吾輩は猫である。前世で描いた鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画の世界に転生したので贖罪の為に魔女達を救って行こうと思う。   作:シャモロック

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タイトル通りです。多分1番びっくりしてるのは帝国から亡命して王国に寝返った女性諜報達だと思う。てっきり、自分達みたいに勧誘されるものだとばかりに。

シンプルに体調崩しており、投稿が危ういです………のど飴ないと吐く


元帝国現在王国の諜報部「元騎士団長と決闘!? 死にたいんですか!?」

 吾輩は猫である。名前はクロ、おはぎ、クラウン、モフガルド・ニャンディアス3世、キミリア。ロジェが問題を起こさずに無事に終えたというのに、何故アルチナが問題を起こしているのかと頭が痛くなってきた。

 

「これでモルガナの立場が危うくなったら不味いのだが」

「私が見ている限り、決闘の申し出はティーガーからでした。であれば、責任は全て軍部に行くかと」

「それ、アルチナが黙って殴られたらの話だよな? ティーガーが余計なことを言わずに殴ればいいんだが」

「………無理、かもしれませんね。私も最年少錬金術師の称号を得た際にかなり手厳しい言葉を受けたので」

 

 モルガナに抱えられたまま、吾輩達も練兵場を目指す。モルガナが言うには褒章の授与が終わった後、いきなり待合室に来たと思えば、決闘をふっかけられたという。

 内偵容疑やら密入国などの罪状をちらつかせながら、受ければ見なかった事にすると言われてアルチナは黙ってついて行ったらしい。

 

 そんなアホなやり方でティーガーが関わってくるとは思わなかった。やるにしても温泉街での戦いだと思っていたが、まさかここで仕掛けるとは。

 ティーガー・ミッドウェイ。実力は確かに王国の双璧と呼ばれるだけはあるだろう。だが、片割れに勝てるか?といえばNoである。

 

 まだ若い彼女が成長すれば、片割れや魔女達に勝てるかもしれないが今は勝てるとは思えない。

 辿り着いた練兵場、赤茶けた土で固められた地面に、長い時間の経過を感じさせるが劣化も傷一つない堅固な防壁。錬金術師によって整えられた競技場と同じくらいの広さの中央で、顔から感情が抜け落ちたアルチナと地に倒れているティーガーを見た。

 

「「やっばい」」

 

 奇しくもモルガナと台詞が被った。最悪だ。何かは分からんが、アルチナの地雷をティーガーは踏み抜いたらしい。練兵場の壁の上、吾輩達がいる観覧席では軍人達が顔を真っ青にしている。

 唯一、頭を抱えているのは歳を重ねている白髪のお爺さんと横に座りながら、ティーガーに声援を送っている男だ。

 

「ほらほら、立たんかい! お前が挑んだ決闘だ! 最期まで食らいつかんかい!」

「やめたまえ、ドラゴ君。ティーガー君はもう立てんよ。何なら君が仲介してやるべきだ。これではただの公開処刑にしかならん」

「何をおっしゃっとるんすか、アゼル卿。これは彼奴が浅はかな考えで挑んだ喧嘩。後始末は自分でするべきや。おっ、シュレディンガーちゃん? 見に来たん? ここ、空いとるで?」

 

 吾輩達に気づいた声援を送っていた男、ドラゴは自分の隣の席を払うと身につけていた軍服の上着を敷き、どうぞと手を促す。モルガナも礼をすると、そこに腰をかけてアゼル卿と呼ばれた人物にも会釈した。

 

「シュレディンガー君。彼女は君の護衛だろう? 何とかして止めて貰えないか? このままだと、ティーガー君の心が折れてしまう」

「かまへん。かまへん。彼奴は天狗になりすぎや。ここらで一回、鼻っ柱折っておいたほうがええ。じゃなきゃ、ほんまに帝国なんかと戦争になった際には足手纏いや」

「しかしだね………老い先短い老人として、若者が甚振られるのを見るのは心が痛むよ」

「よういいますわ。若い頃は帝国でぶいぶい言わせてたって聞いとりますで?」

「老人ともなれば丸くなる者だよ。ドラゴ君。君にもいずれ、分かるさ」

「クロ。紹介しますね。こちらの方がドラゴ・レイテ大佐で初老の男性がアゼル・ファウスト卿です。お2人、こちらはクロ。私の家族です」

「よろしく頼む」

 

