スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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4、見えない終わり

市川は会議に出てうんざりした。

 

日本で斃されたブルーカイマン・ネメシスの報告を終えた後だ。どこだかの都市の代表(今回から参加)がいきなり喚きだしたのである。

 

言葉は翻訳されていたが、非常に汚い口調の現地の言葉で、その都市の公用語ですらなかった。

 

内容的には、不信心だからそんな化け物が暴れる。

 

超世王セイバージャッジメントを悪魔の道具と罵る。

 

我々は神の加護を受けているから被害は出ない。

 

我々の信仰を世界が受け入れれば、あのような化け物は神が退治してくださる。

 

そういう内容だった。

 

とうとうこういうのが代表として出てくるか。

 

市川は呆れつつも、丁寧に反論した。

 

この代表の信仰は知っている。

 

比較的マイナーだが、シャドウ戦役前は、それなりの数がいたものだ。

 

特にこの代表のものは先鋭的なようだが。

 

それはそれとして。

 

分かっている事がある。

 

貴様の神は、シャドウが暴れている時誰も救わなかった。シャドウ戦役で生き残った僅かな人間が、貴様の都市にいるが、それらは別に信仰が一致していたわけでもなんでもない。

 

そもそも殺されたものは全員信心が足りなかったとでも思っているのか。

 

信仰が足りていれば救われているのなら。

 

神戸にもっとも多くの人間が逃げ込んだのは、それは要するに信仰が足りているからではないのか。

 

そう相手の土俵で反論。

 

そうすると、ぷっと何人かが噴き出す。

 

全員が翻訳で話の内容は理解出来ているからである。

 

此奴のような馬鹿者はいる。

 

こんな情勢だ。

 

淫祠邪教の徒になる者はどうしても出てくるのだ。

 

そして、それがついに代表になってしまった。それだけの話である。

 

完全に激高したそいつはわめき散らし始めたが、代表としての地位剥奪をGDF代表として宣言。

 

以降は通信を切った。

 

その後は失笑も湧いたが。

 

それはそれとして、重い空気もあった。

 

いつかはああいうのが出てくる。

 

それも分かりきっていた。

 

実際にクーデター祭の時は、あの手の輩にGDFが乗っ取られ掛けたのである。それを考えると、人間はシャドウ戦役からまったく進歩などしていないのである。

 

神戸では催眠教育の動員によって、子供のポテンシャルをあまねく引き出せるようになった。

 

だがそれでも活動家の類はまだまだいるし。

 

全ての世代が催眠教育によってポテンシャルを全て引き出せるようになるには、まだ数世代はかかるだろう。

 

それにだ。

 

やはり、世界的に見て人口は増加に向かう気配がない。

 

それも当然で、クーデター祭の際に多くが死んだし。

 

ネメシス種の到来によって、都市に大規模な被害が出るようにもなった。

 

元々人間が増えなくなってきているのだ。

 

それも当然かも知れなかった。

 

幾つかの事を決めて、会議を終える。

 

表情を読ませないようにしている市川だが、それでも疲れた。補助をしてくれた嵐山に礼を言うが。

 

嵐山も呆れ果てているのが分かった。

 

互いに嫌いあっていても。

 

こういうところでは気があうものだ。

 

「議事録をAIにまとめさせてくれ。 それとあの都市には鎮圧部隊を」

 

「分かりました」

 

海兵隊の仕事だ。

 

ホバーによって安全に移動出来るようになった。

 

対人戦の専門家である海兵隊は、ああいう淫祠邪教の徒を制圧するために今は活動している有様で。

 

昔の麻薬戦争やらの頃に比べると規模はぐっと小さいとは言え。

 

こういう仕事しかないと嘆くしかないようだった。

 

それよりも問題なのはGDFの第一軍団で。

 

現状では各師団に弾薬がようやく行き渡り始めている状況だが、使う場面がない。

 

対シャドウの戦闘は、ネメシス戦以外はぱたりと耐えた。

 

広瀬大将は適切な指揮をしてくれていて。不愉快な話だが、絶対に必要な存在ではあるのだが。

 

それはそれとして、他の師団が必要かというと。

 

必要は必要だ。

 

だが現状は、避難訓練やら孤立集落の救援やらが主任務になっている。

 

日本周囲にある各地の孤島を回って、生き残りを探す任務をしている状態で。

 

それで数千人が合計して救われはしたものの。

 

孤島での生活を続けたいと願うものも多く。

 

折衝が大変だ。

 

「予想はしていると思いますが、既に第一軍団の規模縮小について意見書が出始めています」

 

「馬鹿馬鹿しい。 シャドウがネメシスに手を焼いているのは事実だが、ネメシスが仮にでなくなったとしても、今度はシャドウが仮想敵になる。 部隊の縮小など考えられない事だ」

 

「そうですね。 それではそう返答しておきます」

 

「そうしてくれ」

 

溜息が出る。

 

どいつもこいつもバカばかりだ。

 

市川は別に自分が頭が良いとは思っていないが。

 

それにしてもちょっとこれは頭が悪すぎる。

 

シャドウ戦役前にも、愚劣な頭脳の持ち主が社会の上層に多数いて、それらが社会を混乱させていた。

 

それは分かっているが。

 

まさかこれほど短期間で、同じ状況が来ようとしているとは。

 

淫祠邪教に染まって滅ぶなら勝手にしろとも言いたいのだが。

 

そうも言っていられない。

 

滅ばれると人間がそれだけ減る。

 

それは、困るのだ。

 

数日後。

 

例の代表が拘束された。

 

調査の結果、暗殺等の方法まで駆使して、強引に都市の支配圏を奪取したことも判明。しかも背後にいた軍事力は犯罪組織だった。

 

それらを一斉に叩き潰して、それで海兵隊は帰還。

 

代表はそのまま連れ帰って、神戸で裁判に掛ける。

 

恐らく死刑だろう。

 

新しい代表は現地で選んで貰うしかないが。それがまともな人間になるとは到底思えない。

 

気が重い。

 

市川は野望を満たした。

 

世界の権力の頂点に立ったのだ。

 

だが、野望を満たした先にあったのは。

 

ただの空虚に過ぎなかった。

 

 

 

(続)








市川さんが壊れ始めました。

野心を満たしてみれば座っていたのは砂の城。

周りは脳みそ花畑のアホしかいない。

しかもそれらの管理が仕事で。代わりに敵は極めて有能で邪悪極まりない。

これでモチベを保てる人間の方が希、というだけです。






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