吾輩は猫である。前世で描いた鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画の世界に転生したので贖罪の為に魔女達を救って行こうと思う。   作:シャモロック

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投稿頻度を戻したいのに、仕事がやばすぎて笑うしかない。冠位戴冠戦があるのもきついです。うちのトネリコは最強なんだ!

エタるつもりはありませんので頑張っていきます。因みにロジェの使う歩法には元ネタがあります。まあ、わかりやすいですよね。ヒントは怪盗のゲームです。


大いに悩め若人よ

 吾輩は猫である。名前はクロ、おはぎ、クラウン、モフガルド・ニャンディアス3世、キミリア。魔力を感じる事に集中するが、吾輩の進捗はあまり芳しくはない。

 

 何というか、魔力という存在を認知できるようにはなったのだがそれをどうやって自分の体に回すかがさっぱりなのだ。というか自分自身の魔力を感じないのだから、話にならない。

 魔法が使えてる以上、魔力は吾輩の体から生み出されてる筈………これによる強化が出来ないと魔法も使えないって話だしなぁ。

 

 うむ、まあ一旦は置いとこう。とりあえず吾輩も魔法は使えるし、おいおい覚えていけばいい筈だ。それよりも、ロジェの物語の方が吾輩心配である。

 

 本来ならば、ロジェはモルガナと出会う前に王宮に忍び込んでとある女の子と協定を結び、そこからルノワールの秘伝書を賭けた戦いと王国に潜む闇に迫っていくのだが、モルガナと先に出会った事やユニの暗躍により、話の流れが大分変わって来ているようだ。

 

 この調子だと、ロジェは三羽鴉を倒した功績を持って王宮に出迎えられるような気がしないでもない。過去の吾輩ならそんな事考えてそうだし。

 そうなると、黒幕とのラストバトルまでに何かあるんだろうか。アニメ2期みたいな薄い日常回だろうか。ある意味、現実になってしまったこの世界ではそんな山も谷もない日常の方がはるかにいいのだが。

 

「クラウン、変な顔してどうしたの? トイレ? 頭の上で漏らすのだけはやめてね」

「吾輩、仮にも成人男性だぞ。ちゃんと宣言してから行くわ」

 

 ひとまず目的地の森に着いた事だし、シルクウィーバーを狩って行くとしよう。薄暗い鬱蒼とした森が広がっているし、時折変な叫びや鳴き声が聞こえるが、何も問題はないだろう。吾輩の爪が血に飢えてるぜ………あ、ユニさん? 吾輩を抱えないで。お腹をわしゃわしゃしないで?

 

「はい、じゃあ3世はウチと一緒に見学ねー! ロジロジも助けて欲しかったら大きな声で『賢い可愛いユニティ様、この哀れでボンクラな下等生物にも劣る愚かな人間をお助けくださいませー!』って言ってね!」

「それを素直に言う奴はまずプライドがなさすぎだろ」

「クラウンの言う通りだよ! ぜ、絶対に言うもんか! 見てろよ、ボクだけで何とかしてやるからな!」

 

 息巻くロジェは近くの大木に魔力を込めた回し蹴りを一閃。風を斬るような音を立てて、大木が横にしなるように震え出す。その威力にユニが口笛を吹く中、小型の影が何匹も空から落ちてくる。

 

 それはタランチュラをでっかくし、更にトラテープのような色合いをした蜘蛛。こいつらがシルクウィーバーである。嫁の趣味であるB級映画に出て来たパニック映画から参照した。因みに吾輩はアナコンダ2が好きである。嫁はスクワームとかトレマーズが好きだったな。

 

 落ちてきた蜘蛛たちはすかさず糸を木々に張り、この事態を引き起こしたロジェに敵意を向けて威嚇するが、彼女は帽子のつばを触りながら、爪先で地面を2回叩く。

 

「『万彩顕現』『緋翼連理』!」

 

 すると、地面から緋色の絵の具が飛び出して、蜘蛛たちにぶつかっていく。絵の具に飲み込まれた蜘蛛の1匹は何をされたか分からぬまま、どろりと溶けて行ってしまう。まるで高熱に融かされてしまったように。

 

 そりゃ蜘蛛だって森の中で炎とかは見てるだろうしな。だが、何十匹もいれば赤色を炎ではなく、血や果物の色と捉える者達もいるようで無事な蜘蛛たちがちらほらと見える。

 蜘蛛たちは爪を残して溶けて行った同胞達を見て、牙を鳴らすがもう遅い。木々を蹴って近づいていたロジェにより爪以外を蹴り飛ばされる。

 

