ノノノがグレアに「特別に太もも触っていいよ?」と言った瞬間、彼女は即太ももを触り、しかも顔を埋めて深呼吸した!
ノノノがグレアを酒に誘い、冗談で「お酒の勢いでワンナイトしちゃう?」と訊くと「したい」と即答された! ノノノはそんなグレアを酒の肴にして爆笑した!
グレアは弄ばれた屈辱に悶えながら、ノノノへの欲求を募らせていった!
**1
ギルドの酒場で、私はパーティーメンバーと共に昼食を取っている。
普段より、酒場が騒がしい。みんなソワソワしている。その理由は、明日行われるイベント『カップル限定スタンプラリー大会』だ。
街を巡り、各地のスタンプを押して回るイベント。毎年恒例で、この街の名物だ。ただし、参加条件が男女ペアと定められている。
ちょうど今も、遠くのテーブルで――。
「シャルくん、私とスタンプラリー参加してください!」
「えっと……気持ちは嬉しいけど、ごめんなさい」
と、男子を誘ったものの撃沈する女冒険者の姿があった。
ギルドには五人しか男子がいない。しかも先日イオくんが他のA級冒険者に取られたことで、さらに倍率が増している。
かくいう、私たちのグループも――。
「あ~、今年もラインハルトくん誘ったけどダメだった……」
「私もヴァンくんにフラれた。泣きそう」
「私たち、いつかスタンプラリー参加できるのかな……」
と、仲間たちが意気消沈している。
でも、誰もノノノのことは誘っていない。私の仲間だけでなく、ギルドメンバー全員がである。
もう「ノノノには行かない」という雰囲気ができてしまっているのだ。
……ノノノのこと、誘うべきだったかな。
でも、それって告白も同然だし。もしフラれたら、どんな顔して一緒にクエスト行けばいいのよ。
その時――。
「あれ? グレアたちじゃん」
「!」
**2
僕はグレアたちのパーティーを見付け、声をかけた。なんだか、どんよりとした雰囲気だ。多分みんな男子にフラれたのだろう。
「みんなは相手見つかった?(笑)」
四人は皆、顔をしかめる。
「ラインハルトくんにフラれた」
「見つかる訳ないでしょ」
「全滅に決まってるじゃん」
と、各々覇気のない声で答える。普段僕をゴリラ呼ばわりしてくる連中なので、いい気味だ。
「まあそうだよね~(笑) このメンバーはそんな気がしてた(笑)」
「どういう意味だ!!!」
「失礼な!!!!!!!」
「今年はダメでも来年のスタンプラリーには彼氏作って参加してやるんだ!」
「それ去年も言ってなかった?(笑)」
「ぐはっ……!!!!!」
「くそぉッ……!!!」
「つらいよおッ……!」
三人が、僕の口撃に傷付き倒れる。机に顔を突っ伏し、さめざめと泣き始めた。グレアも悲しそうな顔をしている。
「グレアは誰誘ってフラれたの?(笑)」
「なんでフラれてる前提なのよ!!! 誰も誘ってないし誘われてないわよっ!」
「シャルくんが本命じゃなかったの?」
「え、そんなこともないけど……。そ、そういうノノノは参加しないの?」
「しないよ。興味ないし、彼女もいないし」
その時――机に顔を突っ伏したまま、メンバーの一人がぼそりと呟いた。
「今年の優勝賞品、街のピザ屋一年間無料食べ放題権らしいけど」
「えっ!? マジ!? ちょっ、誰か一緒に参加してよ!」
「うわ、マジかこいつ」
「食欲に真っ直ぐすぎるでしょ」
「流石ゴリラ」
「ゴリラじゃない!!!!!」
三人が僕をいじり始める。いつものことだ。けれど、グレアだけは思い詰めたような、真剣な面持ちだった。
「ノノノっ」
「なに?」
「わ、私、参加してもいいわよっ」
「えっ、マジ!? やった! ありがとうグレア!」
**3
夜、寮の自室に戻った私は、両手を天に突き出した。
やった~~~~~~~~~~!
ラッキー!!!!!!
ラッキーすぎるでしょ! なにこれ!
あまりにも私に都合よすぎるでしょ!
チキって誘えなかったのに、自然にノノノとペアになれた。しかも、あくまで頼まれたから引き受けたという体で、自分の気持ちを隠せたままだ。
ノノノに誘われた瞬間、飛びついてよかった。
明日は、ノノノとペアでイベントに参加できる。
すごっ、嬉しっ!!!!!
