【第1部完結】吾輩は猫である。前世で描いた鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画の世界に転生したので贖罪の為に魔女達を救って行こうと思う。   作:あんみつ炙りカルビ

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お気づきかもしれませんが、幕間のテーマはモルガナやアルチナとの関係の清算です。

ロジェ? 彼女は何故かミスト王女の懐刀として王国の膿を搾り出してます。スピンオフ作品のエピソードを踏襲してるとも言う。


おはぎ参謀を処刑せよ

「おはよう、諸君。早速だが、我らがおはぎ参謀を処刑しようと思う」

「開幕からクライマックスすぎるだろ!!」

 

 吾輩は猫である。名前はクロ、おはぎ、クラウン、モフガルド・ニャンディアス3世、キミリア。人間の頃の名前はヤマト。

 黒猫姿でアルチナとすやすや寝ていた吾輩は次に起きると、何故か磔にされて顔を麻袋で隠した女騎士達に囲まれていました。悪夢かな?

 

「では被告人。何か言い残すことは?」

「えっ、待って? 吾輩の罪状くらい教えてくれないか?」

「罪状【隊長へのクソボケ行為】だ。昨日もまた、隊長と一緒に寝ていながらも一切手を出すことをしなかった貴様の行為は万死に値する!」

「それ、大事だからこその行動じゃダメなんですかねえ!?」

「黙れ、クソボケ猫!! 貴様に隊長の拗らせた乙女心を救えるのか!?」

 

 怖いって。麻袋で顔を隠したまま、剣を掲げないで??

 10人もいたら最早カルト教団にしか見えないんよ。

 

「裁判長! 追加で余罪が発覚いたしました! 被告は数日前、ロナルド殿と飲み会に行き、姫様への愛を高らかに叫んでいた模様! ですが、その日の晩に営みはなかったようです!」

「高らかには叫んでねえよ!!」

「姫様への愛を言っていたのは事実か? 被告人」

「………………黙秘権を行使する」

 

 くっそ、女騎士達行きつけの蕎麦屋で相談に乗るんじゃなかったか。吾輩のプライバシーがダダ漏れだ。

 

「被告人。いい加減罪を認めたらどうだ? 隊長は歳はいってるが、撤退的に尽くしてくれる女性で胸や尻はそこらの女より突き出ているし、強さに関しては7元徳の1人を落とすほどだ」

「しかも、被疑者は本妻を望んではおらず、第二で構わないと謙遜してる模様。帝国民であれば喜んでやり捨て便器にするに違いない逸材ですよ!」

「主らは、アルチナを褒めてるの? 貶してるの?」

「「「「「「「「「「騎士としての隊長は好きだけど、女としての幸せを捨ててる隊長はあんまり………」」」」」」」」」」

「アルチナに主らのような部下がいて良かったと思ってるよ」

 

 隊長の幸せを願っている良き部下達………吾輩を、丸太に縄でくくりつけてること以外は本当にいい奴らだとは思う。

 

「それはそれとして、順序があると思わないか? 主らからして、姫様もといモルガナをさしおいてアルチナに手を出すことはおかしいと思わないのか?」

 

 騎士達の中にざわめきが走る。それは困惑、戸惑いに近いもの。

 