「ねえ、3世?」

「なんだ、ユニ?」

「見間違いじゃなければなんだけど、ロジロジ枝先に立ったり、あんな細い蔦を足裏で滑ったりしてない?」

「ああ、ルノワールの歩法の1つだな。細い場所で立つ走法『刃駆』と細いワイヤーとかを滑る走法『線駆』だ。本人曰く、平衡感覚と重心の釣り合いが大事らしい」

「………魔法じゃないの、アレ?」

「魔法じゃなくて技術らしいんだよなぁ、アレ」

 

 吾輩が描いてた時もファン達から総ツッコミをされたが、ユニも似たような感じらしい。顔からして訳がわからないよ………と訴えかけるようだ。気持ちはわかる。描いてた吾輩でも実際見るとドン引きせざるを得ない。

 

「これ………リリスは勝てないかも。いやさ、3世が目を掛けてるとは思ってたから、それなりにやるとはね? 思ってたけどさ? 魔力強化の足技しかり、魔法しかり、歩法しかりで勝てる見込みなくない?」

「わからんぞ。リリスはアラクネ………蜘蛛の亜人だ。絡め手ではロジェも危ういかもしれん。負けるとは思わないが」

「今頃、リリス………頭抱えてそうだなぁ」

 

 リリス。三羽鴉の1人である蜘蛛の亜人である。ギリシャ神話のような下半身が蜘蛛ではなく、背中から蜘蛛の足をはやしているタイプであり、主に糸を駆使して戦う。

 糸の使い方も粘着のようなものと切断する2種類を用いて戦う上に、火属性の魔法を使って糸ごと燃やすなどの使い方も可能。

 

 普通に考えれば強敵も強敵で、ロジェはこの戦いを経て芸術魔法の絵画を完成させるのだ。つまり、完成しているならロジェにとってこの戦いは最早作業に近いと言える。

 

 もしリリスが対等に渡り合うならば………それこそ蜘蛛のように罠を仕掛けて置き、誘うようにしなければ話にはならないと思う。

 

「これで、最後っ!!」

 

 呆気なく、最期の1匹を蹴り砕き爪全てを両手に抱えて地面に降りて来たロジェの頭に吾輩は飛び移る。体力も未だに健在、毒を受けた形跡もない。

 仕方ない、吾輩が一肌脱ごう。何故、敵たる存在に同情しないといけないかは不思議だが。

 

「よくやったな、ロジェ。これで依頼は達成だ。まだ体力は余裕か?」

「も、問題ないよ。でも他にやる事はないよね?」

「まあな。でも、吾輩気になる事があってな。ルーフェンも言っていただろ? 森で行方不明者が出てるって。もしかすると何か親玉がいるかもしれん。少しくらい探ってみてもいいんじゃないか?」

「うちもさんせー!! その親玉とっ捕まえれば、お手柄としていい服貰えるかも〜!!」

「えぇ………ボクは早く戻って休みたいのに。まあ、いいけどさ」

「あ、じゃあウチはお花摘みに行ってくるねー! 探索よろぴく!!」

「え、ひ、1人じゃ危ないよ? ぼ、ボクも着いていくから」

「大丈夫大丈夫! ウチも強いから!」

 

 嫌そうなロジェではあるが、ウキウキなユニに意見をぶつける事は出来ず、渋々と言った形で吾輩のポーチに爪を入れた後、探索に出る事にする。

 その間にユニがトイレに行ってしまったが………多分、アレはリリスと合流しに行ったな。何かしらの作戦を立てるか、若しくは魔導書でも渡すつもりなのだろうか。

 

 ロジェは1人で行ってしまったユニを大人しく待つことにしたらしい。木に背中を預けて吾輩の後頭部に顔を擦り付けている。モルガナやアルチナもよくやるが吾輩の後頭部には何か癒しのフェロモンでも出てるのだろうか。

 

「………はあ、これでやっと1枚目か」

「随分と気が重そうだな、ロジェ? まだ始まったばかりだろ」

「うん。だって、盗みに入れば早いじゃないか。それをこんなわざわざ正攻法でやる事に意味はあるのかなって」

 

 暫く堪能したのか、ロジェがため息を吐く。首筋にかけられて僅かにぞくっとしたが平静を装って言葉を返せば、僅かに焦りを滲ませた言葉が返ってくる。

 

「気持ちは分からんでもない。馬鹿正直に規則やらを守ってる奴等の横を規則破りが嘲笑うようにして過ぎていく。それを見てると真面目にやるなんて馬鹿らしいとしか思えんよな」

