スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント 作:dwwyakata@2024
四半世紀、ずっと此奴だけ確認されていた大型種、通称魔王。
基本的に人間と交戦する事はなく(クーデター騒ぎの時くらいですね)、そもそもその目的は戦闘ではありません。
人間の主観で名付けた名前なんてそんなものです。
人間が創造したものだったらともかく、シャドウはそうではないのですから。
北極圏にいる大型種、通称魔王が動いていた。
北米で観測にあたっていた部隊が緊急連絡を入れたのは。魔王による低空攻撃が確認されたからである。
あたいも聞いているが。
ノワールとやらの話によると、魔王は衛星軌道上の人工衛星やデブリを無に帰すためにシャドウが繰り出して来た存在らしく。
魔王が衛星軌道上のデブリやらを全部掃除した結果。デブリだらけで隙間も無かった衛星軌道上は、人類がロケットを打ち上げ始める前の綺麗な状態に戻っているそうである。
その魔王が低空攻撃。
一大事に決まっている。
そして、魔王からの大火力攻撃は、現在人間が住んでいないカナダの一角に着弾。辺りを消し飛ばしていた。
それも連続で放つ攻撃が、立て続けにその辺りを爆破している。
中型種も、攻撃に参加しているようだという話で。
あたいも招集されて。
それでオンラインでの映像を確認していた。
「多分これ、ネメシスがでたんですよね」
「恐らくは」
ナジャルータ博士が言うが、どうにも歯切れが悪いな。
少し前に中年男性の博士が来て、少し話をしていったようなのだが。それ以来どうにも様子がおかしい。
何かあった可能性が高い。
あたいはそう見ていた。
いずれにしても、凄まじい火力が連続して投射され、カナダの一角を焼き払い。やがて、凄まじい爆発が検知されていた。
ネメシスがいたのだとしたら。
超高熱の飽和攻撃を受けて、消滅したのだろう。
ただ、その際に、恐らく放熱を行った。
爆発は震度6相当の地震を引き起こした上に、電離層まで衝撃波が影響を与えていたようだが。
中型小型が寄って集って環境の修復を開始する。
地震も、一番近い人間の都市まで距離があったこともある。
大した揺れにはならなかったようだ。
ただ、地震が日常的に起きる日本と北米ではだいぶ事情も違う。北米の幾つかの都市では、パニックも起こったようだった。
ともかく、ネメシスがでたとしても。これで終わりか。
しかしながら、観測されたダメージやらは洒落にならないとあたいでもわかる。どうせ訓練に出るつもりだったから、あたいは気持ちを切り替えた。
どうにもできないからだ。
ともかく、今日も受け身。
それと、対熱訓練をする。
暑さの中で、どれだけ冷静に判断出来るか。その訓練だ。とにかく暑い中で、シミュレーションマシンと向き合う。
ネメシスとやりあうのなら、どれだけ暑くても耐えられないと。
ただ、一度訓練をするだけで、体力の消耗が激甚だ。
スポーツドリンクというのを飲んで。
それで、休憩を挟む。
気温差が凄まじいので、風邪を引きかねないこともある。医師に訓練の度に、体を見てもらった。
色々面倒だが。
これは仕方が無いだろう。
とにかく、訓練を続行する。何度もシミュレーションマシンに入って、それで盾役に徹する。
誘導弾が実戦で試された。
そういう話が聞こえてくる。
例の大型砲による曲射が使われたのだろう。
それで、カナダの奴は誘引に成功したのか。
ちょっと興味があるが、今は訓練に集中すべきだ。だから、意識はちゃんと訓練へと向ける。
淡々と訓練をやれるようになってきた。
戦う時には出来るだけ人間性を捨てろ。
それはいつも言われていることだ。
ただし、戦いが終わったら人間に戻れ。
そうとも言われている。
ずっと人間性を捨てていると、サイコ野郎に落ちる。それは理屈として理解出来る。戦場でずっと化け物として暴れ続け。
戦争が終わっていざ日常に戻ろうとしたら、戻れずに苦悩することになった。
そういう人は、古くからたくさんいたらしい。
