鋼鉄闘域(ゴーレムバトル)〜ホビーアニメ設定の貞操逆転異世界でオタク男子は希少種〜   作:白うに

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第25話「凱旋!ビューティーコンテストと執事の誓い」

 

合宿を終えて、ロマンの凱旋

 

 ゴルディアス王国宮廷騎士団の強化合宿を終え、タクトたちはゴレトル学園へと帰還した。合宿で得たものは、個々の技術向上に留まらない。

 

 ルッコの父アルヴィンから得た魔力回路の本質的解決策、そして、ルッコの家族という愛と執着に満ちた環境を通して育まれた「絆のロマン」だ。

 

 学園の校門をくぐると、学園全体が異様な熱気に包まれているのを感じた。競技場の方向から、大歓声と奇妙な魔導音が響いている。

 

「あれ、何かやってるのかな?」

タクトが首を傾げる。

 

「どうやら、学園主催の『ビューティーゴーレムコンテスト』の決勝戦のようですね」

ローニャが、懐から出した小型端末で情報を確認した。

 

 

 競技場に入ると、そこは異様な美意識と歓声に包まれていた。ゴーレムの性能ではなく、美しさ、デザイン、コンセプトを競うこのコンテストは、ゴレトル学園では最大のイベントの一つだ。

 

 ステージには、次々と渾身の美を纏ったゴーレムたちが現れ、自慢のアピールを繰り広げていた。

 

 まず現れたのは、エレナ先輩の女獅子人型ゴーレム【レオナグランデ】だ。荘厳な黄金の髪と、均整の取れた肉体美を誇る機体は、まさに「芸術」。エレナ先輩は、「私の芸術に勝るものはない!」と自信満々に叫び、観客を魅了する。

 

 続いて、ゴレトルアイドル志望であるサティの兎人型ゴーレム【ジャンピー】。ピンクと白のフリルを纏い、巨大なリボンをつけた機体は、「可愛い」を極限まで追求したデザインだ。サティが「ジャンピー、最高のラブリーを見せて!」とアピールすると、客席からは「可愛い!」の大合唱が起こる。

 

 そして、自身のゴーレムをこよなく愛するクリムの牛鳥型ゴーレム【こむたん】。牛の頭部に鳥の翼、そして愛らしい瞳を持つ異形の美は、観客の「理解を超えたロマン」を刺激する?

 

 最後に現れたのは、ミーサ先輩のお嬢様型ゴーレム【ノーブルルージュ】だ。真紅のドレスと、優雅なフリル、そして薔薇を模した装飾を持つ機体は、気品そのもの。ミーサ先輩は、扇子で顔を隠し、「オーホッホッホ!」と高笑いしながら、ステージ中央で優雅なポーズを決めた。

 

 

 

 

そして、結果発表。

 

 審査委員長が掲げたボードに書かれていたのは――ミーサ先輩の【ノーブルルージュ】だった!

 

「オーホッホッホ!当然ですわ!」

ミーサ先輩が、両手を広げて高笑いする。

 

 その傍らで、エレナ先輩が全身から魔力を抜かれたように崩れ落ちた。

 

「私の芸術が…負けた…。」

 

 そして、ミーサ先輩をステージの下から見ながら、執事のセバスチャンが深々と頭を下げていた。

 

「流石でございます、お嬢様。【ノーブルルージュ】は、お嬢様の気高さを体現した至高のゴーレムでございます。」

 

タクトは、ここでハッと思い出した。

 

「そういえば、セバスチャン先輩のゴーレムって、【セバスチャン】って言うんだよな」

 

セバスチャンは、タクトたちに気づくと、一瞬で顔を整え、「その通りでございます」と答えた。

 

「【セバスチャン】は、わたくしが日常生活でも、ゴーレムバトルでも、お側でお仕えさせて頂くための、究極の執事ゴーレムでございます。」

 

クローナが疑問を口にした。

 

「ミーサ先輩って、駄菓子屋さんですよね?執事さんなんて雇えるんですか?」

 

セバスチャンは、少し遠い目をして、熱く語り始めた。

 

「わたくしは以前、ある貴族様に代々使える一族でございましたが、ある時その貴族様が事件に巻き込まれ没落いたしました。家臣たちは散り散りになり、幼かった私も、雨の降りしきる中、路地裏で野垂れ死にそうになっておりました。」

 

その話に、タクトたち全員が息を呑む。

 

「そんな中、お嬢様は、汚い私を家に招待し、身体を拭き、暖かなスープを恵んでくださいました。あの時飲んだスープは、お屋敷にいた時に食べたどんな豪華な食事より美味しかった。」

 

