鋼鉄闘域(ゴーレムバトル)〜ホビーアニメ設定の貞操逆転異世界でオタク男子は希少種〜   作:白うに

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第8話「鋼鉄闘域ギルド登録!プロへの道の厳しさ」

 

期限付きのプロフェッショナル

 

 チームを結成し、ゴーレムの調整を進めたタクトたち。だが、タクトの心には一つの気がかりがあった——ゴレトルの「プロ」への夢だ。

 

「プロになりたいんだ、みんな。ご近所トラブルから国同士の争いまで、ゴレトルで解決するなんて、最高のロマンだろ!」

 

 夕陽に染まる学園の廊下で、タクトの瞳が燃える。クローナが狼の耳をピクピクさせ、笑顔で頷く。

 

「うん、タクトくん!私も鋼鉄闘域ギルドでプロになって、みんなと一緒に戦いたい!」

 

ローニャが眼鏡をクイッと上げ、メモ帳を握りしめる。

 

「プロの世界は厳しいですけど、タクトさんのロマンならきっと到達できます!」

 

ニクスは無表情ながら、猫耳がわずかに動く。

 

「プロは実力が全て。私たちの速度なら、頂点も夢じゃない。」

 

 意気揚々と、タクトたちは街の鋼鉄闘域ギルドへ向かった。 ギルドの建物は、重厚な石造りに魔力光が瞬く壮麗な空間だ。壁にはEからSクラスのランクを示す掲示板が輝き、学生から歴戦の大人まで様々なプレイヤーで賑わう。その熱気が、タクトの心を高鳴らせる。

 

「学生はEクラスから登録可能……でも、プロへの道は厳しい⋯。」

 

ニクスが淡々と説明する。

 

「プロとして認められるには、Cクラスへの昇格が必須。そして、最も厳しいのは……年齢制限。」

 

その瞬間、受付の奥で緊迫した場面が繰り広げられていた。

 

「残念ながら、君は今日で18歳だ。Cクラスに到達できなかったため、規定により退会・追放となる。」

 

ギルド職員の冷徹な声に、若い女性が懇願する。

 

「そんな……!あと少しでCクラスだったのに!お願い、1年だけ猶予を……!」

 

 だが、彼女の声は虚しく、職員に半ば強引に連れ出される。タクトは息を呑む。プロの世界は、こんなにもシビアなのか。

 

「プロは『争いの代行者』。国同士のいざこざを担うほどの存在だ。18歳までにCクラスに到達できなければ、容赦なく追放される。それがゴレトルプレイヤーの宿命⋯。」

 

 ニクスの言葉は冷たく、だがその瞳には静かな闘志が宿る。 タクトは自分の年齢を意識する。12歳。猶予は6年。Cクラスの壁は高いが、ロマンへの炎は消えない。

 

「俺は絶対、18歳までにCクラスに上がってやる!」

 

 その決意に、クローナが拳を握り、ローニャが頷き、ニクスがわずかに猫耳を動かす。 四人はEランク登録を無事完了。

 

「最初の任務はダンジョン探索。構造変化の調査と出現ゴーレムの確認。実戦経験と素材収集が、今の私たちに必要。」

 

 ニクスが冷静に次の目標を示す。タクトたちのプロへの第一歩が、静かに始まった。

 

 

 

 

Side ルッコ

 

 ギルドの受付でEランクの登録カードを受け取り、和気あいあいと談笑しながら去っていくタクトたち。その背中を、建物の影からじっと見つめる少女がいた——ルッコだ。

 

「まったく、あのバカ!紙装甲のひょろいゴーレムでギルド登録だなんて、借金まみれになるのが目に見えてるわ!」

 

 ルッコは毒づくが、視線はタクトから離れない。模擬戦の引き分け以来、彼の「ロマン」がどこまで通用するのか、気になって仕方なかった。

 

(あんな変態ロマン男に先に進まれるなんて、絶対許さない!私の破壊の力が、最高のロマンよ!)

 

 気合を入れ直し、ルッコはギルドの重い扉を勢いよく開ける。

 

「ギルド登録をお願い!Eランクでいいわ。まぁ、実力はCランク相当だけどね!」

 

 悪魔族の尖った耳をピンと立て、ツンとした態度で受付嬢に申請書を突き出す。 ここでいきなりSランクと言わない辺りが、彼女のゴレバト愛が垣間見られる所だろう。

 

 受付嬢はルッコの紅い髪と自信満々な態度に一瞬目を丸くするが、すぐに笑顔で対応する。

 

「ルッコ様ですね。ご登録ありがとうございます。登録には、緊急時の識別のため、魔法具による『全身スキャン』が必須ですので、下のスキャンルームへお進み下さい。」

 

