スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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シャドウはただ地球に来てから人類を駆逐していただけではありません。

判明した事実は、それは例えシャドウを武力で絶滅させることが出来たとしても。

人間がまた同じように地球の覇権を握るのは不可能。

それを示す科学的根拠でした。






2、勝利は存在しない

ナジャルータ博士が正式に説明する。シャドウが現れてから、地球に存在する水の総量が増している。

 

これは潮汐学の博士が調べたデータから、複数方面で調査を開始。幾つかの分野から測量し。

 

正しいと結論が出たということだ。

 

そしてこの地球の水の総量は、現在でも増加し続けているという。

 

仮にシャドウを倒しても、同じように地球上で「文明の活動」を続けた場合。人類は大洪水に押し流される可能性がある。いや、極めて高確率でそうなる。

 

20世紀から21世紀に掛けてたった100年で、人類は地球の環境を壊滅的に破壊した。

 

もしも仮にシャドウを倒せた場合。

 

その100年は、更に短縮される可能性が高い。

 

そうナジャルータ博士が発表すると、当然激震が人類に走ったのだった。とはいっても、今は5000万しかいないのだが。

 

菜々美は荒れているSNSを見る。

 

利敵行為だ敗北主義だとほざく連中もいるが。

 

それ以前に、菜々美はそもそもシャドウとはどこかで落としどころをつけないといけないとも前から思っていた。

 

これは良い機会だと思う。

 

そもそもシャドウを倒し尽くし駆逐し尽くす事など不可能だ。これは菜々美自身が一番知っている。

 

物量が違い過ぎる。

 

仮に人類が全盛期の物量を持っていたとしても、シャドウには勝てない。ましてや今は、人類の物量は全盛期の1%を下回るのである。

 

現実問題として、それはある。

 

超世王が一万機くらいいたら勝てるかも知れない。ついでに菜々美もそれくらいいたら。だが、それも絵空事である。

 

そんな物資は何処にもないし。

 

仮に菜々美をクローンで増やしたところで、戦闘経験とか考え方とか。そういうものまではコピーなど出来ないのだ。

 

良い機会ではないのか。

 

そう菜々美は思う。

 

案の場、上層部は大混乱に陥っているようだ。菜々美のところにも、何かあるかも知れないから気を付けて欲しいと広瀬大将から連絡があった。ちなみにナジャルータ博士は、しばらく京都工場でお泊まりである。

 

危険すぎるので、外には出無い方が良いそうだ。

 

ため息をつく。

 

休憩時間は終わった。とにかくグレイローカスト対策の兵器のシミュレーションを進めなければならない。

 

MLRSの方は菜々美はやらない。

 

菜々美がやるのは、別の兵器のシミュレーションだ。

 

小型対策に、超世王でシミュレーションをするのは色々と不愉快ではあるのだが。しかしながら、現実問題としてグレイローカストとの戦闘は非常に厳しくなる可能性が高いのだ。

 

群れになれば中型以上。

 

それに、だ。

 

当然グレイローカストとの戦闘時に中型だって割り込んでくるだろう。グレイローカストの組織的攻撃を捌きながら、中型と渡り合わなければならない。それを考えると、訓練は必須だ。

 

シミュレーションマシンから出ると、外で兵士達が話している。

 

一応MP、つまり軍警察も呼んであるのは、此処でナジャルータ博士を匿っているからである。兵士の中にも、シャドウを倒しても未来がない発言に、感情的な不快感を示している者は少なくないのだ。

 

その中の一人でもバカをやらかしたら、人類は終わるのである。

 

「グレイローカストがついに近畿に姿を見せたらしい」

 

「マジかよ。 ユーラシア大陸にだけいたらしいのに」

 

「それだけじゃない。 北米でも出たらしい。 北極圏経由で来たらしいぞ。 寒さなんてシャドウの前にはなんの障害にもならないってことだな」

 

「畜生、今開発している新兵器でも400を一度に倒すのがやっとだって話だろ。 どうなるんだ……」

 

まあ兵士達の不安も分かる。

 

だが、それがナジャルータ博士への敵意になるのもまたおかしい。

 

彼方此方の戦線でスカウトが続けられているそうだが。隙がありそうな戦線はなさそうだ。

 

