スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント 作:dwwyakata@2024
出現した巨大ダンゴムシ型の新型シャドウ。
円形の生物は体長よりもずっと大きく見えるものですが、こいつもそうです。
そして此奴は、今までにない凄まじい性能を持つ凶悪な中型種なのです。
今度の新型は迎撃にEMPや衝撃波を雑にブッパするのではない。そういう意味で、ブライトイーグルやイエローサーペントともまた戦闘スタイルが違っている。
菜々美も第二師団が集めた戦闘データは見たが。
これはまずいぞと、ぼやくことしか出来なかった。
今度の新型、中型シャドウアトミックピルバグだが。戦闘のデータを見る限り、仕掛ける隙が無い。
投擲用斬魔剣にしても、ブライトイーグル対策のビームでもダメだろう。
どっちにしても実体を投擲している。
歩兵戦闘車を文字通り蒸発させる火力を、五千ある目標にノータイムで炸裂させてくる相手だ。
しかも射程は四㎞。
恐らくだが、もっと射程がある可能性は高い。
その上、炸裂する熱量を、指定範囲の内部だけで完結させている。任意に熱量で蒸発させていると言う事だ。
はっきりいって洒落にならない相手である。
菜々美も一応、ドローンなどとの連携しての飽和攻撃を想定したシミュレーションを何回かやってみたが。
いずれも、現時点で判明しているスペックだとしても勝ち目が無い。
それがよく分かったので、ちょっとこれはまずいとしか言えなかった。
ともかく、姉が今分析をナジャルータ博士と一緒にやってくれている。現在超世王は速度を上げつつ。どうにかしてあのアトミックピルバグに攻撃を届かせるための準備をしているようだが。
今までの長時間超熱量攻撃があいつに通じるかさえも分からない。
仮に斬魔剣なりなんなりを叩き込んだとしても、あの迎撃精度だ。はっきりいって、その場で蒸発させられるだろうし。それに。
いや、悲観的な思考は止めよう。
菜々美にはそういった難しい事は分からない。
分かる人に今はやってもらうしかない。
無言で立ち上がり、伸びをする。
とにかく此処は姉達に任せて、それで菜々美は体力を温存する。それしか情けない事に出来なかった。
基地に出向いて訓練をする。
兵士が訓練をしているが、誰も喋っていない。
クーデター祭の後は、今までにない性能の危険すぎる中型の出現だ。シャドウは人間に天罰を与えるために来た神の使者だ、なんて声まであるようだ。
よりにもよって宗教に逃げるのか。
人間の心が弱い事なんて分かりきっているが、軍人がそれでは困る。だが、そうも言っていられないか。
菜々美は黙々と訓練を続ける。
今、四国の方に新しく地下コロニーを作っているようだ。
あまり生物が多く無い地域を見繕っているのは、どうもシャドウが環境の保全に熱心に動いているらしいことが分かったから。
下手に刺激をするな。
それが理由らしい。
第四師団の中でも、クーデターに荷担した兵が多く出た連隊は、今土木作業に中心的に参加しているらしい。
刑務所がこの間の騒ぎで一杯になってしまったこともある。
今後は刑務所を増設する必要があるのではないか。
そういう自嘲を交えた冗談までも飛び交っているようだった。
全く笑えない。
射撃訓練をしていると、呉美大尉が来た。
軽く話をする。
「これからアトミックピルバグの監視の指揮を取ります」
「大丈夫?」
「分かりません。 ただ、少し怖いのは事実ですね」
まあ、それが自然だ。
呉美大尉としても、あの圧倒的な迎撃火力……恐らく攻撃にも転用可能……については、怖れはいだくのだろう。
スプリングアナコンダも凶悪だったが、ちょっとそれとも次元が違う。キャノンレオンも連隊規模の戦力を一撃で蒸発させる火力を持っていたが、アトミックピルバグに至っては、師団規模を片手間に蒸発させかねないのだ。
敬礼して、頼りになる後輩を見送る。
頼むから、攻撃は控えてくれよ。
そうとしか言えない。
