スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント 作:dwwyakata@2024
40式戦車の派生型である回収車が、ほぼ完全破壊された超世王セイバージャッジメントを回収していく。
このまま回収して、それから工場で修理するのだ。
とはいっても装甲も何もかも全取っ替えである。
そもそもこんな状態からキャノンレオンに勝ったのがおかしすぎる程であり。後の時代がもしあったのなら。
プロパガンダを疑われるかも知れない。
作戦を指揮しているのは、第二師団の師団長である広瀬史路である。
まだシャドウと激しくやりあっていたころ立ち上げられた未熟なクローン兵士計画によって作りあげられたスーパーソルジャーといえば聞こえはいいが。実際に「優秀な人間」の遺伝子を掛け合わせたにもかかわらず、スーパーソルジャーどころか完成品はみんなボンクラだらけであり。
広瀬も同じだった。
今師団長なんて若くしてやっているのは、たまたま才能が後から開花したから。
それも両親になった人間にまったく関係無い才能だったので。
そもそもクローン云々は関係無かったのだと思われる。
まあその当時クローン出来たのは生殖細胞だけくらいだったので、結局は人工子宮から生まれた子供に過ぎず。
そういう意味でも、人間と大して変わらない。
ちなみに英雄となった畑中中佐より少しだけ年上であり。
容姿も別に普通だ。
優秀な人間は姿も美しいに決まっている。
そう考える人間の夢を悉く踏みにじっている存在だと言える。
だから化粧で誤魔化している。
ある程度の容姿に見えるように化粧するのに、毎日結構な手間が掛かっているのは、本当に面倒だった。
ただでさえ激務が多いのに。
回収作業を終えた後は、スカウトと特殊部隊を京都地区に出す。
ブラックウルフはどちらかというと小型シャドウの中では攻勢を担当するタイプで、拠点を防衛する小型がいてもおかしくない。
シルバースネークは今の時点で確認されていないが、それもいるかも知れない。
スカウトが、京都に侵入。
通信が入った。
「今の時点で敵影はありません。 ただし重要文化財含め、建物もインフラも根こそぎ更地にされてしまっています」
「そうか、分かった。 残念な話だが、シャドウの行動原理を考えると残当と言えるだろうな」
「その代わりといっては何ですが、非常に豊かな生態系が戻っているようです。 土壌なども確認しましたが、汚染は皆無です」
「……」
そのまま探索を進める。
人間が追い込まれてから十年以上、状況は動かなかった。僅かに生き残った人間が襲われることも……シャドウの支配地域に踏み込まない限りはなくなった。
今、状況が動いた。
それを怖がっている者も多い。
「此方スカウト19」
「何か確認されたか」
「いえ。 シャドウはやはり発見できません。 ただ、地蔵がそのまま残されているのを確認」
「地蔵か……」
今ではただの石と同じ。
シャドウも人工物と判断せず、破壊しなかったのかも知れない。
いずれにしても、スカウトに徹底的に調査させる。
そしてしばしして、安全と結論出来ていた。
続けて第二師団の本隊が京都に入る。周辺を確認して、それで安全を確保するのが目的だ。
消耗が激しい第一師団の事もある。
もしもシャドウの攻勢があった場合、すぐに引くようにと作戦指示も総司令部から受けている状況だ。
言われなくても史路もそのつもりである。
四個師団まで兵力を増強するのに、どれほど時間が掛かったか。
それを考えると、第一師団の被害だってあまり考えたくないほどなのだから。
司令部を設置して、更にスカウトを出す。
若狭の辺りまで行くと、もうシャドウがいるようだ。かなりの数のシルバースネークが確認されている。
勿論戦う意味はない。
そもそも京都近辺は、大軍を展開して戦うのには向いていない。
消耗戦にでもなったら、シャドウだけしか得しないのだ。
「今の時点で小型種ばかりですね……」
「光学探知では限界がある。 中型種が必ずいる筈だ。 キャノンレオンなみの奴でないといいのだが……」
「こ、此方スカウト29! 中型種を確認!」
「!」
すぐに映像が送られてくる。
スカウト29には即時撤退を指示。
そして、映像から、正体が即座に確認されていた。
「ランスタートルだ……!」
ランスタートル。
背中に巨大な槍のようなものを装着している亀に似たシャドウである。この槍が凄まじい代物で、貫通能力だけならキャノンレオンのプラズマ以上だろう。記録によると、東京にあった大型の地下シェルターを、この槍一発で貫通して全滅させたそうである。逃げ込んでいた当時の総理や各国の要人が文字通り蒸発させられたそうだ。
仕組みはよく分かっていないが、キャノンレオンと同じくプラズマということはなさそうである。
特殊な化学物質で爆発を引き起こしているらしく。
巨大な槍は毎回使い捨てのようだ。
こういう化学物質で大きな破壊を起こす生物は別に珍しく無い。
昆虫で言えば100℃を超える熱を出すミイデラゴミムシがいるし。
また強烈な臭気で相手を撃退するスカンクなどが有名だろうか。
ただ、流石に此処まで強烈なのは流石に自然にはいない。
しかもこの槍。
上空に打ち上げてから地面を狙ったり、水平射を行ったりする。
その上このランスタートルが厄介なのは、小型種多数を引き連れていて。それらを壁にして、後方から砲台として動く事だ。
前線に積極的に出てくるキャノンレオンと違って、此奴はあくまで支援型なのである。
そして小型種との連携が強力なぶん。
更に手強い相手だとも言えた。
「更に調査を進めろ。 定点カメラを設置。 とにかく無駄に命を散らすな。 交戦は避けろ」
「イエッサ!」
「……ランスタートルか」
キャノンレオン二体を斃せたのは大きな成果だった。
しかし、二体目が現れたのがどこからか分からない。
シャドウは数を減らしたという話があるが、もしもそれが間違いだったとしたら。シャドウはただ隠れているだけで、人間を見ているのだとすれば。
畑中中佐の手によって、キャノンレオンは斃されたが。
しかし、それですら、簡単にやれるようなものではなかった。
あの斬魔剣を量産出来るようになったとしても、簡単にはいかないだろう。人間が巻き返すのに、どれだけ時間が必要なのか。
それも良く分からない。
「此方スカウト14! 此方でもランスタートルを確認! こ、これは……」
「どうした」
「ランスタートルと同時にキャノンレオンの姿も確認しました!」
「……分かった。 充分だ。 一度定点カメラを設置してから、撤退する。 安全圏までさがるぞ」
憶病などと言われる言われは無い。
此処で無駄な戦力消費をすることは許されないのだ。
すぐに第二師団は撤退を開始。
シャドウは追撃をしてくるようなことはなかった。
軽く舌なめずりする。
冷や汗が背中を伝っていた。
キャノンレオンだけで一師団を潰すのに充分。
しかもランスタートル二体と、その直衛が加わるとなると。
各個撃破出来ればいいが、そう簡単にさせてくれるとはとても思えない。
戦いは厳しさを増すばかりだとしか、史路には思えなかった。
(続)
シャドウの陣容は分厚く、中型を二体失った程度では痛痒にすらなりません。
次に相手をするのはランスタートル。
此方も撃破例がない極めて強力な中型シャドウです。キャノンレオンとは方向性が違う厄介な戦闘手段を持つシャドウですね。
次も畑中博士の変態兵器……もとい。スーパーロボット超世王セイバージャッジメントが正義の拳を振るうことになります。
お楽しみに。
※感想評価などよろしくお願いいたします。励みになります。