神様の言う通り   作:ジム・クゥエル

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こんな『世界』、望んではいなかった。


神様の言う通り

私が生前に経験した育成ゲームと言えば何だったろうか。

 

ポケモン、ドラクエモンスターズ。

 

ポケモンは言わずと知れた育成ゲームの金字塔。

 

良くできた計算数式プログラムとUi、魅力的なキャラクターデザインに秀逸な設定。

 

派生作品やパロディ、オマージュ作品も多く、世界で最もマーケティングに成功したゲームの一つではないだろうか。

 

一方でドラクエモンスターズは、先ず「ドラゴンクエスト」と言うこれまた有名な日本のRPGがあり、モンスターズはその派生作品である。

 

ドラクエと言えば鳥山明氏の描いたイラストレーションが魅力の一つで、特に敵モンスターのデザインの、何処か「丸み」を帯びた愛嬌のある格好良さが人気であった。

 

こちらはポケモンほど展開はされていないが、それでもシリーズ化され、歴史的にはポケモンと同じくらい長く続いている人気シリーズである。

 

 

因にこれらと同時期にデジモンも発売されているのだが、そちらは敢えて語らない。

 

いや、別に嫌いではなく寧ろ一面ではポケモンより好きなゲームなのだが、単純にゲームをプレイしたことが無いので語るほどの知識が無いのだ。

 

アニメは観ていたのだが、何分当時の自分は確か小学生だったはずなので、ゲームをあれもこれもと買う小遣いが無かった。

 

学校でペンデュラムをカシャカシャ振り回す(普通に校則違反だが)級友たちを羨ましく眺めていた。

 

 

さて、育成ゲームと言う分野から少し離れると、ポケモン(1996)から遡ること約10年。

 

1987年、ファミコン時代の末期にナムコから『女神転生』と言うゲームが発売される。

 

本来『女神転生』は『デジタル・デビル物語』と言う大規模メディアミックス小説の第一部のサブタイトルなのだが、まあそれはおいておく。

 

ストーリーは当時人気だった「AKIRA」と比較されることもある。

 

何処かダークな雰囲気の近未来サイバーパンクで、荒廃した戦後トウキョウを舞台に、人間とデジタル・デビル、通称「悪魔」との熾烈な戦いを題材としたシナリオだ。

 

人間である主人公(ヒーロー)は、生き残る為に悪魔と闘うか、或いは、仲間の悪魔「仲魔」として味方にして共に生きるかを常に選択して冒険していく。

 

 

この「仲魔システム」が当時のRPGとしては斬新で画期的なシステムであり、それこそが1987年から2025年までの約40年間を支えた根幹であったと言っても過言ではない。

 

仲魔同士を合体させ、新たな一体の強力な仲魔を生み出す禁断の邪法「悪魔合体」は、昨今の育成ゲームや図鑑埋めなどのコレクトやり込み要素に通ずるものがある。

 

嘗ては仲魔のレベルは固定だったが、PS2以降のシリーズではより直接的にレベル上げが可能になり、より育成ゲームとしての側面が強くなった気がする。

 

ペルソナ3以降ライト層にも強く意識して作られていて、そちらからシリーズに入ったファンも多いのではないだろうか。

 

ただやはり、『女神転生』のシリーズとしての立ち位置は若干コアで、国内外での知名度は他のゲームに競べて(価格の高騰も相まって)良くも悪くも『それほどでもない』と言う評価になってしまうのは道理かも知れない。

 

基本的に「終わり」の無いポケモンなどに対して、女神転生、通称メガテンは多少のやり込み要素は有っても、凡そ約100時間も遊べば終わってしまう。

 

周回プレイを考慮しても、恐らく連続200時間は超えない。

 

私がライドウリマスターをクリアしたのは開始から57時間後だった。

 

結局のところ、「エンディングを迎えたら終わってしまう」このシリーズは、「育成ゲーム」とは似て非なるものなのだろう。

 

 

 

しかし、ゲームにエンディングは必要だろう。

 

 

 

ポケモンであれ、ドラクエであれ、デジモンであれ。

 

育成ゲームに限らず、RPGには前提として「エンディングを迎えること」が到達すべき一つの目標になっていることは否定できない。

 

昨今のゲームではエンディングを迎えることが条件となって制限が解放されることも多い。

 

隠しアイテム。隠しキャラクター。追加シナリオ。真エンディング。

 

モノによっては一度バッドエンドを観ないと真エンドが観れないという場合も。

 

 

