ゲート、地球防衛軍、暫く戦えり   作:ハヤモ

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前書き
ゲートのキャラに少しスポットをば。
EDF隊員からすると、特地の人達の事情なんか知らん、さっさと民間人(無敵デコイ)ごと空爆しまくりゃええやんヒャッハーですが。

今回は首狩兎族ヴォーリアバニーの話
このままじゃ奴隷化した女王テューレ含めて生き延びた子達にも救いが無い気がするので、改変要素として
ゲート知らん、EDF!空爆万歳の隊員からすると退屈な話になってしまいますが、なにとぞご容赦を……


21.騙され兎と裏切り者

首狩兎ヴォーリアバニー族。

人間の等身に兎耳と小筆のように可愛らしい尻尾が生えた、殆どがメスという、どすけべ種族である。

まぁ兎だからね。真偽は兎も角、性欲の象徴だとか年中発情期とか言われてる動物だからね仕方ないね。

 

特地の年代記には残忍で激しやすく淫乱な種族と記されているが、半分は正解らしい。

国があったのは大陸東北の平原。

毎日のように部族同士が狩った狩られたを繰り返す戦闘民族。

いっぱい子供を産むけど、何故か滅多に男が生まれない。 だからなのか家族や夫婦って概念がいまいち理解できないらしい。

子供は部族の皆で育てるんだそうだ。 アマ◯ネスとかゼ◯伝のゲ◯ド族のイメージかな?

 

集落に男がいないなら、どう子作りを?

そりゃあ……ボーイハントに繰り出すのさ♡

 

気に入った雄なら種族は関係ない。

飽きて別れるまでつがいになるのが彼女達。

だから淫乱ってのは間違いだ……と思う。

運の良い奴は一族の男とつがいになって純血の子を産む。 女王となる子だ。

 

そしてゲートが開く三年前。

帝国に……奴隷欲しさのゾルザル軍に侵攻された際、王国を率いていたのがテューレだった。

 

部族と軍隊では、その差は歴然。

数も質も全く違う。 甲冑が一般的で、装備も兵士も上等な帝国軍。

対して兎は部族に過ぎず。 ほぼ裸の体に僅かな申し訳程度の鎧とククリ刀、弓矢で勇猛に戦うも、次第に追い詰められ、後が無くなった。

 

女王テューレはゾルザルと交渉した。

屈辱に耐え忍び、自らの身を奴隷としてこの身を捧げると。 その代わり、もう国には、一族には手を出さないでくれと。

 

そしてテューレはゾルザルの奴隷に堕ちた。

だが、約束は履行されなかった。

 

ゾルザルは平然と破り、まだ抵抗を続ける民の士気を下げる為に嘘を吐く。

テューレは命惜しさに兵を買収したと。 民に戦えと言っておきながら、自らは助かる道を選んだ卑怯者だと。

 

もう貴様らの王はいない!

さあ選べ。 降伏して奴隷になるか死か!

 

それを聞いた者、激昂。

女王テューレが民を見捨てた、裏切ったと!

 

だが奴隷なんて死んでも御免だ!

動ける者は必死に脱兎の如く戦場を離脱。

生き残りは散り散りになり、大陸の端まで逃亡生活をしようとも、必ずや一族の面汚し、裏切り者のテューレを殺すと己に誓う。

 

その中の1人がデリラだ。

最初はグリーネ、パルナという仲間がいた。

復讐しようにも行く当てもなく、食べ物も飲み水も金もない彼女達は男に抱かせて対価として金を貰い、時に作物を盗み、なんとかその日の命を繋ぎ、身を寄せ合って彷徨い歩いた。

そんな心身を削る逃亡生活に耐えられず、パルナは離脱。 体を買ってくれる悪所へ居場所を求めて去ってしまう。

 

後に残ったデリラとグリーネ。

仲間を失い、希望も無く、身も心もボロボロになり、行き倒れ同然に力尽きようとしていた、まさにその時。

 

