男性冒険者のノノノは、怪力のせいでゴリラ扱いされていて、モテなかった!
しかし、ノノノは宿屋で衝撃の光景を見てしまう! それは、赤髪赤目ツインテ魔法使い・グレアが、彼のパンツをオカズにしてオ○ニーしている場面だった!
ノノノは、自分が男として見られていたことを喜び、嬉々としてグレアをバカにして辱めたのだった!
**1
ノノノのパンツでオ○ニーしてバレた事件から、一週間が経った。あれ以来、ノノノとパーティーを組む案件は一度もない。
つまり、一度も話す機会がなかった。
けど、会えない間、ノノノのことばかり気にしてしまう。
ノノノに会いたい。ノノノと話したい。
ノノノとハグしたことが忘れられない。
また、匂い嗅がせてくれないかな……。
そんな時――。
「次のクエスト、誰か前衛誘おう」
「!!!」
ちょうどよく、前衛が必要なクエストがやってきた。
ここで、私のパーティー構成を紹介しよう。魔法使い、弓兵、召喚術士、治癒術士。以上だ。見事に後衛職に偏っている。
ちなみに、私たちは四人全員が幼なじみであり、いつも一緒にクエストを受けている。しかし、クエストによっては、前衛職を呼ぶ場合もある。
「どうする? 今回もノノノに頼む?」
「それでいいと思うわ」
都合よくノノノを誘う流れになったので、私も賛成する。こうして、ノノノと一緒にクエストへ行けることになった。
**2
僕はグレアたちのパーティーに誘われ、五人でクエストへ行くことになった。
「ひ、久しぶり、ノノノ」
「久しぶりかな? 先週も一緒にクエスト行ったじゃん」
「ま、まあそうだけど」
「グレア、もしかして僕に会えなくて寂しかったの?」
「はあっ!? そ、そんなわけないじゃないっ!」
グレアの顔が薄っすら赤く染まる。
ヤバい、楽しい。グレアと一緒にいるの、めっちゃ楽しい。
毎日グレアとクエストに行けたらいいのにな。
――クエスト自体は、わずか五分で終わった。僕が魔獣を引き付け、後衛たちの援護で弱らせ、最後に僕がとどめを刺す。簡単な内容だった。
「でもさ、前回のあれ、凄かったよな」
「メスのシルバーバックがノノノに求愛し始めたやつね(笑)」
「笑いすぎて腹千切れるかと思った」
「…………」
「もう忘れてよそれ! またぶん殴るよ!」
こいつら、一週間経ったのにまだイジってきやがって……。いつまでネタにするつもりなんだ。
「いやだって、誰でも笑うでしょあんなの(笑)」
「やっぱ魔獣にもゴリラって認識されてるんだなって」
「もしかしたら私たちは、人類の進化を目の当たりにしてるのかもしれない」
「……………………」
「よし、全員ぶん殴る」
「ちょっと!!! 私は今なにも言ってなかったじゃない!」
宣言通りぶん殴ろうとすると、グレアは不服そうに叫んだ。他のメンバーはそんな彼女に対し――。
「グレア、そういえば今日、全然ノノノのことイジらないね」
「そうだね、ずっと静かだし」
「どうしたの? どこか具合でも悪い?」
「いや、その、な、なんでもないわよっ」
心配する仲間たちに対し、グレアは気まずそうにしていた。
グレアが静かだった理由は、おおよそ予想がつく。
例のオ○ニー事件のせいだ。僕をゴリラいじりしようものなら、その瞬間「あのことギルドの皆に教えちゃおっかな~(笑)♡」と反撃される。それを理解しているから、何も言えないのだ。
うんうん、立場を理解しているようでなによりだ。
「あ、あそこでお昼食べていかない?」
「う、うん、いいわよ」
昼食時なので、飲食店に入った。メニューを見て、各々注文していく。
「僕はトンカツ定食大盛りで」
「私は同じの、普通盛りで」
僕の注文の直後、グレアはそういった。僕は彼女の方を睨む。
「ちょっと、普通盛りって何?」