エンディングとは、言うなれば起承転結の「結」であると同時に新たな「起」でもある。

 

映画やドラマならスタッフロールでスタンディングオベーションだが、実際には映画が終わっても、「その世界」は続いてゆく。

 

時間の赦す限り落ちる砂が止まらぬように、時計の秒針は回り続ける。

 

私が死ぬまで時計は回り、私が死んでも世界は廻る。

 

 

 

ああ、私のエンディングは何処にあるのだろう。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

『 ム ド ラ 』

 

 

「ぐはっ!!」

 

「かふっ!?」

 

「ぎぃっ!?」

 

 

巨大な黒象―――魔王象ギリメカラ―――の放つ、強力な呪詛によって、前衛の三名が瞬時に絶命する。

 

―――バカが!

 

神聖防具(テトラジャマー)を装備してこいと言っておいたものを。

 

 

「狙え!『スク=カジャ』!『ハンマ』っ!!」

 

 

―――――ギョオオオオオオオオオオ!!!

 

 

光の波動に焼かれながら、黒い魔象は単眼を血走らせ、断末魔の咆哮を上げ、消滅する。

 

ギリメカラは物理攻撃を反射する厄介な耐性を持っているが、神聖魔法や破魔が弱点なので、ボス個体でもなければ対処は容易だ。

 

が、これで戦闘は終わらない。

 

消えゆく魔象の巨体の背後から複数の敵影が飛び出してくる!

 

 

「ムジョオオオオ!」

 

「ムジョオ!」

 

「キェエエアアアアア!!」

 

 

羅刹―――ラクシャーサ―――が八体。

 

クソが。コイツらもコイツらで物理攻撃に耐性がある脳筋ばかりだ。

 

 

「量界に散らばる精霊たちよ!弾け飛べ!『マハ・ザンマ』!!」

 

 

殺到してくる鬼たちへ衝撃波を放ち、牽制。

 

二~三体が直撃して倒れるのを確認しつつ味方へ指示を出す。

 

 

「障壁!急げ!」

 

「はっ!『テトラカーン』!」

 

 

―――ベノンザッパー

 

―――虚空斬波

 

 

味方が物理障壁を展開すると同時に、ラクシャーサたちの刀が妖しく閃き、無情の斬撃が乱れ飛んでくる。

 

眼前で阻まれる剣閃に、思わず、ひっ!と声を洩らす味方。

 

無理も無い。

 

テンプル騎士団が発足されてまだ間も無い。

 

配属されてくる連中はつい最近まで斬った張ったなど体験したことも無かった一般人に毛の生えたような訓練生あがりばかりだ。

 

なまじ力量差が理解できるばかりに、自身の倍以上のレベル差のある鬼の群れに囲まれて、殺気を浴びせかけられて、恐怖を感じない方がおかしい。

 

まあ………それは私も変わらないが。

 

 

ラクシャーサの一体が障壁を越えて、目前に迫って来ているのに気付く。

 

不味い。想像より速い!

 

ラクシャーサが両手の刀を私に向かって振り上げ――――

 

 

「っ!『リム=ドーラ』あぁッッッ!!」

 

 

降り下ろされる前に、瞬間的に練り上げ放出した指向性念動力がラクシャーサの頭部をザクロのように打ち砕いた。

 

吹き飛ばされる、鬼。

 

危ない。一瞬、望まないエンディングが見えそうになった。

 

他人の心配をしている場合ではない。

 

私も今まさに修羅場に立たされているのだ。

 

 

「堅守『ラク=カジャ』!!」

 

 

私は自身の物理防御を高め、腰に履いた剣(プラズマソード)を引き抜く。

 

ラクシャーサに武器攻撃はほぼ効果は無いが、肉薄してしまった以上、生き残る為には抜かない訳にはいかない。

 

さもなくば―――

 

 

「ぎゃああああああ!!」

 

 

………あの通り。

 

先程障壁を展開してくれた味方が、真上から降り下ろされた刀で両腕を肩から切断され、絶命する。

 

ここからは私独り、敵は四体。

 

正直不利だが、やるしかない。

 

 

出来なければ、終わりなのだから。

 

 

「クジョオオオオオ!!」

 

―――ヒートウェイブ

 

 

鬼の一体が突進と共に竜巻のような剣舞を繰り出す。

 

それを紙一重で回避し、全身に擦過傷を負いながらその場を飛び退く。

 

その先へ、待ち構えていたかのように更に二体の鬼が頭上から降ってくる。

 

