【第1部完結】吾輩は猫である。前世で描いた鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画の世界に転生したので贖罪の為に魔女達を救って行こうと思う。   作:あんみつ炙りカルビ

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これで本当に終了。次回本編は7月開始予定。
それまではプロット練らせて欲しい。下手したらまた50話超えるかもだからねっ!



とある死神少女の独白

『不思議な人………見た目は猫なのに、人間の魂があるなんて。それで、黒猫さんはこんな地下に封じられた私に何の用?』

『そうだな………幸福を届けに来た。なんて言ったら、主は笑うか?』

 

 黒猫は不幸を持ってくる。帝国から伝わった俗説は地下のカビ臭い世界にも届いていた。手首と足首に打ち込まれた楔の痛さも、お腹と背中がくっつきそうな飢えにも慣れてしまったそんな頃、黒猫さんはやってきた。

 

 黒猫さんは知識をくれた。美味しい食べ物と、魔法をくれた。

 寂しさを埋めた。悲しさを分けてくれた。一緒に喜んでくれた。

 幸福をくれた。愛を………くれた。

 

『だからな、ユニ。おれはもう長くない』

 

 そんな彼はウチの父に当たる魔族………七元徳の1人『節制』の『テンペランス』を倒す対価に『節制』の美徳の効果『消費』を受けてしまった。

 

『これが最期の御伽話だ──ユニ、人生で最高の物語にしよう』

 

 だから、殺した。ウチが、3世を世界から失わせない為に。消えてゆく存在の中でどれだけ繋ぎ止められたかは分からない。

 再会するまで、本当に3世が生きててくれるかどうかも定かじゃなかったから。

 

『………ユニティ・ブバスティスであってるな?』

 

 その言葉で悟った。3世は記憶を失うだけで済んだんだって。それがどれだけ、ウチを安心させたか。きっと3世は知らないだろう。

 だから、誓った。あの日の馬鹿な自分に。殺したいほど憎い幼い私を何度も頭で殺しながら。

 

「ウチは──3世の為に生きて死ぬ。その為にウチは生まれたんだから」

「が、がっ………く、そ、なんで、こんなとこに」

 

 王国の暗がり、路地裏。夜も更けて平常ならば来ない空間に彼はいた。だから、ウチもいる。彼の頭を思いっきり足蹴にしながら。

 

「そりゃ〜優秀なメイドがウチらにはついてるからねん! という訳で教えてくれてまぢさんきゅ! ウルシュラちゃん! あっ! ()()()()()()()()()()()()

「まあね〜久しぶりだね、シアン〜」

「あ? 会った事ないだろ、お前」

「………ごめ〜ん。勘違いだったかも〜まあ、いっか」

 

 緩い口調とは裏腹に流れるような動作で彼女はそれを抜いた。掌をはみ出す無骨な塊。拳銃と呼ばれる、帝国でも開発されていたらしいそれ。1発撃つごとに整備が必要なほど繊細なそれを、問答無用で発砲する。

 

「げぼっ!? な、何だ、これは!?」

「大蒜と聖水を混ぜて銀で覆った半吸血鬼対弾。こー見えてもキミリアの1番弟子なのでよゆ〜なんだよね〜こういうの」

 

 着弾したそれにシアンはウチの脚から逃れながらも壁に寄りかかりながらずり落ちていく。弱体化してるかの確認の為に、思いっきり腹を蹴り飛ばす。勿論、魂絶も添えて。

 

「魂を直接蹴り飛ばされるのはキクでしょ? いっくら、半吸血鬼でも魂を治せる奴なんて見たことないしねっ!」

「っっ! な、何なんだよ………魔法も使えねえ………なぶり殺しにするつもりか!?」

「君の我儘に付き合わされた王国民はそうしたいだろうけどね〜ウル達はまた別件でね〜」

 

 メイド服のまましゃがむウルテマちゃん。見れば見るほど面白い魂の形をしてるよね〜魂があるのは()()()()()()()だけで後はみーんな、空っぽなんだもん。

 

 確か、ウルシュラちゃん達は端末でしかなくて………統括個体って呼ばれてるウルテマちゃんが管理してるんだっけ? 賢者の石の色がどーたらとか、指揮系統に上位下位とかあるっぽいけど。

 

 んで、ウルテマちゃん達全員に変換器が埋め込まれてるから魔力を電気に変えて記憶や情報を共有してるんだったはず………くらうど?とかいんたーねっと?とかよくわかんない説明だったけどねっ!

