鋼鉄闘域(ゴーレムバトル)〜ホビーアニメ設定の貞操逆転異世界でオタク男子は希少種〜   作:白うに

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第9話「初ダンジョン攻略!野生のゴーレムとの実戦経験」

 

チーム連携と野生の洗礼

 

 鋼鉄闘域ギルドでEランク登録を果たしたタクト、クローナ、ローニャ、ニクスの四人。初の任務として、ダンジョン探索に挑む。

 

 ダンジョンは魔力が渦巻く自然発生した空間で、野生のゴーレムが生息する試練の場。討伐で得られる素材は換金の資源となり、学生にとって貴重な実戦経験の機会だ。

 

「これが……ダンジョン!」

 

 石造りの巨大な回廊がそびえる入口で、タクトの声は緊張と興奮に震える。苔むした壁に魔力光が瞬き、冷たい空気が肌を刺す。

 

「油断禁物だよ、タクトくん。野生のゴーレムはプレイヤーの命令がない分、本能的で予測不能だから。」

 

 クローナの狼の耳がピクピク動き、心配そうにタクトを見つめる。 ローニャは事前に調査を終え、メモ帳を握りしめる。

 

「この層の主な敵は【岩石ゴーレム】です。耐久力は高いけど動きは鈍重。タクトさん、ニクスさん、速度で翻弄してください!」

 

「了解!【アブソルトレイル】、行くぞ!」

 

 タクトの号令で、四人はダンジョンの奥へ踏み込む。 薄暗い通路を進むと、地面が震え、岩の塊のような【岩石ゴーレム】が出現。巨体が魔力光を反射し、鈍重な威圧感を放つ。

 

「遅い!遅すぎるぜ!」

 

 タクトは【爆風】ブーストを発動。【アブソルトレイル】が白銀の流星となり、岩石ゴーレムの周囲を神速で旋回。【光塵】の粒子が機体を安定させ、残像だけが敵の視界を埋める。

 

 だが、岩石ゴーレムは鈍重ながら、巨大な腕を振り回し、広範囲の衝撃波を放つ。

 

「危ない!タクトくん!」

 

 クローナの叫びに、タクトは反応し、衝撃波の範囲外まで走り抜けた。 回避に専念するも、攻撃の決定打に欠ける。

 

 そこへニクスの【アサルトフェリス】が動く。黒い猫耳を模した機体が、タクトとは逆のベクトルから滑るように接近。

 

「【鋭爪】発動!ファントムクロー!」

 

 ニクスのゴーレムが、手に持つハルバートを捨て、鋭い爪で岩石ゴーレムの装甲の継ぎ目を正確に抉る。彼女の戦術は、動きの中で急所を一瞬で看破する精密さだ。

 

「ナイス、ニクス!俺は支援だ!【追尾光弾】!」

 

 タクトが低威力の光弾を乱射。追尾性能で岩石ゴーレムの視界を塞ぎ、混乱を誘う。その隙に、クローナの【ゲイルハルト】が突進!

 

「【剛力】発動!私が決めるよ!」

 

 人狼型の巨腕が唸り、【頑丈】と【自動回復】で反撃をものともせず、ニクスの抉った弱点を叩く。 バギィッ! 岩石ゴーレムが爆ぜ、砕け散る。破片の中、魔法鉱石がキラリと光る。

 

「連携成功だ!」

 

 タクトの歓声に、仲間たちが笑顔で応える。 ローニャが素早く鉱石を回収。

 

「この魔法鉱石は換金素材として優秀です!タクトさんのアシスト、完璧でした!」

 

 彼女の眼鏡が興奮で曇るほど、分析と後処理での貢献が光る。 初の実戦で、タクトは【アブソルトレイル】の機動力の強みと、決定力不足の弱点を再認識。クローナの耐久とパワー、ニクスの精密攻撃、ローニャの戦術支援が、それを補う完璧な連携だと確信する。

 

「プロへの道は、このダンジョンから始まる!みんな、行くぞ!」

 

 タクトの号令に、四人はダンジョンの奥へ突き進んだ。 任務を終え、魔力と体力を消耗し尽くした四人。だが、その表情は充実感に満ちていた。

 

「ハハッ、危なかったけど、ダンジョンは最高だな!ローニャの【砂塵】での視界操作も完璧だった!」

 

 タクトが興奮冷めやらぬ様子で話す。ローニャは珍しく頬を緩め、ニクスは静かに頷く。 クローナは少し後ろを歩き、温かな眼差しで仲間を見つめる。

 

(タクトくん、ほんとに強くなった……!)

 

 入学当初の頼りなさは消え、ゴレトルプレイヤーとして、チームのリーダーとして、タクトは眩しく成長していた。 だが、その誇らしさの裏で、クローナの胸に小さな棘が刺さる。

 

(前は、こんな気持ちなかったのに……)

 

 かつて、タクトのロマンを理解するのは自分だけでよかった。誰も彼の「変人ぶり」に寄り添わなかった頃、タクトはいつもクローナの隣で、彼女だけを見つめてくれた。 今は違う。

 

 タクトの側には、ローニャの天才的な頭脳が、ニクスの唯一無二の高機動コンビがある。タクトがローニャ達と次の刻印を語り、笑顔で盛り上がる姿は、かつてないほど生き生きとしている。

 

(タクトくんは、チームができて本当に良かった……。私の力だけじゃ、彼のロマンを叶えられない。ローニャもニクスも、絶対に必要な仲間だ。)

 

 頭ではわかっている。なのに、心の奥で少女らしい独占欲が疼く。

 

(前みたいに、もっと私に頼って欲しい……)

 

 タクトが知らない話で盛り上がるたび、膨らみかけの胸がキュッと締め付けられる。嫉妬にも似た、ちっぽけな不満だ。

 

「っ……」

 

 クローナは思わず胸元を握りしめる。

 

(私、なんてこと考えてるの!)

 

 タクトの夢を支えるため、チームの重要さを説いたのは自分だ。なのに、こんなわがままな気持ちが湧くなんて。自己嫌悪が心を暗く覆う。

 

(タクトくんのロマンを汚すような気持ち、持っちゃダメ……!)

 

 クローナはニクスとローニャの背中を見つめ、決意を新たにする。

 

(私はタクトくんの最高の理解者でいたい。ニクスやローニャの邪魔じゃなく、最高の仲間として支えるんだ!)

 

 小さな棘を無理やり押し込め、クローナは笑顔を浮かべ、早足で仲間たちに並ぶ。

 

「タクトくん、次の依頼は報酬のいい討伐系にしない?今日の収支だと、魔力回復薬がすぐなくなっちゃうよ!」

 

 少し強がりの笑顔に、タクトは気付かず、眩しい笑顔で応える。

 

「よし、任せとけ!俺たちのロマンは、どんどんデカい依頼を掴んでいくぜ!」

 

 タクトの真っ直ぐな瞳に、クローナは小さな不満を心の奥に封じ込める。彼の笑顔が、彼女の最大の喜びであることに、変わりはないのだから。

 

 

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