人造人間ハカイダー ダークヒーローの破壊旅   作:アルファるふぁ/保利滝良

6 / 18

ちょっと今回ハカイダーの出番少ないですね



薬の街 中編

「彼から手紙があったんだ 自分は富裕層の人間で、退屈な毎日から逃げたくて、私の酒場に来たんだってさ それで、手紙には、街からの夜逃げの計画が描かれていた・・・ 富裕層と貧民層は結ばれない運命なら、駆け落ちしようって 街の工場で待ち合わせるって、彼は言ってた でも、彼は来なかったんだ・・・」

「何故、その話を俺に・・・?」

「さあね・・・貴方が彼に、似てるからじゃないかしら・・・」

「似てるだと?」

リョウ(ハカイダー)は頭に疑問を浮かべた

人間に近い容姿をしているのはわかる

しかし、仮初めの姿の奥底に、彼は人外を秘めている

しかし考え、怒り、悲しむその行動は、まさしく人間のそれだ

リョウは人として生きていけるかもしれない

カオルもそうだった

彼女は彼に、ハカイダー(機械の兵士)ではなくリョウ(一人の人間)として接した

それは、彼にとってどんなことを意味するのだろう

人工知能がリョウに思考させる

いや、彼はもうほとんど人ではないだろうか

思考時間が長くなっている時点で、彼は人間らしい姿をしていた

「ふふ、何を考えてるのかしら?」

酔いを楽しんでいる主人

考えるリョウ

アルコールの匂い

木と素朴な色合い

子供の入るべきではない、魅力に溢れた奇妙な時間

それは平穏につづく

 

はずだった

リョウがいきなり壁を向く

その瞬間、酒場の裏の壁がひび割れ、砕かれる

主人はその方向を見て目を見開いた

それは怪物だ

上半身が肥大化し、どす黒くなったのっぺらぼうと言えば、理解できるだろう

その怪物は、獣のように壁や天井を駆け回り、カウンターの上に飛び乗った

反応が遅れ、店主の体が強張った

怪物が丸太のように太い腕を振り上げる

「あ・・・」

一人の女性の体が宙に舞った

そのまま地面に落ちる前にリョウは、主人の体をキャッチ

両手が塞がった状態では不利だと判断し、怪物が入った穴から逃げ出した

怪物はリョウを追いかけるべくはしりだそうとした

足元にある違和感がそれを邪魔する

違和感の主を見るべく変質した眼球を向ける

怪物の視界は、主人が自衛用に持っていた無数の手榴弾を捉えた

こういうスラム街にある店には、強盗対策に武器の一つや二つが常備されているのが普通だ

問題は、その手榴弾のピンが抜かれていたことだ

そして整備不良の銃器によくあることに、軽い衝撃による暴発がある

 

結論を言うと、怪物と酒場は閃光と爆発に包まれた

 

 

 

酒場を出たリョウは、貧民街の阿鼻叫喚ぶりを目の当たりにした

先程の怪物が、およそ百は下らない数で街の住人に襲い掛かっていたのだ

銃等の武器で応戦する者もいるが、皆殺しになるのは時間の問題だろう

いつの間にかリョウは、赤い水溜まりに足を浸けていた

だがそれは赤い水溜まりではなく、応戦したのだろう、銃を片手に倒れた男の血溜まりだった

「げほっ・・・ごほごほ・・・」

抱き抱えた酒場の主人が、内臓を潰されたのか激しく吐血する

リョウは気付いた 肺に折れた肋骨が刺さっている

「あんた・・・頼みがある・・・」

血を口の端から流しながら、主人は言葉を紡ぎだした

「ごほっ・・・ここのやつらはね、皆富裕層に虐げられて生きてきたんだ・・・」

彼女は喋る度に内臓が傷つくのを耐えて、ひたすらに伝えた

「でもね、冨民達に仕返ししたいなんてこれっぽっちも思っちゃいない・・・ただひたすらに、生きていたい・・・そう考えてる・・・だから、お願い・・・」

そして主人は、リョウの手を強く握り言った

最期の力を振り絞った

「助けておくれ・・・」

 

 

怒り

その心には、生きていたいと願う者達への無念があった

その心には、理不尽を許さぬ精神があった

その心には、全てを燃やす怒りがあった

火花が散る

ハカイダー(怒りと破壊の使者)は、憤怒の形相をしていた

 

 

主人を下に降ろすと、ハカイダー(リョウ)は近くの怪物に歩み寄った

「ジャン・・・」

愛する男の名を呟き、一人の女は、息絶えた




ごめんなさい!また中編になっちゃいました!
早めに後編投稿します!
どうかお待ち下さい!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。