姉は、アトミックピルバグが人類に明確にダメージを与えるつもりで動いてくる可能性が高いと言っていたが。
菜々美はそうとは限らないと思う。
いるだけで、これだけ恐怖と動揺を与えているのだ。
存在そのものが、過去で言う核兵器のような抑止力となっていると言えるだろう。
「まいったなこれは……」
狙撃を外すことはない。
こんな時でも、腕は落ちないらしい。
姉が菜々美にとってもっとも相性が良い武器を作ってくれている。それがよく分かる事例である。
ともかく、今は訓練をして気を紛らわせるしかない。
連絡が来る。
広瀬大将からだった。
会議を行うので出てほしいらしい。
ため息をつくと、宿舎から参加するとだけ返していた。
会議が始まった。
アトミックピルバグの能力調査のデータが公開されたが、どうにかクーデターを鎮圧はしたGDFに、この衝撃は小さくなかった。
誰もが怖れているのが分かる。
菜々美としては、まあ勝手に怖れていろとしか毒づけない。
こういった、どう考えても勝ち目が無い相手とやり合ってきたのは菜々美だし。何より、これからアトミックピルバグとやりあう可能性が高いのも菜々美なのだ。
しかしこれは今度こそ死んだかな。
そうとすら感じる。
広瀬大将が、幾つか説明をする。
「小型種……特に危険なグレイローカストすら近付いていない様子から考えても、この新しい中型、アトミックピルバグは、シャドウの中でも異質の存在であることは間違いないかと思います。 異質だとすると、今までと同じ攻撃が通じるかさえ分かりません」
「だとしたらどうすればいいんだ!」
「現在、神戸の機能を四国に少しずつ移しています」
天津原代表が、今にも死にそうな顔色で言う。
ずっと汗が止まらないようで、額の汗を何度も拭っていた。
そういえば、胃潰瘍を診断されたと聞く。
これだけストレスフルな環境だ。
無能だとは思うが、最近菜々美はこの全部押しつけられた代表に、多少同情を覚え始めていた。
「今は専門家を集めて協議を進めていますが、しばらく掛かるでしょう。 ともかく、精神論でどうにかなる相手ではありません。 相手が動き出す前に、なんとかデータを集める。 それが至上命題になります」
「それで我々はどうすれば?」
北米大統領の現実的な提案である。
助かる。
ただ、北米の方でもクーデター祭の傷は浅くなく、今は自国内をまとめるので精一杯のようだが。
「最悪の場合、GDFの機能は北米に分散して委譲することになります。 後、四国に少しずつ市民も移動して貰いますが、それらの移動の支援をお願いいたします」
「分かりました、出来る事は支援します」
今までヒステリックに反対意見しか述べなかったスコットランド代表も、クーデターで首が挿げ変わってから、態度が変わっている。
それは助かる。
あの悲惨なクーデターで、多くの被害が出たが。
わずかながら、良い事もあったのだ。
「それで、専門家達の姿が見えないようだが」
「現在、総力を挙げて調査中です。 何かしら分かった事があったら挙げて来ると思います。 我々がするべき事は、今は専門家達の邪魔をしないこと。 これ以上でも以下でもありません」
「……分かった」
「各国代表は、不安を沈静化させるべく策を練ってください」
天津原が頭を下げると、それで会議は終わった。
前よりは多少会議がマシになったか。
いずれにしても、神戸が危険な状態なのは事実である。
そして、広瀬大将から連絡が来ていた。
「アトミックピルバグのいる辺りから移動したシャドウが、その周辺地域で再編制しているのを確認。 アトミックピルバグから距離は取りましたが、別に殺し合いをしたわけでもなく、連携はしているようです。 数万のシャドウが移動したと言う事は、それだけ周辺の守りが厚くなったと言う事です」
「逃げる事も難しい、ということですね」
「そうなります。 四国に民間人を逃がしたところで、神戸を滅ぼした後、四国にいる人々にアトミックピルバグが手加減をしてくれるとはとても思えません。 侵攻してくるのなら、どうにか食い止めないと……」
同感だ。