「え、なに、なんで怒ってるのよ」
「普通盛りの時わざわざ普通盛りって言わないでしょ。僕が大盛り頼んだのバカにしてるでしょ」
「し、してないわよ!」
なんか納得いかない。というか、男なのに皆より食べるの、恥ずかしいな……。
そして、運ばれてきたトンカツ定食大盛りを完食した。グレアは本当に普通盛りしか食べなかった。小食すぎる。女なのに。
というか、まだ食べ足りない。僕は追加注文しようとメニューを見る。
「あ、このチーズケーキ美味しそう。グレア奢ってよ」
「は? なんでよ」
「みんな聞いてよ、実はこの前、グレアが僕の下着で――「うわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ! 奢るっ! 奢るわよっ! 好きなだけ食べなさいよっ!」
「うん、ありがと~(笑)♡」
「くっそ!!!!!!!!!!!!」
グレアは悔しそうに咆哮した。そんな彼女を、仲間たちは不思議そうな目で見ている。
気分がいい。弱みを握れてよかった。これからはグレアを顎で使い放題だ。これまで散々僕をゴリラ呼ばわりしてきた罰だ、ざまみろ。
僕はチーズケーキを美味しくいただき、グレアに奢ってもらった。女性に奢ってもらえるのは久々だった。他の男子はクエストに行く度奢ってもらえるのに。
なんか腹立ってきたな。これからはグレアのこと財布にしてやろう。
*
クエストから帰還した僕たち五人は、ギルド会館一階の酒場で、夜まで飲んでいた。その時――事件は起こった。
「全員、その場を動かないように。一歩も、動かないで」
ギルド所属の数少ない男子――錬金術師・ヴァンくんが、酒場に現れ、そう告げた。その後ろでは、別の男子――回復術士・シャルくんが泣いている。
何かよくない事態があったことを、その場にいた全員が察した。僕は立ち上がり、ヴァンくんに尋ねる。
「なにがあったの?」
「男子ロッカー室から、僕たちの下着や服が盗まれた」
「えっ」
酒場がザワついた。各テーブルから「えっ、下着ドロってこと?」「マジかよ」「ギルメンだったらヤバくない?」「外部犯かもしれない」――といった声が聞こえてくる。
ヴァンくんが、男子ロッカー室のカギを僕に差し出す。
「ノノノ、君にも確認してきてほしい。もしかしたら何か盗まれているかもしれない」
「分かった」
僕は、ギルド会館の二階にある男子ロッカー室まで移動し、解錠して、扉を開ける。
ロッカーが荒らされていた。男子は五人しかいないので、使われているロッカーも五つだ。そのうちの四つが開きっぱなしで、無造作に靴やハンガーが投げ出されている。
けれど――僕のロッカーは異常がない。開けて確認してみたけど、衣類も装備も無事だ。一応、汚れた時のために置いておいた替えのパンツや靴下も盗まれていない。
僕は一階の酒場へと戻った。
「僕の服は盗まれてなかった」
「そうか、よかった」
「ラインハルトくんとイオくんの服は?」
「多分盗まれてる。本人たちがクエストに行ってるから、帰ってこないと正確には分からないけど」
僕は泣いているシャルくんの頭を撫でる。
「シャルくん、元気出して。僕が犯人見付けてボコボコにしてあげるから」
「う、うん……」
この泣きようだと、多分下着も盗まれたんだろう。卑劣な犯行だ。絶対に許せない。
僕はテーブルに着いたままのグレアへと近づき、彼女の腕を握った。
「えっ、なっ、なによっ」
そのまま、酒場の端の方まで連れていく。ここなら小声で話せば、誰にも聞かれない。
「自首しなよ、グレア」
「いや私じゃないわよ!!!!!!!!」
グレアは一瞬で怒気を露わにし、怒りの眼差しで僕を睨む。
せっかく自首を勧めてあげているのに、この期に及んで罪を逃れようというのか。
