吾輩は猫である。前世で描いた鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画の世界に転生したので贖罪の為に魔女達を救って行こうと思う。 作:シャモロック
いい旅路でしたね………その余韻のまま駆け抜けたい。
年内に後1話は投稿したい。
吾輩は猫である。名前はクロ、おはぎ、クラウン、モフガルド・ニャンディアス3世、キミリア。あの後、ルーフェン殿のとこで2人のドレスの仕上げや吾輩が勢いで購入した服など色々あったが無事に終わったと言っていいだろう。
ちょっとモルガナとアルチナが吾輩が買った服を見ながら、内緒話をしていたのが気になるが。しかもご丁寧に吾輩とロジェを遊ばせると言う隔離っぷり。何故だか吾輩の直感が囁くの。逃げなきゃ食われるって。
いやいやまさかね? 吾輩もそう思ってましたよ? ルーフェンのアトリエに備え付けられていた転移扉でモルガナのアトリエに帰還して、王宮への呼び出しに備えようと吾輩の自室(ビジホの部屋くらいの家具と大きさ)で眠ろうとしたら、夜中にガチャリと音がして。
「さあ、クロ? 今日も一緒に寝ましょうか?」
「おはぎ先生、お姉さんも一緒に寝たいんだけど、いいわよねぇ?」
そこには──えっちなお姉さんが2人もいた。
ぶっちゃけ、半分寝ぼけてたからモルガナとアルチナだと気付いてなかったと言い訳をさせてほしい。
だって、うちの娘があんなえっちな格好をする訳ないじゃないか。
うちの娘達があんな吾輩好みのえっちな格好をする訳ない!!
「ルーフェンに頼んで作成してもらったんです。殿方を誘惑する下着があると聞きまして」
「その話をお姉さんも聞いてねえ? せっかくだし、お姉さんも1着買ってみたの? どうかしらぁ?」
そんな2人の服装は、モルガナは露出は控え目で襟には繊細なシルバーの刺繍が入った白のシルクのナイトウェア。
アルチナは、黒のベビードールだがハイウエストでドレスみたいなチュールをふんわり重ねて見えそうで見えないチラリズム、でもレースでうっすら肌が見えてる奴で吾輩一気に目が覚めた。
いいよね、見えそうで見えないのが想像を掻き立てること。吾輩大好き。二代目編集にもその話を熱く語った記憶が蘇る。
『いや、分かるわよ? でも健全さで考えなさいよ! アンタが描いてんのは少年誌! まだ学生の子達に服を着てる方がエロいって教え込む訳!? そういうのは大人になってから勝手に開拓するもんで、あんたが開拓者になってどうすんの!?』
『でも、魔女達が島国で水着回をやるんだ………1人くらいは濡れ透け役がいてもいいじゃないか!』
『その結果、読者の子達が汗に濡れた体操服で興奮するようにでもなったらどうすんの!? あたしは知らないからね!?』
いや、あんまりいい記憶ではなかったな。うん。吾輩反省。
話を戻すが、いつの間にやら吾輩が寝るベッド………いつか人間になってもいいようにサイズも人型用の奴に潜り込んで………あっ、凄いいい匂いがする。
「クロ、貴方の人間の体に関してですがやはり手間取ってます。もう暫く時間をもらえないでしょうか」
「肉体は作れたのだけどねぇ。まあ、そこに至るまでに姫様とぶつかりあったわけだけど」
「それは貴女が、クロの体は少年くらい小さい方がいいと言うから。私としてはクロは背丈が高い大人の男性の方がいいに決まってます」
「主ら、吾輩達が戦ってる間に性癖談義してたの??」
吾輩を挟んで川の字になる2人はかわるがわる吾輩を胸に抱き抱えながら、現状を教えてくれる。ちくしょう、吾輩がおっぱい大好きだからって色仕掛けで攻めてきやがる。吾輩を落とす事にプライドとかないのか!
