スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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三池さんの更に助手である北条さん。

この人は訳ありも訳あり、とんでもない訳あり人間です。

この世界はシャドウに蹂躙されてから四半世紀で、マンパワーの不足を補うべく色々としたのですが。

その結果半端なクローン技術や人工子宮での人間が生産出来るようになったのはなりました。

代わりに多くの闇もまた生まれたのです。

北条さんはその闇の権化ですね。

ちなみに北条さんは素手でヒグマを余裕で斃せるくらいには強いですが、シャドウからみれば人間もヒグマもカス同然なので、全くシャドウに対抗は出来ません。悪しからず。






更なる変異
序、ついに来る終焉


あたいがやっと京都工場に復帰して、訓練をしていて。それで険しい顔で、小走りでナジャルータ博士が行くのが見えた。

 

男性でも女性でもない半陰陽の、シャドウに関する権威。

 

シャドウに効く兵器を作るスペシャリストであるのが畑中博士だとすれば。シャドウを分析する第一人者。

 

だからなのか。

 

シャドウに目をつけられ、連絡が時々来ると言っていた。

 

あたいはシャドウにはまだ相手にもされていないと言う事だし。何よりも話を聞く立場でもない。

 

三池さんがせわしなくキーボードを叩き始めたのを見て、ああそういう事なんだなと判断。

 

とりあえずあたいには関係がない。

 

訓練に戻る。

 

今の時点で、シャドウが出た報告もない。

 

京都工場に住み込みにしないかと言われて。今検討しているところだ。

 

敷地内は余裕がある。

 

実際麟さんは此方に住んでいるそうだ。

 

連携戦とはいえ、ネメシス種を三体斃したあたいは、既に軍の方でも手放さない人材になっている。

 

あたいもそれが嬉しいし。

 

どうせ今は誰の家も部屋も同じだ。

 

だから引っ越しさえそっちでやってくれるなら、あたいはそれで良かったし。別に今の軍の宿舎にも興味は無い。

 

というか、こっちの方が暮らしている人間が少ないので、トラブルも起きないだろう。

 

人間同士の関係が極めて希薄な現在だけれども。

 

それでも隣人トラブルはある。

 

たまに軍人同士で喧嘩している場合があって、即座に警備ロボットに取り押さえられている。

 

あれが恐らく、営倉行きって処分をされるのだろうなと。

 

あたいは興味も無いのでみているが。

 

たまにあたいの悪口を言っている連中もいて。

 

そういう奴はあたいを明らかに良くない目で見ていたりもする。

 

勿論監視はされているが。

 

人間は悪知恵だけは働く生物で、しかも悪知恵を神格化して褒め称える傾向まであるろくでもない存在だ。

 

それは分かっているから。

 

あたいはこっちに移ることは嫌ではない。

 

まあ、正直な話。

 

監視ロボットがしっかり見張っている上に。軍上層部がこっそり護衛までつけているらしい状態で。

 

あたいに馬鹿な事を出来る兵士がいるとも思わないが。

 

シミュレーションマシンに入って、また暑い中戦う。出ると、とにかく体をゆっくり冷やしていく。

 

ネメシスを斃すと、辺りが一気に涼しくなる。熱量は何処へ行ってしまったのか。それは分かっていないらしい。

 

そもそもとしてシャドウは物理法則なんてガン無視で動き回る存在だ。

 

斃したらため込んでいた熱量が消えるくらいは、不思議ではないのかも知れないのだけれど。

 

あたいにはよく分からないので、ただ戦う事だけを考える。

 

休んでから、受け身の練習。

 

出来れば暑いコックピット内で受け身をする練習をしたいが。それはそれで切り離して考える。

 

まだまだ技量が足りないので、教官役の兵士にぶん投げて貰ったり、コツを教えて貰って体に叩き込む。

 

前の戦いでは、それで随分打撲を減らせた。

 

今後は更に凄まじい衝撃を喰らう可能性もあるし、とにかく必死に練習を重ねていくしかない。

 

あたいは間違っても天才なんかじゃない。

 

だから、訓練を重ねて出来るようにするしかない。

 

そして根性論と精神論関係無しに、今は色々と最高効率で学習もできる。

 

理論は頭に叩き込んである。

 

後は体をそれにそって動かすだけなのだ。

 

黙々とやる。

 

淡々と訓練をしていく。

 

ナジャルータ博士と畑中博士が、外に出ていった。

 