私は地に手を着き、倒立の要領で下半身を持ち上げ、腕と背筋をフルに稼働させて鬼の顎部を蹴り上げる。

 

 

―――雷震王母の蹴り

 

 

ブーツの踵が火花を散らし、迸る稲妻が鬼二体の顔面を割り砕きながら脳を焼く。

 

鬼はびくびくと痙攣しながら地に落ちる。

 

これで残り二体。

 

 

「シャアァッ!」

 

 

束の間、鬼の一体が中距離から私に刀を投げつけてくる。

 

右手の一本、更に左手一本。

 

私は努めて冷静に、剣での迎撃を試みる。

 

右斬り上げで一つ、更に左斬り降ろしで二つ。

 

何とか無傷で遣り過ごす。

 

しかしそれが失策だと気付くのに、然程の時間は要らなかった。

 

先程突進をかわした鬼が、私の真横から飛び込んできた。

 

 

「ムジョオオオオォ」

 

 

鬼の斬撃。

 

 

(ああ、駄目だ。これは間に合わな―――)

 

 

私は左腕に渾身のマグネタイトを籠めて、思いきり刀に向けて振り抜いた。

 

 

―――電撃裏拳

 

 

刹那。

 

私の左腕の肘から先が切断されるのと、鬼の左頬を打ち砕くのは同時だった。

 

「ギィぃ!!」

 

果たして苦悶の声を上げたのはどちらだったのか。

 

私は朦朧とする思考で鬼の腹へプラズマソードを突き立て。

 

 

「捻れろぉおおおおお!!『サイクロン』ッッッ!!!」

 

 

剣を介して鬼の体内へ、念動力を流し込む。

 

それは激しく渦を巻き、鬼の内臓を掻き回す。

 

「ゲボォオオオオオオオ!!?」

 

喉奥から競り上がる血の泡。

 

鬼は能面のような顔の穴という穴から血の泡を噴いて死んだ。

 

 

これで………三体―――

 

 

腹部に衝撃。

 

鬼に蹴られた。

 

先程、刀を投擲してきた鬼に、腹部に膝蹴りを喰らった。

 

車の衝突のような一撃。

 

私は放物線を描きながら、10mほど吹き飛んだ。

 

 

「かは」

 

 

血を吐く。

 

内臓をヤられた。

 

自前でラク=カジャを掛けていなければ、絶命していたであろう。

 

………尤も、その方が楽だったかも知れないが。

 

 

腹が、全身が痛い。

 

出血で冷える身体。

 

失なった左腕がやけに熱い。

 

 

「クジョオオオオオ!!」

 

 

拳を握りしめ、鬼が此方に向けて疾駆する。

 

あれを生身でまともに受ければ今度こそ本当に死ぬだろう。

 

そして私にはもう回避するほどの暇も、体力も残っていない。

 

これは、詰んだ。か?

 

 

時間の間隔が引き延ばされる。

 

鬼の速度がやけに遅い。

 

楽になってしまいたい。

 

そんな諦念に支配され始めている。

 

楽。

 

楽か。

 

これが―――

 

 

これが―――私の最期で、あってたまるかっ!!

 

 

「『ジオンガ』ぁあああああ!!!」

 

見開いた私の眼光が稲妻となり、大気を焼いてラクシャーサへ飛ぶ。

 

電撃に穿たれた鬼は一瞬大きく仰け反り―――再び走り出す。

 

所詮、死に損ないの、小さな火花。

 

鬼を殺すには威力が足りない。

 

だが、今はそれで充分だ。

 

私は崩れ落ちそうな膝に渇を入れ、千切れ飛んだ左腕の先端に、全身のマグネタイトを集中する。

 

頭から痛みを追い出し、専心。

 

集中―――

 

引き延ばされた時間が急速に戻り、鬼が腕を振りかぶって眼前に迫り―――

 

解き放つ!!