イタリカのフォルマル家に拾われたのだった。

 

当時の領主は開明的な方、というか亜人好き(ケモナーと思われる)の人で、ヒト至上主義の帝国の連中と違い差別せず、棲家と仕事を与えてくれた。

場合によってはハウスメイドにもなれた。

 

そうしてデリラ達は貧しいながらも安住の地を得る事ができた。

だからフォルマル家には感謝しているし、忠誠を誓っている。 命令は絶対だし害なす者には容赦しないつもりだ。

 

そして去年の夏。

アルヌスにゲートが開きEDFがやって来た。

 

帝国を退け、アルヌスに要塞が築かれて。

庇護を求めて城下町のように街が出来た。

 

最初は難民から始まり。

金の匂いに商人達が出入りし始め。

行き場の無い敗残兵も混ざり始め。

多くの店ができて、食堂も出来た。

出稼ぎで来る人も増えて賑わった。

 

多忙となったアルヌスの店が人手不足となると、EDFはフォルマル家に派遣要請。

仕事としてメイド達は派遣される運びに。

 

デリラは食堂の給仕として働く事になる。

ついでにゲートの向こうや、帝国との関係の情報を得て、今後の趨勢次第で行動を起こせるようにと、メイド長から密偵の役割も与えられた。

 

そこから半年。

繁盛した食堂は多くの給仕を抱えるまでになり、先輩のデリラは給仕長に出世。

アルヌスでは亜人だからと差別されないばかりか好意的で、給料も良く、遂には出世。 ふかふかな綿の布団付きの1人部屋まで与えられた。

 

破格の待遇に、デリラは天国だと歓喜乱舞。

汚れても無いのに掃除をしてみたり、友人に手紙を送ったりとはしゃぎ込んだ。

現代地球ではそんなに変に思わないかもだが、奴隷や亜人差別が当然の中世文明なファルマート大陸だ、反応が違う。

 

だがそんな歓喜も間も無く終わる。

 

───ストームが面会を求めた事で。

 

最初はいつもの気さくな、陽気な挨拶から。

そして店長と話して、空いている時間にデリラを借りるぞとなり、デリラの部屋で男女が向き合い話し込む。

 

 

「なんだい? 炎龍を倒したっていう地球の英雄さんが、アタイとタイマンしたいって?」

 

「ああ。 デリラにとって大切な話なんだ」

 

「ほう。 こりゃドキドキするねぇ」

 

 

側から見れば、エロい事をナカでしてるのかと思うだろうが、違った。

 

デリラはストームがナニを話すかと身構える。

密偵の事がバレたか。 いや、だとしてもギリギリまでシラを通す。 それがフォルマル家への忠誠だから。

だが語られたのは、デリラ達ヴォーリアバニーにとって、衝撃的な真実だった。

 

 

「単刀直入に言う。 テューレを討つのはやめろ」

 

「───なんだって!?」

 

 

仇同然の名が出た瞬間、デリラは恥も偏見も家もなく飛び掛かった!

私情に流されて動くなんて密偵もメイドも失格だろうが、それだけテューレの名は許せないものなのだ。

 

だがそこはストーム1。 狭い部屋に構わずローリング回避。 家具が散らばるのもお構いなしだ。

……彼からすれば、ローリングでガードレールや街灯を弾き飛ばす事なんて戦時中よくやっていた事だ。 これくらい訳ないと思っていそうだ。

 

 

「いや、なんで……ストームさんがその名を!」

 

「少し調べさせて貰った。 といってもEDFの戦略情報部だが。 君達ヴォーリアバニーの種族は三年前、ゾルザル皇太子の率いる軍隊に攻め滅ぼされたそうだな」

 

「チッ、ああそうさ。 その時、アタイらの女王だったテューレの奴が裏切りやがったのさ!」

 

 

