鋼鉄闘域(ゴーレムバトル)〜ホビーアニメ設定の貞操逆転異世界でオタク男子は希少種〜 作:白うに
悪魔族の姉妹、戦場に立つ
ゴレリンピック強化合宿三日目。ゴルディアス王国の訓練場は、朝霧に包まれ、剣戟の音と魔力の脈動が響き合っていた。タクト、クローナ、ニクス、ローニャは、宮廷騎士団との模擬戦で汗を流していた。
タクトの【アブソルトレイル】は【収束】で鋭い熱線を放ち、クローナの【ゲイルハルト】は【紅月纏】で状態異常を跳ね除け、ニクスの【アサルトフェリス】は【模倣】で敵の技をコピーし、ローニャの【グラニテカノン】は破杖砲で障壁を砕き、ルッコの【クリムゾンヘイト】は【黒血呪縛】の最大値捕捉距離の延長に努めていた。彼らの連携は、ティナリスの試練を乗り越え、合宿によって得た自信に裏打ちされていた。
だが、この日はいつもと様子が違う。宮廷騎士団の訓練場に新たな顔が現れた。
「ルッコ姉貴、こんなとこにいたんだ!」
そこにいたのは、ルッコによく似た少女であった。遠目にはルッコと双子かと思うほどよく似た悪魔族の少女だが、その雰囲気は僅かに異なる。
ミルコは母親似の華やかな美貌と、わずかに豊穣の片鱗を見せる胸元に自信を漲らせている。一方、ルッコは父親似の童顔で、貧相な体付きであることを常々気にしていた。
「ミルコ!あんた、何でここにいるのよ!」
ルッコが叫ぶ。
ミルコはタクトをちらりと見ると、ニヤリと笑った。
「決まってるでしょ?母様が来てるんだから、家族の見学特権を使わせてもらったのよ。それよりルッコ、最近はこのお兄ちゃんに夢中になってるって本当?」
ルッコの悪魔族の角が、劣等感と羞恥心で激しく震える。
「ち、違うわよ!タクトはただのロマンバカのライバルよ!私の好みなんて、あんたに関係ないでしょ!」
ミルコはルッコから離れ、タクトに向き直る。
「タクトお兄ちゃん、ルッコはああやってツンケンしてるけど、ミルコはルッコみたいに強情じゃないから、お兄ちゃんと仲良くしてあげてもいいよ?」
ミルコは、タクトの腕に自分の身体をピタリと密着させ、上目遣いでタクトを見つめる。これが、ルッコのおもちゃやオヤツを全て奪ってきた、ミルコの常套手段だ。
タクトは、ツンデレとメスガキという、二種類の魔力に挟まれ、頭を白黒させながら固まってしまった。
その時、宮廷騎士団の隊列の中から、全てを圧倒するような威厳と包容力を兼ね備えた女性が現れた。ルッコとミルコの母で、宮廷騎士序列4位のエルミラである。
「タクト君、うちのお騒がせな娘たちがごめんなさいね。」
エルミラは、優雅な動作でタクトの肩に手を置き、地母神の如き広大な母性でタクトを圧倒する。
彼女の相棒、大淫魔型ゴーレム【シャロンアムル】は、優雅な曲線美を持ち、【魔力吸収】や【愛憎呪縛】といった搦め手のスキルを刻んでいた。
「さて、タクト君。せっかくだからあなたを最高の賞品にしましょう。」
エルミラは、騎士団の演習として、模擬戦のルールを変更した。
「ルールは単純よ。私とタクト君のペア対、ルッコとミルコのペア。制限時間内にタクト君を撃破できた方が、今日一日、タクト君のロマンを独占できる特権を与えるわ」
「えええええええええええ!?」
ルッコとミルコは、タクトを奪い合うという究極の課題に、闘志と劣情を燃やした。
試合が開始すると、タクトの安否は完全に二の次となった。ルッコとミルコは、コンビネーションどころか、我先にとタクトを「撃破」しようと、それぞれが突っ込む。
ルッコの悪魔型【クリムゾンヘイト】は【超剛力】を、ミルコの小悪魔型【デビレット】は【高速】と【飛行】を発動。
「ミルコ!【超剛力】は私のロマンよ!どきなさい!」
「うるさいな、ルッコ姉貴!タクトお兄ちゃんはミルコにロマンを見せてくれるの!」
ミルコは、【デビレット】の【魅了】をタクトの【アブソルトレイル】に向けて放ち、「お兄ちゃん、ミルコだけを見て」と無邪気に叫ぶ。
