吾輩は猫である。前世で描いた鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画の世界に転生したので贖罪の為に魔女達を救って行こうと思う。   作:シャモロック

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吾輩の人間化計画始動

 吾輩は猫である。名前はクロ、おはぎ、クラウン、キミリア。結局、昨日は今まであった出来事を互いに話してる間に寝てしまったらしい。起きると、目の前には穏やかな寝息を立てるモルガナの姿があった。

 

 窓から差し込む光を見る限り、すっかり朝らしい。耳を澄ませてみれば、階下で何やら賑わっているようだ。そう言えば、アトリエの1階は錬金道具の販売をしてるとも言ってたな。

 

 となれば、モルガナにとって仕事の時間だが起きなくていいのだろうか? とはいえ、こんなに気持ちよさそうに眠っているのを起こすのもなぁ。

 

「おはようございます!! 我が主殿!! 今日も素晴らしい天気ですぞ!! ささ、早く起きてくださいませ!」

 

 ベッドの上でうろうろしていれば、ノックと同時に扉が大きく開かれた。敵襲か!?と毛皮を逆立てれば、そこにいたのはなんとも珍妙な物体。

 何というか、一頭身の白い球体に猫耳と手足が生えた………某ピンクの悪魔のゲームに出てくる「わにゃ!」と喋る彼奴にそっくりというか。

 

「………もしや、お主は『ハク』か?」

「ん? おお! 貴方様が我が主の旦那様ですね! お初にお目にかかります! モルガナ様の使い魔シリーズの『ハク』と申します! 今後ともよろしくお願いします」

 

 ああ、そうだ思い出した。こいつがモルガナの本来の使い魔たるハクだ。確か、アルチナと一緒に失敗した賢者の石を有効活用出来ないかと適当に作成した肉人形に突っ込んでみた結果、動き出したことから生まれた珍生物。

 

 しかし、失敗作とはいえ賢者の石を使ってる事から並大抵の攻撃では死なず、分裂して作業を行えるという特性もあり、作中ではアトリエ経営を彼らに任せていたのだ。

 分類的にはホムンクルスになるんだが、錬金術師達が考えるホムンクルスより愛らしく可愛い事から中盤以降、国でもちらほら見かけるようになる。

 

「さて、我が主殿! お仕事の時間ですぞ! 本日はアゼル様との会談に加えて、アルチナとロジェ殿の雇用形態について。お昼を食べた後は、査定に向けての報告書まとめです! ささ! 今日も張り切って参りましょう!」

「………クロがちゅーしてくれたら、起きます」

「狸寝入りやめろ、モルガナ」

 

 少し唇を突き出すモルガナに猫パンチをお見舞いするが、意地でも起きないらしい。仕方ないとばかりに彼女のおでこを掻き上げると、そこに口をつけた。

 

「主は本当に、悪い子だな」

「ん゛ん゛っ!!」

「我が主殿から聞いたことない音がしましたな」

「死んだんじゃないよな?」

 

 見てみろよ。綺麗な顔だろ? まるで死んでるみたいだ………頼むからこの程度で死ぬなって。これ以上先に進んだらもう現世に帰ってこれないんじゃないか?

 

「とりあえず後は我らにお任せください。旦那様は、1階の食堂へどうぞ。パティ様がアルチナ様達にご飯を振舞っておりますので!」

「そうか、助かる。因みに旦那様呼びは固定なのか?」

「創造主権限で変えられませぬ」

「そっかー」

 

 諦めの棒読みにハクが優しく頷いてくれる。吾輩、使い魔同士とても仲良くなれそう。とりあえずここは世話係のハクにお任せして、廊下を出る。昨夜のルールは達成したからか、無事に部屋から出られた。

 

 とりあえず廊下を突き当たりまで進めば階段があったので、そこを静かに降りていく。見れば2階にも同じようなハク達が、忙しなく動いていたので邪魔しないように慎重に。

 

 そのまま1階まで降りれば右と左への分かれ道が出迎える。右から食欲を唆るようないい匂いと一緒に愉快な声が響くのでそちらへ迎えば、そこに彼女達はいた。

 

