鋼鉄闘域(ゴーレムバトル)〜ホビーアニメ設定の貞操逆転異世界でオタク男子は希少種〜   作:白うに

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第45話 「鋼鉄の薔薇と、第一発電所の攻防」

 

堅牢なる砦:第一魔導力発電所の攻防

 

 ゴルディアス王国の運命を決定づける、二つの戦いがここでも進行していた。一つはゴレリンピックの最終試合。もう一つは、ゾルディアーク帝国軍との戦争である。

 

 ミーサ率いる学徒兵部隊が配備されたのは、国内の魔導電力供給の要である『第一魔導力発電所』。ここが制圧されれば、王都の防衛機構は3割が停止し、国中に供給される電力に不足が発生してしまうだろう。

 

 発電所の周囲は既に、戦場と化していた。ゾルディアーク帝国軍は、装甲を増設した兵器型ゴーレム、【デミマギウス】で統一されており、圧倒的な物量と火力で押し寄せていた。

 

 前線指揮官であるミーサは、自らの令嬢型ゴーレム【ノーブルルージュ】と共に戦場を駆けていた。金髪縦ロールの令嬢のような姿と、特徴的な高笑いがチャームポイントなミーサだが、彼女は王国随一のゴレトルの使い手だ。

 

「オーホッホッホ!ごめん遊ばせ!」

 

【ノーブルルージュ】はレイピアを構える。【鋭剣】で攻撃力を大幅に強化されたレイピアは、ゾルディアーク帝国の【デミマギウス】の装甲の間を正確に、次々と貫いていく。

 

 小刻みに【縮地】を発動させた【ノーブルルージュ】は電光石火の速さで短距離を移動し、優雅かつ容赦なく、敵機を仕留める。その様はまるで、舞踏を見ているかのようだった。【幻影】で自身の残像を生み出し、敵の照準を乱しながら斬撃を繰り出す。

 

 ミーサの前に、3体の【デミマギウス】が連携して飛び掛かってきた。流石に数の圧力に顔を歪めるミーサ。

 

 その時、【ノーブルルージュ】の後方に控えていた執事のセバスチャンが動いた。

 

 彼のゴーレム、【セバスチャン】は執事服のような形状をした特注の戦闘用ゴーレムだ。

 

 セバスチャンの使命はただ一つ、ミーサを守り、その勝利を確実なものにすることである。

 

【セバスチャン】の指先から、極限まで洗練された超硬度のワイヤー(糸)が高速で射出された。

 

「【千変操糸】!」

 

 ワイヤーは空を裂き、一瞬で3体の【デミマギウス】の四肢や首に絡みつく。セバスチャンがワイヤーを引き絞ると、敵ゴーレムの装甲が音を立てて切断され、その動きが完全に拘束された。

 

 糸は拘束だけでなく、切断をも可能とする、恐るべき戦闘術だ。セバスチャンは常に冷静で完璧な戦闘を展開し、ミーサの死角を完璧にカバーしていた。

 

「お見事ですわ、セバスチャン!」

 

「当然の事です、お嬢様。お嬢様の行く道に、このセバスチャン、忠誠の剣を。」

 

セバスチャンの静かな言葉が、ミーサの心を支える。

 

 しかし、戦況は依然として厳しかった。ゾルディアーク帝国軍の物量は尽きることなく、発電所の周囲を取り囲んでいた。

 

 前線ではゴーレム学園の学生たちが必死に頑張っている。

 

 特徴的なギンギラの三角帽子に何やら思想強めの文言が刺繍されているマントをたなびかせるチュニは、論者型ゴーレム【サームス】で敵の動きを妨害していた。

 

「これはゴルド公国の陰謀よ!ゴルド公国はスティア連合国のとある部族とのゴレトル契約により、国の行くすら左右する陰謀を張り巡らせている!そうはさせない!この国に生きる我々の自由を守るため、私は戦いましょう!【魔力妨害】!そして【砂塵】!」

 

【サームス】から放たれた魔力妨害の波動が敵の魔術の発動を遅延させ、土魔法【砂塵】が視界を奪う。チュニは反動の大きい【爆風】を温存とかこれっぽっちも考えずぶっ放しながら、【放電】で敵を牽制し、時間を稼ぐ。