北米ではNロサンゼルス他の幾つかの都市でも師団の編成が始まっているが、それでも攻勢に出るのは厳しい。北米の人口が全て合計しても200万程度しかいない事もあって、昔日の組織力はもはや存在しないからだ。

 

小型対策は出来ても大型対策は難しいし。

 

特に小型の中で厄介なグレイローカストが現れた今、対応のしようがないというのが実情だ。

 

「今まで、シャドウに遊ばれていただけなのかな」

 

「可能性はあるかもな。 実際問題、連中倒されても倒されても痛くも痒くもねえって雰囲気だし」

 

「中型も際限なく出てくる。 一体倒すだけで、あんなに被害が出るのに」

 

「死ぬならせめて楽に死にてえな」

 

菜々美が通りがかると、兵士達は流石に軽口を止める。

 

菜々美もあまりそれに文句を言うつもりは無い。敬礼をして、その場を離れる。疲れているので仮眠を取る。

 

仮眠室は幾つかあるが。

 

一つはナジャルータ博士が自室にしていて。

 

今はカードキーがないと入れない上に、MPも見張りについていた。

 

昔はMPと言えば評判最悪で知られていたらしいが。

 

今のMPは多くが現役引退した兵士や、負傷がひどくて現役復帰が無理な兵士達で構成されていて。

 

強権を振るう事も出来ないこともあり。

 

それほど評判は悪くないようだ。

 

まあ、特権が人を腐らせるという話だし。今の大人しく責務だけ遂行しているMPを見ると、それもまた事実なのかも知れないと思う。

 

しばらく無心に休むが、上手く休めない。どうにも色々と悪い方向に進んでいるような気がする。

 

おきだしても体が重い。

 

伸びをして、それで疲れが溜まっていると判断。休暇でも申請しようと思ったが。前線からの連絡が来ていた。

 

近畿にグレイローカストが現れたのは本当らしい。

 

どうも先遣隊のようで、濃尾から琵琶湖東岸に掛けて姿が確認されているそうだ。数は三万を超えるらしい。

 

平押しされたら、この辺りどころか、神戸もまとめて壊滅である。

 

それだけじゃない。

 

九州にも中国地方にもグレイローカストが出現している。

 

それどころか、北米を初めとして、広瀬ドクトリンで多少なりと攻勢を成功させた都市の周辺にも現れ始めているようだった。

 

これはまずいな。

 

菜々美はぼやくと、姉のところに行く。

 

姉も今、丁度広瀬大将と通話しているようだった。菜々美が来ると、三池さんが丁度いいと言って、通話に混ぜてくれた。

 

いわゆるテレビ会議だが、広瀬大将は何処かの前線にいるようだ。視察がてら、指揮車両から連絡を入れてきているらしい。

 

敬礼して、話をする。

 

「上層部は大混乱です。 まるで世界が終わるかのような」

 

「大げさな。 中型の駆除に成功する前に戻っただけでしょうに。 それどころか、奪還した土地まである。 今まで人間を機械的に駆除してきたシャドウに対して、明確に痛打を与え、シャドウが此方を認識して防御策を採ってきた。 これだけでも、大きな進歩だと思いますけどね」

 

「同感です。 今まではシャドウは、人間を敵としてすら認識していなかったと思います。 それを敵として認識してきた。 それだけでどれほどの進歩か分からない程です」

 

シャドウを刺激したのがまずかった。

 

そういう声まで上がっているようだが。

 

菜々美は今まで、何度も指摘してきた筈だ。シャドウはどういうわけか、25年前に進軍をとめて人間を全滅させなかった。それからずっと、人間はシャドウの機嫌を伺いながら生きてきただけ。

 

キャノンレオンを倒してからのしばらくの勝利だって、シャドウがただ受け身に対応しただけ。それに乗じただけ。

 

もしもシャドウから攻勢に出て来たら、一瞬で人間なんて滅ぼされる。

 

それは確か、姉も広瀬大将も、ナジャルータ博士も言っていたはず。

 

その意見を笑い飛ばしていたのは上層部の連中だ。

 

彼奴らのゲラゲラ笑いは何度も聞いたし、覚えている。それが泡を食って今更助けてくれと縋り付いてくるのは、滑稽を通り越して不愉快である。

 

「それで、此方で何かすることはありますか?」

 