しかしながら、人間のまま戦えば、必ず相手に遅れを取る。
殺す事を躊躇うな。
それが兵士としての第一段階。
ただ、対シャドウの場合は、ハードルが低いと言える。少なくとも、相手は人間型ではない。
そう言われているらしいのだが。
あたいにはそうは思えない。
あれらは尋常な生物では無いかも知れないが、意思を持った存在である。である以上、殺しても何にも心が痛まないというのも異常だ。
安易に相手を悪と決めつけて、殺してもなんとも思わないというような思考を、善悪二元論とかいうのか。
人間にとってはとても魅力的な思考であるらしい。
理由は簡単。
何も考えなくていいからだ。
全肯定と全否定は、どっちも逃げ。
何も考えずに、どれだけの蛮行でも平気で行えるようになる。
ただ、こういろいろ悩んでいると、あたいも戦場で遅れを取りかねない。それも分かっている。
だから、ある程度は割切るしか無い。
その割切るのが、とても難しくて悩まされていた。
同世代の人間はツラが良い男だの美味しい菓子だの綺麗な服だのに興味を持つのだろうか。あたいはそんなもの、あまり興味を持てない。
色々と普通からは外れているが。
それが迫害の対象にならない事だけは。この時代は良いことなのだろう。
嘆息一つ。
悩みが晴れない。
訓練をして、体を動かす。
頭を空っぽにして戦うのが推奨されるのは、格闘戦などだが。残念ながら、シャドウに格闘戦は通じない。
悩みと戦闘への切り替えの両立。
求められているその壁は。
残念だけれど、あたいみたいなあんまり頭が良くない人間には難しかった。
苦労しながら訓練を進め。
それが終わったので、一段落する。
体力はついてきたが、筋力がまだまだだ。
重量級の火器を持ち運ぶ必要はあまりないが、それでも焼け付いたレバーを動かしたりする時は、どうしても筋力が必要になる。
筋力だけではダメなのも事実だが。
それはそれとして筋力もいる。
ベテランの兵士も含めて、コツを教えて貰う。
時間がどんどん過ぎていく。
休憩を適宜入れながら、訓練を進める。受け身の練習もする。上達はすぐには感じられない。
それでもやっていかないと。
実戦で、大きな被害を出しかねないのだ。
夕方近くに、今日分の訓練が終わる。体力の問題ではなく、AIがデータを取っていて、医師がそれを診ながら最高率の訓練を指示している。その結果だ。
体がフラフラなので、軽く休む。
その時に、話を聞いた。
「カナダにでたネメシス、中型を躊躇無く押しのける姿が確認されていたらしいぞ」
「この間ダンゴムシ野郎を封じ込んだネメシスがいたが、まずいんじゃ無いのかそれ」
「相性的に中型には勝てないんだろうが、それにしても中型に抵抗するようになったら、それだけ被害も増えるんじゃねえのか。 今までネメシスは中型に無抵抗だったから、どうにか斃せていたんだろ」
「ヤバイかもな。 超世王セイバージャッジメントに誰でも乗れれば良いんだが……」
期待が両肩に乗る。
あたいはため息をつくと、隊舎に戻る。
帰路はジープがでる。
正式に中尉になったあたいだが。
それはそれとして、やはり超世王セイバージャッジメントのパイロットだから、なのだろう。
新兵らしい兵士に話を振られる。
「この間は大活躍だったらしいですね。 ともかく弾薬も足りない今の状態だと、俺等には何もできないのが申し訳ないです」
「いえ、今は兎に角、ネメシスとの戦闘で無駄に消耗するのだけは避けてください。 対策が出来るようになった後、戦力が残っていないのでは困りますので」
「若いのにしっかりしていて凄いなあ。 俺が貴方の年の頃には、だらしなくてどうしようもなかったのに」
「……ははは」
そう言われると困る。
今でもあたいはだらしないし、いい加減だ。
だから、こういう風に美化されると本当に困る。あたいはそんな凄い人間ではないのだから。
翌日、京都工場にでると、広瀬大将が来ていた。
ブライトイーグルを撃墜する事に成功した戦闘で片腕を失った、それでも勝利に向けての指揮を執り続けた闘将。
まだ若い女性なのに、いわゆる新生病持ちで、体が弱くて苦労しているらしい。