あと、シンプルに吾輩の肉体を主らで勝手に決めないでほしい。吾輩の肉体は吾輩のものだ。でも可能であれば身長は伸ばして? 元が165cmだから170は欲しい。男らしい肉体になりたい。
「性癖談義ですか………確かにしましたね。因みに私は世話焼きでいざとなれば誰かの為に命を懸けられる男の人が好みです。勿論、女性を見下したり、差別したりしないのは前提ですが」
「したわねぇ。お姉さんも頼りになって甘えられる素敵な人、しかも1番辛い時に文句も愚痴も言わずに寄り添ってくれる人が好みってねぇ。後は歳下なら尚よし」
「ねえ、寝る前だってのに何だか息が荒くない、2人とも? 吾輩は猫だよ? まだ猫だよ? やめよう? ちょっと冷静になろう?」
性癖談義で仲良くなってるのは結構なんだが、協定して吾輩を狙いに来るのは勘弁して。吾輩は絶対に勝てないって何となくわかる。だって吾輩、胸が大きい美人に弱いのだから!
「と、今襲ってもクロを傷つけるだけなのでしませんが。ひとまず、情報共有と協定の報告です」
「協定………? アッ、いいです。聞きたくないです」
「そうですか。では、話さないでおきましょう。水面下で何が進んでいても決して報告は致しません………ただ、覚悟の準備だけはしてくださいね」
「式の準備もしておいてねぇ? 貴方はお姉さん達のなんだからぁ。一緒のお墓に入ることも楽しみにしておいてねえ? いいかしら?」
「「だから、今だけは添い寝で許してあげる」」
「おっと、吾輩選択肢を間違えたなこれは?」
どうして?(宇宙猫)
くっ、2人の体に微睡んでいる暇ではないらしい。このままでは、人間に戻った瞬間に食われて………いや、吾輩が無様に誘惑に負けそうな気がする!
今はまだ猫の体だからか、性的な価値観が違うからか生々しい欲望は湧いてこない。でっかいおっぱいに憧れるのは男女問わずの欲望だし、母性に甘えたくなるのは本能なのでヨシ。
しかし、人間になれば吾輩は恐らく前世に近い姿に戻るだろう。そうなれば、美人2人に誘惑されたら負けられない自信がない。嫁になる前の彼女にすら勝てなかった男だぞ、吾輩が勝てるわけねえだろうが!
ふかふか人肌クッションに埋もれながら、吾輩は考える。人間に戻らないという選択肢はあるか? 答えはNoだ。やはり、猫の体では限界があるのだから人間には戻っておきたい。
優先すべきは魔女達だが、今はまだ戦力的にも安定している。それならば今のうちに戻っておくのは手段としていいだろう。気になるのは、吾輩が死んだらどうなるかだ。
死亡→転生の流れが人間としての肉体で行われるのか、または猫の体でリセットがかかってしまうのかもわからない。吾輩が何故、猫になっているかもさっぱりだ。
加えて、吾輩が死んだら何故か魔女達の側に転生するのも理由がつかない。自己を振り返れば振り返るほど、吾輩は疑問だらけだな。やっぱり、後回しにした方がいい気がする。
ついでに魔女達から向けられる好意についても………見なかった事にしよう! うん! だって吾輩まだ猫だしな! 人間に戻ってから考えよう!
まさか、人間に戻ったその日に食われるとかあり得ないしな!
あっはははははは!!
