スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント 作:dwwyakata@2024
ブラックウルフ・ネメシスが倒れてから、四国の工事現場にやっと消防隊が到着。火災が発生していたが、どうにか数時間を掛けて鎮火に成功した。
それでも貴重な物資がだいぶ失われてしまった。
被害報告を見ながら、市川は鼻を鳴らす。
嵐山のレポートには、非の打ち所がない。
「元は小型種とは思えない被害だ。 ただし、元々は螺旋穿孔砲が出てくる前は、とても斃せる相手ではなかったが。 やはり感覚がどこかで麻痺していたのだろうな。 ネメシス化した小型種には、今後も警戒しなければならないとよく分かったな」
「これから対策を練りますか」
「そうしよう。 ただ、ここ一年でデータを収拾したが、それでもまだ足りていない事がはっきりした。 予算を回せ。 人員も増員しろ」
「分かりました」
嵐山が行くのを見送ると、市川は舌打ちしていた。
あの天津原がいなくなって、市川が代わりの座について。下剋上も果たして、それは本望だ。
とても気分が良い。
だが、なんだこの不快感は。
GDFが無能の集まりであり。
シャドウが難敵の中の難敵であり。人類史上最悪の人類の敵であることだって分かってはいた。
分かってはいたが、どれだけ対策を練ってもまったく敵の強さの底が見えない。
ナジャルータ博士が、どれだけ楽観的に見てもテクノロジーで十世代は先を行っていると言っていたが。
それについては納得しか出来ない。
本当にこんな奴ら、どうすればいいのか。
それにだ。
デチューンモデルの超世王セイバージャッジメントは、扱いやすくする代わりに、それぞれ一つの専門兵器しか積んでおらず、中型一種にしか対応できない。
小型相手にも出来るだけ仕掛けないようにと達しを入れている今。
超世王はデチューンモデルが幾らか各国に支給されたが。
置物と化しているのが実情だ。
これがあればシャドウを斃せる。
そういう楽観論に走った国が、兵士を乗せてもまともに動かせないとクレームを何件か入れて来ている。
先に極めて専門的な兵器であり。
乗れば誰でもシャドウを斃せる代物では無いとなんども説明したにもかかわらず、だ。
無能な味方と有能な敵。
それを思うと、野心を満たした今が幸せなのか。市川には全く分からなくなってきていた。
連絡。
広瀬大将からだ。
「今回の件で、ネメシス化した小型種に対しては、むしろ近接兵器よりもジャスティスビームの方が有効であることが分かりました。 ただし反物質兵器である以上、量産は難しく、コストも嵩みます。 それに超世王セイバージャッジメントに搭載する場合には、これ以上の小型化は難しく。 ネメシスに対する撃破時間の記録を見る限り、使用者は長時間攻撃に耐えなければならないでしょう」
「……」
「各国にはそれを通達しておいてください。 対ブライトイーグル用に幾つか作っていたジャスティスビーム搭載型のデチューンモデルを、現在対空から対地に切り替えたものを調整中です。 ただし、危険距離まで近付く必要があること、即座に効果を発揮できるものではないこと。 更には、最悪の場合捨て駒として、気を引くための決死隊を出さなければならないこと。 それらもあわせて通達してください」
「好き勝手を言ってくれるな」
市川は吐き捨てていた。
ここでいう好き勝手とは、戦術に関する話ではない。
戦術については市川もその通りだと思う。
広瀬大将は超世王セイバージャッジメントを効果的に利用して、シャドウを討って来た専門家の中の専門家だ。
片腕を失ってもなお、現役で指揮官をし続けている闘将でもある。
だからこそに、その発言には重みがあるし。
理にもかなっている。
市川が広瀬大将の部下だった頃から気にくわなかったが、それでも軍略家としてはいつも舌を巻かされていた。それに嘘は無い。人間的な相性は最悪だし互いに嫌いあってもいるが、それでもこの状況で連携しないほどのアホではないつもりだ。
問題なのは、アホ共をそれで納得させろと暗に言ってきている事である。
社会の上層にいる人間が全てにおいて優れているなんていうのは大嘘だ。実際にGDFの上層に登って見て、それがよく分かった。
これに関しては今も昔も同じだろう。
特に感情を理に優先させる輩が国家の上層に「優秀な人間」とうそぶいて居座っているような状況は非常に危険なのだが。
それを正当化させるために、シャドウ戦役の直前には、優生論まで意図的に流行らせていた節まである。
そして畑中中将が引退してたった一年で。
また主戦派が蠢動しているという話まであるほどなのだ。
人間は五千万まで撃ち減らされてもバカなままだ。
バカは死んでも治らないというのはまあその通りなのだと思う。というか、人間というバカ生物が死んでもその性根が治らないというのが正しいのだろう。これは勿論市川も含む。
だからこそ、腹が立つのだ。
しばらくうろうろデスクを彷徨いて、苛立ちを抑え込む。
それから訓練室に出向いて。サンドバック相手に拳を散々叩き込んで、ストレスを発散した。
市川も参謀を中心にやっていたとは言え、この若さでGDFの上層まで上り詰めたのだ。軍では優秀な成績を上げてきた。格闘戦は当然出来る。
その暴を、サンドバックにしばし叩き込んで。
息が切れるまで暴れた後は、デスクに戻った。
市川はデスクでは基本的に一人だ。
その方が仕事ができるからだ。
そして、後は黙々と、バカ共をどうやって説得するか。一つずつ手を打っていく。
シャドウ戦役の前。
世界は第三次世界大戦が始まる寸前まで行っていた。
いや、実際には第三次大戦が始まっていたという説もある。
そんな状態に世界をした連中が、優秀な訳がない。
それなのに優生論なんて大まじめに信じていた連中が、優秀な筈も無いのだが。
その程度のことも分からない連中をどうにか躾けるために。
多少厳しい事も必要だと市川は考え始めていた。
(続)
激戦の末にどうにか初陣を乗り切った飛騨咲楽少尉。
まだ子供ですが、それでもかり出さざるを得ないほど状況は厳しいと言う事です。
ロボットアニメに良く出てくる少年天才パイロットと違い、ただ相性が良いと言うだけで変態装備のてんこ盛りに乗っている状況。
それでもモチベを失わず、戦意を捨てていない。
それだけで立派な子であると言えますね。
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