 どちらも知ってる名前だ。ドラゴ・レイテ。平民上がりでありながら、何度も帝国から王国を守り抜いた軍人だ。硬そうな毛質の黒髪オールバックに常にキッと引き締めた太めの眉毛と下がった口端が特徴のソース顔男児だが、

 

「………ずるやん! シュレディンガーちゃん! 相手が猫ちゃんなのはずるやんか!」

「何の話ですか?」

「オレは、あんな可愛くて才女なシュレディンガーちゃんを誑かした奴を許さんと誓ってたんや。何せ、オレが食事に誘っても華麗に流しちゃうからな。オレ、泣いちゃうで? 流石に50回超えてからは諦めたけど、代わりにシュレディンガーちゃんに相応しいか見定めてやろう思うてんたや」

「余りにも傍迷惑ですね」

「しかし、オレは猫派や! 特に黒猫はずるやんか! ふわふわの毛皮にくりくりとした目! 休日を猫集会場所巡りするようなオレには手を出す事なんてとても出来ん──お前の勝ちや、クロ」

「1人でボケて、1人で完結しないでくれるか?」

 

 この通り、脊髄反射で単独で喋り倒すような口の軽さから印象とは真逆でガッカリした………と言われてる事が多いのだ。それでも仲間や国民からはその気前の良さから慕われている、王国双璧の片割れである。

 

「ふむ………彼が、元人間の猫という訳か。今は彼の為に人形を作っているとこの間聞いたが。なるほど、確かに難題かもしれんな」

「アゼル卿、やはり難しいものでしょうか。私としては賢者の石を使って人形を作り、魂の情報を移す形にしたいと思うのですが」

「なるほど、完全にして不変の賢者の石であるならば魂の情報を失う事なく、移動させられるだろう。問題はクロス氏が生み出した人形のように自我を持たないかが心配だな」

「クロス様のレシピは賢者の石にある程度の記録や条件を打ち込んだ状態で作っていた筈です。今回はクロの情報を入れますから、クロ本人になると思いますが」

 

 そして、モルガナと吾輩の人間化計画について熱く話し合うのがアゼル・ファウスト卿である。穏やかな笑みを浮かべた紳士的な振る舞いの老人で、好々爺然とした印象を与える人物だが元帝国の錬金術師で、嫌気が差したので王国に亡命し、王国の錬金術師のレベルを底上げした偉人だ。

 

 現在は家督を息子に譲り、隠居しつつ王家の者達の教育を行いつつも死ぬまでに『賢者の石』を作りたいと孫ほど歳の差があるモルガナに教えを乞うなどの研究者でもある。

 なので話が盛り上がるのは仕方ないのかもしれないが、吾輩達の目的を忘れるな。あ、別に撫でてほしい訳じゃないにゃー。

 

「話を戻しますが………止めなくていいのですか? 私としては自分の責任問題になるので止めたいのですが」

「別に大丈夫や。これに関しては陛下が承認しとるし、仕掛けたのはティーガーの方。オレが頭を下げる事はあっても、シュレディンガーちゃんが頭を下げる必要はないわ」

「しかし、それは実力差がここまで離れていなかった場合じゃないか? 吾輩、アルチナから謝罪の1つや賠償金ぐらいは出さないといけないと思うが」

 

 悲鳴を通り越した涙声だけが、練兵場の空に吸い込まれていく。見下ろせば、改めて木剣を片手に握り直したアルチナと傷だらけで美貌すら腫れてしまって失われたティーガーがいる。

 

「土属性の派生魔法かしらね? 植物の種に魔力を注ぎ込んで樹木に変える。魔力を溜め込み、木の実を爆弾に変える。なるほど、いい魔法ね。それで? 魔法も使わない私に、斬り捨てられた感想は?」

「帝国の………落伍者がっ!」

「事実だけど、その落伍者に負ける貴女は何者かしら?」

 

 無様ながらも立ち上がり、殴りかかるティーガーをアルチナの剣が全てはたき落とし、地面に叩きつけられる。埒が明かないと、アルチナの目線が吾輩達を射抜く。止めどころが見つからないと顔で訴える彼女に、ドラゴは髪を掻いて立ち上がった。