「それでねえ、お姉さんは言ったわけ。『騎士の帝国たる長達が、女の私に地位を奪われないか心配してるのかしらぁ?』ってね」

「それで、家畜牧場行ってたら世話ないっすよ隊長!! でも、まあ隊長についてきて良かったっすけどね! アタシらでも朝からこれだけ美味いもんが食えるんだから!」

「あ、あの………アル姉は騎士団長だったんだよね? なんで、隊長呼びしてるの?」

「そりゃあ、団長が地位を剥奪されて左遷された先で部隊長やってたからだよ。アタシらも昔はアルチナ団長って呼んでたぜ?」

「朝から随分と賑やかだな、主らは………」

「おっ! おはぎ参謀! アンタも朝飯か? ここのご飯は美味いぜ!」

 

 吾輩が扉の隙間から体を潜り込ませれば、リリィが声をかけてくる。その近くには身綺麗なアルチナの部下達や、それに囲まれるようにしてちゃんと服を着ているアルチナと縮こまってるロジェがいた。

 吾輩も彼女達の席に近づくと、テーブルの上に乗っかる。木製だがしっかりと加工された良いテーブルだ。それが学食のような感じでずらっと並んでいる。広さはそこそこ、50人くらいは入るだろうか。

 

「………ねえ、先生? もしかして、姫様とえっちなことした?」

「は? いきなり、何言ってんだ。アルチナ」

「だって、昨日の姫様と同じ匂いがするものぉ。そんな匂いが移るような事なんてね、これしかないじゃない」

「昨日はお楽しみでしたね(笑)」

「その卑猥な指文字をやめろ、アルチナ。笑いが隠し切れてねえぞ、リリィ」

 

 全く、朝っぱら卑猥すぎるだろ………ロジェを見てみろ。可哀想に朝からそんな下品な話で震えてるじゃないか。なあ、ロジェ? こんな女の子にはなっちゃだめだぞ? 聞いてるか、ロジェ?

 

「え、えっちなこと、したんだ………」

「いやだからしてないって………」

「えっちな事したんだ!!」

「いや、だから………」

「猫だからって交尾したんだ!!」

「交尾言うな、朝っぱらから!!」

 

 むっつり義賊め、興味津々過ぎるだろ。逆に交尾したって言ったらどうするつもりなんだ、ロジェ。お主の場合、聞いてるうちに茹蛸になってぶっ倒れるだろうよ。

 

「ったく、単にモルガナと一緒に風呂入って同じベッドで寝ただけだよ。やましいことは何もしてない」

「それ、先生が人間の姿でもやましくはないって自信満々に言えるかしらぁ?」

「当たり前じゃないか」

「人の目を真っ直ぐ見たからって信じられるとは限らないわよぉ」

 

 くっ、アルチナめ。痛いところをついてくるじゃないか。確かに吾輩が人間の姿で『彼女とは一緒の風呂に入って同じベッドで寝たけど何もしてないよ!』なんて言われてもこいつやったな………としか思われないよな。

 因みに吾輩、まんま同じ台詞を初めての歳上彼女から言われてそのままNTRかまされた嫌な記憶がある。だからNTRはクソ。純愛しか勝たん。

 

「はいはーい! クロを揶揄うのもその辺にしときなさい! クロ! とりあえず朝ご飯。魚の干物焼いた奴でごめんねー!」

「構わん。美味しく食べられるなら問題はない」

 

 パティが忙しなく、吾輩の前にじゅうじゅうと焼かれて脂が滲む焼き魚を置いていく。身と骨が解されているので吾輩でも食べやすいのがありがたい。アルチナ達は既に食べ終わってるようだが、まだ食後の余韻として珈琲を楽しんでいる。

 

「今日はこの後、どうすんだ? 隊長」

「昨日、あのぷにぷにした使い魔ちゃんから聞くにはリリィ達をある程度役割分担して振り分けたいらしいわね。今だと姫様、パティちゃん、ロンでギリギリ回してるらしいから」

「ってなると、アタシ含めて9人を適当に割り振る感じか。見たとこ、受付2人、事務経理2人、警備2人、食事関係2人。んで統括にアタシって感じかな」

「リリィ? お姉さんは?」

「隊長は働くの禁止っす。隊長は放っておくと、死ぬまで働くじゃんか。だから、絶対働かせません。せっかくめんどい肩書き無くなったんすから、暫くは休みだと思ってのんびりしててください」

「お姉さん、ずっとのんびりしてるような気がするわぁ」

「まあ、主には近い内にモルガナから仕事が振られるだろうからな。それまでは体を休めておくといいさ。吾輩にも関わる事だし」

「おはぎ先生にも関わる事なの?」

「ああ、吾輩を人間にするらしい」

 

