人造人間ハカイダー ダークヒーローの破壊旅 作:アルファるふぁ/保利滝良
街から何キロか離れた場所、そこに蛇の住処はあった
暗く、湿り気が多く 、かなり不気味なその洞窟は、入ったものを一人として生きては帰さなかった
そんな蛇の巣を、ライトの光で照らす者が一人
リョウはギルティから降りると、ハカイダーショットを片手に、ゆっくりと洞窟に入っていった
全く見えない中、リョウは一旦歩を止める
最新鋭機械の塊である
暗視モードに切り替わった視界で辺りを見回すと、この洞窟がやはり蛇が生息するに適した環境だとわかる
しかし色々引っ掛かることがあった
ならば野生の蛇がこの洞窟にいないのは何故だ
どうしていきなり蛇神などが現れたか
街の住人はなぜ蛇神と意志疎通ができるのか
そもそも、蛇神とは何者か
奥に進むと、簡単なバリケードが置かれていた
が、一秒の時間も稼げず蹴破られていく
やがてリョウは、洞窟の中には相応しくない物に出会った
ドアだ 無論蹴破られる
ドアがあるなら部屋もある それは研究室だった
しかし、リョウは中を荒らさなかった
その研究室が何をするための物か、デスクの上に置いてある資料が全てを説明していた
『ついにやったぞ!洞窟中の蛇全部をサンプルにした甲斐があった!この実験で、俺は最強の生命体になれる!やったやったやった!!』
これが資料の全文だ
蛇神の正体がなんなのか、説明する意味もない
意志疎通ができる理由も、元々人間ならばできてもおかしくはない
何ヵ月経っても蛇がいないなら、卵も実験材料にされたのだろう やがて産まれるはずだった命も、このマッドネスには自分のための道具以上の意味はないらしかった
リョウの体から、無意識に火花が散っていた
その火は資料に引火する
周りの資料に燃え移り火は激しさを増していく
同時に、リョウの怒りが高まっていく
やがてそこにはリョウの姿はなく、黒い憤怒の戦士があった
広いところに出た
「あの研究室を燃やしたのは貴様か?」
蛇が人間の言葉で問う
ハカイダーは挑発で返した
「ならばどうした・・・?」
こいつが蛇神で間違いないだろう
てらてらとした鱗
鋭い牙
二股の舌
民家を押し潰せそうな巨体
いかにもそんな見た目だ
「食事の途中に無礼な奴め 貴様のせいで興が削がれて飯が不味く感じてしまうじゃないか」
蛇神が何かを吐き捨てた
それは地面に落ち、唾液まみれな全体を晒した
それは、可憐な顔だった
それは、上半身しかなかった
それは、死んでいた
それは、イサミだった
「食べ直しだ まあ、人間は飽きてきたんだが」
今こいつはなんと言った?飽きた、だと?
「全く、俺に食われるという大儀を捨て、こんな輩に命乞いするとは 呆れた小娘だ」
生きたいと願う想いを、呆れただと・・・?
「男の振りをして生け贄になるまいと、羽虫のように逃げ惑いやがって」
「黙れ」
その時、不可解な事が起きた
ハカイダーの足下から、自然発火現象が起こったのだ
その炎は洞窟に自生していたコケに燃え移り、洞窟の全体を照らし出す
黒い憤怒の戦士の頭部が赤く光る
頭部外装の中にある、脳の形をしたメインコンピューターから光が出ている
ハカイダーには本来、そんな機能はない
たが彼には、屈指の巨大な街のトップが恐れる程の未知数の力、
余談だが、人は怒りの色を表すとき、
彼は、今どうしようもなく、怒っていた
「お喋りは終わりだ」
そう言うが早いかハカイダーは、手にした
なんの容赦も無かったのは火を見るより明らかだ
蛇神の首の一つが、途中から寸断される
飛び散る血液
肉片
「そ、その銃、お前、この前のバイク野郎か!?」
その質問は無視され、弾切れになるまでハカイダーショットが撃たれる
一発ごとに、蛇神の首が弾け、吹っ飛び、消し飛んだ
「うがァ!、あギィィッ!、ぎぃゃああッ!い、たいィィィィィィッ!」
残った首は後2つ
蛇神が反撃の噛みつきを放つ
大蛇の首がしなり、その反動を利用し凄まじい勢いで頭を伸ばす
ハカイダーに牙が届くまで2メートル
だが、ハカイダーがおもむろに右手を前に突き出した
その腕からは、砲口がせり出していた
首が一つ、また消えた
怒りの戦士の右手から、薬莢が排出される
「助けて・・・助けて・・・」
蛇神が命乞いをする
ここでハカイダーが、初めて足を動かした
「死にたくない・・・嫌だ・・・」
恐怖を与えるように、ゆっくりと、歩みを進める
「嫌だ・・・いやだああぁァァ!!」
蛇神の目と鼻の先に立ったハカイダーは、その顎を
右手は上顎に、左手は下顎を掴み、
限界まで開けた
「がっ」
それが蛇神と呼ばれ、怖れられた下衆の断末魔だった
顎を上下に引き裂かれた醜い大蛇は、のたうちまわり、やがてすぐ死んだ
掴んだままのその死骸を投げ捨て、ハカイダーは洞窟を後にしようとした
しかし2、3歩進んだところで、振り向いた
その目には、イサミの死体が写っていた
あの
蛇神様が死んだのがわかったからだ
街にバイクが到着したとき、町長がハカイダーを迎えた
乗り手の姿が変わったことには驚いていたが
「ありがとうございます!これでこの街は・・・」
話の続きは、ハカイダーショットを向けて黙らせられた
「貴様等は、こいつを見捨てた」
怒りに満ちた声で、ハカイダーは言った
その場にあった椅子にイサミを寝かしながら、ハカイダーは続けた
「恐怖で目がくらみ、希望から目をそらした そして今、無様に手のひらを返し、さも自分に責任は無いと振る舞っている」
脂汗をかき、震えながら町長が呟いた
「わ、私は・・・それが正しいと・・・」
ハカイダーは冷酷に告げた
「お前達に、正義など、ない」
ハカイダーは、ギルティのアクセルを吹かし、街から去った
バイクのエンジン音だけが、広野に響いていた
街から離れた場所
灰色づくめの男が、ハカイダーを見ていた
町長に、イサミがハカイダーと会った事を伝えた男だ
「僕の楽しみの一つを、止めてしまったのか・・・」
しかし人間では、この場所からハカイダーを視認できない
つまりそれは、この男がただ者ではないことの証明だった
「ハカイダー、邪魔な奴・・・」
その男の眼が、妖しく光った
遅れてスイマセン
後編です
実はボツネタがいくつかあります
①町長達or蛇神によるイサミ凌辱
18禁になってしまう!却下
②町長射殺
ダークヒーローってレベルじゃねーぞ!却下
③蛇神生還
外道死すべし、慈悲はない 却下
また次回もよろしくお願いします!