 

「ティーガー! 次で最後や! 魔力振り絞って、最後に王国魂見せてみろや!」

「止めないのですか?」

「もう魔力強化すらまともに出来とらん。意地だけでやっとる奴が冷静な判断なんかくだせる訳ないっちゅーねん。なら、きっぱり意識を刈り取ってやり。それがあの馬鹿に対する罰で慈悲や」

「という訳だ。アルチナ! 聞こえたな! 全力の一太刀を見せてみろ!」

「それが終わったら、先生は褒めてくれるかしらぁ?」

「安心しろ! 代わりにお説教だ!」

「そんな!?」

 

 アルチナの意識が、逸れた。目線が吾輩達に向いてる中で、ティーガーが大地を蹴って前に飛び出していた。アルチナの視線はまだこちらに向いたまま、ティーガーの手には木で出来たナイフが握られている。完全に虚を突かれたアルチナは──

 

「馬鹿なの? 相手が得意とする戦い方に乗ってくるなんて。貴女の勝ち筋は、手渡した木剣を媒介に私を拘束する事だったのに」

 

 ──視線を彼女にすら向けずに、突き出されたナイフを木の剣で受け流し、彼女の頭へ向けて迷いなく振り下ろしていた。

 

「あんの馬鹿、最後くらい冷静に詰めろや………完全に誘われてたやろ」

「そう冷静にはいかんさ。あれだけコケにされて大地を転がされて、自分の得意で勝つことよりも相手の得意げな顔を変える事を優先してしまった。それが若さというものだよ」

「ですが、戦場では命取りです。特にアルチナは戦争帰りの歴戦の騎士、狙うべきは最初から魔法による初見殺ししかなかった筈です」

 

 三者三様の言葉が終わる頃には、ティーガーはうつ伏せになって練兵場に倒れていた。練兵場に敷き詰められた砂にじわりと血が滲む。量的には大した事はない。鼻血や擦り傷の血だろう。それでも、傷だらけ、満身創痍としか思えない王国の双璧を担う彼女に対し、

 

「魔法も珍しいし、肉体もちゃんと鍛えてる、魔力も申し分ない………けど、圧倒的に経験が足りない。王家を守るのであれば、まずは自分の弱さに向き合いなさい。私はそうやってここまで来たわ」

 

 憐れむように彼女に助言を送るアルチナ、それが敗者にとってどれだけの屈辱になるのか分かってやっているのだろう。剣を地面に突き刺して、彼女は擦り傷すらない体を動かして、彼女に背を向ける。どちらが勝者かは明らかで、軍人達は負け犬の遠吠えしかできない。だから、彼女は足を止めた。

 

「私の騎士道を馬鹿にした事はこれでチャラにしてあげる。不法入国及び滞在の罰はきっちり受けるわ。ただし、彼女の敵討がしたい子達がいるなら──降りてきなさい。今すぐ、相手してあげる」

「なんちゅー殺気や。オレがあんな年になってもこんなえげつないのは出せへんで? 剣一本で帝国騎士団長まで登り詰めた実力はほんまって事やな」

 

 ここまでの実力を見せつけられて、誰が彼女が誘惑しか脳がない娼婦のような女だと思うだろうか。魔法も使わず、二刀流の彼女が片手のみの魔力操作だけという手を抜いて抜いて抜きまくったのに、それでも届かなかった頂にドラゴ殿ですら、ため息を吐くばかりだ。

 

 勝敗は決した。軍人達は威圧されて、逃げ出すように練兵場を後にしていく。ドラゴ殿は敵前逃亡する軍人達や吠える馬鹿犬達に根性がない事にがっかりしながらも、彼女を回収しに練兵場へ下りていった。

 

「私達もアルチナを迎えに行きましょう」

「そうだな。お説教もせんといかんし」

「………私も久しぶりにお説教受けたいです」

「なんで??」

 

 吾輩は猫である。名前はクロ、おはぎ、クラウン、モフガルド・ニャンディアス3世、キミリア。因みにロジェも合流した。いっぱいお菓子を貰って口をもぐもぐさせながら。お主はもうそのままでいてくれ。

 




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