デリラは憎きあの日を忘れられず、抵抗するでもなく素直に認めた。

だが怒りの感情は剥き出しだ。 その炎は収まる事を知らない。 今のところは。

 

 

「なんだい、こんな話をして。 ストームさんほどの人がわざわざこんな……」

 

「一応確認したい。 テューレが裏切ったというのは確かなのか?」

 

 

有無を言わさず、無駄なく問い詰める。

デリラも求められた物は素直にお出しする。

 

 

「そうさね。 あの日、帝国兵が傷ひとつ無い女王の鎧をアタイらに見せながら言ったんだ。 間違いないよ!」

 

 

そう堂々と言い放つも、ストーム1は感情1つ出さずに淡々と侮辱する。

 

 

「なるほど。 つまり、君達ヴォーリアバニーは敵兵の言葉をあっさり信じ、仲間を裏切り者扱いして、戦争に負けた腹いせをぶつけている帝国の奴隷という事で良いな?」

 

「なんだい、その言い方はないだろう!?」

 

 

激昂するデリラの勢いは続く。

 

 

「傷ひとつ無い鎧が証拠だった! 奴は、テューレは戦いもせず民を売り、敵側に寝返った! 信じる他あるか!?」

 

「嘘も本当も相手が信じるか否か。 何事も言葉や文字、伝え方次第。 嘘も真になり本当も欺瞞に聞こえるものだ」

 

「……なんだよ、まるで違うってか」

 

 

声が震える。

もし否定されたら、今まで憎しみに焚べたものが無駄になりそうで怖かった。

 

 

「違う」

 

 

それを、ストーム1はあっさり言った。

だから今度は私から否定してやる。

 

 

「何が違うってのさ!? 傷1つ無い鎧以上の、奴が裏切ってない証拠があるのかよ!」

 

「逆にそれが証拠なんだよ」

 

 

は?

ストームは何を言っているんだ?

 

 

「銀座事件の時に収監された捕虜六千人や帝都にいる、当時を知る生き残りの証言などを照らし合わせると、テューレは自ら奴隷になったらしい。 その時に鎧や剣をゾルザルに儀式的に捧げたとか。 だからだろう、鎧が綺麗だったのは」

 

「ほ、ほらな! やっぱり奴は裏切り者だ!」

 

「その代わり、もう君達には手を出すな、という条件付きでな」

 

 

さっきから何を言っているんだ。

そんな言葉を信じろと?

 

 

「じゃあ、なんで、なんでだよ……なんで帝国兵は鎧を見せながら、テューレが民を、アタイらを売ったなんて言いやがったのさ!?」

 

「簡単な話だ。 帝国が、ゾルザルがテューレを裏切った。 条件を呑むフリをして、結局は国を滅ぼした。 本当の裏切り者は違うんだよ」

 

「嘘だッッ!!」

 

 

デリラ、頭を抱え幼子の様に蹲る。

簡単には認められない。 それこそ嘘じゃないのか。 現地にいたのは自分で、ストーム1は何も知らないじゃないか!

 

 

「違う! 奴が裏切り者なんだ!!」

 

「そう思いたいだけだ。 何故なら、そうしないと今までの憎しみが嘘になるから。 自分が許せなくなるから。 積み重なってきた悲惨な記憶、己を突き動かしてきた原動力を否定したくないんだよ君は……悪いが此方は調べがついている。 罪と、己と向き合うべき時が来たんだよ」

 

「そんなの聞いただけとかだろ!? ソイツらが嘘を言っているんじゃないのか! 認めさせたいなら、何か証書とか、形に残る物を寄越せよ!?」

 

「見つかったら不利になる物を残すと思うか? これがどこかの領主や商人ならいざ知らず、相手は皇太子、国の頂点近くに君臨する権力者だぞ。 今となっては無理矢理に皇帝相当の野郎だがな」

 

「嘘、嘘だ、アタイは認めない……」

 