「いや、絶対グレアでしょ」
「何を根拠に言ってるのよ!!!!!」
「僕のパンツでオ○ニーしてたじゃん」
「うッ……! ちょっ、ちがっ、違うのよっ! 確かにあれは魔が差したんだけど、今回のは私じゃないのっ!」
焦燥の表情で、必死に弁明するグレア。
僕は彼女の手首を強く握り、正面から説得する。
「今自首すれば罪は軽くなるから。僕も一緒に謝ってあげるから、ね?」
「だから私じゃないのよっ! 信じてっ! 信じてよおっ……!」
グレアは涙目になって哀願してくる。
その時、ヴァンくんが、酒場の全員に向けて――。
「所持品検査をする。ノノノ、すまないけど、入口で誰も逃げないように見張っていてくれ」
「分かった」
そして、グレアの背を押してヴァンくんたちの方へ送り出す。
「さよなら、グレア。短い付き合いだったけど楽しかったよ」
「だから私じゃないわよっ! 今すぐ裸になって無実を証明してやってもいいわよっ!」
「えっ」
グレアは自信満々だった。そして、彼女は装備を脱ぎ、ヴァンくんたちの所持品検査を受けた。
グレアは、誰の下着も持っていなかった。
「そんなっ!?!?!?!?!?!?」
「本気で驚いてんじゃないわよっ!!!」
グレアは不服そうにキレていた。
信じられない。このエロ猿以外に、犯人がいるというのか。
次いで、ギルド会館にいた20人全員の所持品検査が行われた。しかし、盗まれた衣類は見つからなかった。さらにギルド会館を探し回ったが、どこにもなかった。
僕とヴァンくんとシャルくん、その他女冒険者たち20人は、酒場のテーブルに着く。
「一旦、状況を整理しよう」
男子たちの証言を纏めると――。
午後七時、ヴァンくんがロッカー室で着替える。この時は異常なし。
午後七時半、シャルくんがロッカー室に入り、ロッカーの異常を発見。下着類が盗まれていることに気付く。
犯行は、三〇分の間に行われた。しかし、受付の男性職員と、酒場にいた各パーティーメンバーたち全員の証言を総合すると、その時間に二階へ上がったのは、ヴァンくんとシャルくんのみだ。
さらに、その時間、誰もギルド会館から出入りしていない。盗まれた下着類は、一体どこへ行ってしまったのか。
「しかも、問題はもうひとつある。犯行現場は密室だった」
シャルくん曰く、扉にも窓にもカギが掛かっていた。犯人は、どうやってロッカー室に入り、出て行ったのか。
カギは受付の男性職員が管理している。僕たち男性冒険者は、毎回受付でカギを借りてロッカー室を利用している。もちろん、カギの貸出しは男子にしか行われていない。
「ねえ、今気づいたんだけど」
グレアが手を挙げた。
「男子ロッカー室って、使われてないロッカーある?」
「あるけど、それがどうしたの?」
「犯人、今もロッカーに潜んでるって可能性はない?」
「あっ……!!!」
グレアのくせに良い推理だ。
しかし、ヴァンくんは首を横に振った。
「いや、僕も同じことを考えて、全てのロッカーを確認した。誰もいなかったよ」
「あ、そうなのね」
20人の冒険者は、ああでもないこうでもないと話し合う。しかし、犯行方法は一向に分からない。
けれど、トリックは分からなくても、最重要容疑者がひとりいることを、僕は知っている。
僕は隣に座るグレアの肩に手を置いた。
「自首すれば楽になれるよ、グレア」
「だから私じゃないわよっ!!!!!」
こうなった以上、やっぱり元の結論に戻ってくる。他人の部屋へ勝手に入ってパンツをオカズにオ○ニーし始めるグレアこそ、最重要容疑者だ。
「ノノノ、ロッカー室見てもいい?」
「え、なんで」
「現場を確認したいのよ。何か分かるかもしれないし。疑われるのも気分悪いし、さっさと容疑晴らしたいの」