 

「単刀直入に言うね? ()()()()()()()()()()

「………は?」

「もっとわかりやすく言わないと分かんないかなぁ? ウチが匿ってあげるって言ってんの。他の魔女とは相性悪いだろうけど、ウチは理解してあげられるからねっ!」

「理解? ハッ、僕に対して甘い言葉を掛ければ良いとでも………」

()()()()()()()()()()()

「──!!」

「ウチは好きだよ、その言葉! 人は見たいようにしか見ないし、聴きたいようにしか聞かない。ましてや、過去の真実なんてどうでもいい。『モフガルド・ニャンディアスは亜人による反抗を起こそうとした大罪人』それ以外に真実はないんだってね」

 

 今更明らかにしても誰も幸せにならない。本当はウチの父親が主導だった事。人間達がウチらに罪を着せようとした事。それら全てを明らかにすれば、困るのは今の連邦国だ。だから、誰も真実を調べない。

 

「それに、シアンは役立ってくれたしね〜()()()()()()()()()()()

「やりたかった事………?」

 

 怪訝そうな声のシアン。彼には本当に感謝してるんだ。だって、

 

3()()()()()()()()()()()()()()()()()()を作りたかったんだ! だから、三羽鴉も貴方という存在も都合が良かった。貴方という絶対悪を3世が育てた魔女達が撃ち破る。蘇った英雄による最も新しい英雄譚!! それにより、3世が世界に名前を残す! 汚名ではなく、誰も越せない名誉を! あの聖女勇者を越すほどの物語を!! ウチが紡いで出版する! その為だけに有名作家になったんだから!!」

 

 ウチがあの日からずっと考えていた計画を短縮できたんだから! 本当は連邦国でやるつもりだったけど! 都合のいい奴隷組織がいて、たまたまウチなら選択肢を増やしてやれた!

 

 選ぶかは彼次第だったけど、彼の魂から考えて目の前に現れた選択肢を選ばないはずが無かった!

 

 だから、奴隷組織を潰して奴隷達を解放した後に交渉をした。片目を譲り、魂を観測する目で賢者の石を作成させれば後は転がるようにウチの想定通りの物語になった!

 

 国中に怪物が現れる可能性は低かったけど、万が一を備えて禁書を使ってて良かったし、モルモルによる魔力供給のおかげでウチの禁書で魔法を終わらせる事が出来たのも良かった。

 

 王国に恩が売れたし、連邦国から復興支援として交易も更に盛んになる。そうすれば、交易にかかる時間の煩わしさから、モルモルの考えている魔導列車計画?が必要になる理由作りにもなる。後、ウチも3世の魔女だから更に箔がつく。

 

「だから、お礼に匿ってあげる。その気なら、好みの女の子だって用意してあげるし、お金もあげる。何せ、ウチは連邦国家の巫女姫にして有名作家だからねっ! 大半は3世に貢ぐけど!」

「キミリアはお金も女の子もいるからいらないと思うけどね〜」

「そこは、ほら?? う、ウチがさ………よ、夜伽の相手とかぁ」

「急に純情だね〜ギャップ萌えでも狙ってる?」

 

 ううっ、し、仕方ないじゃん。3世はほら?亜人だし、かっこいいし? 何なら自分を地下から外の世界に出してくれた恩人だし? お金も魔法も与えてくれたし? でも、やっぱりお世話になってた人とそういう関係になるのは恥ずかしい訳で。顔の熱を覚ますように手で仰ぐ。