「だよね! だからさ、クラウンの方からモルガナを説得してくれない? クラウンに甘いからきっと何とかなると思うんだ! そしたら、こんな回り道しなくても直接的に解決するし!」

 

 その言葉にちょっと安心した吾輩がいた。まだ12歳なのだ。根回しの大切さも正しく生きようとする意味も理解できてなくて当然。少しくらいは駄々を捏ねる方が子供らしいと、吾輩は思う。

 しかし、いい考え! と目を光らせるロジェに吾輩は首を横に振る。それが罷り通るようになってはならないんだと諭すように落ち着いて、言葉を選ぶ。

 

「これは吾輩が人間だった頃の話なんだが、吾輩の恩人の息子がな? とある作品で賞を取ったんだ。それには恩人も大層喜んで、吾輩にも自慢してきたくらいだ」

「うん、それが何の関係があるの?」

「その作品は、吾輩の弟子が描いた漫画………作品のネタを盗作したものだった」

 

 いつだったかまでは覚えてないが、まだ彼奴が連載する前だ。ひったくりに遭ってポケットに入れていた財布とスマホ以外持って行かれたと吾輩達に泣きついてきた時があったのだ。

 

 その鞄に没案を纏めたネタ帳が入っており、それが流用されたのだ。しかも運悪く、バックアップを持っておらず、先に発表された以上、奴の作品として名前が知れ渡ってしまったので学生の彼奴が声を上げても悪戯と思われてしまうという後味の悪い結果になってしまった。

 

 結局、恩人にだけはそのことを話して、嫁と2人で弟子を励まして何とか立ち直らせたが創作者としてあるまじき行為に2人して怒りを覚えたのは今でも覚えているが、特に印象的だったのは、

 

『そう………ですか。今日、ケーキを買って帰るつもりだったんです。あの子が昔から好きなショートケーキを。お祝いに』

 

 ──もう怒る事すら疲れてしまった恩人の姿だった。

 

「真面目な奴ほど馬鹿を見る………それが間違いじゃないのが、この世界でクソな事実だが、かと言って真面目に生きなくていいって事にはならないんだよ」

「それは………そうだけど」

「世の中ってのは結構面白く出来ててな。真面目に生きてない奴、一度でも何か罪を犯した奴は誰からも守られなくなっちまうんだ。吾輩だってそうだ、ロジェ。主が義賊ではなく、盗人になってしまえば吾輩もきっと主を軽蔑する」

「………でも、クラウンは義賊であろうとする事は否定しないよね? それは何で?」

 

 確かに世間的には義賊も立派な泥棒だろう。でも、富を占有する悪しき人から善良な被害者達に還元するなら見逃してもいいと思ってしまうのが人間の面白いところだ。

 

 現に帝国の富裕層や家畜牧場とかなら、見逃しても良くないか?って意見は一致するだろう。結局、他者が納得できる理由がなければ義賊も泥棒も大差はない。

 

 司法に頼れば、解決できるならそうすればいいがそう出来ない。それを待っていれば大切な何かを失うとした際に初めてロジェのような人らが必要になるのだと吾輩は思う。

 

「まあ、主は真面目に先祖に恥じない義賊を目指そうとしてるからな。他に手段がなく、最後に盗みに走るならまぁいいさ。でも、今みたいに解決出来そうな手段があるのに楽だから。の一言で盗みを働くのはきっと先祖達だって怒ると思うぞ」

「………そうかな?」

「納得いかないかもしれんが、大人になるにつれてわかっていくさ。主の存在は切り札、伏せ札に近い。真面目に生きて、それでも理不尽が襲う時に漸く切れる手札だ」

「切り札………ボクもそうなれるかな」

「なれるさ。吾輩の信じる主ならきっとな。ところで………ユニが全然帰ってこんな。何かあったか?」

「た、確かに。ちょっと探しに………」

「た、たすけてー!!」

 

 少し、帽子で顔を隠して考え始めたロジェの頭を尻尾で叩いて呼びかけた瞬間に森の奥からユニの叫び声が聞こえた。妙にわざとらしいが、まぁいい。準備ができたという事だろう。

 

「っ!! クラウン掴まってて! 飛ばすよ!」

「おう………はにゃああああああああ!!」

 

 吾輩は猫である。名前はクロ、おはぎ、クラウン、モフガルド・ニャンディアス3世、キミリア。全速力で駆け出した風の抵抗を受けながら、自分のあり方に悩みながらも誰かの為にすぐに動く彼女を吾輩は愛しく思うのだった。




そう、怪盗のゲームといえば『スライ・クーパー』ですね!
3作品ありますから皆もやりましょう!

ブクマ、評価ありがとうございます。感想もありがとうございます!
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