スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント 作:dwwyakata@2024
投入される新兵器。これは超世王セイバージャッジメントでなくても使えますが、とにかく色々面倒です。
ミサイルとかに搭載できれば話は早いのですが、シャドウもそれは認めていないので、臼砲なんて代物を使わなければなりません。
この臼砲もシャドウ相手に質量弾が通じないと分かるまで、四苦八苦して作り出されていたものではありますので、無駄にはならなかったのですが……
東アジアマレーシア。マレーシアの一角に残されている人間の都市。人口十九万の其処は、東アジアでも数少ない都市の一つであり、シャドウ戦役で生き延びた人間が流れ込んだことで、魔都とも言われる程荒れていた都市だ。
海路から運ばれて来た臼砲と、それを使えるように現地の軍を指導していた部隊が、統治にある都市国家で活動していたタイミングでネメシスが出た。
中型種と交戦するネメシスとの距離は60㎞。
この距離なら大丈夫だろうと安心する現地の兵士達に、指導役のライアン中佐が一喝する。
日本では、百二十㎞先への狙撃をネメシス種がやった。
その攻撃は都市崩壊レベルの代物だった。
それを聞いて顔色を変えた現地の民。
粗悪な原子炉のエネルギーも使って、液体窒素を生成。
そのまま臼砲の弾薬に注入する。
暴れ狂うネメシス種が、中型に集中攻撃されている状態で。
ライアン中佐の部下である、モニカ曹長が叫んでいた。
「中佐! ネメシスが……!」
「どうした!」
「ちゅ、中型種を熱線砲で吹き飛ばしました!」
「何っ!」
中型での掣肘がかなり難しくなっているとは聞いている。今まで中型にネメシスは逆らわなかった。
それがついに。
勿論熱線砲で中型種が死ぬ事はないだろう。悔しいが、中型シャドウは長時間高熱を当てないと斃せないのだから。
それでも、明らかに傷つける行為。それも致命的なレベルの。
シャドウ同士で殺し合うなら勝手にやってくれというのがライアン中佐の本音ではあるのだが。
ネメシスの危険性は、一応制御が出来ている中型とは別次元である。
大地震を起こして、アフリカの街ラムセスを粉砕した事は記憶に新しい。とにかく、好き勝手をさせると非常にまずい。
「臼砲準備!」
「我々はどうすれば」
「電子経路などを護衛! とにかく誰も近づけるな!」
「わ、分かった!」
おろおろしている現地の司令官に、ライアン中佐は指示。
この都市国家では治安が最悪で、電線や銅線などを盗むアホが多数いる。銅は半導体として非常に貴重な金属で、売ると高値になる。インフラでどれだけ重要かなど、それこそどうでもいいと考えるような輩が多数いるのだ。
これだけの状態におかれていても、人間とはそのように考える。
嘆かわしいことだが、今はそれで滅びるのをどうにか避けるしか無い。
弾丸、作成完了。
液体窒素を封入した大型弾を、そのまま。今はジャングルになっていて、しかも炎上している密林の一角に叩き込む。
大型臼砲が曲射した弾丸は、指定地点に着弾。
京都工場を初めとして、神戸近辺の軍事工場であわてて量産されている一門だ。精度は申し分ない。
そして、液体窒素が凄まじい冷気をばらまくと。
グレイローカストの変異種であるネメシスは、明らかに其方に向かおうとする。それを、中型種が一斉攻撃。
「第二射用意!」
「原子炉からのエネルギー供給低下!」
「何をやっている!」
「老朽化です。 最近では停電も珍しく無く……」
情けない話に、ライアン中佐はクソがと叫んでいた。
持ち込んでいる大型発電機を用いるが、これは現在では人間が作成している石油を用いているものだ。
電力系統を切り替えて、すぐにそっちで精製をするが。
それでも出力が足りない。
こんな都市でも守らなければならない。
今、人間は少なくとも増える気配はないのだ。
「第二射、発射完了!」
「弾は!」
「もう少し掛かります!」
「弾の準備が用意出来次第、打ち込め!」
熱線が空に迸る。ランスタートルを直撃して、押しのけるようにして吹っ飛ばしたようだ。
とんでもないあばれっぷりだ。
