鋼鉄闘域(ゴーレムバトル)〜ホビーアニメ設定の貞操逆転異世界でオタク男子は希少種〜   作:白うに

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第37話「漆黒の戦斧と、人狼のゲーム」

 

オルタヴァリスの誕生:鬼子の投資

 

 ゾルディアーク帝国との試合を翌日に控えた午後、タクトたちはエクサリス聖教国の鋼鉄闘域ギルドに併設されたプライベート演習場に足を運んでいた。

 

「まさか、ゼノンから直接指導を受け取ることになるとはな!」

 

タクトは素直に感動していた。

 

 エクサリス聖教国との試合を終えた後、タクトたちはゼノンの待つ宿舎へと向かっていた。そこでゼノンは、ニクスの新しいハルバートを手渡す際、武装の試験を申し出た。

 

 ニクスは依然として警戒心を捨てていなかったが、タクトは疑うことなく、ゼノンの恩義に深く感謝した。

 

「ありがとな、ゼノン。最高の相棒をニクスに与えてくれて!」

 

ゼノンは淡々と答えた。

 

「気にしなくていい、この世界には『ゴレトルが終わればみんな友達』ということわざが有るだろ。」

 

 語ったゼノンはもちろん、そんな事は全然思っていないが、タクトはこれにも純粋に感動していた。

 

 演習場で、ゼノンはニクスの新たなハルバート、『オルタヴァリス』の説明を丁寧にした。

 

『オルタヴァリス』は、漆黒の柄と刀身を持ち、雷の結晶で装飾されていた。そのため、強い衝撃を与えると、雷の魔力が発せられる仕組みとなっている。普段は手斧ほどの大きさだが、魔力を流すことでハルバートの形状に復元する『形状記憶魔力合金』で作られていた。

 

 そして、最大の特徴は、柄に刻まれている、『簡易重力操作』の術式だ。

 

そのあまりの高性能に、一同は絶句した。

 

 特に、ローニャの食い付きは凄まじかった。彼女は瞳を輝かせ、オルタヴァリスを隅々まで分析する。

 

「武装にこれほど繊細な刻印を…。これでは強度が…。戦闘に耐えられるわけ…。なるほど!圧縮刻印の応用ですか!簡易障壁魔術で保護を…。こんな簡単なこと、どうして今まで誰も…!」

 

 ローニャはぶつぶつと熱弁を振るい続け、食い入るようにハルバートを見つめ続ける。

 

 ニクスは無言でローニャからハルバートをスッと奪い返し、ゼノンを見つめた。

 

 ゼノンは、ニクスのゴーレム【アサルトフェリス】に、自身が以前使ったていた【オーガロン】を調整相手として用意した。

 

実戦形式のテストが始まった。

 

 今まで重くて堪らなかったハルバートが、『オルタヴァリス』の簡易重力操作によって、レイピアのように軽やかだ。移動時や振り回す時は半分の重量。

 

 だが、ゼノンの【オーガロン】の装甲に叩きつける瞬間、紫色のオーラがオルタヴァリスから立ち昇り、その圧力は大戦斧の如くだった。インパクトの一瞬のみ、重量が倍になるよう刻印が発動しているのだ。

 

「いける…。」

 

ニクスは【アサルトフェリス】の新たな相棒に勝利の確信を得た。

 

ゼノンはニクスに指摘した。

 

「ニクス。君の瞬時の魔力操作と身体同調率は、私の予測以上だ。この戦術は、君なら使いこなせるだろう。」

 

 タクトとローニャは、ニクスの成長とゼノンの指導に感銘を受けていた。

 

 ルナは、演習場の隅で怨嗟の籠もった瞳でニクスを睨んでいた。

 

「やっぱり…、泥棒猫…。」

 

 

 

炎と雷の地獄、オルタヴァリスの閃光

 

そして、ゴレリンピック4回戦。

 

 炎熱地獄となったステージで、ニクスは雷の結晶を纏ったガルザの【マギウスカイザー】と対峙する。

 

 紫電を纏う落雷のような剛剣が、再度【アサルトフェリス】を捉えようとした。

 

 ニクスは冷静に回避すると、手に持つ『オルタヴァリス』に魔力を流し込み、戦闘形態へと変化させた。手斧サイズから巨大なハルバートへと急に変じた漆黒の武器に、ガルザは一瞬驚く。

 

 しかし、ガルザは武人の直感で、軽量型のゴーレムに持たせるべき武装ではないと看破した。

 

ガルザは先ほどよりも更に鋭い斬撃を放ってきた。

 

ギンッ!