吾輩は眠った。現実から逃げるように。悩みは眠ると大抵吹き飛ぶけど、結局は何も解決しないよね。と吾輩の理知的な部分が囁くのも無視して、ひたすらに眠るのだった。
*
「クラウン、なんか妙に疲れてない? それに………なんか甘い匂いもするし」
「聞かないでくれ………」
翌朝、吾輩達はまたもや馬車に揺られていた。今回は王家の迎えの馬車である。太陽のような旭の象徴が記された紋章の馬車に躊躇いなく乗り込むモルガナ、当然のようにエスコートするアルチナに続き、吾輩と着飾ったロジェも乗り込んでいく。
城の正面で馬車を降りたモルガナ御一行(+猫)は、居並ぶ衛兵達に見守られながら、内部へと導かれた。お城はもちろん石造り。大きくて重そうな扉が、背後でゆっくりと閉じていく。
エントランスは三階あたりまで吹き抜けで、思ったよりも明るい。魔道具の照明に加え、自然光の入る窓や、雲を象ったステンドグラスも設置されている。
権威づけのための荘厳な城といった趣だ。吾輩が考えたのだが、実物見ると住みにくそう。すまんな、ドイツの観光名所参考にしたせいだ。
建築としては凝っていて嫌いではないのだが、「ここに住め」と言われたら、吾輩は断ると思う。もっとこじんまりでいい。具体的には2LDKくらい。
「ふむ、クロと住むにはやはりこれくらいの城がいいかもしれませんね。やはり、我が夫ともなればそれに見合った住居が必要でしょう」
「吾輩、世界を救った英雄か何か?」
「まあ、御伽話の聖女勇者一行くらいなら納得だけどねぇ」
ただ、モルガナ的には気に入ったのか是非ともとお城を薦めてくるのはやめよ? 吾輩ただの漫画大好きお兄さんだよ? それこそ魔王を倒した勇者クラスじゃないと無理だと思う。
そんな会話を重ねていると、他の使用人よりも格上っぽいキャラが、我々一行の前に立ちふさがった。下手したら中ボスである。吾輩怖い。
佇まいからして、只者じゃない。ゆっくり頭を下げて吾輩達を出迎えるが体幹などにブレもない。蜜柑色の髪を編み込んだカチューシャ風の髪型を保ちながら、古風なヴィクトリア風メイド服に身を包む彼女は頭をあげた。
「王家のお望みとあれば、何処へでも。ワタシはこの城のメイド長………ウルシュラと申します」
「………ウルシュラ?」
「どうかしましたか? アリシア?」
「………いえ、お姉さんの顔見知りによく似てるなって」
何か小骨が喉にささったような微妙な表情をするアルチナ。吾輩も彼女をじっくり見てみれば、確かに何となく感じたことある雰囲気だ………誰だっけな? 見たことあるようなないような。
「貴女、アーシュラ………若しくはウルスラという名前に聞き覚えは?」
「ふにゃあ!?」
「わっ!? どうしたの!? クラウン!?」
咄嗟に人間の言葉を喋らなかった吾輩を褒めてほしい。ウルスラ!? ウルスラって言ったか!? おいおい、その名前が出てくるのはもっと先の筈だろう! いつ、アルチナは接触したんだ!?
だって、ウルスラは
吾輩、またもや知らない情報に2人のやり取りを見ているとウルシュラと呼ばれた彼女は片眉を顰めて何をおかしな事を?という目をする。
「ウルスラとアーシュラはワタシの妹です。彼女達が何か迷惑を?」
「妹………いえ? 特には。寧ろ、お世話になったわぁ」
「左様ですか。全く、あの子達は同期をまた切って………いえ、失言ですね。それではモルガナ様御一行どうぞ、こちらへ。陛下は既にお待ちしています」
ウルシュラに先導されて、吾輩達は中央の大階段を登り始める。左右には執事や使用人達がずらりと並び、吾輩達を見送ってくれる。暫く、歩き、出迎えるのはあまりにも巨大な扉。
この先に進むなら、全ての希望を捨てよ。と言わんばかりの迫力に吾輩も尻込みしてしまう。ロジェなんか後退り×10回始めたのでアルチナに首根っこ掴まれていた。
「では、ロジェ。ここから先は貴女が主役です。気を引き締めなさい。クロはこちらで引き取りますから」
「まあ、帝国と違って舐めた口さえ利かなければ無事に帰ってこれるから頑張ってねぇ?」
「あっ………は、はいぃ」
「そこまで緊張しなくても大丈夫だ。自信持ってやってこい」
緊張しっぱなしで震え出すロジェを見送り、吾輩達はウルシュラに案内され応接室に向かう。ロジェの褒章が終わるまでそこで待機らしい。
吾輩は猫である。名前はクロ、おはぎ、クラウン、モフガルド・ニャンディアス3世、キミリア。さて、王宮まで来たならば運命はロジェを引き合わせるのだろうか。帰ってきたら彼女から教えて貰おう。
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次回はロジェ視点です。