あべこべ世界なのにゴリラ扱いされててモテない男   作:耳野笑

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 前回のあらすじ!

 ノノノはピザ一年間食べ放題のため、グレアとともに、カップル限定スタンプラリー大会に参加した!

 無事優勝した二人は、ピザパーティーをして、近くの宿に泊まり、相部屋になる!

 シャワー後、ノノノはグレアに足を揉んでもらう! その最中「お尻も触っていい?」と訊かれたので許すと、顔を埋められた! しかも「国宝級の太さ」と言われ、ノノノはブチギレてグレアを指圧マッサージでお仕置きした!


第5話 処女をからかって遊ぼう!

 今日は久々に、五人組――僕と、グレアのパーティー四人でクエストに来ていた。

 

 討伐対象は、巨大な蛙の魔獣だ。僕たちは討伐対象を探し、森を歩いている。

 

 すると、メンバーの一人が、唐突に意外なことを訊いてきた。

 

「ノノノとグレアさ、スタンプラリー大会の夜、どっちも寮に帰ってこなかったじゃん。何してたの?」

 

「グレアと一緒にピザパーティーして、その後は近くの宿泊まったよ」

 

 と、僕は答えた。実際には同じ部屋に泊まったり、お尻触られたり、一緒に寝たりしたけど、そこまで言う必要はない。要らぬ誤解を受けるだけだ。

 

「そっか……」

 

 と、質問してきたメンバーは、納得いっていなさそうな顔をしていた。他の二人も似たような表情だった。

 

 グレアは、そわそわしていた。

 

 思わぬ疑われ方をして、気が気でないのだろう。

 

 なんだか妙な雰囲気のまま、僕たちは森を進む。すると――巨大な蛙の魔獣が現れた。討伐対象だ。

 

 五人で協力して戦うこと五分――あと一歩のところまで追い詰めた。

 

 僕は勝利を確信し、斧を振り上げた。――瞬間、蛙が最後の抵抗を見せた。大口を開き、粘液を噴き出してくる。

 

「うわっ!?!?!?」

 

「ノノノっ!!!」

 

 頭から粘液を被ってしまう。毒はない。が、ベトベトして、とんでもなく動きづらい。

 

 斧を振り下ろそうとしても、強力な粘性により、腕が動かない。まるで、固まりかけの蝋人形のようだった。

 

 しかし――もう大蛙も動けない。グレアの炎魔法が大蛙にとどめを刺した。

 

「さ、最悪……ねばねばする……」

 

 グレアたちが近付いてくる。

 

「ノノノ、平気?」

 

「うん、怪我はしてない。でもこのままじゃ帰れないから、水魔法で洗ってくれない?」

 

「分かったわ」

 

 グレアが杖を構える。しかし、他の三人は棒立ちで僕の方を見ている。

 

「ちょっと! 三人はこっち見ないで! というかあっち行って!」

 

「わ、分かってるし! 別に見ようとしてないし!」

 

「そうだそうだ! ゴリラの水浴びを見て喜ぶ女なんかいないぞ!」

 

「他の男子ならエロい光景だろうけど、ノノノをそんな目で見る異常者いる訳ないでしょ!」

 

 ちらり、とグレアを見る。気まずそうな顔をしていた。

 

 三人のゴリラいじりはいつものことだけど、今回は全てグレアに刺さってしまっていた。

 

 そして、三人は遠くの木陰へと入っていった。

 

「だってさ、僕を性的な目で見ているグレアさん(笑)♡」

 

「う、うるさいわねっ……」

 

 グレアの顔がほんのり赤色に染まる。

 

 僕は靴と靴下を脱いだ。そして、グレアに水魔法を使ってもらう。

 

 杖から放たれる水を浴び、粘液を洗い流していく。まず、髪に絡みついた粘液を落とす。次に、首、肩、腕と洗い流す。

 

 そして、左腕を上げ、腋を水で洗い流していると――。

 

「腋エッロ……」

 

 グレアが、ボソリと呟いた。彼女はギンギンに目を見開き、僕の腋を凝視している。

 

「グレア、見すぎ~(笑)♡ 目つぶっててよ~(笑)♡」

 

「ごめん無理、エロすぎて無理」

 

「変態すぎでしょ(笑)♡」

 

「目の前で腋見せながら体洗ってる男がいて、目逸らせるわけないでしょ」

 

 左腕の腋を洗い終わった。続けて、右腕を上げようとするが――グレアは期待の眼差しで、じっと見ている。

 

「グレア、絶対オカズに使うつもりでしょ~?(笑)♡」

 

「…………」

 

 答えは沈黙だった。

 

「うわ~(笑)♡ 最低~(笑)♡」

 