「……冷戦時代からそうですが、別に実用性がない兵器を一定数揃えるという動きが生じた事があります。 核兵器とは違って、案山子としての役割ですね」

 

「はあ」

 

「核兵器とは比べものになりませんが、それでも侵攻に対する抑止のためです。 今回は対グレイローカスト兵器を開発して、それなりの数を揃えてやることがそれに当たると思います。 ただ、25機揃えるのは相当に大変でしょうし、それでも一万までの相手が精一杯。 他の小型にしても、第二師団の練度を持ってしても、中型と連携されたらとても対応できませんが。 要は安心を買ってやる必要があります。 パニックを起こしている上層部を宥めるために」

 

言いたいことは分かる。だが、それはあまりにも無意味な浪費なのではないかとも菜々美は思う。

 

確かに対グレイローカストの兵器を実用化するのは必須だ。実際問題、この間は三百体相手にするだけで本当に死ぬ思いをしたからである。

 

それを再装填に何時間もかかるとは言え、一瞬で400斃せるのは確かに魅力的ではあるのだが。

 

上層部がそれほど偉いか。

 

今は催眠教育システムのおかげで、誰もが満足な教育を受けられるようになっている。少なくとも神戸などはそうだ。

 

民主主義は基本的に教育がある程度行き渡らないと成立しないと聞いたことがある。行き渡っても色々な問題が起きるそうだが。それにしても、民主主義が基本なのだとすれば。上層部なんてものは、ただ金の割り当てを任されて、それをするだけ。間違ってもえらくなどない。

 

広瀬大将みたいに最前線でシャドウの群れと激闘を繰り広げたのなら、偉そうなことをいう資格はあるだろう。

 

百歩譲って、その手助けを全面的にしていたのなら、まだああだこうだいう資格はある。

 

だが、奴らは。

 

菜々美や姉もそうだが。

 

足を引っ張る事ばかり考え。

 

旧態依然の兵器に頼り、無駄に兵士達を死なせ。

 

それでいながら、未だに自分達は偉いという謎の妄想に取り憑かれているだけではないか。

 

そんな連中の心の安心なんて、どうして買ってやらなければならないのか。

 

「政治と政治闘争は違います。 政治は文字通り政をもって国を治める事です。 税金を的確に分配し、民の生活を良くし、侵略を防ぎ、国を健全に回す。 それに対して、政治闘争はただの権力の奪いあいに過ぎません。 政治闘争が人間の歴史から無くなったことは残念ながら今までありませんでした。 そして、シャドウにこれだけ追い詰められている今でさえ。 もはや、腹を括るしかありません。 人間は此処でシャドウに滅ぼされるとしたら。 最初から最後まで一歩も進歩出来なかったのだと」

 

広瀬大将の言葉は、血を吐くようだった。

 

菜々美と大して年も変わらない人が、こんな事を言わされるのだ。一体GDFの……人間の上層部は、どれだけの無能ぶりを見せれば気が済むのか。

 

菜々美も溜息が出た。

 

しばし黙り込んだ後。姉が咳払いする。

 

「時間稼ぎをします」

 

「?」

 

「ナジャルータ博士と連携して、シャドウについて情報を集め、整理してください。 今、シャドウは明確に人間に意識を向けてきています。 超世王の戦いぶりを見て、明らかに機動防御戦略を採っているのがその証拠です。 もう少し此方が勝利すれば、更にデータを取れると思います。 上手く行けば……どのような形であれ、コミュニケーションを取れるかもしれません」

 

そうか。

 

だとすると、追い詰められた人類が、なんとかシャドウと和解するための時間稼ぎをする必要があるわけだ。

 

今のままだと、奇蹟が一億回くらい重なって人類が勝った所で、その先に未来がない。それが分かりきっている。

 

シャドウがいきなり全部消えたとしても、増えた水は代わらないのだし。人間がまた野放図に増えれば、あっと言う間に海水は上昇して膨大な土地を飲み干すだろう。

 

シャドウとコミュニケーションが取れれば。

 

それでもしシャドウの目的が分かるのなら。

 

ある程度、共存が図れるかも知れない。

 

もしも共存が出来るのであったら。

 

それは、命を賭けるのに値する。

 

あんな上層部のどうでもいいプライドなんぞクソ喰らえである。

 