あれは前にあった、監視カメラなどがない場所での密談と見て良いだろう。

 

受け身の訓練を終えてから、またシミュレーションマシンに入る。

 

今までに交戦したネメシス種の行動パターンを学習したものだが。ネメシス種は中型以上にまったく何をやってくるか分からない。

 

このため、過去の行動パターンを学んだシミュレーションマシンは、基本的に復習に使う。

 

あたいは黙々と、回避の技術を磨く。

 

ネメシス戦をやるときは、中型種シャドウが支援で攻撃をしてくれる。あたいは盾役。隙を見て攻撃も入れる。それくらいでいい。

 

奴らが耐えきれなくなったら、自壊する。

 

それまで耐えれば良いのだ。

 

だが、あの凄まじい熱量。

 

毎回超世王セイバージャッジメントは、ネメシスを倒した後、ほとんど総取っ替えまでしているらしい。

 

あたいが不甲斐ないのもある。

 

ただ、畑中中将の頃からそれくらいはしていたそうなので。

 

あたいがそれで責められることは無かった。

 

シミュレーションを終えて、外に。

 

温度差で風邪を引きそうだが、それでもどうにか体を慣らす。慣らさないと死ぬ。それが分かっているから、どうにかするのだ。

 

訓練を重ねて、体を温度差に強いようにしていく。

 

それでも体力の消耗が激しい。

 

呉美中佐はオリンピック級の身体能力と言っていたっけ。どんだけ訓練をしても平然としているが。

 

確かに目指してはいけない相手かも知れないが。それでも少しでも追いつこうと努力はしなければならない。

 

少し休んでから、また訓練。この反復だ。

 

ひたすら体をいじめ抜く。

 

たまに機嫌も取る。

 

そうして、次の戦いで、少しでも勝率を上げるのだ。

 

それでも流石に疲れたので、少し休憩を入れる。

 

ナジャルータ博士と畑中博士が戻ってきて、会議に出るようだ。あたいは会議は関係無いので、休憩に専念。

 

最近雇われたらしい家政婦さんだろうか。

 

お茶を出してくれる。

 

ありがたくいただく。

 

なんというか、つかみ所がない雰囲気の女性だ。年齢的には多分あたいと大して変わらなそうなのだが。

 

とにかく得体が知れないので、ちょっと怖い。

 

背丈はあたいと同じ程度で顔立ちからも日本人ではあると思うのだが。

 

立ち振る舞いは明らかに戦闘訓練を受けた状態だし。

 

いつも笑顔を浮かべているが、それが貼り付いたような笑顔なので、はっきりいって色々怖い。

 

北条日蔭さんというらしいが。

 

あたいとしては、どうしても身構えてしまう。

 

ただ、お茶は美味しい。まずいお茶を、良く此処まで美味しく出来るものだと感心してしまう。

 

「三池助手は現在会議中ですので、私北条めがお世話を担当させていただきます」

 

「は、はあ。 よろしくお願いいたします」

 

「甘いものは不足していますか? 幾らか保存食がありますので、必要であれば持って来ますが」

 

「いえ、今は大丈夫です」

 

こう言うやりとりも機械的だ。

 

とにかく色々不気味なので、整備のおっちゃんたちもびびっているのを見る。

 

ただ誤解され易いだけの人の可能性もある。

 

見かけで怖がるのも失礼だと考える理性はあたいにはちゃんとある。

 

「訓練に戻るのは三十分後にしてください」

 

「え? は、はい」

 

「昔は筋肉に乳酸が溜まって……といった説明をしたそうですが、これは現在ではほぼ否定されているそうです。 いずれにしても過剰な訓練は体を痛めつけるだけですので、今は控えた方がよろしいでしょう」

 

そう淡々と言われて、こっちとしては恐縮するしかない。

 

ともかく、色々と困惑しながら、言われた通りの時間を休む。見ていると動きまできびきびしすぎていて、ちょっとロボットっぽい。

 

この辺りが怖がられる理由の一つだろうと思うのだが。

 

あの動きからして、色々と訳ありなのかも知れない。

 

あたいだってどうも出自が訳ありらしいというのを、最近知った。親……ただ遺伝子データ上の存在だが。

 

どっちも相当なろくでなしだった可能性があるらしいのだ。

 

これについては、あくまで噂でちょっと小耳に挟んだだけなのだが。

 