 空気が固まった。それほどおかしな話だっただろうか? 先程まで談笑していた女騎士たちも会話を止めて、アルチナは飲み終わった筈のコーヒーカップを傾けて何かを飲んでいる。固唾だろうか。

 ロジェは気にせず、ご飯を食べていた。主は是非そのままでいてくれ。健やかに成長するんだぞ。

 

「せ、先生が人間になるのかい………?」

「その為にアルチナの魔法がいる。主の魔法で吾輩の肉体を作ってもらう必要があるからな。悪いが、協力………」

「するっ! するわよぉ!! 誰が反対しても絶対やり遂げるわぁ!!」

「そんなにか………? いやまあ助かるが」

 

 しかし、何故だろう。純粋な善意よりは邪な何かを感じる………これはあれだ。吾輩が学生時代の文化祭に女装させられた時に感じた男子たちの粘ついた視線に近い。

 ま、まだ男子たちよりかはマシだな。うん。アルチナは見た目だけなら是非吾輩を甘やかして欲しいタイプにストライクだからな。敷金払うからあの谷間に住みたい。

 

「早速、姫様と打ち合わせしなくちゃねえ。無事、成功した暁には第二婦人の立場くらいは貰いたいわぁ………!」

「ねえ、それモルガナの前で話して大丈夫な奴? 彼女とバチバチにやり合うのはやめてね。本当に」

「諦めな、おはぎ参謀。帝国の女性達はな? 男から優しくされる事に慣れてねえんだ。だから少し優しくしただけでころっと落ちる。技術層で生まれた女性が他国に嫁いで行くのはそういう風潮があるからだ」

「じゃあ全部帝国が悪いんじゃねえか、リリィ」

「3割くらいはおはぎ参謀が隊長やモルガナ様みたいな女性達の心を弄んだのがいけないと思う」

「それ吾輩が悪いのか?」

 

 リリィの説明に吾輩は物言いするが、女騎士達は鼻で笑った。どうやら吾輩に味方はいないらしい。おのれ、過去の吾輩! 何故、帝国を過激な男尊女卑世界にしたんだ!!

 会話が一区切りつくと、おずおずと手が上がる。ロジェだ。

 

「そ、そんなにクラウンが人間になってほしいの………って何で『こいつ全く分かってねぇなぁ』って感じで首振るのさ、アル姉」

「いい? ロジェちゃん。普通の女性はね? 20になったら結婚適齢期なの。それを逃すとねぇ? 売れ残り扱いになって、まともな男が寄り付かなくなるのよぉ」

「補足すっと、30迄売れ残ってる奴らは何かしら問題がある扱いされるからな。運が良ければ1人で身を立てられるが、悪ければどっかの貴族の妾か慰み者だ。因みに帝国は25過ぎたら後者一択」

「最悪じゃないか。ま、まあ、僕はまだ12歳だし………」

「甘いわ、ロジェちゃん。女の子で居られるのは短い間だけなのよぉ? 20歳を過ぎて、25歳を越すとおばさん扱いされるお姉さんの気持ちがわかるかしらぁ!?」

「やめてやれ、アルチナ。ロジェが泣きそうになってる」

 

 あまりにも実感こもった発言に肩に手を置かれ、逃げられなくなったロジェが半泣きで震えている。現代ならその年齢でもその美貌を維持出来るなら引く手は数多だろうに。

 

「まあ、ともかく吾輩の人間計画に協力してくれるって事でいいんだな?」

「勿論。因みにおはぎ先生は童貞かしらぁ?」

「いい加減朝っぱらからその話題をやめろ!!」

「大事な話でしょう!? お姉さんが初物食べられるかで気持ちの持ちようが変わるのよぉ!?」

「助けて、リリィ! 主の隊長だろうが!!」

「アレはアタシには救えないもんだ。よーし、お前ら街中散策すっぞ!」

「おい待て、逃げんじゃねえ!」

 

 吾輩は猫である。名前はクロ、おはぎ、クラウン、キミリア。結局、その後はモルガナが降りてくるまで吾輩の性歴を根掘り葉掘り聞かれるのだった。因みにロジェが顔を真っ赤にしながらも聞いていたのが、ある意味癒しだった。主はそのまま純情でいてくれ。




下ネタばっかりの話になってしまった………
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