーグルが出てくる。そうなると、隙を突くのが難しくなる。

 

外洋だとなおさらだ。

 

ドリルをセットして、そのまま帰投。

 

新四国港で、補給を受ける。

 

再編制中らしい部隊が、第二師団と合同で演習をしていた。第一師団や第三師団から精鋭が引き抜かれて移籍。空いた穴には、第四師団で訓練を終えた兵士が入る。

 

また、二千人もいなくなった。

 

人間の勢力圏が拡がったのだから、それだけ子供を増やしてはいるらしいが、それらの子が育つのはだいぶ先だ。

 

今は人的資源をすり減らしながら勝っていくしか無い。それが現実であり。新兵が訓練をしている様子を見ると気が滅入る。

 

第二師団だって、広瀬大将が育てた精鋭とは言え無敵じゃない。

 

更に、上層部の矢の催促もある。勝利しろと。

 

中型を少し倒したくらいでは満足しなくなってきた。人間は一度贅沢を覚えると、際限なく増長するとは聞いていたが。

 

それも納得出来る。

 

超世王の調整を任せて、メガフロートにある仮の寮に入る。

 

横になって携帯端末から情報を見ていたが、どうやらスコットランドの方でも戦闘を開始したらしい。

 

この間の会戦で世界に醜態をさらしたし、その汚名を払拭するため、なのだろうが。

 

広瀬ドクトリンにどうしてもまだ抵抗があるらしく、100体ほどのシャドウを倒すのに、1000名近い戦死者を出したようだ。

 

これは、完全に負けだな。

 

幸いバカな師団長は戦死して、師団長は入れ替えになるらしい。

 

旧軍需産業の連中の面子は丸つぶれだ。小型相手にこの損害は、今の時代とても許容できるものではないだろう。

 

広瀬ドクトリンをとるしかない。

 

それについては、誰もが理解すると言う事だ。

 

くだらんプライドよりも人命である。

 

それが理解出来ない人間が上に立つことで、こういう無意味な死者が山となって積み上げられていく。

 

シャドウは笑っているだろう。

 

笑うという概念があればだが。

 

ともかく、無駄死にさせられた兵士のために黙祷する。菜々美だって、兵卒だった頃は無茶な命令で死ねと事実上言われた事はあったし。それを生き延びたから今いるのだ。

 

小型をM44ガーディアンで斃せたのは本当に運が良かった。

 

二回出来たが、三回目は多分出来ないと思う。

 

出来ないとはっきり告げたから、姉が螺旋穿孔砲を渡してくれた。それで小型をあまりにもあっさり斃せたので、本当に驚いた。

 

どうしても軍需産業の連中がプライドを優先するなら、自分で最新兵器とやらをもって戦場に出ればいいものを。

 

まあ、それはその場に相手がいないのだ。

 

思っていても仕方が無い。

 

横になって休んでいると、メールが来た。

 

呉美大尉からだった。

 

今、スカウトに出ているらしい。デチューンモデルのシミュレーションについては、他の兵士達が今はやっているそうだ。

 

呉美大尉のシミュレーションはあまり当てにならないとか。

 

まあ、それはそうだろう。

 

呉美大尉は天才側の人間だろうし。

 

「中国地方の小型を調べていましたが、ついに見つけました。 中型が背後にいます。 それもやはりグリーンモアですね。 巧みに擬態していましたが、長距離望遠で発見しました」

 

「それはお手柄ですね。 それで」

 

「中国地方を姫路辺りまで解放したいと上層部は考えていたようですが、グリーンモアが来ていると言う事はシャドウが戦略的に小型を配置して、中型も支援に来る可能性が高いとナジャルータ博士が結論を出しました。 前回の会戦で、二体の中型をグリーンモアが使い捨てにした事から、グリーンモアは中型でも指揮系統の上位にいる可能性が高いとナジャルータ博士は提言。 それがいる地点は、極めて危険な死地だと判断していいそうです」

 

同感だ。

 

だが、それはそう思わせるための偽装かも知れない。

 

今、稗田少将がスカウトを出して、必死に分析をしているらしい。他に中型が発見されたら、それで確定となるのだろうが。

 

姉からも連絡が来ていた。

 

超世王の調整に手こずっている。

 

今北米にデチューンモデルを幾つか欲しいと言われているそうで、一般兵でも使えるものを調整しているらしいのだが。

 

それとあわせて、継戦力を挙げた超世王の強化モデルを開発しているそうなので。それはまあ、限界が近いのも分かる。

 

三池さんが無理をさせないだろうから、まあそれは信頼している。

 

無理をしないようにとメールで返信すると。

 

疲れも溜まっている。軽く昼寝する事とした。

 

まだしばらくはイエローサーペント狩りが続く。

 

姉はどんどん改良と調整を入れてくれるだろうが、それでも毎回が命がけだ。これだったら誰でも出来るとか上層部が考えて、デチューンモデルで返り討ちになんて事態はさけないといけないが。

 

それもどこまで広瀬大将が抑えられるか。

 

この間の旧軍需産業が鼻息も荒く繰り出して来た部隊の無惨な壊滅を見ても、連中は懲りていないだろう。

 

そういう事を考えると。

 

人間の愚かさには限度というものがない。

 

それでもどうにかするのが菜々美の役割だ。

 

ともかく、前線で勝ち続けなければならない。それには可能な限りのパフォーマンスを保たなければならないのである。

 

昼寝して、少しでも体を休める。

 

軍で訓練はしたが、眠れるときに眠るのも限界がある。出来る人間はいるが、菜々美はそうではなかった。

 

ただ、今は体がダメージをまだまだ回復し切れていないので、それで眠れる。眠っている時に、人間は体のメンテナンスをして、修復しているのだ。それでどうにかなっていると言える。

 

無言で寝て。

 

そして起きだす。

 

夢すら見ない。

 

あまりにもダメージが細かく確実に蓄積しているのか。

 

状態が悪くなると、眠って起きると更に疲れているなんて事態も起きるのだが、幸い今はそれはない。

 

嘆息するとベッドから這いだし、訓練に出る。

 

今スカウトの巡視艇部隊が、イエローサーペントの動向を確認してくれている。

 

軍事衛星がシャドウの侵攻開始のすぐ後に、大型種にスペースデブリごと全部叩き落とされた事が非常にきつい。

 

今更打ち上げ直す訳にもいかないし。

 

打ち上げてもまだいる大型種「魔王」が見逃さないだろう。

 

また一瞬で叩き落とされて終わりだ。

 

ドローンなどもブライトイーグルがいることを考えると役立たないし、とにかく命がけで偵察するしかない。

 

それも自分の足で、である。

 

それを考えると、非常に負担を掛けている。

 

斃せると判断した相手は、確実に斃せるように。菜々美もベストコンディションを常時保たなければならないのだ。

 

適当に訓練をして、体を温めておく。

 

そして連絡が広瀬大将から来次第、すぐに動く。

 

まずは十体を黙らせる。

 

だが、それもブライトイーグルが動いている様だし、どこまで出来るか。

 

ともかく相手が対応を本格的にする前に、可能な限り倒しておかなければならなかった。









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