 グレアは罵倒されながらも、目を瞑ろうとはしない。

 

 そして、僕が右腕を上げて腋を洗い始めると、グレアはますます鼻息を荒くし、目を剥き、ガン見してくる。

 

 ずっっっと顔が真っ赤で、鼻の下が伸びていた。幸せそうだった。

 

 そして、全身を洗い終えて、服ごと風魔法で乾かしてもらう。涼やかな風が気持ちいい。

 

 一方、グレアも満足げな顔をしている。

 

「はぁ……ありがとう、ノノノ。最高だったわ」

 

「グレア、キモ~(笑)♡」

 

「今だけは罵倒も甘んじて受け入れるわ、幸せだし」

 

 グレアは満面の笑みを浮かべている。

 

 ……絶対オカズにするつもりなんだろうなあ。今夜使われちゃうのかな。

 

 脚を乾かしてもらうため、僕は近くの岩に座った。グレアも僕の足元に座る。

 そして、僕は足を前に出し、風魔法を当ててもらう。

 

 が、グレアは風魔法を行使しながら、じっと僕の足裏を見ている。ごくり、と喉の鳴る音が彼女から聞こえた。

 

「え、まさか足裏でも興奮するの?(笑)」

 

「わ、悪い?」

 

「キモ~(笑)♡ 変態じゃん(笑)♡」

 

「変態じゃないわ。変態っていうのは常識から外れた性癖の持ち主を指す言葉でしょ? 腋も足裏も一般的な性癖よ。私はむしろ女として自然で、普通なのよ」

 

「なんか早口でいっててキモ~い(笑)♡」

 

「ぐっ……! キモくないわよっ……! 早口でもないし!」

 

 グレアは不服そうにしながらも、僕の足裏を熱心に熟視している。

 

 そんな彼女を見て、心の中に支配的な欲求が湧き上がる。

 

「ねえグレア、踏んでいい?」

 

「はっ、はぁっ!?!?!?」

 

 グレアが顔を上げ、愕然とする。赤色の双眸は、不服とも期待ともつかない、妙な気色を帯びていた。

 

「い、いいわけないで――」

 

 僕はグレアの返事を待たず、彼女の顔面を踏んだ。

 

 素足で、ぐりぐりと、グレアの顔を踏みにじる。背骨を貫くような支配感。愉しくて、心が昂る。

 

「む、ぐ、むぐっ……!」

 

「グレア、ちょっと喜んじゃってない?」

 

「な、なわけ、ないでしょっ……!」

 

「踏まれて興奮するとか変態すぎ~(笑)♡ キモ~い(笑)♡」

 

「む、ふぐっ、やめなさいよっ……!」

 

 両足で、グレアの顔面を圧迫する。彼女は耳まで真っ赤だった。果たしてそれは、興奮のせいか、あるいは屈辱のせいか。

 

「このマゾ処女(笑)♡」

 

「ま、マゾじゃないわよっ……!」

 

「処女なのは否定しないの?(笑)♡」

 

「しょ、処女でもないわよっ!!!」

 

 グレアはひと際大きな声で叫んだ。

 

 僕は向こうの三人にまで聞こえていないか不安になり、ちらりと確認する。三人は木の影でよく見えない。

 

「はい、おしまいね」

 

 僕は脚を下ろし、靴を履いた。グレアは息も絶え絶えで、顔を真っ赤にしたまま僕を睨む。

 

「ゆ、許さないっ……!」

 

「え~?(笑)♡ 喜んでたじゃん(笑)♡」

 

「変な扉開いちゃったらどうしてくれるのよ!」

 

「知らな~い(笑)♡」

 

 グレア……ただでさえオ○ニーモンスターなのに、マゾ化まで進行しちゃったらどうなるんだろう。普通に彼氏作って幸せになるの、もう無理な気がする。

 

 僕とグレアは、三人に合流する。

 

「おまたせ、みんな」

 

「さっき、どでかい声で『処女じゃないわよ』って聞こえてきたんだけど」

 

 グレアの表情が凍り、直後、みるみるうちに顔が赤くなっていく。

 

 僕は、ずっと気になっていたことをメンバーに尋ねてみることにした。

 

「グレアって本当に処女じゃないの?」

 

「いや、バキバキの処女」

 

「グレアに彼氏なんていたことないし」

 

「この前男娼で処女捨てるべきかなって相談された」

 

「ちょっ、なんで言うのよ!」

 

 グレアが顔を真っ赤にして叫ぶ。

 

 僕はグレアに近付き、肘で彼女をつつく。

 

「やっぱ処女じゃん(笑)♡」

 

「ぐうっ……!!!」

 