ライアン中佐は北米の軍で指揮をしている。広瀬ドクトリンに従って、小型種と戦い、勝利したこともある。
だが、出来れば正面からシャドウと戦いたくないというのは、隠しようがない本音である。
一応、指示に従ってビームとは名ばかりのワイヤーと、投擲型の変な剣を山ほど積んだあの超世王なんとかとかいうロボットのデチューンモデルの換装を進めているが。
あれは今は飛騨とかいうパイロットが盾役で前衛にいるからなんとかやれているのであって。
実際にネメシスとあれでやりあうのは、ぞっとしない。
それどころか、まず生きては帰れないだろう。
それが分かっているから。
今だって正直、率先して逃げたいくらいだ。
幸い、ホバーだと本当に攻撃されなくなった。だから、離島なんかを回って、人々を回収したり、支援したりは出来るようになった。
それにしても、ネメシスの被害が大きすぎるのだ。
まだか。
声を荒げたくなる。
ようやく、液体窒素が十分に溜まった。即座に弾を装填して、第二射を撃ち込ませる。
この時間をもっと短くしないと、ネメシスにこの都市が焼き払われたり、大地震で粉砕されかねない。
射撃。
着弾。
ネメシス種が、明らかに気を引かれる。熱で殺されようとしている巨大な化け物が、冷気に必死にすりよる。
それを中型種がどんどん攻撃して。
そして、限界が来た。
凄まじい悲鳴を上げながら、ネメシスが消滅していく。強烈な熱気に大炎上していた密林だが、一瞬で鎮火。
すぐに回復作業が開始されたようだった。
あれについては。ライアン中佐達がやることはない。
ただ、溜息が出ていた。
「ありがとうございます。 的確な指導が無ければ、どうなっていたことか……」
「とにかく、原子炉については此方で指導します。 それと、電力周りなどの基本インフラについても、神戸からの支援を受けて、調整をしてください」
「しかしながら、異教徒のやり方を聞くのは許せないと反発するものも多く……」
「今はそんな事を言っている場合ですか!」
司令官に、ライアン中佐は喝破していた。
まだそんな事を言っているのが生き延びているのかと思うと悲しくなってくる。
それに、そういう輩は、今回の件で助かったことに感謝もしないだろうし。ネメシスが現れたのも、ライアン中佐達のせいにしかねない。
何のための戦いなのか。
そう吐き捨てたくすらなる。
「信仰の自由と言うのは、信じたくも無い神を信じなくてもいい自由の事であって、その信仰に沿って現実的な改革やインフラを否定する事ではありません。 私だって神は信じていますが、それはそれとして本来は異教徒も多数いるこの街を救うために作戦で来ています。 それくらいの公私の区別はつけてください。 少なくとも、この最果ての時代に生き延びるのに神にすがるのは勝手だと思いますが、それで他人を傷つけることがあってはなりません」
「仰る通りですな……」
「ともかく、電気系統などの警備を厳重に。 それと催眠教育も。 今の世代の人間はダメでも、催眠教育をしっかりすれば、次の世代以降は状況も変わってくる事でしょうね。 無知が信仰の果ての攻撃性を産みます。 催眠教育を受ければ、誰でも最高水準の知能と教育を担保できますので」
「……分かっています」
ライアン中佐でも分かっている。
こういう所でまだ蔓延っている淫祠邪教の徒にとっては、無知こそが理想だ。
無知な人間ほど支配しやすい存在はいない。
だからこそ、誰も無知にさせておく。
教育に反発するのもそれが理由だ。
今持っている権力を手放したくないのだ。たとえ世界が滅びるとしても。
そんな輩が権力を持っている都市や国家がまだ幾つもある。
ライアン中佐は、部下達に撤収を指示。
一部の部下は指導要員として残る。
他の者達は神戸に向かって、それで臼砲を受け取る。
昔と違って、今は神戸は世界最大の都市であり、GDFの中核だ。
それもまた悔しい話ではあるのだが。
今は生き残る事。
シャドウの猛攻を防いで、ネメシスによる無差別破壊から、生き残らなければならないのだ。
マレーシアのルルカイア街で、どうにかネメシスの撃退に成功した。
その情報は、広瀬大将のところにも入っていた。
最近、元帥に昇進して、GDFの総司令官になって欲しいという懇願が来ている。ちなみにこれに関しては、市川が反対しているようだ。
