鋼鉄闘域(ゴーレムバトル)〜ホビーアニメ設定の貞操逆転異世界でオタク男子は希少種〜 作:白うに
ピーキーなロマン、極限の進化
ローニャの助言に閃きを得たタクトは、早速【アブソルトレイル】の調整に取り掛かった。
学生レベルの魔術刻印は4~6個が限界。既存の4つ(【光剣】【熱閃】【追尾光弾】【爆風】)に加え、ローニャの提案を活かし、2つの刻印を追加する。
【高速】:基礎速度を底上げし、機動力を強化。
【光塵】:光の粒子を放ち、視界を遮りつつ機体を地面に押し付ける反動を生成。
合計6個で刻印枠は満杯。指輪の魔力コストは限界ギリギリだ。
「装甲を削り、防御を捨てて、【爆風】と【光塵】の連携で超高機動ブーストを実現する!」
タクトは指輪に魔力を注ぎ、魔法陣の上で刻印を施す。完成した【アブソルトレイル】は、研ぎ澄まされた白銀の騎士と化す。無駄のない流線型のボディは、まるで風を切り裂く刃のようだ。
放課後、タクトはクローナとローニャを連れ、学園の演習場へ向かった。夕陽がリングを赤く染める中、テストの準備が始まる。
「タクトくん、その【爆風】ブースト、本当に大丈夫?自爆しそうで怖いんだけど……」
クローナの狼の耳が心配そうにピクピク揺れる。タクトはニヤリと笑う。
「心配すんな、クローナ。ローニャのアイデアなら完璧だ。見てろよ!」
「【アブソルトレイル】、【爆風】ブースト発動!」
タクトの号令で【アブソルトレイル】の両脚と背中の噴射口から【爆風】が轟く!
ドォン!
凄まじい衝撃波が機体を弾き出し、リングを疾風の如く駆け抜ける。だが、同時に肩部から【光塵】が微かな光の粒子を放ち、逆噴射で機体を地面に押し付ける。
「おお!ブレてない!」
タクトの目論見通り、【爆風】の推進力と【光塵】の反動が絶妙に調和し、姿勢を安定させながら圧倒的な速度を生み出す。【アブソルトレイル】は、まるで空を滑る流星のように演習場を疾走した。
「す、すごい!これがタクトくんの超高速戦……!」
クローナの瞳がキラキラと輝き、驚嘆の声が響く。ローニャは興奮で眼鏡をクイッと上げ、メモ帳に計算を走らせる。
「理論通りです!風と光の魔法の反動相互作用による移動時の安定を実現!タクトさん、このゴーレム制御とカスタムをここまで仕上げるなんて、信じられないです!」
タクトは満足げに頷くが、すぐに闘志を燃やす。
「この機動を武器にするには実戦だ。クローナ、悪いけど模擬戦に付き合ってくれ!」
「え、私!?いいけど……タクトくんの機体、装甲薄いから、【ゲイルハルト】の攻撃が当たったら一撃で終わっちゃうよ?」
クローナの【ゲイルハルト】は、【頑丈】【自動回復】【剛力】【狂化】を備えた人狼型ゴーレム。巨大な両腕のパワーと耐久力は、正面衝突なら【アブソルトレイル】に勝ち目はない。
「その『一撃も当たらない』戦い方を極めるんだ。さあ、勝負だ!」
タクトとクローナがリングに上がろうとしたその瞬間、鋭い声が割って入る。
「待ちなさいよ、雑魚男。つまらない模擬戦に水を差してあげる!」
リング脇に立つのは、赤髪に悪魔族の尖った耳が特徴的な少女、ルッコ。クラスで唯一タクトを無視し、他のクラスメイトを「雑魚」と嘲るツンツンな態度で知られている。
「そのひょっろい機体!私の【クリムゾンヘイト】で一瞬で叩き潰してあげるわ!」
ルッコの指輪が閃き、悪魔型ゴーレム【クリムゾンヘイト】が出現。闇を飲み込む漆黒のボディに、血のような紅黒い魔力光が不気味に脈打つ。
スキルは【超剛力】【犠牲】(耐久を消費して攻撃力強化)、そして相手のスキルを封じる【契約】。その破壊的なフォルムと禍々しいオーラに、演習場の空気がピリつく。
「クローナ、ウォーミングアップは中止だ。ルッコ、お前と勝負だ!」
タクトの瞳に静かな闘志が宿る。ロマンを否定するルッコの言葉は、彼の心に火をつけた。リングに立つ白銀の騎士と漆黒の悪魔。戦いの幕が上がる!