そんなものは昔存在したらしいドブとやらに放り捨ててしまえば良い。

 

少しだけ、気力がわき上がってきた。

 

広瀬大将も咳払いする。

 

「分かりました。 少しでも敵の情報を得られる可能性が高い戦場を取捨選択します。 その結果、シャドウについて少しでも分析が進めば。 ナジャルータ博士、どう思いますか」

 

「最近の交戦例は非常に素晴らしいデータを至近で取れています」

 

テレビ会議だから、参加してくれているナジャルータ博士もコメントしてくれた。

 

今非常に不便を強いてしまっているが、それでも恨んではいないようで安心した。

 

「中型との格闘戦、小型多数との連戦などで、シャドウの生態を間近でこれ以上もないほど取ることが出来ています。 コアシステムから回収されたデータは此方でも分析を進めていますが、どうもシャドウは少なくとも人間が知らない方法でコミュニケーションを取っているらしい、と言う事しか現時点ではわかりません。 逆にいうと、既存の方法ではコミュニケーションを取っていないことが分かっています」

 

「ふむ……」

 

「気になっているのは、シャドウ……中型種が倒されるときに例外なく上げている凄まじい悲鳴です。 あれが本当に悲鳴なのかは分かっていないのですが、少なくとも音声データとしては意味を為してはいません。 ただの一種、一体たりとも、同じ悲鳴を上げていないのです」

 

本職が分析するのならそうなのだろう。

 

そういえば菜々美も。

 

シャドウを斬る時に聞こえる声にルールみたいなものを感じたことはない。

 

「畑中准将に送られてきた謎のメールについても、分析はしていますが。 あれが人間から送られたものかどうかは、まだ分かっていません」

 

「……それについては専門家の分析を待ちます。 とりあえず、なんとかもう一度……勝ち目のある会戦を計画してみます。 上層部が仕事をしなくなったら、本格的にGDFは瓦解します。 そうなったら、結局人間は負けるでしょう。 下手をすると原始時代に戻るかもしれません」

 

まあ、そうだろうな。

 

広瀬大将の言葉には頷くしかない。

 

希望が生じた。それだけで充分だ。姉と軽く打ち合わせをする。今作っている兵器を、ちょっと弄くって、改良型の斬魔剣にするらしい。

 

なんとかMLRSを作戦開始までに10機用意できれば良い方だろう。それでも、一度の斉射で4000のグレイローカストを打ち倒せる。

 

シャドウも対策のために見に徹してくるはず。

 

それだけで、大きな意味がある。

 

思うに、超世王に対して、シャドウが苛烈すぎる攻撃をしてこず、倒されることすら厭わなかった様子なのは。

 

それが脅威なのか見極めようとしているから、なのかも知れない。

 

超世王の性能に限界が見えている今。

 

シャドウにそれを悟られてはまずい。

 

シャドウはまだ、超世王が何処まで伸びるのか、見極めようとしている段階なのかも知れない。

 

見極めた後シャドウがどうしてくるか分からないが。

 

少なくとも、今はまだ、見切られてはいけないのだ。それには、菜々美が頑張る必要がある。

 

そして、あの無能な上層部のためではなく。

 

文字通り人類の……いやこの地球の未来の為であったら。

 

菜々美は頑張れる。

 

実際問題、シャドウは何を目論んでいるか分からない。地球を人間がやりたい放題に貪り尽くす前の状態にしているが、それが本当はなんのためなのかは、誰にも分からないのである。

 

或いはこの後、地球を人間以上に凄まじい速度で食い尽くすのかも知れないし。

 

地球ごと喰らうような真似をし出すかも知れない。

 

いずれにしても、データは重要で。

 

そしてナジャルータ博士の結論だったら。

 

今までの経験からして、信用して良さそうだった。

 

すぐに姉がキーボードを叩き始める。菜々美は迷いも晴れたので、シミュレーションマシンに入ってデータを取る。

 

すっきりしたからだろうか。

 

心なしか、一戦ごとでの上達が早くなっている気がする。

 

シャドウを憎むか憎まないかは、今の時点でどうするべきなのかは分からない。

 

確かに大半の人間を殺し尽くした存在だが。

 