現在のGDFの名目上の総司令官である元帥はボケ老人で、会議にも殆ど姿を見せない。
歴戦の指揮官ではあった。二十年前までは。
シャドウ戦役で、可能な限りの人々を助けた名将だった。
だが、駿馬も衰えれば駄馬にも劣る。
その言葉通り。シャドウ戦役を終えた後は、ボケが一気に進行した。年齢も原因としてあったのだろう。
だがそれにしても、その急激なボケはあまりにも悲しく。
今では、自分の名前もロクに思い出せない有様だ。
撤退作戦を指揮していた頃の事を映像記録で見ている広瀬大将は、悲しい話だと思うばかりである。
確かに引退の時期ではあるのだが。
広瀬大将は、元帥になるのは自分でもあまり乗り気ではない。
市川と対立するのが本格的になる可能性もある。
市川は野心と現実の合間で揺れ動いている。
今はきちんと現実で自分を保てているが。
それも権力を独占したいという野心が優先した場合、どのようなことになるかは。あまり考えたくはなかった。
広瀬のところに、北条が来る。
北条は元々第五師団の将校になる予定だった人物で、表向きは軍属ですらない。
クローンでの人間作成の暗部の一人。
いわゆる強化人間の試作品だ。
実年齢はなんと十二。
色々な試験を行った結果、いわゆる急速成長の試験もそれに含まれていた。現在の年齢は二十歳前に見える。ただ表情が表情なので、見かけの年齢に関しても見る人間それぞれの感じ方が違ってくるようだ。
とにかくシャドウに勝つためにあらゆる事が行われた。その中には非人道的な人体実験もあった。
その生き証人である。
幸い腐った計画は途中で潰されたのだが。それでも北条を初めとする犠牲者は少なからず出た。
北条は中肉中背で、見た目は普通の女性に見えるが。
部下にしている岸和田という巨人症の男性を軽くひねり潰すほど戦闘能力が高く、シャドウ相手では無理でも、模擬戦で特務の一個小隊を武器有り、武器無し双方で圧倒したことがある。
ただしそれで感情も壊れてしまい。
今では貼り付いたような笑みをずっと浮かべている。
得体が知れないと周囲に怖がられているが。
事実を知っている広瀬は今では部下にしていて、丁度支援役が欲しかったらしい三池のところに行って貰っている。
絶対に裏切らないパイプ役が欲しいと広瀬は考えているからだ。
ちなみに、そうする前は市川の監視役にするつもりだったのだが。
第五師団には別の監視役を現在は潜り込ませているので。ちょっと悪い意味で名が知られている北条は不適切と言う事もある。
まあ、嵐山補佐官が老齢で引退したときには。
後任として北条に入って貰うつもりでもある。
北条は自分を人間として認めてくれていると考えたのか。広瀬には全面的な忠誠を誓っている。
見た目と裏腹に精神が不安定なので、たまにママとか言われて閉口するが。
まあ、それはそれで仕方が無いとも諦めていた。
「広瀬大将。 現地で活動していたライアン中佐からの報告書をまとめました」
「お疲れ様です。 休憩を取ってから、京都工場に戻ってください」
「イエッサ」
敬礼をすると、岸和田を連れて北条が行く。
岸和田は巨人症特有の内臓疾患を克服してからは普通の兵士としては最高峰の存在として活躍はしているのだが。
それはそれとして、岸和田も色々と問題を抱えているため。
文字通り最凶の兵士である北条の忠実な部下になっている。
まあ、広瀬大将にとっては大事な部下だ。
どちらも大切である。
資料を見る。
なるほど、やはりあの都市では、臼砲の確実な運用は難しいか。幾つか顧問と相談した後、市川に嫌だけれど連絡を取る。
こういうのは、しっかり筋は通さないとまずいのである。
市川も嫌だろうが、連絡に出る。
互いに嫌いあってはいると分かりきっているのだが。それでも今は、そんな個人的感情を優先するときではないのだ。
「ルルカイアの件ですが、此方から資料を送ります。 必要な物資、催眠教育システムの指導役などを用意してください」
「あの都市でそれを根付かせるには十年単位、いやもっと時間が掛かるでしょう。 どれほどコストが掛かるか分かりませんよ」
「それでもやるべきです」