**4
そして、翌日。街の中央広場に、100組近いカップルが集まっている。
隣にいるグレアは、辺りを見回している。振り向く度に、ツインテールが揺れる。
「世の中って、こんなにカップル多いのね……」
「今日だけは、僕たちもカップルだよ」
「……っ!!! そ、そう、ねっ……!」
グレアの口角が上がっていく。嬉しさを隠し切れずにニヤニヤしていた。
なんだか不思議な気分だった。自分がカップル限定イベントに参加している。しかも、グレアとペアで。
ちょっと前の自分だったら、想像もできなかった。いや、昨日の午前中ですら想像していなかった。
イベント開始まで少し時間があるので、僕たちは広場のベンチに座って待つ。
広場の外周を取り囲むように、大理石の石像が配置されている。その中に、裸夫像があった。古代の男性王を象った像だ。
グレアが、裸夫像を見てから、チラリと僕の身体を見た。
「あ~(笑)♡ グレアのえっち~(笑)♡」
「なっ!? なんでよっ!?」
「今ぜったい僕の服の下想像したでしょ~(笑)♡」
「しっ、してないわよっ!」
僕はグレアの頬を、人差し指でつんつんっと突く。
「このむっつりスケベ~(笑)♡」
「べっ、別にアンタの裸なんて興味ないけど!?」
グレアはぶんっ!と首を振り、僕の指を跳ね除けた。
そんなこんなで、グレアをからかって遊びながら待つこと数分――「間もなくイベントを開始します!」というスタッフの声が聞こえた。僕たちはベンチから立ち上がる。
「絶対優勝しようね、グレア」
「そうね、アンタとピザ食べ放題のために頑張るわ」
僕とグレアは、地図を確認する。予め全ペアに配られていた地図には、街中にある十個のチェックポイントが記されている。十ヵ所を巡り、全てのスタンプを地図に押し、この中央広場に戻ってくるとクリアとなる。
「それでは、カップル限定スタンプラリー大会スタート!」
参加者が一斉に走り出す。僕とグレアは、北に向けてスタートした。
僕たちは、まず北上し、そこから時計回りに全てのチェックポイントを周る作戦だ。
「
魔法使いであるグレアに加速の強化をしてもらい、僕たち二人は一団を抜け出す。
僕とグレアはA級冒険者だ。正直、一般人には負けない。ほぼほぼ優勝できる。
「よし、一番乗り!」
「なんだ、楽勝そうじゃない」
チェックポイントのスタッフにスタンプを押してもらう。ちなみに、ペアで行動していないとスタンプを貰えないので、個別行動はできない。
続けて、時計回りに街を周っていく。あっという間に、五個のスタンプを押し終えた。
「これなら行ける! ピザ一年間食べ放題!」
「今更だけど、ノノノを優勝させて大丈夫なのかしら。ピザ屋破産しない?」
「そこまで食べる訳ないでしょ!」
六個目のチェックポイントへ向かいながら話す。
なんと、現時点で、スタート地点から南下した人たちをも追い抜いている。ぶっちぎりの一位だと思った、その時――。
「あれっ、ノノノくんとグレアちゃんじゃん!」
「えっ、イオくん!?」
同じギルドの小悪魔系男子・イオくんが現れた。隣にいるのは、A級女性冒険者だ。
「なんだ、ノノノくんとグレアちゃん、やっぱり付き合ってたんだ~」
「えっと、そのっ……」
グレアが困ったように言い淀む。
その時――イオくんたちの地図が見えて、衝撃を受けた。
「えっ、スタンプ五個!?」
「あ、うん。早いでしょ?」
おそらく、イオくんたちはスタート地点から北上し、半時計周りに街を周ったのだ。だから、ちょうど半周であるこの場所で出会ったのだ。
「ヤバい! 急ごうグレア!」
「え、わっ!?」
僕はグレアの手を引いて走り出す。後ろから「お互いがんばろうね~」というイオくんの声が聞こえた。
グレアは僕に手を引かれながら――。
「もしかして、イオくんたちのスタンプ五個だった?」
「うん!」
「分かった! じゃあ急ぐわよ!」
グレアは更にエンチャントを重ね掛けしてくれる。全力で街を駆け抜け、チェックポイントを周っていく。
そして、九個のスタンプを押し、最後のチェックポイントへ向かう道中――。
「あ、やばっ」
グレアの身体がふらついた。魔力切れだ。僕は彼女の体を支える。