それでも、今の時代は遺伝子データを保存して無作為に子供を作る方法が開始されている。そうしないと誰も子供なんて作らないからだ。

 

それだと、とんでもない親がいても不思議ではない。

 

だからあたいも、そういうものだろうなと思ってある程度諦めている。

 

「三十分丁度です。 三池助手はまだ会議をしておられますので、私北条が面倒を見させていただきます」

 

「は、はい。 どうもありがとうございます」

 

それで連れてこられたのは。あからさまに人間止めてそうなガタイの大男だった。

 

身長差は頭二つ分は違う。

 

昔米国でバスケットボールが大全盛期だった時代は、こういう大巨人がコートで走り回っていたらしいが。

 

でか、と思わず声が出てしまった。

 

ちなみに日本人のようである。

 

ひょいと持ち上げられて。それからマットに色々に叩き付けられる。そういう受け身の訓練だ。

 

今日はシミュレーションでの戦闘は此処まで。

 

温度差が体にダメージを与えるので、以降は受け身の訓練だそうである。

 

手加減して叩き付けているのはわかるのだが。

 

それでももう、人間に対する扱いで無いし。

 

体格差がやばすぎて、相手が人間ともとても思えなかった。

 

とにかく色々な状況を想定して放り投げているのは分かる。

 

頭から落ちそうになった時を想定して、側に北条という人もついているが。

 

ひょっとしてこの大男より動きが良くないか。

 

「うげふ!」

 

「理論的には分かっている筈です。 受け身を丁寧にとっていきましょう」

 

「は、はい……」

 

貼り付いた笑顔のまま北条という人がいうので、ちょっと怖い。大男が、明らかに目上の存在を見る目で北条という人に指示を伺っているのも怖い。

 

というかこの大男。

 

北条という人の部下なのではあるまいか。

 

しかもそれを呼んだように、先に言われる。

 

「岸和田曹長は、私北条の元部下です。 いわゆる巨人症持ちなのですが、色々遺伝子的に治療して、今では普通と同じように活動できます。 昔だったら戦場で鬼神のように暴れられたでしょうが、今の時代はそうもいきません。 軍隊式格闘術に関しても、パワーだけでは今の時代どうにもならない部分も多いのです。 人類史上最強の戦士でも、シャドウ相手にはミジンコ同然ですからね」

 

「そ、そうなんですね」

 

「岸和田曹長。 もう一セット」

 

やっぱりこの人、元軍人か。

 

とにかくぶん投げられては、受け身を取る。何度か失敗しかけたときは、北条という人が残像を作る勢いで動いて、あたいが怪我しないように補助してくれた。その後、貼り付いた笑顔で淡々とどうすればいいかコツを言い聞かせてくれる。そして出来るまで徹底的にやる。

 

確かに正しいやり方だ。

 

精神論では何も解決しないので、とにかく反復。一度やったことは、出来るようになるまで徹底的にやり直す。

 

それは正しい訓練だ。

 

とにかく時間までめいいっぱいしごかれて。

 

それで疲れ果てた。

 

同情する目で周囲が見ているが。正直、これはてきぱきやって上達できないあたいが悪い。

 

だから、同情はいらない。

 

それはそれとして、北条という人は怖いが。

 

それにしてもこの人、元は特務か何かだったのだろうか。可能性は決して低くは無いだろう。

 

訓練が終わったので戻る。

 

戻ると、正式に引っ越しの通達が来た。

 

ちなみに通達をしてきたのは広瀬大将である。だとすれば、誰も文句を言わない。

 

普通尉官の人事なんて大将がしないのだが。

 

五千万しか人間がいない今の時代だ。

 

それも仕方が無いのだろうとあたいは思った。

 

 

 

ナジャルータ博士が忙しそうにしていて、会議まであったのだ。何かあったのだろうと言う事は分かっていた。

 

しかももう聞かされているが、シャドウに基本的に電子機器は全て覗かれていると見て良い。

 

スタンドアロンのシステムまで覗かれていると言う話だから、もはや手の打ちようがないのである。

 

だから話を聞かされたのは、翌日の昼。

 

訓練を終えて、出されたご飯を食べていたときだった。

 

皮膚に多少のダメージはまだあるが、若いと言うこともあって回復が早いそうである。もう動くのに支障はない。

 

工場の周囲に電子機器がない場所で、麟博士に聞かされる。

 

「ノワールからの連絡が昨日ありました。 ネメシスの出現確率が上がるそうです」

 