「正直神戸がそこまでルルカイアの面倒を見る意味があるかは微妙ですがね。 今は四国の地下都市建設も本格化しているところですし」
懐が寂しい、か。
昔は仮想通貨などの実態をもたない経済が、凄まじい勢いでいわゆるサーキットバーストを引き起こしており。
なんら実際に意味を持たない金に、実経済が激しく圧迫されていた時代もあった。
だがシャドウが出現してからそれらは全て無意味になり。
結局貨幣経済の時代が戻って来た。
AIが経済管理するようになってから、銀行は必要なくなった。その結果、金利による経済の実態のない膨張もふせがれるようになった、のだが。
それでも生き延びた人間の街の幾つかでは、まだ電子マネーによるマネーゲームごっこをしている。
それが悪い方向にしか作用していないのに、である。
大災害が起きて電気が確実に行き渡らなくなると、電子マネーなど何の役にも立たなくなる。
それは既に証明されたことだ。
それでも過去の栄光にすがっているのは。
その時代が、たった四半世紀前だったから、なのだろう。
ともかくだ。
目の前の金よりも、未来だ。
シャドウが協調を申し出てきているのである。一気に世界の流れは変わってきていると言える。
この機にやれることは、全てやってしまわないとまずいだろう。
「調整はお願いします。 ルルカイアにしても、シャドウに滅ぼされたら人類に大きな損失になります。 ラムセスの損害復旧にどれだけ金が掛かったか思い出せば、事前投資としては安いはずです」
「やれやれ、政治家に転向すべきではありませんか貴方は」
「小官はあくまで軍人です」
「そうでしたね。 分かりました。 貴方の言う事にも理はある。 調整して、話を進めましょう」
市川としても、未だに淫祠邪教の徒が蔓延るような都市は、どうにかまともにしたいとの思考はあるのだろう。シャドウ出現の混乱、無力感から、どうしても淫祠邪教に走りたくなる人間は出る。だが、淫祠邪教が歴史を良い方向に動かした例は一度だってないのである。
問題はそれに……淫祠邪教の駆逐にコストが掛かりすぎること。
自分の尻くらい自分で拭けと考えてもいるだろうこと。
他人が横から口を出しても、淫祠邪教の駆逐には逆効果である事も多いのだ。
それらもあって、嫌がっているのは分かるが。
そもそも人類が五千万まですり減らされ、ネメシスの登場によって更に数十万人が一瞬で吹っ飛びかねない状況が来た今。
そんな事を言っている場合ではないと、計算は出来たのだろう。
臼砲の生産と配備は進んでいる。
神戸の軍需工場でも、弾薬の生産よりも優先で臼砲を作らせている程だ。事実、それで成果が上がっているのである。
主戦派が前のクーデター祭である程度掃討され。
今もまた台頭はしていないことが追い風である。
それに市川がアサルトライフルを初めとする旧世代の兵器がもう役に立たない事を世界中で既成事実化しようとしている。
それも、追い風になるだろう。
市川はともかく計算して、話に乗った。それで充分だ。
今の時点では、危ういバランスの上でだが、広瀬大将と市川は上手くやれている。これは、立場が逆だった時代と同じ。
通話を切ってから、ふうと嘆息する。
広瀬大将も、自分が同じ立場になった場合。
ああいった決断を、理に沿って出来るのだろうか。
市川が有能である事は認めている。
実際問題、人間的な相性が最悪だった事は分かりきっていたが。参謀長時代にも、解任を考えた事は一度も無い。
革新的な戦術を考え出すことは殆ど無かったが。
本来参謀がやるべき仕事は満点でやっていた。
それで満足すべきだと判断していた。
恐らくそう広瀬大将を見ていたのは、市川の方でも同じだったのだろう。こうして話していると、それがよく分かってくる。
いずれにしても、幾つか手を打っておかなければならない。
予算も無限ではない。
ただ、四国の地下都市は、竣工が終われば。今まで夢のまた夢だった嗜好品の量産を始め。
データに残っている文化遺産などの3Dプリンタでの再生。
更には大規模なクローン技術の研究についても始められる予定だ。
新生病についても、未だに原因がよく分かっていないが。
それも病理を解明し、解決できるかもしれない。