「まあ、いいよ」
僕とグレアは二階へ上がり、男子ロッカー室へ入る。荒らされた四つのロッカーはそのままになっている。
「ふうん、ロッカーにカギは付いてないのね。この四つ、それぞれ誰のロッカーなの?」
「左から、ヴァンくん、ラインハルトくん、イオくん、シャルくんだよ」
「ノノノのは?」
「これ」
僕は自分のロッカーを開けて示す。畳まれた衣類が綺麗に重ねられている。グレアはそれを見るなり、目を見開いた。
「え、アンタのは荒らされてないの?」
「うん、僕以外の四人だけ」
「アンタは下着とか置いてないの?」
「置いてあるよ、パンツとか靴下も。……見せないからね?」
「べ、別に見たいわけじゃないわよっ!」
「僕のパンツでオ○ニーしてたくせに」
「ぐぅッ……!!! そ、それはっ……!!!」
グレアの頬が紅潮する。何も言い返せず、唇を噛むことしかできない様子だ。
「と、とにかく! アンタの下着が盗まれてないなら、私が犯人じゃないって分かるじゃない!」
「え、なんで」
グレアの顔がさらに赤面していく。視線もあっちこっちに泳いでいる。
「だって、その、ほらっ……わ、分かるでしょ?」
「いや、分かんないけど」
「だ、だからっ……! 私が犯人だったら、そのっ……あ、アンタのパンツは絶対持っていくわよっ!」
「!?!?!?!?!?!?!?!?」
衝撃的な告白に、僕は呆気に取られる。グレアはさらに勢いのまま――。
「正直に言っちゃうけど、アンタのことずっと性的な目で見てるのよ!」
「……そう、なの?」
「斧を振り上げた時に見える腋エロすぎるのよっ!」
「えっ、腋? そんなとこ見てるの?」
僕は自分の装備を確認する。確かに、腕を上げると腋が見えるかもしれない。
「たまに服がめくれてお腹見える時あるけど、腹筋もエロすぎるのよっ!」
「え、うわっ、そうなんだ」
「あと太もも出してるのエロすぎるのよ! なによその筋肉質で触り心地のよさそうな脚は! もはや太すぎて凶器じゃない!」
「はあっ!? ふ、太くないし!!!!!」
「毎日触りたくて発狂しそうなのよっ! もう触らせなさいよっ!」
「ちょっ、なっ、堂々とセクハラすんなっ!」
「痛っだあッ!!!!!!!!!!!!!!」
僕はグレアをビンタした。彼女は床に倒れ、痛そうに頬を抑える。
ともかく、ちょっと説得力はあった。僕をオカズにしていたグレアが、僕の下着だけ持っていかないのは変だ。
「……あれ?」
倒れたグレアが何かに気付いたように、バッと顔を上げた。そして、突然立ち上がり、一階へと下りていく。僕はロッカー室を施錠し、彼女を追って一階へ下りた。
グレアと僕は、元いた席に着く。
「グレア、どうしたの?」
「みんな、事件が起こった時、酒場のテーブルのどこに誰が座ってたか、正確に覚えてる?」
「え、いや、流石に覚えてない」
「ノノノの記憶力には期待してないわよ」
「誰が脳筋ゴリラだ!!!!!」
「そこまで言ってないわよ!!!!!」
なんだコイツ。僕のことエロい目で見てるくせに。太もも触らせてとか言ってきたくせに。
「ねえ、ヴァンくんは覚えてる?」
「ああ、一応」
そして、ヴァンくんは誰がどこにいたのか、正確に答えてくれた。
「でも、それがどうしたの?」
グレアは誇らしげに胸を張り、満面のドヤ顔を浮かべる。
「犯人、分かったわ」
*
グレアは、その場で僕たちに推理を話してくれた。それを聞いたヴァンくんとシャルくんは、女子寮へ向かった。きっと今ごろ、寮長からカギを借り、犯人候補の部屋へ踏み入って、盗品がないか探している頃だろう。
僕は、酒場に残り、容疑者たちが逃げないよう見張りながら、ヴァンくんたちの帰りを待つ。
五分後、ヴァンくんたちは戻ってきた。
「!!!!!」