 

 ニクスは『オルタヴァリス』で受け止める。途轍もない反応速度で振り回したにも関わらず、重量武器特有の体幹への影響がない。だが、剣から伝わってくる剛健さは大盾のように強靭なものだった。

 

「重力操作だな…?」

 

ガルザはハルバートのカラクリを瞬時に看破した。

 

 接近戦を危険に感じたガルザは後方に飛び、左腕にマウントしている銃杖から【超雷閃】を発射。

 

 ステージを砕きながら進む閃射系魔術を、ニクスは左に仰け反って回避。

 

 その勢いのまま、ニクスは【模倣】でガルザの【紫電】をコピーして己の速度に乗せ、ガルザに一息の内に接近した。

 

閃光が走る。

 

 ガルザの【マギウスカイザー】の【超雷閃】が刻印されている左腕が、『オルタヴァリス』によって切り飛ばされた。

 

雷の結晶が砕け散る。

 

 

 

所変わって、クローナとナリアが対峙する戦場。

 

 闇の結晶を纏ったナリアの【マギウスカイザー】は、【闇塵】を駆使し、神出鬼没に現れる戦術でクローナを翻弄していた。

 

 クローナは【頑丈】を発動し、感知を強めるが、ナリアの戦術に対応しきれない。

 

 そこに、ルッコが炎熱地獄を避けながら、加勢に現れた。

 

「なに手こずってるのよ!手伝ってあげるわ!」

 

「ありがとう!ルッコちゃん!」

 

 クローナは安堵したが、警戒を解かず、周囲を見ていた。そのクローナの後ろから、急に【クリムゾンヘイト】が【ゲイルハルト】の背面を殴りつけてきた。

 

「ルッコちゃん!?何を!?」

 

 ニッコリと笑うルッコ。だが、反対から本物の声が聞こえる。

 

「クローナ!そいつは偽物よ!」

 

 ハッとして目を凝らすと、偽物のルッコからハラハラと魔術残滓が落ちていった。

 

ナリアは、クローナの信頼を逆手に取り、ルッコの姿を【模倣】していたのだ。

 

「バレちゃいましたね、でも結構上手かったと思いませんかー?」

 

 闇の結晶を纏った【マギウスカイザー】の装甲が剥がれ落ちた【クリムゾンヘイト】の中から現れた。

 

 いつも自分が使っている戦法にまんまと嵌ってしまい、クローナは牙を食い縛り、悔しがる。

 

「怖い顔です、同じ人狼同士仲良くしましょうよー!」

 

抜け抜けと話すナリア。

 

 クローナは怒りに震え、【剛力】と【狂化】を発動し、姿を現したナリアの【マギウスカイザー】に向けて突進した。

 

「単純ですねー。【爆裂闇弾】小規模発動!」

 

 ナリアは魔術を変則発動し、最小範囲で【爆裂闇弾】を放った。

 

正面に迫る闇の爆発に呑み込まれそうになるクローナ。

 

 とっさに、後ろからカバーに入ったルッコの【クリムゾンヘイト】が、【ゲイルハルト】を押し倒して回避する。

 

 しかし、【クリムゾンヘイト】の方翼が闇の爆裂に巻き込まれ、消失してしまった。

 

 クローナは必死に【ゲイルハルト】と同調し、【狂化】を解除。ルッコと共に体制を立て直す。

 

「ご、ごめん、ルッコちゃん!」

 

「別にいいわよ。タクトと違って、すぐに助けに入る事が出来なかった私も悪いわ…。」

 

 不器用に謝るルッコの言葉に、クローナは顔を上げる。

 

 ルッコが参戦したことで、ナリアは気持ちを入れ替え、いつもの顔になった。

 

「仕切り直しよ!」

 

 ルッコが紅蓮の魔力を滾らせ、炎熱地獄の中で闇の戦術家を睨みつけた。

 

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