世界チャンピオンのサトシと旅をした期間が一番長い縁で連載を持つことになりました 作:襖バリア
こんな質問がきた。旅で炊事を担当していたとのことですが、是非とも得意のレシピを教えて下さい。概ねこんな感じの内容だ。私の得意レシピを聞きたい人もいれば、旅で役立たせるために聞きたがっている人も、面白いものだと世界チャンピオンのサトシが食べた料理として肖りたいなんてものもあった。
では私の得意料理かつ、一番振舞った料理のレシピを公開しよう。まずワカクサコーンの粒を外す。芯を薄めの輪切り、若しくは細かく切る。鍋の中に今切ったもの、水と適当に調味料を入れて煮る。完成。適当ポタージュだ。手に入った食材によってはきのみを皮ごと刻んだものを入れたり、なんならワカクサコーンを抜いて作ったりもする。一度コツを掴めばバリエーションを利かせやすい素晴らしいレシピだ。
個人的には調理はしやすいし美味しいので大満足な料理なのだがサトシには割と不評だった。正確に言うならば連日これでは参ってしまうので固形物も出して欲しいとのことだったか。炊事担当としてちゃんと要望に応えた。切ってないきのみ、きのみの種を炒ったもの、長い時間を噛んで楽しめる茹でてない塩漬け肉、ポケモンフーズ。喜んだ、とは言えない反応だったな。今にして思えば反省する。切ってないきのみはご飯というより間食だ。
今でも思い返すと憤るのはポケモンフーズを出した時の反応だ。食べられないと宣っていたが何たる侮辱。これは企業努力という汗と涙の結晶であり、どの種類のポケモンでも栄養にすることができる素晴らしい食品だ。ということは毒が無いと同義である。であるならば人間が食べて何ら問題ないだろう。何なら作っている企業だって最後は人が食べてみるとも聞くので何も問題はあるまい。
しかしサトシ、並びに同行者の皆に勧めると断られた。少々薄味なのは玉に瑕だが、それ以外は食事として不都合はないのに。
ポケモンフーズを勧めた後から町へ着くとサトシが料理を私と分けるようになった。サトシなりに旅の途中でも美味しいご飯を食べたいため、私に美食が何たるかを教えようとしていたのだろう。失礼な話だ。私はバカ舌ではなく、ゴミや手間が少ない料理をしていただけなのに。美味しいものはちゃんと分かる人なのだ。
一応言っておくがサトシだって偶には料理を作った。初めて作って貰ったものは焦げに味の濃さが酷いものだったが、料理の腕前はしっかり私が鍛えたのである程度は食べられるものにはなった。しかし、バトルの訓練と料理を両立するには時間がかかるし、私の方が炊事に慣れていたり夜にすることが早く終わったり、私自身が早く寝たい性質だったので結局私が炊事を担当した方が丸く収まったのだ。
因みに旅の同行者で一番料理が上手かった人を独断と偏見で選ぶならばタケシだ。彼のシチューは皆が絶賛の素晴らしいものである。もしサトシの旅に肖りたいのであれば私よりもタケシにレシピを聞くべきである。
サトシ評ポタージュ・美味しい、けどどんな美味しい食材が手に入ってもポタージュになるし、これしか出ないので偶に本当に嫌になる