「えっ、それって普通じゃないの………? 帝国貴族って女なら適当に手を出して、飽きたら捨てるか愛人に格上げだよね?」

「正妻って政略結婚の意味合いが強いから愛人達から冷遇されたり、嫌がらせ受けて自殺とかしてなかった?」

「馬鹿。アレは他殺だったでしょうが。しかも、正妻と旦那は相思相愛だったのに愛人達によって貧困民利用されて殺されたじゃん。あたしの血縁の母がその愛人だったし」

「でも誰かデブハゲ汚貴族に愛人として仕えさせられたけど、血の繋がらないイケメンの有能息子の正妻に収まった奴いなかったっけ?」

「デイジーじゃなかった? んでピーチがその護衛の騎士だったはずだけど反乱の疑いありで五聖騎士に旦那様共々戦場に送りにされたのよね」

「人の過去暴露すんなよ。それで言ったら、領主の貴族に初夜権使わされて1ヶ月後に妊娠して帰って来た騎士もいるでしょ。ジャスミンとローズよね、確か」

「生まれたのが息子だから、悪いことにはなって無いと思うけどね。というかマリーも笑えないでしょ。皇帝の何番目の愛人だったんだけ?」

「108番目。あれはもう一種の国よ。派閥争いに、水面下の殺し合い。挙句には愛人同士で出来てる所もあったわよ。やはり、同性こそが真実の愛よね」

「そう考えると、おはぎ参謀って滅茶苦茶大当たりだと思ってだけど………もしかして、おはぎ参謀の考え方の方が一般的なのか。ん? どうした? おはぎさん。耳なんか塞いで。それで現実は何もかわりゃしねえぞ」

「もう、やめよう!! 誰も幸せにならないだろ、この話!!」

 

 どうして、どうしてそんなに軽い感じで話せるの………? 吾輩わかんにゃいよ。というか帝国貴族終わり散らかしてるだろ。どうやって国を保ってるの?

 

「まあ、今の話を聞いて分かると思うが帝国貴族の一夫多妻に比べたらアンタが3人くらい抱えるのに何らおかしな所はないわけだ。むしろ、きちんと責任とって妾に迎えようとするなんて帝国民からしたら立派すぎる」

「それは帝国貴族が終わり散らかしてるだけでは?」

 

 そんなホームレスを見て、自分はまだマシって思う薄給サラリーマンじゃないんだから。

 

「いや、そうでもなくない? 誰だっけ? リコリスよね。王国の貴族からも求婚されてたけど、条件がまあ厳しかったよね」

「『10人目の妾にしてやる。貴様くらいの行き遅れなら実力を、加味してもその程度がいいだろう』って言われたわ。男爵様がよく言ったわね!」

「それでも実力があるから、一夫多妻出来てるのでは?」

「そいつ、王国で作られている造幣局勤らしいわよ。ロジェちゃんから聞いたわ。何かきな臭い動きしてるって」

「ああ、ここ最近は姿を見せないと思ったら………」

 

 それ吾輩知ってる。スピンオフ漫画で描いたエピソードの1つだ。信用崩壊を引き起こそうとして、ミスト王女指揮下にある復帰した軍の本隊+ロジェとの共同作戦だっだはずだ。

 

 屋内による本隊とロジェの格闘が主体のため、ファンタジーは?とファンから突っ込まれたのは地味に苦い記憶である。

 

「ともかく、リコリスはまだ20代半ばでこう言われてるのに隊長なんて見てみろ! 王国からしてもこんな扱いだぞ! 30代なんて貰い手がいるわけないだろ!! しかも帝国民のお下がりだぞ!?」

「リリィ、お前アルチナに殺されるぞ」

「つか、おはぎもそうだろ? 男なんて成人したて、しかも初物が大好きなもんだ。むしろ、隊長格みたいな女を愛してやるって方が信じがたいんだって。で、実際はどうなんだ? アタシとの仲だろ?」

「馬鹿いえ。あれだけの美人が嫁に出来るなら、寧ろこっちから頭を下げてお願いするわ」

 

 汚れてるとかも別に気にはしないしな。そもそも成人してるなら経験は少なからずあるだろうし。ただ、やっぱりあの人が忘れられなくて〜とかで浮気するのは絶許。不倫も許さん。せめて筋は通せ。

 

「じゃあ、隊長に手を出してやれよ!! 出さないのはその辺りが理由だと思ってたわ!!」

「吾輩がそんな奴だと思われてたのが地味にショックだよ!」

「ならいつ手を出すんだよ。隊長、地味に不安がってんだからな!」

「宣告するようなもんでもないだろ!! そういうのは、普通結婚してからでな………」

 

 結婚。そのワードを口にした瞬間、吾輩の髭に電流が走る。野生の本能が告げている。すぐさま顔を上げると、麻袋を脱ぎ捨てて悪魔のような顔を浮かべたリリィがニヤニヤしながら立っていた。

 

「つまり、結婚したら手を出すんだな?」

「いや。それは言葉のあやで「男に二言があるのか?」………ありません」

「いやぁ、良かった良かった! 楽しみだなぁ!! 隊長の結婚式!」

 

 そこまで詰めた後、リリィは扉に近づくと思いっきり開く。そこにはじんわりと頬を赤くし、口元に手を当てている紫髪の美女の姿。畜生、嵌められた!!