「ええ!? そんな無茶してたの!?」
「ご、ごめん。ちょっといいところ見せたくて……」
「いやこっちこそごめん! 僕のワガママに付き合わせちゃって!」
この状態のグレアを走らせるのは酷だ。かといって、僕だけチェックポイントに走っていっても、スタンプを貰えない。
「ごめんグレア、ちょっと我慢して!」
「えっ、ちょっ!?」
僕はグレアを
「お、下ろしなさいよ! 恥ずかしいからっ!」
「ごめん! 今だけ我慢して!」
「ほんとに下ろしなさいよっ! これ公開処刑じゃないっ!」
他のカップルたちが、こっちを見て笑っていた。普通、王子様抱っこは、女性が男性にするものだ。非力なはずの男に抱きかかえられて運ばれるというのは、女として不名誉らしい。
グレアの顔が赤い。街中の人に王子様抱っこされている姿を見られ、恥ずかしさが込み上げているのだろう。
走る。全力で走る。風に煽られ、グレアのツインテールが僕の顔面に掛かる。なんかいい匂いだった。
そして、十個目のチェックポイントに辿り着いた。スタッフは苦笑いしていた。最後のスタンプを貰い、中央広場へと走る。
「ちょっと!? このまま広場戻る気なの!?」
「うん!!!」
「ああもう最悪っ! これ絶対明日からギルドでいじられるじゃないっ!」
「ごめんね! ちょっとだけ尊厳もらうね!」
「ふざけんな! 返しなさいよ私の誇りと尊厳を!」
やばい、なんか今、すごく楽しい。楽しすぎる。
もし本当にグレアと恋人になったら、毎日こんな感じなのかな。
そして、中央広場に辿り着いた。結果は――。
「おめでとうございます! 見事一着です! おふたりの優勝となります!」
「やった~~~~~!!!!!」
「ちょっ!? 持ち上げんなっ! 早く下ろしなさいよっ!」
*
街が夕陽に染め上げられる。沈みゆく太陽が眩しくて、僕は少しだけ目を細めた。
僕とグレアは、中央広場のベンチに座って休んでいた。
脚が疲れて、しばらく動けなかった。特にグレアは、魔力切れのせいもあって疲労困憊の様子だった。
長時間の休憩により、体力も回復した頃――。
「――ということで、本日のイベントは終了となります! 優勝できなかった皆さんも、獲得したスタンプの個数に応じて商品をプレゼントします! 忘れずに交換してくださいね!」
カップルたちが、商品を受け取って帰っていく。人が減るにつれて、賑やかな中央広場は段々と静かになっていく。
僕は、隣で休んでいるグレアに話しかける。
「終わっちゃったね」
「そうね……」
「一日だけのカップルも、もう解散だね」
「……」
夕陽に照らされる、グレアの姿。彼女の顔は
「うわ、めっちゃ寂しそうな顔してる~(笑)♡」
「し、してないわよっ!」
僕は立ち上がる。グレアも遅れて立つ。けれど、彼女の面持ちはやっぱり悲しげで、何かを期待するように僕を見ている気がした。
「今からピザパーティーしよっか」
「えっ」
グレアが目を見開く。
「でも、ピザ屋遠いし、もうすぐ夜だし、寮帰れなくなるわよ?」
「その辺の宿泊まればいいよ」
「そっ、そうね、分かったわ。うん、そうするわよ」
グレアの表情がほころび、みるみる口角が上がっていく。その表情に、さっきまで帯びていた哀愁はなかった。
*
僕たちはピザ屋を訪れた。もうすっかり夜で、辺りは真っ暗だ。
「優勝おめでとうございます。これから一年間、たくさん食べに来てくださいね」
「毎日来ます!」
「来れる訳ないじゃない」
僕たちはそれぞれ好みのピザを注文する。店員がその場で焼き上げ、提供してくれた。
焼きたてのピザを食べる。照り焼きチキンのジューシーな旨味が味覚を直撃する。
「美味し~~~~~!!!」
「すごっ、美味しい。優勝してよかったわね」
美味しい。美味しすぎる。これが毎日食べ放題なんて幸せすぎる。
「グレア、そっちのシーフード、一口もらっていい?」
「え、うん、食べかけでいいなら」
「じゃあ食べさせて?」
僕は髪を耳に掛け、体を前に出した。グレアが固まる。
「え、あ~んで?」
「あ~んで」
「わ、分かったわ。はい、どうぞ」
僕はグレアが差し出したピザを食べる。
「うん、こっちも美味しい!」
「そ、そう」