「全身スキャン?魔力情報だけで十分でしょ!」

 

 ルッコが顔を顰める。だが、受付嬢は冷静に続ける。

 

「申し訳ありません。肌の紋様や潜在魔力の色を正確に把握するため、全ての衣服を脱ぎ、専用のスキャンルームに入っていただきます。すぐに終わりますので。」

 

「全部!?」

 

 ルッコの顔が耳の先まで真っ赤に染まる。恥ずかしがり屋な彼女にとって、全裸スキャンなど悪夢だ。

 

「何!?その変態みたいな手続きは!?」

 

「これは『勇者と魔王の魔法具開発の功罪』に由来する、ギルドの伝統的なシステムでして……」

 

 受付嬢の説明に、ルッコの動揺は収まらない。だが、タクトに負けたくない一心で意を決する。

 

(あの変態男、絶対平然とスキャン済ませたに違いない!私だって負けないんだから!)

 

 ルッコはスキャンルームの中央、透き通るクリスタルの台座に立つ。

 

 羞恥に震えながら、フリル付きのスカート、シャツ、そして淡いピンクのインナーを脱ぎ捨てる。胸元を庇うように腕を交叉させ、悪魔族の尖った耳がピクピクと震える。

 

(早く終われ!早く!)

 

 彼女の陶磁器のような白い肌には、悪魔族特有の魔術刻印が紅蓮の炎のように奔る。肩から胸元、腰へと流れる紋様は、まるで血脈を模して脈動し、力と破壊を象徴する鋭い曲線が魔力の奔流を宿す。

 

 刻印はルッコの情熱を映す炎の輝きで彩られ、薄暗い部屋で神秘的に瞬く。その美しさは、悪魔族の誇り——そして、秘められた伝統の証だ。 目を固く閉じ、スキャンの開始を待つ。

 

 目を固く閉じた瞬間、魔動ドアが「ウィーン」と無機質な音をたてて開く。

 

「えっ!?」

 

 ルッコが目を開けると、そこにはタクトが立っていた。

 

「あれ?ルッコ?なんでここに……って、うわあああ!」

 

 タクトは財布を忘れたことに気づき、受付で「更衣室かも」と言われ、迷ってスキャンルームの扉を開けてしまったのだ。

 

 ルッコの全身がタクトの視界に飛び込む。紅い刻印が肌に奔り、魔力の脈動が一瞬激しく明滅する。それは、悪魔族の間で囁かれる古い言い伝え——「刻印を見た者は、魂の絆を結ぶ定め」とされる神秘を、ほのかに匂わせる輝きだ。だが、そんな伝統など、ルッコの羞恥と怒りの前では霧散する。

 

「た、タクトォ!何見てんのよ!この変態ロマン男!」

 

 ルッコの絶叫がギルド中に響き渡る。刻印の紅い輝きが、怒りに呼応して一瞬燃え上がるように瞬き、彼女の心臓の鼓動を映す。

 

 タクトは顔を真っ赤にし、「ご、ごめん!間違えた!」と叫び、【爆風】ブースト並みの速度で部屋を飛び出す。

 

  ルッコは腕で胸元を隠し、白い肌を震わせる。怒りと羞恥で魔力が暴走しそうになるが、心の奥で別の感情がチクリと疼く。

 

(あのバカ……私の刻印を……!)

 

 悪魔族の刻印は、力の証であると同時に、魂の深い繋がりを象徴する。古い言い伝えでは、刻印を見た者を「婚約者候補」と見なす風習もある——だが、そんな古臭い話、ルッコには受け入れられない。

 

(冗談じゃない!あんな変態ロマン男が、私の魂のなんちゃらだなんて!絶対認めない!)

 

 なのに、胸の奥で、ほのかな温もりが広がる。タクトの驚愕した顔、あの純粋でバカ正直な反応が、なぜか憎めない。

 

 ルッコは慌てて頭を振る。刻印と裸体を見られた屈辱と、微かに芽生えた嬉しさが、心の中でせめぎ合う。彼女の紅い髪が揺れ、耳が真っ赤に染まる。

 

(私がタクトなんかに……!ありえない!でも、もし……)

 

 その考えを即座に打ち消し、ルッコは拳を握る。

 

「次に会ったら絶対潰す!この屈辱、ゴレトルで晴らしてやる!」

 

 刻印の輝きは、彼女の執念と微かな恋心を宿し、静かに脈打っていた。 なんとか登録を完了させ、ルッコは新たな決意を胸に秘める。

 

 タクトを倒し、刻印を見られた恥を清算し——そして、いつか彼と本音でゴレトルのロマンを語り合うために。

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