 

 魚人族の元気っ娘エルは、鋏甲虫型ゴーレム【シルバースティンガー】で空中戦を展開していた。

 

「負けるもんか!工廠に新しく設置された武装ガチャで天井まで回して手に入れた最新のブレードの威力を思い知れ!」

 

【飛行】で空中を舞い、【速刃】で刀剣の速度を強化し、【デミマギウス】を上空こら襲う。【感知】スキルで敵の動きを読んでいるが、数機に取り囲まれ、損傷が広がりつつあった。

 

 タクト達とダンジョンで修行したちょっと病んでるマルノは、人形型ゴーレム【フランソワ】で凄まじい戦闘を展開していた。

 

「最近タクト君から魔導通信無いな…。まあ別にただのクラスメイトだしね。修行に都合が良かったってだけの女だったんだよね。もう、いい…!私なんて…【呪詛】!【犠牲】!」

 

【呪詛】で敵のスキルの発動を阻害し、自機の耐久力を削って攻撃力を大幅に強化する【犠牲】を発動。狂気的な勢いで【光刃】を放ち、次々と敵を仕留める。【自動回復】スキルでギリギリの戦線を維持していた。

 

 ゴレトルアイドル志望の兎人族サティは、フリフリの衣装のままアイドル型ゴーレム【ジャンピー】を操り、後衛で奮闘していた。

 

「みんな、負けないでね!私の【鼓武】で頑張るにゃん!きゅるるん!」

 

【光塵】や【光弾】で敵を牽制しつつ、【鼓武】で広範囲の仲間の攻撃力を強化する。ゴレトルアイドル志望にしては、魔術の使い方が異常に上手く、彼女の働きで前線を支えているまである。だが、【根性】スキルのおかげで持ちこたえているが、魔力は枯渇寸前だ。

 

 そして、クリム。牛鳥型ゴーレム【こむたん】を操る彼は、戦闘は苦手だったが、【軟化】を発動した機体で盾となり、周囲に【上級調理】で作った補給を行き渡らせていた。彼もまた、命懸けで貢献していた。

 

 

 

 

 

 学徒兵たちの奮闘にも関わらず、ゾルディアーク帝国軍の攻勢は止まらなかった。防衛線は徐々に崩壊し、発電所の外壁に敵機が肉薄し始めていた。

 

 ミーサは【ノーブルルージュ】と繋がる指輪を見つめながら、撤退を考え始めていた。これ以上は、生徒たちに犠牲がでてしまう。

 

その時、戦場の上空から、巨大な氷の波動が降り注いだ。

 

 ゾルディアーク帝国軍の【デミマギウス】の動きが一斉に鈍る。機体の表面に微細な氷が張り付き、魔力回路の循環が妨げられたのだ。

 

 鋼鉄闘技ギルドAクラス、『ご意見番』ティナリスが、氷精型ゴーレム【クリスタルリリス】と共に戦場に現れた。

 

「遅くなった、よく持ちこたえてくれた。」

 

ティナリスの落ち着いた声が魔導通信に響く。

 

【クリスタルリリス】は【大霧氷域】を発動し、戦場を一瞬で氷の世界に変える。【魔力凍結】が敵の魔力の動きをさらに鈍らせる中、ティナリスは正確な指示を送った。

 

 巨大な【氷結障壁】が発電所の周囲に展開され、敵の侵入を防ぐ。さらに【氷気】が敵に向かって放出され、【デミマギウス】の装甲を凍りつかせていく。

 

ティナリスは圧倒的な実力で、戦場の流れを一変させた。

 

ミーサは目を見開く。

 

(これなら、何とかなるかもしれない!タクト様…、みんな…!)

 

 ミーサは【ノーブルルージュ】のレイピアを再び、敵に向けて構える。

 

「セバスチャン!参りますわよ!ティナリス様が来てくださいました!私たちも、もうひと頑張りすしますわよ!」

 

「かしこまりました、お嬢様。貴方様の獲物をこのセバスチャンが華麗に仕上げます。存分に暴れてくださいませ。」

 

 鋼鉄の薔薇と執事の鋼糸は再び、希望の灯を守るため、激戦の中へと突撃していった。

 

 

 

 

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