そんな事は、人間が歴史上幾らでもやってきた事だ。他の種族に対して、或いは他の人間のグループに対しても。

 

それを憎むことは、菜々美には難しい。

 

だからこそ、悩みは晴れた。

 

今まで戦って、シャドウを倒して来た。

 

その分菜々美も後遺症を含む傷を散々受けてきた。

 

これについてはお互い様であり。

 

恨んでもいないし、恨まれるいわれもない。

 

訓練に身が入る。

 

コレが終われば、また戦闘データを更に磨き上げることが出来るし。姉の作る新兵器にも、結果を反映できるだろう。

 

それで十分。

 

菜々美には出来る事があり。

 

それを全力でこなすだけである。

 

隣でなんとかMLRSの訓練をしていた兵士が、菜々美が生気を取り戻したのに気付いたのだろう。

 

敬礼して、不思議そうに見やっていた。

 

自己完結と言えるのかも知れないが。

 

意外と精神的な……モチベーションというのはバカにならないなと思う。

 

勿論精神論で何もかも解決するというようなばかげた話はあり得ないのだが。

 

それでも菜々美の心の底でつかえていた何かが外れ。

 

動きやすくなった。

 

精神的な問題で変わるパフォーマンスは一割程度だと聞いたことがある。その一割が、今はとても大きい。

 

訓練を終えた後には、三池さんがプリンを作ってくれていた。有り難くいただく。てか、いつもより美味しく感じる。

 

多分同じものを……アレンジを加えるにしても、大して差は無いはずで。これは単に精神的な問題だろう。

 

うまいうまいとプリンを味わった後、じっくり休む。

 

再びシミュレーションマシンに入って訓練をするが。その時には、既に姉が斬魔剣の改良型をシミュレーションに取り込んでいた。

 

なるほど、更に癖が強くなった。

 

だが、これを使いこなせれば。

 

超世王の課題だった、中型複数を立て続けに相手にしていく。それをどうにかクリア出来る可能性が高い。

 

最初使った感じでは、文字通りの悍馬であり。

 

すぐに乗りこなせる代物ではない。

 

更に長大になった事もある。

 

これは昔の騎兵が使ったポールウェポンのように用いるべきなのだろうと感じたが。それはそれで面白い。

 

データを取る。

 

それで、更にシミュレーションも、完成品も洗練される。

 

訓練を終えると、呉美大尉から連絡が来る。

 

今、広瀬大将が各地にスカウトを派遣しているのだが。久しぶりに中国地方に来ているらしい。

 

そうか。本当に全域を調べて、シャドウとある程度の決戦をし。戦果を得られそうな場所を探しているんだな。

 

そう思って、とにかく無理をせず、危険を感じたら即座に引き返すように忠告だけはしておいた。

 

さて、まだまだだ。

 

黙々と訓練を続ける。

 

問題はこの後。

 

広瀬大将は、恐らくは無理をせずデータを取れる戦闘をセッティングしてくれると見て良いだろう。

 

今の時点で、世界最強の対シャドウの指揮官だ。

 

上層部が、わけがわからん横やりさえ入れてこなければ。

 

後は、グリーンモアを初めとする指揮をしている中型が、余計な事さえしてこなければ。

 

まあ後者は厳しいだろう。

 

それこそ臨機応変にやらなければならない。

 

そして今まで臨機応変はやれているのだ。だったら今度も、覚悟を決めてやるだけの話である。

 

訓練を続けて出ると、斬魔剣とロボットアームのバージョンアップが続いている。

 

相変わらず意味不明のパーツを作らされて、整備工達は不満そうだが。戦果は上げるから、我慢して欲しい。

 

そう内心で呟くと、休む。

 

まだまだ準備には時間が掛かる。

 

後懸念されることは。

 

準備不足で、戦闘をさせられること。それに関しては、広瀬大将に負担が掛かってしまうが、任せるしかない。

 

起きだすと、会議に出てほしいと連絡を受ける。

 

舌打ち。

 

上層部がまた喚いているわけだ。

 

姉にまたプレゼンでもしてもらうべきかな。そう思ったが、そうもいかないだろう。とにかく無駄に時間を削がれてしまうが、それでも我慢するしかない。

 

アホ共は精々騒がせておけばいい。

 

今するべき事は。

 

もっと先を見据えたことなのだから。

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