「なんで処女じゃないって嘘吐いたの?(笑)♡」

 

「うぅっ……!!!!」

 

「処女ってバレるの嫌で、見栄張っちゃったんだ~(笑)♡ 可愛い~(笑)♡」

 

「うっさい……!!!!!」

 

 グレアは恥辱と憤激にまみれた、凄まじい表情をしていた。

 

 そっか、グレア、処女だったんだ。

 

 なんか、ちょっとホッとしたかも。

 

「アンタらもなんで笑ってんのよ! 全員処女でしょうが!」

 

「そうだけど、それを言ったらお終いでしょ!」

 

「どうして仲間を傷付けるの!?」

 

「私たち幼なじみじゃん! 仲良くしようよ!」

 

 と、身内で揉める処女四人の姿。

 

「うわ~、処女パーティーなんだ。ウケるね(笑)♡」

 

「「「「笑うな!!!!!」」」」

 

 *

 

 街へ戻ってきた僕たちは、宿を探すため、二手に分かれることにした。僕とグレアのペア、そして残り三人のグループ分けだ。

 

 路地を歩いていると、宿が見つかった。グレアが中に入って空きを確認してくれる。

 

「空いてるって。皆も呼んで――」

 

 グレアが段差に足を引っ掛け、バランスを崩す。そのまま倒れそうになる彼女を、僕は咄嗟に受け止めた。

 

「――」

 

 グレアを抱きしめる体勢になる。クエスト終わりで汗をかいているはずなのに、いい匂いがした。心地いいような、身体が昂るような、不思議な感覚だった。

 

「あ、ありがとう、ノノノ」

 

「……」

 

「ノノノ?」

 

「…………」

 

「え、ちょっと、なに、どうしたの?」

 

 僕はグレアをより強く抱きしめ、首筋に鼻を当てるようにして、すぅ~~~~~!!!と深呼吸した。

 

「きゃあっ!? な、なに!?」

 

「グレア、いい匂いする」

 

「はっ、はあっ!? ちょっ、やめてっ! 今汗くさいからっ!」

 

「そんなことないよ、すごい好きな匂いする」

 

「やめてってば! これ恥ずかしいからっ!」

 

 グレアは抵抗するが、僕の膂力に勝てるはずもない。僕は彼女を強く抱擁したまま匂いを嗅ぐ。なんだか、頭がぼーっとしてくる。幸せな気分だった。

 

 その時――。

 

「ちょっ、あいつら来たからっ!」

 

 僕はバッ!と身体を離した。振り向くと、三人が遠くの路地を出て、左右を見回しているところだった。

 

 ちょうど、向こうもこちらに気付いたようで、近付いてくる。

 

 あ、危なかった……。

 

「ここの宿空いてるって」

 

「お、助かる。じゃあ入ろう」

 

 三人が先に宿へ入る。僕はグレアの方を見る。彼女はまだ薄っすら赤面したままだった。

 

「……危なかったわね」

 

「なんか、隠れて付き合ってるみたいだね」

 

「!!!!!」

 

 グレアは目を見開き、呆気に取られていた。

 

 *

 

 夜。僕はシャワーを浴び、何をするでもなく一人部屋で過ごしている。すると、扉をノックする音が聞こえた。

 

 僕は扉を開ける。グレアが立っていた。既にシャワーを浴び、髪を下ろした状態だ。

 

 実は、僕がグレアに「話があるから、後で部屋に来て」と伝えておいたのだ。

 

「どうぞ、上がって」

 

「う、うん」

 

 扉を閉める。そして、僕とグレアはベッドに腰掛ける。彼女の面持ちには緊張が滲んでいた。

 

「グレア、なんか緊張してない?」

 

「し、してないけどっ。なによ、話って」

 

「もしかして告白されるかも~とか期待してる?(笑)」

 

「し、しししししてないわよっ!」

 

「じゃあ、えっちなこととか期待してた?(笑)♡」

 

「それもしてないわよっ!」

 

 グレアは怒り吼えながらも、ちょっと残念そうな顔をしていた。期待が外れてしまったのだろう。

 

「で、なんなのよ、話って」

 

「グレアに訊きたいことがあるんだ」

 

「なに?」

 

「グレアってなんで処女なの?」

 

「――」

 

 グレアの表情がピシッ!と硬直した。

 

「グレアってなんで処女なの?」

 

「聞こえてるわよ! 二回も訊くんじゃないわよっ! なに!? 喧嘩売ってるの!?」

 

「冒険者って稼ぎのほとんどを酒か男娼に使うじゃん。だから、グレアが処女なの不思議だなって思って。他の三人もだけど」

 

「え、あ~、あぁ……」

 

