世界チャンピオンのサトシと旅をした期間が一番長い縁で連載を持つことになりました   作:襖バリア

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連載一回目.連載の経緯

 サトシ。サトシと言えば頭にどんな言葉をつけたくなるか。恐らくほぼ全ての人は世界チャンピオンという肩書を連想するだろうが、私にとって彼はマサラタウンのサトシだ*1

 超新星が如く彼が世界チャンピオンの称号を手に入れて、世間は新たなチャンピオンの素性に迫りたいという欲に駆られていた。しかし知っての通り、彼は家にも帰らずに旅を続けているし、それでも出会って話を聞いても感覚派な彼の言葉では疑問が増えるばかり。といったことは長く一緒に旅をしていたから想像に難くない。

 故にこそ、定住していて言語化ができる彼に近しい、または近しかった人に話を聞くというのは想像力を働かせれば推理できるがそれが私になるとは皆目見当していなかった。やはり冒頭で述べた通り私にとって彼はマサラタウンのサトシという一少年なのだ。

 

 さてそろそろ自己紹介を、といってもこの文章を紙面で見ているか電子上で確認しているか、はたまた音声やテレパシーといったサイコパワーで認識しているかは定かではないが、サトシへの興味で読んでいる人が全てであろう。故に私については軽く紹介するに努める。

 私はサトシがまだポケモンを一匹しか仲間にしていないときから一緒に旅をしているただの一般人だ。それからは少々長く、と言っても彼の旅仲間(ポケモン含まず)の中では一番期間が長い程度には旅を共にした。それだけだ。

 

 当然の疑問として何故彼と旅を共にすることとなったのか、それに付随して彼への第一印象でも記すとしよう。

 今のチャンピオンとしての彼しか知らない人は驚くと思うが、出会ったばかりの彼は旅が下手だった。今でも目を閉じれば思い返せる。大雨の中、大量のオニスズメに追いかけられ、ひんしのピカチュウを抱えながら、自転車を駆るその姿を。どう考えても死の危険がある恐ろしい情景だ。

 町まで追いかけて後から話を聞いてみれば、他の手持ちのポケモンはいないし、野生のポケモンから気を引いて逃げるための道具もない。さらにはポケモンを回復させるための道具もないと言われた時の私の気持ちといったらなんと言ったらいいことか。そして、そんな目に合っておきながらまだ旅を続ける気だとも言う。

 

 この時の私と彼はほぼ他人。見捨てても何ら問題は無かったがそれをするには人情を持ち過ぎていた。旅の先輩としてせめて大切なことを教えてやろうと思って同行をし、ズルズルと続けた結果こうして連載を持つのだから人生とは不思議なものだ。

 

 最期に、元旅仲間とはいえチャンピオンの痴態を晒すなんて、といったクレームが届きそうなので弁解するが上記の文章、また以後この連載に乗る全ての原稿は世界チャンピオンのサトシがしっかりと監修しているので編集部とサトシと私に迷惑をかけないよう。以上。

*1
苗字のよりも肩書を示す文化の方が優位なため『苗字+名前』ではなく、『肩書+名前』が一般的。

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