神戸から、いずれ其方に世界の中心が移るかも知れない巨大科学都市としての構想が立てられていて。
全て実施できれば、人類の力は倍増するはずだ。
また、神戸と同じスタイルで廻せるようになれば、他人と干渉する必要も殆どなくなるだろう。
更に人間として、生活しやすくなる都市が来る可能性が高い。
それを守りきるのが。
GDFの現在の実質上の司令官である、広瀬大将の仕事だ。
幾つかデスクワークをこなしておく。
第五師団から報告が上がって来た。
今の時点で、怪しい動きをしているものは、少なくとも第一軍団にはいないようである。一部の人員は主戦派などが蠢動している国や都市に間諜として潜り込んでいるようではあるのだが。
少なくとも国内で、しばらくクーデター騒ぎの心配は無さそうだ。
ネメシス種を連続して撃破成功しているからかも知れない。
だが、油断は出来ない。
あのばかげたクーデター祭の事を思い出すと、未だに冷や汗が出る。
一歩間違えば、あれで人類は破滅していた可能性が高いのだから。
シャドウが主戦派主導による攻撃に過剰反応していたら、スコットランドなどの師団規模で仕掛けた国は、今頃消えていた可能性が高い。
それが消えずに残っている時点で。
シャドウが悔しいけれど、人間よりよほど理性的なのは、火を見るより明らかなのだった。
しばし仮眠を取る。
いつ眠れるか分からないからだ。
三時間ほど仮眠を取って、それからきっちり起きだす。
それから、その時間の間に来ていた書類などを決裁しておく。いずれも目を通すが。AIにより支援もさせる。
細かいところでの見落としなどがある可能性もある。
昔の詐欺の常套手段だ。
そういった詐欺は既に神戸などでは消滅したが。AI等による支援や、裁判制度、法制度の変更により。詐欺がまったく金を稼げないものとなった事が理由として挙げられるだろう。
ただ、それでも引っ掛かるものは出るかも知れないし。
自分がそうなっては笑えない。
だから、書類の一つ一つまで確認しつつしっかり決済する。
昔はハンコを持たされている意味を理解出来ていない人間が、体育会系のイエスマンだという理由だけで抜擢され。それで無能な采配で周囲に迷惑を掛けるケースが続出したらしいが。
気を抜くと、広瀬大将だってそうなりかねない。
だから気を付けて書類は扱わなければならない。
昔のそういった人間の事例を催眠教育で今は習う。
頭に叩き込まれているから忘れる事もない。
それと同じにはならない。
そう自分に言い聞かせておくことは、とても大事なのだ。
書類を片付けて、一通り執務が終わる。
少し鍛練をしておく。
体がただでさえそれほど強くないし、前線に出る事はないが。
片腕をブライトイーグル戦で失った時も、もうちょっと体を鍛えていれば、いち早く指揮車両から離れて。ブライトイーグルの自爆突撃で片腕を吹き飛ばされる事も無かったかも知れない。
そう思って。鍛練はしておく。
無駄な事なんて。
世の中には一つも無い。
そう言い聞かせながら、広瀬は全てにおいて努力をする。
だからこそだろうか。
とても疲れもするし。
何もかも捨てて、淫祠邪教に落ちてしまう者の気持ちも理解出来る。そっちにいってはならないとも、分かっているから、落ちないだけだ。
鍛練も終えてから、現在の参謀長に言って、本格的に休む。
それもいつ叩き起こされるか分からない。
大将という立場……GDFの事実上の軍司令官という立場の面倒なところだ。
そういえば、海兵隊を独立部隊から、第五師団に組み込んで欲しいという話があったか。
確かに対人戦のエキスパートなのだから、対シャドウ、対ネメシスの第一から第三師団と連携するよりも。
秘密警察に近い仕事をする第五師団の方が、今は向いているだろう。
まあいい。
明日考える事にする。
今は、休む事も仕事だ。そう思って、意識のスイッチを切った。訓練しているから、出来る事だった。
超世王セイバージャッジメントが出られない地域でも。
治安が最悪の場所でも。
それでも奮戦する人はいます。
今は、それで被害を抑えられた。
それを喜ぶしかないのです。
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