いずれにしても、尊敬する相手だ。
敬礼をかわす。
どうも広瀬大将は、ナジャルータ博士と、畑中博士と口頭で打ち合わせをするために来ていたようだった。
とりあえず帰っていったので、ちょっとだけ安心した。
とにかく凄い人だと言うこともある。
無礼があるんじゃないかと思って。びくびくするのだ。
三池さんが、お茶と菓子を片付けている。
昔はこういうのは残すのがマナーだった時代もあったらしいが。
物資不足を経て、今ではどんな偉い人間でも、出されたものは丁寧に全て食べるのが必須とされている。
まあ、その方が健全ではある。
餓死する人間がいるのに。
膨大なまだ食べられる食糧を廃棄していた時代の方が、余程おかしかったのだろうから。
「飛騨中尉、此方に」
「はい」
呉美中佐に呼ばれて、場所を移す。
言葉遣いも躾けられて、今では丁寧に喋る事が出来るようになった。まあこれは、催眠教育でも仕込まれたのだが。
いずれにしても、あたいという一人称で気兼ねなく話せるのは。隊舎にいるロボットくらいである。
今の時代は誰にも友達がいない時代、なんて風にも言われるらしい。
まあ、それもそうかも知れない。
工場の隅、周囲から音を拾えない場所に移動。
広瀬大将にしても、わざわざ口頭で話しに来たのだ。恐らくは、ノワールに聞かれたくないのだろう。
「カナダに出現したネメシス種ですが、ブルーカイマンだったことが分かっています。 これが以前畑中中将が斃した個体よりも更に巨大で獰猛で、しかも一直線に北米の大統領がいるネオニューヨークを目指していたようです。 それを防ごうとした中型種を何体も弾き飛ばして」
「それは……」
「異常事態です。 魔王が動いただけでは無く、中型が火力を集中投射しても熱線砲を辺りにまき散らし、何カ所かで核爆発に近い被害が出ました。 結局中型が斃しましたが、その過程で一つだけ良いことがありました。 誘引弾が実戦投入され、それについて中型が反応せず素通りさせ、更にはブルーカイマンの誘導に成功しています」
「!」
それは、確かに良いことだ。
開発された誘導弾が、ついに効果を示したというのは大いに意味がある。
しかも前回は移動式の大型迫撃砲車両が鈍足過ぎて戦場に間に合わなかったという失敗がある。
弾そのものは、別に超テクノロジーの産物ではない。問題は保存ができないと言うことである。
それをクリアするために、大型弾道砲を用いるようになったのだが。
それがきちんと相手の誘引につながったのは素晴らしいと言える。
「それは素晴らしいですね」
「ええ。 ですが、今はノワールにこれらについての此方の反応を知られたくありません」
「どうしてまた」
「今の時点でノワールは協力的な行動を続けています。 しかしながら、そもそもネメシス種の動きがおかしすぎるんです」
まあ、それはそうだ。
そもそもだ。
ノワールが仮に嘘をついていないとしても、今まで聞かれたことにこたえられないとしてこたえていないケースが幾つもある。
つまり嘘をつかなくてもいい局面でしか喋っていない。
そういう解釈も出来る。
人間が嘘つきな生物であることは、あたいも同意する。
歴史なんて嘘の塊だ。
勿論誠実な人もいる。
だけれども、シャドウ戦役の前には、誠実で真面目な人は、バカの代名詞として扱われていたらしい。
人間の本音は、抵抗できない弱者を痛めつけたいし。
殺戮の限りを尽くしたい。
そういうものだ。
これについては、あらゆる歴史的事績が証明している。
ただ、それとは違うと言っても。
ノワール……シャドウの人間への窓口が、人間が考えるような誠実さを持っているかというと、違うのだろう。
確かにそう指摘されると、そうだろうなとあたいも思う。
いずれにしても、今は此方の動きは出来るだけ知られない方が良いと言う事だ。
「それでは訓練に戻ってください」
「はい。 流石に二体同時にネメシスを相手にするのは厳しいですし、なんとかなると良いんですが」
「今、それについても分析しています。 どうもネメシスについて、恐ろしい仮説が出たようで、検証をしているようです」