セバスチャンの瞳が潤む。

 

「当時、ミーサお嬢様のご両親は亡くなっており、お祖母様と二人暮らしをされていました。お嬢様たちは決して裕福という訳ではありませんでした。それでも、お祖母様と2人で、恵まれない人々への施しなどを積極的に行っておられたのです」

 

「わたくしは、この貴いお方を終生の主と定め、人生をとしてお支えしようと決意いたしました。その後、少しづつお金を貯め、それを元手に投資で運用し、お嬢様をお支えするのに恥ずかしくないだけの資金も蓄えました。お嬢様は貴族ではありませんが、わたくしにとっては、誰よりも貴いお方なのです」

 

セバスチャンの熱い語りに、タクトは深く感動した。

 

 クローナとローニャはウルウルと瞳を潤ませ、ニクスは無表情のまま静かに涙を流す。そして、ルッコは後ろを向き、バレないようにグスグスとすすり泣いていた。

 

「ミーサ先輩、良かったね!」

 

タクト達は心からの笑顔で、ミーサ先輩を祝福した。

 

 

 

 

 タクトたちの凱旋と感動の再会は、すぐに学園中に知れ渡った。

 

 学園長室では、マリー王女が、タクトたちを心から歓迎した。

 

「タクト。あなたが、ゴルディアス王国の代表候補として世界に挑むことを、この国全体が喜んでいるわ。私も、あなたと闘った者の一人として誇らしいわ!」

 

マリー王女の言葉は、確かな激励となった。

 

 その後、タクトたちは作戦会議室を借り、ローニャがゴレリンピックの準備と戦術分析を始めた。

 

「まず、ルールの再確認です。」

 

ローニャが、魔導プロジェクターに「ゴレリンピック特別ルール」を映し出す。

 

「私たちが出場するのは18歳以下の部、ユースチーム達との戦いになります。」

「大会は4人一チームで、補欠の枠は1。総当たりのリーグ戦です。」

「機体耐久力の回復魔術と、状態異常を直接解除する魔術の使用が極端に制限される。」

 

そのルールに、クローナが晴れやかな表情で口を開いた。

 

「みんな、安心して。合宿中に、私は【自動回復】の刻印を外して、代わりにいくつか別の刻印に入れ替えたよ!耐久力が回復しなくても、より長く前線で戦えるようにね!」

 

タクトは驚いた。

 

「クローナ、いつの間に!」

 

「ルッコちゃんと戦って、タクトくんのロマンを支えるには、『耐久力で耐える』んじゃなくて、『安定して突っ込めること』が重要だって分かったから!」

 

クローナは、成長の証を見せた。

 

ローニャは、続けて各国代表の戦術を分析した。

 

バルト人民共和国: 民主主義国家だが、プロのゴレトルプレイヤーが国策を左右する「ゴレトル偏重国家」。代表は洗練されたプロ集団であり、「王族の権威」を嫌う傾向にある。

 

スティア連合国: 亜人種が多く、部族間の争いが絶えないため、ゴレトルが盛ん。「特化型・異形型」*のゴーレムが多い。予測不能な戦闘が予想される。

ゴルド公国: 元はゴルディアス王国の一部。ゴレトルカジノやコロシアムを主産業とする「巨万の富」が蠢く国。代表は資金力を活かした最新鋭の武装を持つ可能性が高い。

 

ゾルディアーク帝国: 兵器型ゴーレムの開発最先端を行く「軍事大国」。男プレイヤーも多く、集団戦術と火力に長けている。

 

エクサリス聖教国: 大会開催国。中央広場の勇者と魔王の像は、全てのゴレトルプレイヤーの憧れ。古代魔術刻印の研究が盛ん。

 

 タクトは、ローニャの分析を聞きながら、五人チームの編成を計画した。

 

「よし。バルトのようなプロ集団相手には、俺とニクスの高速コンビに、ローニャの精密な支援が鍵になる。スティア連合のような特化型には、クローナの安定した耐久力が必須だ。」

 

タクトの視線が、最後にルッコに向けられた。

 

「そして、ゾルディアーク帝国のような集団戦には、ルッコの【超剛力】が必要だ。一点突破の破壊力は、ルッコにしか出せない。」

 

 ルッコは、タクトに指名されたことに、顔を赤くしながら鼻を鳴らした。

 

「フン!別に!あんたの戦術に付き合ってやるだけよ!」

 

タクトは、その彼女らしい返答に笑顔を返した。

 

 個の力だけでなく、仲間との絆という新しいロマンを手に入れたタクトたちは、ゴレリンピックという世界の舞台へと、そのロマンを届ける準備を整えたのだった。

 

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