 グレアは部屋の天井の隅へと視線を上げ、少しの間黙考した。

 

「えっと、理由は色々あって、一概には言えないわね。でも一番は、性病が怖いからね」

 

「あ~、性病……」

 

「そう、男娼はその仕事上、性病を持ってる可能性がある。そして、性病の治療薬は素材が希少だから高価なのよ。それこそ男娼館で十回くらい遊べる金額ね」

 

「そうなんだ、知らなかった」

 

「金額に見合わないリスクだから、行けないのよ。一回くらいは行ってみたいって気持ちもあるけどね」

 

 グレアはため息まじりに俯きながら、苦笑した。

 

 すごく実感の籠もった言い方だった。切実な本音なのが伝わってくる。

 

「ねえ、グレア」

 

「なに?」

 

 僕はグレアへと近づくように座り直し、彼女の両肩を掴んでこっちを向かせる。

 

「抱きしめていい?」

 

「……。……え、ちょっ、えっ?」

 

 そして、返事を待たず、僕はグレアを抱きしめた。お互いシャワー後のせいか、とても暖かい。人肌の温もりを感じる。

 

「え、えっ、えっ」

 

「知ってる? 相性のいい男女って、お互いにいい匂いに感じるんだって」

 

「……!」

 

「僕、グレアの匂い好きだよ」

 

「え、そ、それって……!」

 

「グレアはどう?」

 

「……わ、私も、ノノノの匂い、好きよ」

 

 喜びと、微かな恥ずかしさが、同時に湧き上がる。

 

 僕はしなだれかかるように、グレアとともにベッドへ倒れる。僕が彼女を押し倒す形だ。

 

 僕を見上げるグレアは「信じられない」という目をしていた。

 ただ、状況を理解してか、みるみる口角が上がっていく。

 

「だからさ、グレア……」

 

 グレアの赤い双眸が、期待に満ちてキラキラと輝く。

 

「――いつか処女卒業できるといいね?(笑)♡」

 

「えっ」

 

 僕はグレアの上から離れ、ベッドの縁へ座り直す。

 

「あははははははははっ!(笑)♡ すっごい期待してる顔してた~!(笑)♡」

 

「え、ちょっ、はあっ!? 今絶対そういう流れだったじゃない!」

 

「あははっ、ウケる~(笑)♡」

 

「ちょっ、や、ヤらせなさいよっ!」

 

「ごめんね?(笑)♡ 処女からかうの楽しすぎてハマっちゃった(笑)♡」

 

「こいつッ!!!!!」

 

 グレアは頭に血が上り、顔が真っ赤になる。憤激に歪んだ、凄まじい表情だった。

 

「アンタ、そろそろマジで襲うわよッ!」

 

「え~?(笑) やってみれば?(笑)♡」

 

「がるるっ!!!!!」

 

 オオカミと化したグレアが襲い掛かってくる。しかし、僕は彼女の両手首を掴み、あっという間にベッドへ抑えつけた。

 

「ぐぅっ! 襲うっ! 絶対襲うっ!」

 

 髪をぶんぶん振り回し、凄絶な形相で暴れるグレア。しかし、残念ながら僕はびくともしない。

 

 そもそも、僕は巨人族相手に腕相撲で勝てるのだ。非力な人間との力比べなら、尚更だ。

 

「グレアのざ~こ(笑)♡」

 

「こいつっ!!!!!」

 

「オ○ニーばっかりしてないで、ちょっとは身体鍛えたら?(笑)♡」

 

「うるさいっ!!!!!」

 

「ということで、明日からも処女のまま頑張って生きていこうね?(笑)♡」

 

「くそぉおおおおおおおおッ!」

 

 **1

 

 ノノノを襲おうとしたが、逆に力の差を理解させられ、とぼとぼと戻ってきた。

 

 ノノノの言葉が、頭の中で繰り返し響く。

 

 ――いつか処女卒業できるといいね?(笑)♡

 

 ち゛く゛し゛ょ゛う゛っ゛!

 

 く゛や゛し゛い゛っ゛!

 

 ――でも。

 

 でも、ハグした時、すっっっごい、いい匂いした。

 

 あれだけ熱望してやまなかった、二度目のハグだった。確かに、いい匂いだった。体の相性がいいのかは分からないけど、マジでヤりたい。

 

 くっそ……! もうアンタで卒業させてよっ……!

*1
グレア視点




『ノノノ』
 男性。A級冒険者。黒髪黒目。怪力すぎてゴリラ扱いされている。

『グレア』
 女性。A級冒険者。赤髪赤目ツインテ。魔が差してノノノのパンツでオ○ニーしてしまった。
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