「小官には何もできないですね」
少し寂しそうに呉美中佐は笑った。
或いは、呉美中佐も同じように無力感を覚えているのかも知れなかった。
ともかく、今は訓練だ。
何もかも忘れて筋力強化の訓練をし。高熱の中で戦う訓練をする。
温度差に耐える訓練もする。
激しいダメージを、ネメシス戦をすれば受ける。これはもう、前提として動く。まだあたいは体が伸びる。背は伸びないかも知れないけれど。体をもっと強く作る事だって出来る。
そう考えて、ひたすら訓練のメニューをこなす。
真面目によく頑張っている。
そう褒めて貰えることもあるが。
あたいにはそれしか出来ないだけだ。
これについては、あたいは自己評価をしていない。たまに自己肯定感が高い人間とやらをみるが。
別種の生物としか思えなかった。
だから、やれることを淡々とするしかない。
ストップが掛かる。
負荷が掛かりすぎているというものだ。言われた事には、素直に従う。あたいは正論を嫌っていたようなアホとは違う。医師よりも自分の方が病気に詳しいとか思い込んでいるバカとも違う。
専門家の言う事には、従う。
それだけの話だ。
休む間、専門のロボットによるマッサージを受ける。
時々痛いくらいに筋肉を刺激されるが、それくらい体を酷使されていると言う事だ。そしてロボットなので、人間には出来ないようなマッサージも出来る。効率も何倍も優れている。
マッサージを受けながら、ぼんやりする。
ただでさえ頭はあんまり良くない。
だから、こう言うときに、少しでも休んでおくのが大事だ。
マッサージを受けて、また訓練に戻る。
今後、シャドウとの戦いはステージが変わる。
中型種相手を主体にしていた戦いは終わり。人類の版図を回復する行動は止まることになる。
代わりに見境なく何もかも破壊に掛かるネメシスをどうにかしなければならない。
ネメシスはシャドウですら無いのかも知れない。
性質は同じであっても。
確かに、シャドウのような効率最優先の存在ではないから、それについては頷ける部分も多い。
いずれにしてもあたいは。
訓練をして、対応できるように手を打って置く。
それだけだ。
真面目に訓練を続けている飛騨中尉を横目に、畑中博士とナジャルータ博士は一緒に工場の外に。
音声などを拾われない場所を既に見繕ってある。
ノワールが全て監視しているかも知れないが。
それでも、此処はどうにもできないだろう。
シャドウは人工衛星を、デブリもろとも一つ残らず、シャドウ戦役の時に葬り去った。人工衛星があった時代には、それこそどこからでもどこでも監視できたような時代があったらしいが。
それはもう、いにしえの話。
25年も前の、全てが違う前提で動いていたときの話だ。
シャドウは超絶的なスペックを持っているが、流石に電子機器を好きに出来ても、こういう所での会話までは拾えるとは思えない。
故に、ナジャルータ博士は、こういったところでの打ち合わせを提案。
ちなみに有能ではあるが信用できない市川にも聞かれないようにはしている。
市川には、こういう一種の密談をする事は既に話してある。
もし市川が独裁者になるようだったら、こういった行為を理由に粛正を目論むかも知れないが。
その時は人類が終わる時だ。
市川がそこまでアホだとは、ナジャルータ博士は考えていなかった。
「分析の結果を進めています。 麟博士の得意な統計学を含めた幾つかの学問から進めているのですが、面白い事が分かってきました」
「詳しく」
「はい。 ネメシスは学習しています。 人間の攻撃、弱点だけではなく、中型種に「攻撃」せず逃げ延びる方法を。 そして、それこそが恐らくはシャドウにとっての死だと考えて、ほぼ間違いないでしょう」
「やはり集合的思考からの逸脱」
頷く。
小型シャドウは、本来は弾よけだ。
中型種は基本的に数が少なく、戦闘力にしても圧倒的である。それを考えると、小型種は役割が弾よけになる。
更にだが。
ノワールが言っていたように、中型種には寿命がないとすると。
恐らくだが、集合的思考を行う存在としての、上位ネットワークに存在しているのだとみて良い。