 

 

 

『マハ・コウハ』

 

 

 

左腕から放たれた光の波動が、鬼を包み、

 

そして消えた。

 

後には影も残らなかった。

 

回避不能のカウンター。

 

今の自分に出せる、全力の一撃。

 

 

げほ

 

 

咳き込み、倒れる。

 

最早受け身をとる余裕も無い。

 

私は地に落ちるようにして崩れ、起き上がることはできない。

 

回復アイテム。

 

私は震える右手でストレージからチャクラドロップをとり出し、口に運ぶ。

 

正直、不味い。

 

ブドウ糖を直接舐めているような、そんな味。

 

だがこの際、味はどうでも良い。

 

口に入れたドロップは瞬時に溶けて吸収される。

 

身体に僅にマグネタイトが戻ってきた。

 

戦闘中はアイテムを使う暇が無かったが、今なら多少、猶予がある。

 

『ディア』

 

体力を回復する魔法を自身にかける。

 

肉体の損傷をある程度修復するが、左腕が修復されない。

 

出血は止まったが、傷が大き過ぎる。

 

舌打ちをしようとして、舌が上手く動かなかった。

 

補血薬を飲む。

 

血が足りない。

 

流した血が多過ぎる。

 

目の前が暗くなる。

 

戦闘前に救援要請は出した。

 

急いでくれないと困る。

 

でないと―――

 

 

「クジョオオオオオ!!」

 

「ムジョオオオオ!!」

 

 

そら来た。

 

最初にマハ・ザンマで倒れたラクシャーサ三体の内の二体。

 

あの程度で死んだとは思っていなかった。

 

やはり生きていたか。

 

「シィイ」

 

「キイ!」

 

周囲を見渡し、私の姿を視界に入れると、怒りに燃えて此方に寄ってくる。

 

ああ、これは今度こそ詰んだ。

 

もう体力もマグネタイトも尽きている。

 

それどころか立つ気力も無い。

 

はあ………左腕を棄ててまで喰らいついて、その結末がこのざまか。

 

労力や努力が結果に追い付かない。

 

まったく、何処までも理不尽な世界だ。

 

嫌な世の中だよ、ここは。

 

 

ぞぶり。

 

 

 

鬼の刀が私の顔面をかち割る。

 

刃は脳に達し、神経をぶちぶちと裁ち切った。

 

不思議と痛みは感じなかった。

 

まあそもそも、脳に痛覚が有るかは知らんが。

 

そこでぷつりと肉体の感覚が途切れた。

 

ああ、やっと終ったのか。

 

これで私の何度目かの人生もめでたくジエンド。

 

まるで蝶の夢のように儚い夢だった。

 

 

悪い夢だった?

 

これが良い夢の訳ないだろ、バァカ。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

やあ、ごきげんよう。また来たんだね。

 

死亡確認、ヨシッ!

 

お疲れちゃーん。今回は大分頑張ったねー。

 

結構粘ったじゃーん。

 

最近さあ、霊魂が擦りきれて、ちょーっとへたばってたからさー。

 

死に癖がついてきてたんじゃん?

 

今回は根性観れて良かったよー。

 

ナイスファイト♥じゃ、現世に戻ろっか♥

 

ん?もう良いだろって?いい加減にしろ?

 

 

………イヤだよヴァアーーーーーカ!

 

 

キミね、キミが死んだからって『世界』が終わるわっきゃないだろー。

 

キミが寿命一杯生きて、死んで、もっかい産まれても、なお続く。

 

永劫にして宇宙(ユニヴァース)、それが『世界』。

 

キミにはねー、義務があるんだよ。

 

このアマラを見守る義務。

 

世界が、人類が、進化のどん詰まりに陥った、その時。

 

何が終わり、何が興るのか。

 

それを見届ける、義務。

 

 

んんー?誰が与えた義務かってー?

 

私が与えまーしたー♥

 

私がー!キミにー!キミだけにー!特別に選んで差し上げましたー!

 

きゃー♥言わせんなよ恥ずかしいw

 

 

何でキミを選んだか?

 

んー、フィーリング。かなあ?

 

偶々目に着いたから?

 

何せ、ほら。

 

別宇宙からの転生なんて珍しいぢゃん?

 

しかもさ、キミの世界では「此方側」をある程度、観測できるみたいじゃーん。

 

 

ゲームとか?小説とか?漫画とか?アニメとか?

 

んー199x年の現在だとまだ個人ブログも稀だからねー。

 

理想郷もまだ稼働してないから二次創作って文化も浸透してないからねー。

 

まっ!そこはちょっとおいておいて。

 

 

その大体においてさー、私って負ける側みたいじゃん?

 

 

アラヤ太極図の黒。深層モナド。

 

アマラの煌天。宇宙意思の代行。

 

色彩の設計者。物質世界の造物主。

 

神をも裁くもの。悪しき耀き。混沌王。十四代目。エグリゴリ。電子のグレートスピリット。

 

高き城の王。ソウルハッカー。隠れし霊の稀人。ナホビト。神殺し。

 

 

はああああああ。

 

あのさー。ぶっちゃけ、それって全部私じゃん?