ルッコは、その行動に激しく動揺し、【黒血呪縛】の鎖をタクトではなくミルコに向けて放った。
ツンデレVSメスガキの戦いは、仲間割れという形で激化していく。
エルミラは、そんな二人の幼稚な争いを、優雅な笑みで眺めていた。
「相変わらず、足並みが揃わないわね、二人とも」
エルミラの【シャロンアムル】は、その場から一歩も動かない。
だが、タクトはエルミラの恐ろしさを理解していた。エルミラの【魔力吸収】は、広範囲の魔力操作を伴っており、ルッコやミルコの魔術は、【シャロンアムル】の周囲に近づくと威力が減衰してしまう。
足並みが揃わず、魔力燃費を無視して突っ込むルッコとミルコは、あっという間にガス欠寸前になる。
エルミラは、【シャロンアムル】の【鞭撃】で、二人のゴーレムの主要関節を砕き、模擬戦の敗北を突きつけた。
「ふふ、ごめんなさいね。タクト君は、もう少しチームワークと冷静さを理解できる相手のものよ」
エルミラは、宮廷騎士序列4位として、真面目な講評を述べた。
「ルッコ、ミルコ。あなたたちの個々の力は優秀だけど、戦場で最も重要なのは『愛する者』を守るための冷静な判断力と、『相棒』の魔力の波長を読み取る包容力よ。」
「特にルッコ、あなたは自分自身の強さに固執しすぎているわ。タクト君の超高速というピーキーなロマンを支えるには、あなたの力を『守り』と『支援』に使う冷静さが必要よ。」
講評が終わると、エルミラは再び「母」の顔に戻り、タクトに優しく手を差し伸べた。
「さあ、タクト君。ルール通り、あなたを倒せなかったのだから、今日一日はお母さんのものね。愛の指導をしてあげるわ」
「えっ!?」
タクトが戸惑う。
その瞬間、周囲で模擬戦を観戦していた女性陣全員が一斉にツッコミを入れた。
クローナ:「ダメですよ、エルミラ様!タクトくんは!タクトくんは…!」(嫉妬が爆発)
ニクス:「論外です。タクトの魔力効率が低下します。指導は、私がデータに基づいて行います」(クールな顔でグルグルお目々)
ローニャ:「ルールはルッコ・ミルコチームに課されたものです!エルミラ様が獲得権を持つのは、計算外です!」(パニック)
そして、ルッコとミルコも。
「母様!ルールを勝手に変えないで!」
「お兄ちゃんはミルコの獲物なんだから!」
女性陣の愛と執着に包まれ、タクトは貞操逆転世界のロマンの渦の中にいることを痛感するのだった。
その夜、訓練場の温泉施設。タクトは一人、湯船に浸かり、疲れを癒していた。指輪を外し、棚に置いたまま、ゴレリンピックの夢を思い描く。
「宮廷騎士を倒して、俺のロマン、世界に届けるぜ…」
そこに、軽やかな足音と悪戯っぽい声。
「タクトお兄ちゃん、背中流してあげる!」
タクトが振り返ると、ミルコがタオル一枚でニヤリと笑っている。
「な、なな!?ミルコ!?なんでここに!?」
タクトは慌てて湯船に沈む。ミルコはメスガキ全開で迫る。
「お兄ちゃん、ルッコ姉貴には内緒だよ?私の方がずっとお兄ちゃんのこと、わかってるからさ」
【魅了】の魔力を漂わせ、タクトを籠絡しようとするミルコ。だが、その瞬間、風呂場の扉が開き、エルミラが現れる。宮廷騎士の制服を纏い、厳格な表情だ。
「ミルコ、騎士の名にかけて、その行為は許されないわ!【特権】発動!治安維持のため対象を捕縛!」
エルミラは【シャロンアムル】を指輪で呼び出し、【愛憎呪縛】を発動。魔力の鎖がミルコを拘束する。
「タクト君、ご迷惑をかけて申し訳ない。彼女は私が連れて帰るわ。」
ミルコが「むー!お母さん、ズルい!」とじたばたする中、エルミラはタクトに頭を下げる。
「本当にごめんなさいね。ミルコの教育は、私が責任を持ってするわ」
タクトは赤面しつつ、「い、いえ、大丈夫です…!」と湯船から顔を出す。エルミラはミルコを連れ、静かに風呂場を後にした。