――その手には、盗まれたはずの下着や服があった。
「あったよ。そこの、
僕たちの視線が、一斉に一人の女冒険者へと向く。死霊術士の、C級冒険者だ。
「ちょ、待っ、待て。その下着が私の部屋から見つかった? そ、そんなの嘘だ!」
「事実だ。僕たちで確認した」
「そんなわけない! 誰かが私を嵌めようとしてるんだ! 大体、私は犯行が行われた時間帯、ずっとパーティーメンバーとここで飲んでた! メンバーも、受付の職員もそれを見てる!」
その主張に対し、グレアが立ち上がった。
「確かに、アンタはここにいた。ここから、ロッカー室に
「ッ……!!!」
「亡霊に下着類を盗ませて、内側から窓のカギを開けさせて、そのまま寮まで運ばせた。そして、アンタはこの酒場でずっと仲間と飲んでいることで、アリバイを作った」
「そ、それだけで犯人って証拠にはならない! アンタのパーティーにも召喚術士はいるだろ!」
「召喚術は、召喚主から離れすぎた位置には対象を召喚できないわ。だから、犯人候補は、ロッカー室の真下――この壁際のテーブルにいた冒険者に限られる。そこで飲んでいたパーティーの中に、何かを使役できるジョブの冒険者はひとりだけ。そう、死霊術士のアンタだけよ」
「……ッ!!!!! ちょ、ちょっと待て! 現場は密室だったんだろ! その推理だと、窓から亡霊が出て行ったなら、カギは開いてるはずだろ!」
それに返答したのは、ヴァンくんだった。
「亡霊を二体召喚したんだろう。それぞれ、亡霊A、亡霊Bと呼称する。亡霊Aは、さっきグレアがいったように、下着を寮まで運んだ。そして、亡霊Bは亡霊Aが出て行ったあと、窓のカギを施錠した。最後に召喚を解除すれば、室内から亡霊は消える。これが、密室のトリックだ」
「…………」
死霊術士は、無言になった。かと思ったら、突然その場に土下座した。
「ごめんなさい! つい魔が差したんです! 許してください!」
つい最近どこかで見たような光景だった。僕はちらりとグレアを見る。気まずそうな顔をしていた。
死霊術士は、土下座したまま――。
「もう二度としません! 許してください!」
「無理」
ヴァンくんは即答した。シャルくんも、ふるふると首を横に振る。
僕は死霊術士に近付く。どうしても聞きたいことがあった。
「ひとつ、聞かせてほしいことがあるんだ」
「……なに?」
「なんで、僕のパンツだけ盗んでいかなかったの?」
「え、だって、ゴリラのパンツとか欲しくないし」
「死ね!!!!!!!!!!!!」
僕は死霊術士をぶん殴った。彼女は吹っ飛び、壁に激突した。衝撃で気絶し、その場に倒れて動かなくなる。
――その後、一部始終をギルド長に報告し、犯人を突き出した。彼女は即、ギルドを
容疑者としてその場に留められていた冒険者たちは、各々飲み直している。
僕とヴァンくんは、ショックを受けていたシャルくんを慰めた。本当に泣きたいのは、ゴリラ呼ばわりされた僕の方なのに。
やっぱり、このギルドで僕を男として見てるの、グレアだけなのかな……。
グレアたちのパーティーも、少しだけ酒を飲んで談笑した後、解散したようだった。
「あ、グレア、待って。ちょっと話したい」
「え、うん」
僕はグレアと合流する。そして、ギルドを出て、寮までの短い距離を一緒に歩く。
外は既に真っ暗だ。暗闇の中、街灯鉱石だけが、仄かな橙色に光っている。
「グレア、すごかったね。名探偵みたいだった」
「そ、そう? まあ、それほどでもあるわね」
グレアは口角が上がっている。すごい嬉しそうだった。
「シャルくんとヴァンくんも『グレアカッコよかった』って言ってたよ」
「え、マジっ?」
目を輝かせ、笑顔を浮かべるグレア。男子の前でいい格好ができて嬉しいのだろう。