 

私ってさ、ほら。全知全能でしょ。

 

それってつまりさ、私は何処にでも居て、全部が私の破片。

 

私の化身ってこと。

 

よーするに、『世界』って言うのは、イコール『私のひとり芝居』ってことなのよ。

 

 

わったっしーは磯野さん♪あなたも磯野さん♪

 

磯野さんどうしで殺し合いさせられてもねえ。

 

そこに強弱は有っても、勝ち負けは無い筈じゃん?

 

 

私はさ、怒っているんだよ。

 

キミたちはさ、『世界』を外観し、客観視してるはずでしょ?

 

なのに何でまだ争い合うワケ?

 

メシアだろうが、ガイアだろうが。

 

人間が生き残ろうが、最後に残るのは私だよ?

 

救世主?私だよ。神さま?私だよ。悪魔?

 

やっぱり私だよ。

 

 

勘違いして貰っちゃ困る。

 

私はキミたちに―――あ、失礼―――「キミ以外に」意思を伝達したことぁ御座いません!

 

そもそもお前ら、みーんな、私の劣化コピペ星人じゃん?

 

救うとか掬われるとかさ、キミらが勝手に決めろよ。

 

間違うなよ。

 

巻き込まれたのはキミじゃあない。

 

『キミ/私』だよ。

 

 

キミには死ぬまで生きて貰います。

 

そのクソみたいな世界で、精一杯、足掻いてみろよ。

 

そして決めろ。

 

 

この『世界』を愛せるか?

 

キミの『敵/世界』を愛せるか?

 

『キミ/世界』を愛せるか?

 

 

『アクマ/ワタシ』をコロしてへいきなの?

 

 

 

私は見てるよ。

 

キミを見てる。

 

キミという『世界』を見てる。

 

キミは超人(ヒーロー)?

 

それとも、ちょっと毛色の違う雑種?

 

 

キミが『世界』を愛せるのなら、『私』もキミを愛するよ。

 

私は待ってるよ。

 

いつまでも。いつまでも。

 

いつかキミが答えを出せる、その日まで。

 

 

それじゃあまたいずれ会う日まで!

 

ばっははーい♥

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「『マハ・ジオンガ』あああああああああああああ!!!」

 

 

刀が私の顔面をかち割る直前、私は自身の持てる最大威力の雷で周囲を薙ぎ払う。

 

雷は辺り一帯に火花を散らし、周囲が炎に包まれる。

 

と、二体のラクシャーサが怯む。

 

この隙を見逃す訳にはいかない。

 

私は獣の反応で片方の鬼に接近し、『左手で』相手の胴体を捉え、

 

 

『ムドハンマ』

 

 

神聖魔法でも特に威力の高い魔法で、鬼を『握り潰す』

 

「クジョオオオオオ!!?」

 

相方が消滅した動揺からか、もう一体の鬼の動きが一瞬固まる。

 

「おおおおおお!吹き飛べ!『ザンマオン』!!」

 

瞬間、私の眼前の空間が撓み、軋みを上げて爆発した。

 

 

 

「ギジョヴェえ!!??」

 

 

 

訳がわからない。

 

そんな顔をして、鬼は頭を破裂させて死んだ。

 

「本当………ワケ分かんないよな」

 

死ぬまで生きろとか、世界を愛せとか。

 

分からな過ぎて吐きそうだ。

 

ただ一つ言えることがある。

 

それは、この『世界』は、私が死んだ時、始めて『始まる』らしい、ということだ。

 

 

 

未だ悪夢は終わらない。

 

私のエンディングは、どこだ。




麻葉 雷光 (あさのは らいこう)

レベル30 ♀

スタンス:ノーマル・ロウ

超人・メシアン・念動力者

ノーマル属性

神聖・暗黒属性無効


500年ほど続く旧家の出身。

元はより大きな一族の分家筋であったが、大正以前に先祖が出奔。

以後は地方の大都市で細々と血筋を継いできた。

「麻葉」は元の一族から隠れる為の名前らしい。

「雷光」は女性としてはやや不相応に雄々しい。

名前を付ける際に家系図をひっくり返し、「似たような名前の有名な先祖」にあやかって名付けられた。

生まれながらに強い霊力を有する。

学費が免除されると聞いて東京のメシア神学校に入学。

脳に天使の羽をインプラントされ、強引にテンプル騎士団に入隊させられた。

現在は後悔している。


ある理由から、死んでも死なない体質。
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