「もう制御不能なんではないですか」

 

「そうですね。 ノワールは余裕を見せているようですが、それはそれとして共闘まで持ちかけてきているくらいです。 余程状況は悪いのだと思います。 それで、ですが。 今色々と準備をしています。 飛騨中尉も、いつでも出られるように体調を整えておいてください」

 

「分かりました」

 

ちなみに麟博士は少佐待遇を受けているらしい。

 

これはGDFで動きやすくするための措置もあるのだけれど。

 

抜擢される前に既にそれなりの仕事をしていたのが理由だそうだ。

 

あたいは基礎教育を済ませてからは、普通の仕事をしていただけだったので、それはまあ。

 

少尉でも高すぎる待遇で、恐縮してしまっていたので。中尉になった今はおっかなびっくりである。

 

麟博士が少佐である事は、同期であっても別にどうとも思わない。

 

というか、むしろ地位が与えられていると言う事は責任もあると言う事だし、大変そうだなと思ってしまうばかりである。

 

「それで、戦闘では具体的に注意することなどはありますか」

 

「一つ気になることを言っていました」

 

「なんですか」

 

「超世王セイバージャッジメントは学習されている。 同じ戦い方は恐らく通用しないだろうと」

 

なる程、考えられる話だ。

 

そもそもとして、ネメシス種が機械的に動いているとはあたいも思っていない。生存のために最大限の苦労をしているようにあたいにも最初から見えている。

 

だとすれば、だ。

 

生物と同じようなものではないとしても、知能の類があってもおかしくはないだろうし。

 

それに今までの戦闘を見る限り、明らかに知能の片鱗は見えていた。

 

シャドウが全てで知識を共有する存在らしいという事は、あたいも既に聞かされていたのだが。

 

だとすれば。

 

その末端が暴走したネメシス種が、超世王セイバージャッジメントの戦い方を学習していて。

 

対策をしてきても、おかしくはないだろう。

 

だとすれば、畑中博士の作る新兵器で対抗するしかないのだろうが。

 

それも使いこなすまで、相当訓練しなければならないだろう。

 

まだまだ課題は山積みなのである。

 

とにかく、やれることをやっていくしかない。

 

あたいはそれほど器用でもないし、マルチタスクが得意なわけでもないのだから。

 

「三池さんに、スケジュールの調整を依頼してください。 小官にはそういうのは得意ではないので」

 

「分かりました。 訓練に集中してください」

 

「了解です」

 

敬礼をかわして、訓練に戻る。

 

昼が終わったので、これから夕方までみっちり訓練だ。

 

まずは灼熱の中、超世王セイバージャッジメントを動かす訓練。とにかく汗を大量にかくので、水を摂取しなければならない。

 

それが終わった後は、受け身の練習。

 

これが課題だ。

 

まだまだ基礎がなっていないので、色々ぶん投げて貰い。

 

更には達人の技を見稽古する。

 

武術なんかシャドウ相手にはまるで役にも立たないかも知れないけれど。

 

超世王セイバージャッジメントを操作するという観点では、役には立ってくれるのである。

 

それを思えば、訓練をする意味は大いにある。

 

大量に水を飲むから、トイレにも行く。

 

その時間も訓練に含んでくれる。

 

訓練が激しすぎると吐いたりすることもあるのだけれども。

 

最近はそういう過負荷を掛ける訓練があまり良くない事も判明しているので、そうはしないそうだ。

 

ストレスを掛けすぎた兵士が、上官を撃ち殺すような異常行動に出ることは珍しくもないらしい。

 

それもあって、いつしか「鬼軍曹」と言われたような存在は、淘汰されていったらしいのだが。

 

実際には、シャドウ戦役後の再編制の時代まではいて。

 

それでやっと絶滅したらしかった。

 

まあ、ともかくあたいはそういうのには会っていないし。

 

今やっている訓練でも、昔に比べればまだまだ全然マシだと言う事を思うと、ちょっと背筋も冷える。

 

とにかく雑念を払って訓練する。

 

ひたすらに訓練を続ける。

 

そうしないと、ネメシス種相手にまともに戦う事ができないからだ。

 

既に世界各地で洒落にならない被害が出ている。

 

それを思うと、出た場合はとにかく見敵必殺の覚悟で臨まなければならないのである。

 

だから訓練をする。

 

そう言い聞かせて、厳しい訓練に耐えていくしかなかった。

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