 

 

 

「───狂ってる」

 

 

 

 そんなウチ達にシアンは呆然とした声を掛けて来るが、ウチらは顔を見合わせて首を傾げる。何故彼はそんな事を言うのだろうか。確かに狂ってると言われても仕方ない。仕方ないが………彼だって国を支配しようとしてるのだから、同じ立場にいる筈なのに。どうして、分からないのだろう。

 

 

 

「ええ。ウチらはずっと──あの人への愛で狂ってるんだから」

 

 

 

 返答を聞いて、シアンの顔から血の気が引いた。青を通り越して、真っ白な顔色は喧嘩を売る相手を間違えたと言わんばかりに震えている。これで魂は折れたかな? ウルテマちゃんに向けて頷くと、彼女はこてんと首を傾げながら。

 

 

「それで〜どうする? あっ。ちなみに見逃すはないからね〜。なら、ここで安らぎを与えてあげる。全てから解放されて、ゆっくり休むといいよ?」

「殺す、って事か?」

「人聞き悪いなぁ。まあでも、同じだと思っていいよ? 代わりにウチらに付いたらさっきの条件と………あっ、じゃあシアンが主役の物語も書いてあげよっか? 例えば『最弱魔法『影操作』の僕は勇者一行から追放されるそうです〜追放後に覚醒して最強になりましたので勇者一行に復讐します〜』とか!」

「………名前付け下手すぎるだろ」

「それ、3世にも言われた〜で? どうする?」

 

 ウルテマちゃんが銃を頭に押し付ける。ばちばちと空気をふるわす帯電の音にシアンは肩を震わして諦めたようにため息をついた。

 

「………そちら側につく」

「はい、よろしくね! じゃあ、早速で悪いけどこん中入って入って〜!」

 

 ウチが広げた真っ新な本。それに手を伸ばせば、ゆっくりと腕から体が全部飲み込まれていく。肉体全てが飲み込まれた後、冊子の色が艶かしい黒へと姿を変える。それを確認して、ウチは本を閉まった。

 

「ウルテマちゃん、これでオッケー?」

「おっけー。助かったよ〜シアンはここで逃すと後々、厄介な事になるからさ〜。早めに対処しておきたかったんだ〜」

「じゃあ、ウチは戻るね。ウルテマちゃんも本体は?大丈夫?」

「暇なのが敵だね〜まあ、今はキミリアと話が出来るから大分マシ」

 

 やらなければならない事を果たして、ウチらは手を振って路地裏から出る。見上げれば星たちが見下ろしている。

 あの日見上げた星空を思い出すような夜空に、自分が変わってしまった事を自嘲する。

 

「初めて魔法を使った時、あんな星空を作れるかもって思ったんだっけ」

 

 100年経ってウチは変わった。考えなしの子供から考えて動かないといけない大人の女性に。誰に感謝されなくてもいい。3世に嫌われるのは堪えるけど………きっと他の魔女達にこんな汚い部分は似合わないだろうから。

 

「誰もやらないならウチがやる。1人くらいこういう魔女がいてもいいよね、3世」

 

 話せばきっと止められる。だって3世だから。ウチらに汚い部分や悲惨な事を嫌う人だ。代わりに自分が!ってなる可能性が高い。

 でもね、()()()くん。魔女達はみんな、貴方にも幸せになって欲しいんだよ? 辛い事も1人で背負うくらいならウチらも背負うよ。

 

「だから、ウチは──貴方の為に生きて死ぬ。貴方を信じて支えていきたいから」

 

 夜道をスキップ混じりに帰る愚かで劣悪な死神の戯言を、ただ星たちだけが聴いていた。

 

 

 

 

 なお、この2日後に大体考えていた悪巧みを当てられて3世から接近禁止命令を与えられて泣きながら帰ったのはまた別の話。




ここまで読んでユニティ・ブバスティスの評価がどうなるか怖いですが、1人くらいは狂信的な奴がいてもいいと思うんですよね。

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