グレアは僕が齧ったところをじっと見つめている。そして、ゆっくりと同じ所から食べた。
もぐもぐと咀嚼するグレア。その表情は感慨深げに見えた。
「僕の照り焼きチキンも一口あげるよ」
「えっ」
「はい、あ~ん」
「……あ、あ~ん」
照れているのか、グレアの顔がぐんと赤くなった。
「こっちも美味しいわね」
「でしょ?」
なんか、本当のカップルみたいだ。ちょっと嬉しい。
*
僕たちは近場の宿屋に入った。しかし――。
「申し訳ありませんが、現在、一部屋しか空いておりません。相部屋でもよろしければ部屋をご提供できますが、どうされますか?」
「「えっ」」
僕たちは同時に声を上げた。
グレアが僕を見る。その目の奥には隠し切れない期待の色があった。
「グレア、相部屋でいい?」
「あ、アンタがいいならいいわよ」
「じゃあそうしよっか」
グレアの目がキラキラと輝き出す。滲み出る笑みが、嬉しさを物語っていた。
グレアが鍵を受け取り、僕たちは客室へと移動した。大きめのベッドがひとつだけある。
今日、グレアと一緒に寝るのか……。なんか変なことされそう。
さらに、部屋には二枚の扉があり、片方はトイレ、片方は浴室へと繋がっていた。
「グレア、先シャワー浴びていいよ」
「譲るわよ、お先どうぞ」
「じゃあお先いただくね。覗いちゃダメだよ?(笑)♡」
「覗かないわよっ!!!」
「僕のパンツでオ○ニーするのもダメだよ?(笑)♡」
「うぐっ……! も、もうしないからっ!」
――本当に覗きに来なかったし、オ○ニーもしていなかった。流石に反省しているのだろう。
グレアが交代でシャワーを浴び、出てきた。あまり見れない、髪を下ろしている姿だ。しっとりと濡れているせいか、いつもより髪の赤色が濃い。
「足疲れたね~」
「そうね、もう一歩も歩けないわ」
グレアが、ちらりと僕の脚を見る。
「マッサージしてあげてもいいわよ?」
「じゃあお願い」
僕はうつ伏せになる。グレアが僕の足を持ち上げ、揉んでくれる。
「あ~気持ちいい~~~」
「あれだけ走ったものね」
心地よくてだんだん眠くなってくる。しばらく足を揉んでもらっていると、グレアはふくらはぎを揉み始めた。だんだん、彼女の手は上へと昇ってきて――太ももを揉み始める。
ちょっと無理をして後ろを向く。グレアは集中し、僕の太ももを凝視していた。
ぜったい変なこと考えてる。前に太もも触らせてあげた時、勝手に顔埋めてきたし。
太ももの肉へ指を沈めるように揉み続けるグレア。なんだか、荒い息が聞こえてくる。
「グレアのえっち~(笑)♡」
「なっ、なんでよっ!」
「太もも触ってるだけで興奮しすぎ~(笑)♡」
「別にっ……! 興奮なんてしてるに決まってるじゃない!」
「してるんだ(笑)」
「当たり前でしょ! また
ムキになって否定するかと思いきや、とても素直に喜びを表してくる。珍しい。そんなに嬉しかったのかな。
「ノノノ、お願いがあるんだけど」
「なに?」
「お尻も触っていい?」
「今日のグレア素直すぎでしょ(笑)」
「お願い!!!!!」
まあ、今日は無理して頑張ってくれたし、ちょっとくらいご褒美をあげてもいいかもしれない。
「ちょっとだけだよ?」
瞬間――グレアはすごい勢いで僕のお尻に飛びつく。五指を開き、僕のお尻を鷲掴みにして、揉みしだく。
「うわすごっ!!! 男のカラダすぎるっ! 肉付きと筋肉エロっ!」
うつ伏せなので表情は見えないけど、グレアの声は弾んでいて、とても嬉しそうだった。
「あ~やっば……! なによこのむっちりとしたお尻と太ももは……! エロすぎでしょ……!」
「そ、そんなにむっちりしてないし」
「あ~~~エロっ! こんな国宝級の太さなんだから、自信持ちなさいよっ!」
「誰が国宝級の太さだ! というかもう終わりっ!」
「まだ全然足りないわよっ!!!」
グレアは、僕の尻へと顔面を埋めるようにダイブしてきた。
「んひゃっ!?」
「あ~なにこれ天国すぎっ!!! 尻枕最高すぎるっ!」
「なにしてるのっ! この変態っ!」
グレアは僕の尻に頬擦りしている。さらに、がっしりと僕の太ももを掴み、尻と太もも両方の感触を堪能していた。