「……ノノノ」
「なに?」
「例の、一週間前の件、私のこと許してくれてありがとう」
一週間前の件というのは、もちろん僕のパンツで勝手にオ○ニーしていたことだろう。
「どうしたの、いきなり」
「さっき、シャルくん泣いてたじゃない。ヴァンくんも、すっごい軽蔑した目で犯人のこと見てたし。普通、下着盗まれた時の男子の反応って、あんな感じよね」
「まあ、そうだね」
「私も、似たようなことしちゃったし。それで許してくれるノノノが優しいってこと、改めて理解したの。だから、ありがとう」
グレアは僕に頭を下げた。ツインテールが垂れ下がる。
でも、それに関しては、怒るどころか喜んでいる。このギルドで、僕はゴリラ扱いされている。そんな中、僕を異性として見てくれるグレアには、感謝しかない。
でも、そんなことを言うのも恥ずかしいので――僕は、グレアの頭を撫でた。
「えっ、なっ、なに」
グレアがびっくりして、顔を上げる。それでも、彼女の頭を撫で続けた。
「アンタ、なんで笑ってんの?」
「なんでもない」
「え、なに、ほんとになに……?」
グレアは困惑していた。彼女の髪は、僕が撫でたせいで少し乱れている。
「ノノノ、さっきのセクハラについてなんだけど」
「さっきの? なんのこと?」
「ふ、太もも触りたいとか言ったやつよ」
「ああ、そういえば言ってたね」
「容疑を晴らしたいという気持ちが行き過ぎて、つい変なこと口走っちゃったわ、ごめん」
「……やっぱり、普段から僕のことそういう目で見てるの?」
グレアは、ばつが悪そうに表情を歪めた。頬も赤い。
「その、そ、そんなことも、ないわよ」
「腋とかお腹とか太ももとか見てるんでしょ?」
「うっ……わ、忘れてよっ……」
「ふふっ、変態(笑)♡」
「へ、変態じゃないわよ! 思春期の女子ならむしろ自然よ!」
「これからは腋見えちゃう装備の時気を付けなきゃな~(笑)♡」
「っ……!」
「変態さんが僕のこと視
「ぐぅうううううううっ!」
僕はつんつんっとグレアの頬をつついた。彼女は嫌そうな顔で、屈辱に身を震わせている。
「つんつ~ん(笑)♡ このスケベ~(笑)♡」
「ぐぅううううううううううううああああああああああああああああああああああああああッ!」
性欲を嘲笑われていることが悔しいのか、グレアは心底屈辱そうな表情で咆哮する。
やっぱり可愛いなあ、グレア。
そして、寮の前に着いた。男子寮と女子寮で分かれているので、ここでお別れだ。
「じゃあね、思春期さん(笑)♡」
「不名誉なあだ名やめて!!!!!」
**3
私はベッドに寝転がり、後悔する。
最悪だ。余計なことを口走ったせいで、普段から性的な目で見てることまでバレた。
ノノノの表情が、脳裏に焼き付いている。私を下に見る、嘲りの眼差し。女をバカにして、勝ち誇った表情。
完全に、手玉に取られていた。性欲を笑われ、掌の上で弄ばれた。屈辱すぎて、身体が熱い。怒りが沸騰して、脳味噌が赤熱する。
悔しい。
悔しい。
悔しすぎて、身体が爆発しそう。
ぎゅっと毛布を抱きしめる。悔しいのか、興奮しているのか、自分でもよく分からなかった。
「ぅうううっ……! ノノノぉっ……!」
だって、仕方ないじゃない。エロすぎるのよ、アイツの身体。硬そうで、筋肉質で、むっちりしてて。
太もも触りたい……。めっちゃ撫で回したい……。欲を言えば顔を埋めて頬擦りしたい……。
そういえば、今日はハグしてもらえなかったな……。
もうしてもらえないのかなあ……。
またしたいなあ……。
『ノノノ』
男性。A級冒険者。黒髪黒目。怪力すぎてゴリラ扱いされている。
『グレア』
女性。A級冒険者。赤髪赤目ツインテ。魔が差してノノノのパンツでオ○ニーしてしまった。