ともかく、何もできない時間というのは非常に辛いのだな。
それはよく分かった。
今のうちに休んでおく。
そして、翌日。
また動きがあった。
前線に出るのは前回の会戦でグレイローカスト4000を瞬時に粉砕したなんとかMLRSだ。
クーデター祭を挟んだ後だからどうしてもちょっと印象が薄いが。
あの後生産を続けて、ついに25両がロールアウトしたらしい。
まあ構造的には、開いた口が塞がらないという類のものであるので、不可能なものではないのだろう。
更に改良を加えたなんとかMLRSが、六㎞のラインに並ぶ。
アトミックピルバグが横になって、ごろんごろんとしている。ダンゴムシみたいな体を拡げているが。
ダンゴムシと違って、足はたくさん生えてはいないようだ。
ダンゴムシの裏側は、虫が嫌いな人間にはグロ画像扱いらしいが。
アトミックピルバグはどちらかというと蛞蝓のように滑らかな裏側をしている。また、黒い表皮と違って。裏側はどちらかというと灰褐色のようである。
遠くからのデータを見やる。
兵士達は、MLRSから退避。
攻撃を自動で行うらしい。
まあそれが無難だろう。あれと命運をともにするなんて、馬鹿馬鹿しい話だ。
もちろんだが、今は隙を見て各師団を動かして、シャドウに仕掛けるなんて場合ではない。
そんな事をやっている余裕が無い、というのが正しい。
幾つかの部隊を再編制して、内部の洗い出しを終えた第四師団も含めて、第一から第四までの全ての師団が展開している状態だ。
最悪の場合は。
超世王が接近するまでのデコイに全軍がなる。
そういう覚悟であるらしいが。
そんな策は、最後までとってはいけない。
そのために、刺激をしない範囲を見極めながら、こうしてデータを取っていくのである。
全MLRSが、一斉射撃。
元々螺旋穿孔砲が発射する一種のHEAT弾は、射程距離も非常に長い。当然、四㎞ラインは当たり前に超えるし。
なんならアトミックピルバグまで届く。
さて、どうか。
射撃された螺旋穿孔砲の弾の数は、10000に達する。それを事前に相互リンクシステムで調整しており、それぞれの弾が等距離をおくように攻撃をしている。
さあ、どうか。
MLRSの動きを見て、アトミックピルバグが瞬間的に丸まった。
そして、四㎞ラインを超えた瞬間。
全ての弾丸が、例の烈光によってかき消されたようだった。
「全弾消失! アトミックピルバグには一弾も届いていません!」
「くそっ! 5000でも10000でもダメか……」
「いや、待ってください」
この状況を見ていたナジャルータ博士の声。
皆が黙る中、ナジャルータ博士が、何か見つけたらしい。
「広瀬大将。 無理を承知でお願いします。 規模を倍にして、今の攻撃を行えないでしょうか」
「……分かりました。 一旦MLRSを下げます。 弾丸を再装填した後、ドローンによるスウォーム攻撃も併用します」
現実問題として、このなんとかMLRSは25両しかない。
おそるおそる兵士が乗って、すぐに後退させる。
幸いと言うべきか、アトミックピルバグは追撃はしなかった。逃げていくMLRSを見ていたようだが。
それだけである。
まあ、螺旋穿孔砲の弾では中型は斃せない。
脅威にもならないから、放置でいいというのは理にかなった話ではある。
だが、刺激しすぎると、相手が進撃を開始する可能性もある。
菜々美も京都工場で戦況を見ているが。
はっきりいって、今の状態ではあいつに何やっても勝ち目はないだろう。
数時間後、第二波攻撃が準備される。
基本的に大きめのものを打ち込んでも無駄だ。歩兵戦闘車が一発で蒸発である。核攻撃ですら、爆心地でもなければAFVの類は蒸発するようなことはない。爆心地でも融解や吹っ飛ぶことはあるが、消滅なんてことは殆ど起きない。
ICBMだろうが戦車だろうが。
アトミックピルバグがその気になれば、一瞬で消し飛ばされる。
それだけの話である。
菜々美も手持ち無沙汰なので、軽く体を動かして訓練をしておく。シミュレーションマシンに入るのは消耗するし。
はっきりいって現状のデータでも勝ち目はないので、やめておく。