「あ~~~エロっ! 最高~~~っ! 幸せすぎて死ぬっ!」
「ちょっ、このっ……!」
僕は横に身体をスライドさせてグレアから逃れようとする。しかし、彼女は僕の尻に顔を埋めたまま、太ももにしがみついてくる。すごい執念だった。
「ぬんっ!!!!!」
僕は無理やり身を捻り、ベッドから落下した。しがみついていたグレアが落ちて、僕の下半身から外れる。
僕は胸に怒りを燃やしながら立ち上がり、グレアを見下ろす。
「えっ、ちょっ、なによっ! ちゃんと触っていいか許可取ったじゃない! ちょっとだけならいいって言ったじゃない!」
「うん、それはいいよ」
「じゃあ無罪よねっ! なにも怒られるようなことしてないわよねっ!?」
「でも、国宝級の太さって言われたことは許してないよ?」
「あっ」
僕はグレアを持ち上げ、ひょいっとベッドに投げた。さらに、自分もベッドに上がる。
「さっきのお礼に、僕もマッサージしてあげるよ」
そして、僕はグレアの足を掴んだ。瞬間、彼女の顔が青ざめる。
「えっ、ちょっ、ウソでしょっ、アンタの怪力で足ツボなんかやったら――」
僕は親指に力を込めて、彼女の土踏まずへ押し込んだ。
「痛だぁあああああッ!!!」
「え~? まだ30%の力しか出してないよ?」
「まってまってまって痛だだだだだだだだッ! いだいいだいいだいいだいいだいッ!」
グレアはジタバタ暴れ、どうにか逃れようとするが、もちろん僕の力の前では無力だ。
「じゃあ、50%ね?」
「痛だぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ! 死ぬっ! これ死ぬっ!」
ぐいっ!ぐりっ!ごりっ!と、グレアの足ツボを
「じゃあ、100%行ってみよっか(笑)♡」
「無理無理無理っ! マジで、あっ――」
*
グレアは仰向けになり、ぴくぴくと痙攣するように震えている。そのまなじりには涙が光っている。
「し、死ぬかと思ったわ……」
「ごめんね、グレアの反応が面白くてやりすぎちゃった」
僕はグレアの顔に手を伸ばし、両目の涙を拭ってあげた。
「ねえ、グレア」
「なに?」
「今日のイベント、ペアがグレアじゃなかったら優勝できなかったよ。ありがとう」
「どういたしまして。まあ、一日頑張った成果はあったわね」
「でも、なんで僕と一緒に参加してくれたの?」
「え、まあ……その……私もピザ食べたかっただけよ」
「そんなこといって、実は僕とカップルになりたかったんでしょ?(笑)♡」
「っ……!?!?!?」
グレアの表情に動揺が表れる。冗談のつもりだったけど――図星、みたいな手応えだった。
え、マジ? ただ性的な目で見てるだけじゃないの? グレアって、僕のこと――。
「え、ホントに?(笑)♡ だからシャルくん誘わなかったの?(笑)♡」
「うっ、うぅっ……あっ、そのっ……」
グレアはうろたえるばかりで、何も言えない。みるみる顔が赤くなっていく。
僕は彼女の頭を撫で、よしよししてあげる。
「よかったね(笑)♡ 一日だけでも僕とカップルになれて(笑)♡」
「うぅぅっ……!!!!!」
グレアは噴火しそうなほど顔を真っ赤にして、小さく呻いた。彼女は頭まで掛け布団をかぶり、出てこなくなる。
「お~い、グレア~?」
「……」
「グ~レ~ア~?」
「…………もう寝る。寝るから。はい寝た。おやすみ」
「ふふっ、おやすみ~」
グレアはそれきり無言になった。
僕も目を閉じる。今日の疲れが溜まっていたのか、すぐに眠気がやってきた。微睡みの中で、僕は考える。
――グレアは、僕のことが好きらしい。
嬉しい。
すごく、嬉しい。
やっと、僕の人生に、僕のことを好きになってくれる女の人が現れた。
正直、僕もグレアのことは好きだ。すぐ告白して恋人になってしまってもいいと思う。
ただ、これまで散々ゴリラいじりされてきたし、太ももの太さもいじられてきた。その分の報いを受けさせる必要がある。
だから……もうちょっとからかって遊んでもいいよね?
『ノノノ』
男性。A級冒険者。黒髪黒目。怪力すぎてゴリラ扱いされている。
『グレア』
女性。A級冒険者。赤髪赤目ツインテ。魔が差してノノノのパンツでオ○ニーしてしまった。