鋼鉄闘域(ゴーレムバトル)〜ホビーアニメ設定の貞操逆転異世界でオタク男子は希少種〜   作:白うに

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第50話「新時代の予感、終りなきロマン」

 

王都の歓声:英雄たちの帰還

 

 ゴレリンピックの決勝戦から一夜が明け、ゴルディアス王国チームを乗せた魔導列車は、王都の壮麗な駅に到着した。

 

 タクトたち一行は王都大通りを進み、熱狂的な歓声に包まれたまま王宮へと向かう。彼らは優勝という栄光だけでなく、裏の侵略を退けた『英雄』としての凱旋だった。

 

 王宮の大広間。まず、ルッコが愛を込めた抱擁で迎えられた。母であり、宮廷騎士序列4位のエルミラだ。

 

「ルッコ!よくやってくれましたね!お父さんも喜んでましたよ!」

 

 エルミラは豊満な胸でルッコを抱きしめ、ルッコはその強烈な愛情に顔を赤くして抵抗していた。

 

 その傍らには、妹のミルコが立っていた。ミルコはタクトを見つけると、途端にパッと目を輝かせ、ルッコの脇をすり抜けてタクトの前へと進み出た。

 

「タクトお兄ちゃん!ルッコ姉貴みたいな凡人じゃなくて、私と組めばもっと最高のロマンが見せられたのに!」

 

 ミルコは合宿でタクトに会って以来、隙あらばルッコからタクトを奪い取ろうと企んでいる。ルッコは「こら!ミルコ!」と叫ぶが、ミルコは悪戯っぽい笑みを浮かべる。

 

 次にタクトたちの前に進み出たのは、マリー王女とティナリスだった。

 

 マリー王女は、王族としての威厳と力強さに満ちていた。昨日の戦いを乗り越えた彼女の目は、勇壮な光を放っていた。

 

「タクト、クローナ、ニクス、ローニャ、ルッコ!頭を上げなさい!あなたたちはゴルディアス王国の光であり、救世主です!あなたたちの力が、この国に勝利をもたらしたのです!」

 

 王女の力強い言葉は会場全体に響き渡り、騎士たちの間にも感銘が広がった。

 

 ティナリスも、いつもの冷静な表情を崩し話しかけてきた。

 

「よくやったな、タクト。お前たちの勝利は、このゴルディアス王国で永く語り継がれるだろう。」

 

 そして、修行をつけてくれた騎士リディアも、満足そうに頷いた。

 

「よう、タクト。お前のロマンは、この国の王道となった。見事だ。」

 

 

 タクトがこの温かい歓迎に感銘を受けている中、一際輝きを放つ女性が現れた。

 

 ニーナだ。彼女は以前から、誰もが本物の貴族と見紛うほどの優雅さ、気品、そして威厳を身に纏っていたが、今、その姿は王宮の絢爛さにも負けない本物のオーラを発していた。

 

 ニーナは優しく微笑み、タクトに向かって静かに語りかけた。

 

「タクト様、皆さん。本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。」

 

そして、彼女は自身の身分の変化を告げた。

 

「僭越長ながらこの度、私、ニーナは正式に叙勲され、『子爵』の爵位を賜ることになりましたの。皆様の働きの裏で得た功績なのに、過分な配慮を頂きまして…。」

 

 ニーナは、ゴルド公国との内通の証拠を王宮に送り、さらに魔導発電所襲撃の際に学徒兵の指揮を執った功績が認められたのだ。元々持っていた貴族としての『格』に、ついに『身分』が追い付いた瞬間だった。

 

 タクトは心からの喜びを感じ、ニーナに向かって頭を下げた。

 

「ニーナ先輩!本当におめでとうございます。先輩のロマンも叶いましたね。」

 

 その光景を見ていたセバスチャンは目を真っ赤にし、ハンカチで涙を拭った。

 

「お嬢様…!お嬢様はこのセバスチャンが見てきた全ての貴族の中で、最も正しい叙勲でございます!ご立派になられました…!」

 

 セバスチャンの心からの感動は、この勝利がタクトのロマンだけでなく、ニーナの『貴族になる』という夢までをも実現させた、最も美しい結末であることを示していた。

 

 

 

 

 

学園の日常と、新たな風

 

 ゴレリンピック優勝と王都での凱旋から数日後、タクトたち一行は、いつもの魔導技術学園の日常へと戻っていた。【アブソルトレイル】や【クリムゾンヘイト】は大規模な修理に入り、重々しい政治と戦争の空気は一時的に遠のいた。

 

 そんな平和な昼休み、タクトとニクスは学園の掲示板の前で熱心に一枚のポスターを見つめていた。

 

『緊急開催!ゴーレム・スピードバトル学園大会!』

 

 ポスターには、学園の周囲に設定された複雑なチェックポイントを経由し、ゴールまでの速度を競うレースの概要が書かれていた。

 

「これだ、ニクス!純粋な速度と機動力のロマン!俺の【アブソルトレイル】の爆発的な加速を最大限に活かせる舞台だ!」

 

 タクトの目は、昨日の激戦を経てもまだ新しいロマンへの情熱に燃えていた。

 

 ニクスも、いつもの無表情ながら、その闘志は隠されていなかった。

 

「学園のフィールド特性、チェックポイントの魔力応答時間、そして【アサルトフェリス】の最適な重心移動…。興味深い挑戦。」

 

ニクスは既にシミュレーションを開始していた。

 

 その様子を見ていたクローナは、柔らかな笑みを浮かべた。

 

「へぇ、レースか。いいね!タクトくん、ニクス。頑張ってね、応援してるよ!」

 

ローニャは二人の熱狂ぶりに苦笑を浮かべる。

 

「またですか、タクトさん。国の命運を懸けた戦いの後で、今度は学園の周囲を爆走するレース。あなたのロマンのエネルギーは、一体どこから湧いてくるのですか?」

 

 ローニャは冷静に呆れているが、内心ではタクトの絶え間ない情熱を「ロマン」として愛していた。

 

 しかし、この平和な空気を一変させたのはルッコだった。ルッコはタクトたちの会話を聞きつけ、額に青筋を立てて怒りに震えていた。

 

「な…によ!レース!?面白そうなことを私に隠して!あなたたち、私を仲間外れにする気!?」

 

 ルッコは、ゴレリンピックの決勝戦に機体の修理が間に合わず出場できなかった悔しさがまだ残っている。今回も欠場するのは絶対に嫌だった。

 

「【クリムゾンヘイト】はまだ完璧じゃない!でも、そんなの関係ないわ!私も出る!【クリムゾンヘイト】にブースター魔術を刻印してやるんだから!」

 

ルッコは怒りに任せて参加を表明した。

 

 タクトは、ルッコのその変わらない情熱を受け止め、満面の笑みで応えた。

 

「いいぞ、ルッコ!ニクス!ローニャ!そしてクローナ!俺たちのロマンは、国を救って終わるようなちっぽけなものじゃない!」

 

タクトは、指輪を天に掲げた。

 

「俺たちのロマンは、まだまだ続く!次は速さのロマンを見せてやる!」

 

 




第一部 完 

と言う事で、お付き合い頂きありがとうございました。
また機会があれば、続きを投稿したいと思います。

今後もよろしくお願いします。
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