自信を今失っても、あまりいいことはないのだ。
この京都工場でも体を動かすのにいい裏庭はあるので。そこで体を動かして、しばらくはのんびりとする。
そう無理矢理して。
無理矢理に英気を養うのだ。
第二次攻撃が開始される。
再装填が終わったMLRSに加えて、10000のドローンが用意された。
今度は数が倍である。
前線まで出て来ているのは、ドローンを操作する専門の要員である。ただし、六㎞以上は近付かないように指示されている。
プログラムだけでは対応は難しい。
飛び立った大量のドローン。
どれも使い捨てのために作られたものばかり。
一時期は戦場の新しい主役とまで期待されたのに。シャドウが現れた今では、すっかりただのゴミ。
この作戦では在庫処分だ。
一斉に、タイミングを合わせての攻撃が行われる。
そして、二万用意された一斉攻撃の弾が、これも全部まとめて一瞬で爆散していた。
ダメか。
だれかが悲痛な声を上げたが。
違う反応をしたのが、ナジャルータ博士である。
「なるほど、わかりました。 全部隊さがってください。 やっと、一つだけ分かった事があります」
「それは本当ですか」
「ドローンを大量生産、安価なものでいいので、すぐに取りかかってください。 恐らく予想が当たっているのなら……あの鉄壁の守りに、穴を見つけられたと思います。 しかし今までの戦闘の傾向から見て、それも実戦では更に奥の手を出してくるかも知れませんが」
ナジャルータ博士がいうならそうなのだろう。
撤退をするMLRSを、アトミックピルバグは追い打ちしない。
攻撃が止んだな。
そう判断したらしく、また球体を解除して、ごろんと横になっていた。
蛞蝓というかウミウシというか。
そうしていると、丸まったダンゴムシというよりも。貝殻を失った貝類の仲間のように見えてきた。
蛞蝓もウミウシも、あれらは貝類の仲間である。
だが、今更名前を変える必要もないだろう。
今は、ただ見ているだけでいい。
それだけだ。
数日経過して、京都工場に呼ばれる。
菜々美が恐らく結論が出たんだなと思っていると、ナジャルータ博士が来た。そして、説明してくれる。
「アトミックピルバグは、どうやら同時迎撃できる攻撃に限界があります。 これはまあ、リソースが限られているのですから、当然ではあるのでしょうが」
「具体的にどれほどか分かりますか」
「2500ですね。 これを超える数を同時迎撃出来ないようです。 今までの飽和攻撃実験で、それを超える数の実体が四㎞圏内に入った場合、質量が大きなものから、先に入ったものから、優先的に撃破しています」
ただそれも、わずかコンマ数秒の時間差だそうである。
この間の二万に達する飽和攻撃では、八回に達する時間差迎撃が行われ。その間隔は、コンマ2秒ほどだった。
つまり、である。
優先順位としては、先に四㎞の防衛範囲。
次に質量。
これらを迎撃してくる。
「分かった事として、超世王セイバージャッジメントそのものをこの四㎞範囲に入れる事は自殺行為です。 何かしらの遠距離攻撃手段を確保してください」
「何かしら、危険なものを優先的に察知してくる可能性はありますか。 例えば斬魔剣はシャドウに対して危険な攻撃と認識されていると思いますが」
「恐らくは問題ないと思います」
「具体的にお願いします」
菜々美としてもナジャルータ博士にはしっかり聞いておきたい。
何しろ、もしもアトミックピルバグが動き出したら。
戦うのは菜々美なのだから。
ナジャルータ博士は、丁寧に説明をしてくれる。
今回の飽和攻撃実験では、ドローンなどに色々な差異を設けた。その中に幾つか、超世王に搭載したパイルバンカー。
つまり高出力プラズマを相手に流し込む例の装備だ。
それを抱えたものを同時突入させている。
だが、それらが優先されて攻撃はされていないとナジャルータ博士は言うのだ。むしろ、同じタイミングで突入させた、大型の爆弾……爆撃などで使うものだが、今では無用の長物……を抱えたドローンが、優先撃破されているという。
