鋼鉄闘域(ゴーレムバトル)〜ホビーアニメ設定の貞操逆転異世界でオタク男子は希少種〜   作:白うに

15 / 50
第三章:超克の刻印:世界に挑む5人のロマン
第15話「ゴレリンピックへの課題!さらなる高みへ」


 

世界への挑戦権と、突きつけられた現実

 

 ゴレトルトーナメントの優勝は、タクトたちの名をゴルディアス魔法ゴーレム学園に轟かせた。特に、第二王女マリー・G・ゴルディアスのチームを打ち破った事実は、国内外で話題となり、彼らがゴレリンピック王国代表として真剣に検討されるきっかけとなった。

 

 だが、その道は険しい。トーナメント終了後、タクト、クローナ、ローニャ、ニクスは鋼鉄闘域ギルドの重厚な会議室に呼び出された。

 

 魔力光が瞬く壁に囲まれ、ギルドマスターの厳かな声が響く。

 

「ゴレトルトーナメント優勝、お見事だ。だが、Dクラスの現状では、ギルドとしてはゴレリンピック出場を認めることはできない。」

 

タクトが身を乗り出す。

 

「どういうことですか?」

 

ギルドマスターの鋭い視線が四人を貫く。

 

「ゴレリンピックは各国が威信をかけて最高の魔術と最新のゴーレム戦術をぶつける場だ。Cクラス以上の実績が最低条件。だがそれ以前に、お前たちのチームには決定的な脆弱性が残っている。」

 

 タクトの拳が震える。

 

「脆弱性?」

 

「そうだ、タクト。【アブソルトレイル】の超高速機動はロマン溢れるが、【爆風】と【光塵】の不安定な術式に頼り、魔力燃費が極端に悪い。長期戦や格上との連戦では持たないだろう。」

 

ギルドマスターは他のメンバーにも目を向ける。

 

「クローナ、【ゲイルハルト】の耐久力は優秀だが、攻撃が単調な上、火力に欠ける。ニクス、【アサルトフェリス】は速く精密だが、回避特化ゆえ一撃で破壊されるリスクが高い。ローニャ、【グラニテカノン】の戦術サポートは見事だが、前線での防御力が不足している。」

 

 要するに、チームは爆発力はあるが、安定性と魔力管理が世界レベルに達していないということだ。

 

「今のままでは、記念出場で終わってしまうぞ。」

 

「くっ……!」

 

 タクトが悔しさに拳を握りしめる。クローナの狼の耳がしょんぼり下がり、ローニャの眼鏡が曇る。ニクスは無表情だが、猫耳がピクリと動く。 だが、ギルドマスターの目に失望はない。

 

「お前たちのチームワークと発想は素晴らしい。だからこそ期待している。ゴレリンピック代表候補として、3ヶ月の猶予を与える。」

 

3ヶ月!

 

「その間にDランク任務をこなし、実戦経験を積み、Cランクへ昇格しろ。それが世界への切符だ。」

 

 タクトの瞳に炎が宿る。

 

「わかりました!3ヶ月で【アブソルトレイル】を世界に通用するロマン機にしてみせます!」

 

 クローナが拳を握り、ローニャがメモ帳を握りしめ、ニクスが静かに頷く。ギルドマスターは最後に特別任務を告げる。

 

「都の治安維持のため、Aクラスのプロプレイヤー、ティナリスが臨時講師として王都に来ている。彼女から実戦に役立つ刻印の使い方を学べ。彼女はゴレトルのご意見番と呼ばれる名手だ。」

 

 タクトたちの胸に、新たな挑戦の火が灯った。

 

 

 

 

Side ニクス

 

 ギルドを後にし、仲間と別れたニクスは、夕暮れの空を見上げる。茜色の雲が流れる中、ギルドマスターの指摘を静かに反芻する。

 

(全て正しい。タクトの【アブソルトレイル】は、学園トーナメントの調整でカスタマイズが限界だ。魔力燃費の悪さは、ゴレリンピックはおろか、上位任務でも致命的になる。)

 

ニクスは自身の【アサルトフェリス】を解析する。

 

 タクトの無謀な機動に合わせ、燃費や消耗を無視した駆動部や魔力回路の酷使が続いていた。ゴーレムの寿命を削っていることは、とうにわかっていた。

 

(だが、タクトは「無謀」ではない。彼のロマンは必ず課題を乗り越える。私はその隣で戦い、ロマンを現実に変える存在でなければならない。)

 

  頭脳は最適解を模索する。魔力回路の組み換えで燃費改善、駆動部への負担軽減、防御型スキルの導入検討。理論と計算で、ゴレリンピックに間に合う調整は可能だ。

 

 だが、ニクスの胸には、理論で説明できない感情が芽生えていた。

 

 タクトが笑いかけてくるたび、胸がまるで熱いココアを飲んだ時のように暖かくなる。彼の情熱的な瞳を見つめると、魔力とは異なる、制御不能なエネルギーが全身を駆ける。

 

(なぜ、私はタクトにこれほど執着する?)

 

 ゴレトルは勝利の手段だった。だが、タクトと出会い、隣で戦ううちに、勝利やデータより彼の笑顔と情熱が行動原理の上位に浮上していた。まるで愛機のコアに不具合が生じたかのようだ。

 

 ニクスは胸元にそっと手を当てる。

 

(私はタクトの僚機だ。彼のロマンを解析し、最適解を導く存在でなければならない。)

 

「恋愛感情」は非効率なノイズ。冷静なニクスにとって、削ぎ落とすべき障害だ。だが、夕焼けに染まるタクトの横顔を思い出し、彼女は自問する。

 

(もし、タクトが私以外の誰かに情熱を向けたら?私以上にロマンを語る相手が現れたら?)

 

 その瞬間、彼女の小さな胸の奥から激しい衝動が湧き、魔力が激しく乱れる。ニクスは無表情のまま、深く息を吐く。

 

(この異常状態……何という名なのか。)

 

 タクトの夢を支えるため、この熱を「ロマンのサポート」と偽り、誰にも知られず隠蔽する。それが、ニクスにとっての最優先の機密事項となった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。