「所詮、俺の話も言葉に過ぎない。 信じる信じないはデリラ次第だ。 だが考える事だ、"敵の言葉"を信じるのか"俺達の言葉"を信じるのかな」

 

 

結局、その言葉がトドメになった。

そう、そうだよ。 なんでアタイらは、敵の言葉をアッサリ信じたんだ。

鎧を見せられて、信憑性が増して、だから裏切ったと思い込んだんだ。

 

ストーム1の話を聞いて、疑念が湧いた。

本当にあの言葉は本当だったのか、と。

 

ストーム1の言葉は鎧のように物的証拠は無い。

同時に、証拠と言葉が必ずしも合わないと思わせるには十分な威力があった。

 

 

「───テューレに」

 

 

唇が震え、声が空気を伝う。

確かめるには"証拠"に辿り着くしかない。

騙された奴と、裏切った奴の元へ。

 

 

「私達の女王の所に、連れて行く気があるって事で、良いんだよな?」

 

「その解釈で構わない。 だが自分の足で歩いて謁見し、直接見聞きする事だ。 それを信じるかどうかも君次第だが」

 

「分かってる。 だけどアンタ、アタイの心を惑わしてくれるね。 責任、とってくれよ」

 

 

まだ真実は分からない。

だけど、不思議と少し救われた気分だった。

 

 

 

 

 

「大変だ……」

 

 

聞き耳を立てていた狼人は、わなわなと震えた!

 

食堂や通りの喧騒で良くは聞こえなかったが、エッな展開を想像して期待に胸と股間を膨らませていたところ、始まったのはドロドロ愛憎劇展開っぽい痴話喧嘩らしき怒鳴り声。

 

そして困惑、絶望……からの明るい声。

かろうじて聞き取れた言葉……。

 

 

───アタイの心を惑わしてくれる

 

───責任とってくれよ

 

 

そして出てきたデリラは、どこか晴れやかな顔にも見える。 憑き物がとれたような、心なしか肌艶が良くて、大人びて見えた。

 

妄想力豊かな獣は叫んだ!

 

 

「コイツら交尾したんだ!!」

 

 

刹那、赤面デリラの回し蹴りが炸裂。

彼が場外に吹き飛んだのは言うまでもない。




後書き
高評価登録感想、宜しくお願いします

テューレは最初、ゾルザルのお気に入り奴隷としてベッドの上での首絞めックスのようなハードプレイをされていたものの、なんかコイツ良い声で鳴かねぇし飽きてきたからそろそろ捨てようかなという屈辱的で酷い扱い
転換期は、拉致された日本人が奴隷になっているのを見て、激昂した伊丹達に殴られた際。テューレがゾルザルの好感度稼ぎに身を挺して庇い、その後は貴方は利口、馬鹿を演じてるだけです的にゾルザルが求める聞き触りの良い甘い言葉を囁きベッドの上で慰め、そして思惑通り信頼を得ると、彼女の傀儡、駒のように動いていきます。戦争を続けさせて憎い帝国を滅茶苦茶にしようとしたのですね

原作の方ではテューレの陰謀で、デリラに偽物の日本人暗殺指令書が届き、それを信じて行動したデリラによって周囲の人、フォルマル家が大変な事になってしまいます
当作では省略する為に、その辺は回避。犯人探しでややこしくなるのと、EDFのドンパチ要素からますます離れる感がある気がして……

メモ【デリラの儀式台詞例】
神よ。天地を支える使徒よ。
この身を供犠として祭祀の炎を焚べる。
戦いの神エムロイ、冥府の王ハーディ、盟約の神デルドート、復讐の神パラパン。
あらゆる恐れ慈愛迷いから我を守り給え。
この身はこのときより敵たる者の命を奪う剣とならん。
赤き血を受けてただ錆びゆく鋼となりしも忠誠を誓いし我が魂は不滅不変なり。
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