人造人間ハカイダー ダークヒーローの破壊旅 作:アルファるふぁ/保利滝良
来年も、これからもハカイダーと私をよろしくお願いいたします
終の街 前編
地平線まで続く荒野
それに乗るのは
数多の街を訪れて ある時は戦い、ある時は救ってきた
彼は度々、いや、毎度のように理由なく街をさ迷っている
彼は、ジーザスタウンの戦いの後、自らを再び封印しようと考えていた
以前彼が封印されていた島に行き、彼が永遠に近い安らぎの眠りにつくなど容易いことだった
そうしなかったのは理由がある
あの時リョウは声を聞いた
何を隠そう、ジーザスタウンの戦いの後、リョウはテレパシーのような物を聞いたのだ
「救って・・・」
懇願するような少女の声 それを聞き、リョウは見かける街をしらみ潰しに訪れていた
街で事件に出会ううち、何度も少女の声は聞こえた
しかし少女にはいまだに出会えない
だが
「お前が・・・」
荒野を走るなか、まるで廃墟しかない街についた
その街の入り口にて、ぽつりと立っていた一人の少女
それが、ハカイダーの旅を開始させた張本人だとわかったのは、声がそうだから
「初めまして、ハカイダー 私はメタトロンだよ」
「貴様が俺を呼んだのか」
「うん、貴方には自我が芽生え始めてるから」
「自我?」
「そう、自我 本来なら機械であるはずの貴方には無いハズの機能」
「俺に自我が・・・」
「貴方は力を持っている 優しくて、でも猛々しい、誰かのための怒りの力を」
「怒りか だが、俺は・・・力があっても、助けられなかった・・・」
「うん、知ってる だって貴方は頑張ったもの」
「・・・見ていたのか?」
「貴方が見ていたものを、私も見ていた それが私の唯一の力」
「俺は・・・」
「だから断言するよ 違うよ、ハカイダー 貴方は悲しみを覚えた 自我が成長した証なんだよ」
「自我が成長した証、だと・・・?」
「貴方が触れあってきた人達の死が、貴方を進ませて・・・」
「貴様に何がわかる・・・!」
「っ!」
「貴様は、ただ見ていただけだろう・・・!なにもせず、ただ・・・ それを、俺が成長する糧だと?ふざけるな・・・!」
「ハカイダー・・・」
「お前が何をした?お前が助ければ・・・生き延びた者もいたかもしれなかった!」
「っ・・・!」
「俺は、お前の駒だったのか・・・!?お前が声で導き、俺が働く 自我など無い、機械のように!お前にたぶらかされ!」
「そこまでにしてあげなよ、破壊の使者さん」
完全に我を忘れたリョウの前に、突如灰色づくめの男が表れた
メタトロンはその男を見て、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる
「貴様は・・・」
「ルシフェル!」
ルシフェルと呼ばれた男は、にやけながら話を続ける
「メタトロンはね、助けたくても助けれなかったんだ」
「なんだと?」
「それしかできないからね 君に頼るしか、メタトロンに道はなかった だって彼女には、他人と感覚を共有することしかできないから」
にたり、とルシフェルは笑う
視線をメタトロンに向け、傷を抉る
顔を伏せたメタトロンは、肩を震わせていた
「ばかな奴だよ 僕の理想郷を邪魔しようと、正義の味方ぶって」
「理想郷・・・?」
「そうだよ、ハカイダー 人間が永遠に絶望にうちひしがれる、見ているだけで幸せになれる街を、僕は作っていた」
大仰に手を広げ、あたかも自らが世界の支配者であるように語るルシフェル
背中のマントが、風にたなびく
「人が無敵の大蛇になる実験、小動物が人を殺戮する化け物になる薬品、戦闘用機械の体、奴隷を支配するコンピュータ・・・君が関わった大体の事柄は、僕の箱庭の第一歩だった・・・メタトロンはそれを邪魔するため、君を呼んでいたんだよ」
リョウが拳を握る
「でも、ジーザスタウンはびっくりだったねー 僕なにもしてないけど、僕の理想郷となったからね いや、グルジェフはよくやったよ」
「黙れ・・・」
「そういえば、君は関わった人間を死なせてきたみたいだね どんな気持ちだったの?」
「黙れ・・・!」
「まったく邪魔して、人間なんかいくらでも替えが利くのに、なんで助けるんだか」
「黙れ!」
リョウの怒りが頂点に達した
体から無数の火花が飛び散り、その体が変わる
「ハカイダー!だめ!勝てない!」
メタトロンの制止も聞かず、ハカイダーはルシフェルに飛び掛かった
「いいね、今度は君で遊ぼうか」
笑い、ルシフェルは機械のような体に変身した