つまり、である。
「アトミックピルバグは、危険物を認識して爆破しているのではないのですね」
「そうなります。 人工物だけを認識しています。 此方の映像を見てください」
アトミックピルバグの上を鳥が飛んでいる。
あれはトキだ。
トキも日本では絶滅してしまった鳥で、復活の試みがされていたのだが。それもシャドウ侵攻で全てがお流れになった。
当然それで絶滅したと思われがちだが。
シャドウが制圧した地域でもりもり増えて、今ではああやって普通に空を飛んでいる。
こう言う光景を見ると。
やはり人間の方が間違っていたのではないかと、菜々美も何度も思い知らされるのである。
勿論トキが四㎞以上上空を飛ぶこともない。
アトミックピルバグは、トキに対してなんら興味を示していない。
トキは酷い鳴き声で知られているが。
いずれにしても、その声に対しても、全く興味を見せていないようだ。
この特徴はシャドウに共通したものなのだが。
アトミックピルバグも、それは同じであるようだった。
「この映像を見る限り、シャドウではあるんですね」
「明確に今までのシャドウよりも格上なのは確かですが、基本的な性質については変わっていないようです」
「……分かりました。 なんとか対抗兵器を考えて見ます」
「お願いします」
ナジャルータ博士が戻っていく。
流石に疲れ果てたのだろう。三池さんが小走りでついていった。元々からだが丈夫な人では無いのだ。
無理はこれ以上させられない。
姉は腕組みして考え込んでいる。
こうなると、基本的に話には応じない。
頭を使い始めたと言う事だ。
だったら菜々美は邪魔をしない。姉の頭脳が、全ての鍵になっているのだから。
そしてアトミックピルバグが妙な動きをしない限り、此方としては仕掛ける理由がない。
というか。
ノワールと話してから。
シャドウと戦う意欲が急速に失せてきている。
侵略者はむしろ人間だった。
それがよく分かってきたからだ。
それに、である。
この間のクーデター祭で、人間の醜さを菜々美は嫌と言うほど思い知らされた。本当にどうしようもない連中だと思った。
あれはどこでも似たようなものらしい。
宗教などでもそうだが、末端は基本的にアホ。
操っている連中は違うというのが基本だったのだが。
それすら、この縮小しきった人間世界ではないということなのだろう。
治安が良くない幾つかの都市ならともかく、神戸などではもはや犯罪はやればすぐに捕まるし、AIでの裁判で数日もあれば結審する。
そういう状態だと、犯罪をすること自体に利が無い。
どんな知能犯でも勝てない状態になっている。
囲碁や将棋で、人間がAIに勝てなくなったのと同じだ。
それでもバカはやる。
この間のクーデターなんて、自分のお気持ちに沿ってくれないのが悪いというアホそのものの理屈で起こされたし。
その過程でどれだけの人が死んだのかと思うと。
はっきりいって反吐が出るとしかいえなかった。
戦うための意欲なんて、ゴリゴリ削られた。三池さんが戻ってくると、しばし菜々美を見てから、今日は帰ってくださいと言われた。
そうするのが良さそうだ。
これでは姉の手伝いも出来ない。姉はまだ考えをまとめているようだし、シミュレーションマシンに入っても何もできない。
戻って訓練でもしているのが良いだろう。
帰りに基地に出る。
呉美大尉が訓練をしていたので、軽く話す。
第二師団にも裏切り者がいるのではないのか。そういう噂があるらしく、疑心暗鬼になった兵が少なくないそうだ。
さもありなん。
菜々美は、無理はしないようにと言う事だけしか出来なかった。
呉美大尉は寂しそうに笑うだけだった。
馬鹿馬鹿しいクーデターの余波が消えきらない中。
今までで明らかに最強の敵との戦いが始まろうとしています。
圧倒的な迎撃能力を誇る相手。
攻略する戦術がほぼ存在していません。
それでも攻めてくるなら、やらなければならないのです。
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