そして逸脱的な思考があった場合は、小型種に押しつけられる。
それが限度を超えてしまうと。
ネメシスになる。
「まだ仮説の段階ですが、これでほぼ間違いないかと」
「ふーん、私も異論はないわねえ。 ただ、集合的な思考をする存在となると、それは生物というよりは」
「はい。 やはりシャドウは生物ではなく、一種の機械なのではないかと思います。 シャドウは斃されると消えてしまう。 それを加味して考えると、機械といってもナノマシンボットなどの人間が想像する存在とは、また違ったものなのではないかと思うのですが」
「熱が弱点で、物理的特性を無視した動きをする。 それどころか物理的な現象すらを制御下においている。 それが不可解なのよねえ」
熱が弱点といっても、キャノンレオンやランスタートルを例に出すまでもなく、熱攻撃を主力にしているシャドウは中型種に幾らでもいる。
シャドウは熱が苦手なのではなく。
熱を連続して浴びるのが苦手なのだ。
身も蓋も無い話だが。
地球が超新星爆発にでも巻き込まれたら、シャドウはひとたまりも無く全滅してしまう事だろう。
まあ太陽が寿命を迎えるのが50億年後。
その頃には流石のシャドウも、地球をどうこうは出来ないくらいの状態ではあるだろうが。
「シャドウの本来の目的は地球の環境を人間の出現前……一万年前ほどの状態に戻すことと見て良いでしょうね。 それには大量に増えた人間の駆除が必須だった。 ここまでは問題が無さそう。 小型種がネメシスに変化した後、その駆除の命令だけを愚直にこなし、他が全ておざなりになっている。 中型種への従属も、環境への配慮も」
「はい。 人間への殺意だけが暴走している理由なのですが……」
「それについても仮説が?」
「恐らくですが、超世王セイバージャッジメント」
「……」
超世王セイバージャッジメントとデチューンモデルは、小型相手に無敵、とまではいかないが。
少なくとも広瀬ドクトリンで武装した狙撃大隊以上の効率で、小型種を斃せる。
正確には、超世王セイバージャッジメントが、ではない。
畑中博士が作り出した兵器が、だ。
そもそも戦車砲の直撃にすら耐えるケースがある小型種だ。
それを考えると、あのような被害は想定外だった可能性が高い。
それは憎悪というよりも。
むしろバグなのだろうとナジャルータ博士は思う。
「中型種シャドウは、途中から明確に超世王セイバージャッジメントを意識した動きをしていました。 十世代は最低でも上回るテクノロジーを持っているのに、創意工夫でそれをひっくり返してくる相手……。 脅威でしかないと思います。 そして中型種が脅威を感じたとき、愚直に従っている小型に、その混乱が伝播したのだとしたら」
「……なるほど、ノワールが共闘を申し込んでくるのも当然か」
ノワールは始末に負えなくなったネメシス種をどうにかしたいのではなく。
バグが蓄積して、人間への殺意で塗り固められ。他を忘れたネメシス種を、効率よく始末したい。
そういう事なのだろう。
そうこたえると、頷くナジャルータ博士。
畑中博士は、ため息をついていた。
「とはいってもねえ。 そもそもネメシスは元々現れていたらしいし、超世王セイバージャッジメントがなければ、シャドウにずっと飼い殺しにされていたでしょうしね」
「はい。 超世王セイバージャッジメントが悪いのではないと思います」
「とにかく、更にネメシス種は危険度を増している。 それに対抗するために、新しい装備を作り、既存の装備を洗練しないとね」
ナジャルータ博士と畑中博士は頷きあうと、仕事に戻る。
戦いは厳しくなる一方。
だが、畑中博士は少なくとも、調子を取り戻していた。
少しずつ成長している飛騨咲楽さんですが、まだまだ兵士としては半人前です。
超世王セイバージャッジメントは才能で乗れるものではなく、相性で乗れるものですので……
それもあって、少しでも周囲は成長して貰おうと必死なのです。
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