 

 おめでとう、おめでとうと女騎士達が拍手する仲、おずおずとアルチナがこちらに歩いてくる。ちょっと汗をかいてるばかりか、少しばかり合わない目線をしつつも吾輩を縛る縄を解いた。

 

 ………覚悟を決めるか。

 

「話は、その、聞いていたか?」

「ええ、割と前から、ね。それでその、私を本当に貰ってくれるの?」

 

 期待と諦観。彼女の瞳がその2つで揺れているようだった。牢屋で再会した時と、あの蕎麦屋で会話した内容を想起して、吾輩は人間へと戻って、彼女の手を握る。

 

「姫様に比べたら、硬い手でしょう? 剣を握り、魔族を殺し、何かを壊す事しかできない手よ。そんな手よりも貴方はもっと綺麗でか弱い女の子の手を引くべきよ?」

「蕎麦屋の時とは真逆の事言うじゃないか。吾輩に貰われたいんじゃなかったのか?」

「おはぎ先生なら分かるでしょ? 言い訳を与えているのよ」

「なるほど。だがアルチナなら分かるだろ?」

 

 縄の切れ端を人差し指で回せば、白く輝く金の指輪が生まれる。モルガナと同じデザインだと味気ないと思って2振りの剣が交差するような指輪の形にして、彼女の左手を取る。

 

 しっかりと鍛え込まれた掌は硬く、それでいて頼り甲斐のある手だ。壊すだけの手ではこうはならない。その薬指に指輪を通す。

 あの日、交わした言葉の答えを。今、伝えたい言葉を贈ろう。

 

 

 

「アルチナ──おれを幸せにしてくれないか?」

「───っ、それって!」

 

 

 

 胸を張り、全力で情けない事を言った。目を見開く彼女からしたら、予想だにしていなかったに違いない。

 幸せにしてやる。君が欲しい、とか色々言葉はあっただろうけど、彼女に対してはこれが一番な気がしたから。

 

「幸せになるのが怖いおれを、助けて欲しい」

「………………」

「幸福の後に来るだろう不幸に怯えるおれを守ってくれないか?」

「──ふふっ」

 

 身勝手で、情けなくて、それでも彼女が欲しいと言う吾輩の言葉に彼女は抱きしめてくれた。きつく、強く。不幸という見えない敵から守ってくれるように、包み込んでくれる。

 

「──それじゃあ、末永くよろしくお願いします」

「ああ、こちらこそよろしく頼む」

 

 耳元で囁かれたその言葉にどこかで聞いたような覚えがありながらも、吾輩は彼女の背中に手を回して彼女を抱き締める。

 

「よっしゃ、酒持ってこい! 酒!! 今日は宴会だ!!」

「秘蔵の奴持ってきます!! つまみは頼んだ!」

「揚げた芋をたらふく用意してきます!」

 

 リリィ達がいつの間にやら酒やらつまみやらを用意して、宴会が始まってしまった。こんな朝からと言うべきなのだろうが。リリィ達からしたら、漸く掴んだ幸せを祝わずにはいられないのだろう。

 

「本当にいい部下を持ったな、アルチナ」

「ふふっ。部下じゃないわ。いるのは良き仲間達だけよ」

「ほら2人も早く飲みましょうよ!! せっかくの祝い事なんですから!」

 

 結局、その日は朝から晩まで飲んで騒いでまた飲んで。吾輩以外、全員潰れてしまったのだった。

 吾輩は猫である。名前はクロ、おはぎ、クラウン、モフガルド・ニャンディアス3世、キミリア。人間の頃の名前はヤマト。

 

「クロ」

「はい、吾輩反省してます」

処刑(おしおき)です」

「伏線回収!?」

 

 そして、酔い潰れた女騎士達により仕事が滞ったモルガナから処刑された。




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