ゲート、地球防衛軍、暫く戦えり   作:ハヤモ

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前書き
掲載開始から約1ヶ月。
作品レベルは酷くとも、ほぼ毎日投稿していた自分、それ以上にお付き合いして頂いている読者の皆様に感謝を

寄り道は良くないと思うも別視点
ゾルザルのイキリを交えつつ
原作では救われなかった風のテューレも当作では救われた感じにしたいですね。何処かで書きたい気持ちがあります


36.ジャイアントオーガ戦

 

 

「講和派の救出だけ、だと?」

 

 

家臣の報告を受けたゾルザルは、怯え散らしの情け無さから一転、自身の安全を確認するや青筋ビキビキの怒り散らし顔に変貌するダサさを見せていた。

見た目は若くガタイが良くも、内面は幼稚で残忍、短気のままにイキるのみ。

 

情け無い格好、恥ずかしくないの?

家臣は内心毒吐きながら、己の職務を全うする。

 

 

「他にもモルト皇帝と料理人のフルタ、ゾルザル様が寵愛されていたテューレ、その他奴隷の全ても彼等に拉致されました」

 

「城内の近衛兵や魔導士は何をしていたのだ!」

 

「全滅です。 敵は少数でありながら的確な行動でした。 精鋭部隊と思われます」

 

「帝都のみならず、皇宮の間取りや戦力を把握していたというのか!? 間謀がいたとしか思えん! 炙り出せ!!」

 

「恐らくですが攫われた者のいずれかがそうであったのかと」

 

「フルタやテューレが俺を謀ったというのか! いや他の奴隷共か!? EDFといい、どいつもこいつも俺をコケにしおって! 馬鹿を演じてやった恩も無く、日和って敵側に寝返るとは仮にも帝国人民か!? 奴らの国も一族も根絶やしにしてやるわ!!」

 

「そう申されましても、大半の戦力は城の前で屍となっております」

 

「貴様は馬鹿か? 特別法の解釈を拡大し、帝民を強制的に徴兵すればよかろう、少しは

物を考えて発言しろ!! なんなら適当な罪を被せて捕縛し、亜人を混成した懲罰部隊として連中に突撃させろ! 帝国が滅びれば民も王も無くなるのだ、それでも良いのか! 王あっての民! 帝国と俺なんだよ!!」

 

 

あまりに傲慢、人間の屑!

家臣は心を無にし、健気に仕事を熟すも、ここまでEDFに好き放題されて未だ好戦的でいられる皇太子と主戦派に嫌気が刺す。

 

 

「ではそのように。 悪所街などから徴兵し、帝都を囲む敵に突撃させます。 吉報をお待ち下さい」

 

「待て、悪所はEDFの手の者が潜伏しておる。 ジャイアントオーガを連れて脅して来い。 勝利の余韻のままに敵陣の懐で勘違いしとる奴らに伝えるのだ! 帝国は負けておらぬとな!」

 

「はっ……」

 

 

玉座の間を後にする家臣。

角を曲がり、完全に見えなくなった暗所に辿り着くと、溜まりに溜まった鬱憤がクソデカ溜息となり口から漏れ出る。

 

 

「はぁ〜……! 脱出した皇帝陛下と敵国に帝国の運命を委ねる事になろうとは世も末だな。 ゾルザルは歴代で、否、帝国の歴史で最も愚かな賊として王族の系譜から、いや、全ての記憶から抹消したいわ」

 

 

トボトボと背を丸めて命令を遂行する家臣。

どうせ失敗すると分かっていても続けるのは、奴に如何に戦争継続が無謀かを分からせるのもある。

だが、それすらも今更に。 城の前に屍の山が築かれてなお、敗北を認められぬ愚かな王。

多くの犠牲を出しても己を騙し嘘を吐き続けてでも玉座に縋る姿からして、魂は穢れ切っているだろう。

最早、戦いの神エムロイは勿論、冥府の王ハーディも受け入れを拒否するレベルではなかろうか。

 

 

「悪所に放つよう言われた、重厚な鎧を着させたジャイアントオーガ。 大きさだけならEDFの巨人と同等に近しいものがあるが、武器からしてまるで違う。 勝てるとは思えんよ」

 

 

ご名答。

というか殆どの人は分かってる事。

それをゾルザル、馬鹿過ぎて理解せず。

 

 

 

 

 

そして暫くして。

スラムな悪所街に巨人、ジャイアントオーガが放たれた!

 

アメフトの防具のように丸みを帯びた兜と、重厚で角張った鎧を纏う姿は、苦いコーヒーを飲んで咽せ返し、肩を赤く塗りたくなるような某鉄騎兵を連想させる!

 

 

「行けジャイアントオーガ! 悪所を蹴散らし、賊軍を炙り出せぇ!」

 

 

悲鳴があがり娼婦やゴロツキが逃げ惑う中、荒廃装備のレンジャー隊が現れた。

手にはゴツい、黄緑色の迷彩を施した小銃を手にしているが、現場指揮を執る委員はニヤリと笑う。

 

 

「出てきおったなEDF! だがコイツを見てどう思う? 見た目通り大きくてパワーがあり、装甲は兵卒のものよりうんと厚い! これならば貴様らお得意の魔法の杖の攻撃も効く訳がない!」

 

 

レンジャー隊員は進撃のオーガに銃口を向け、各自の判断で撃ちまくる!

鎧の表面に散る無数の火花。 だがオーガは耐えて進み続ける!

 

 

「よし! よぉし! 今度こそイケる! 勝てる、勝てるぞおお!!」

 

 

委員がイキった刹那。

 

───バンバンバンバンッ!

 

ポップコーンが弾けるような連続音!

オーガの体中から無数の閃光!

ブルブルとその場で震える巨体!

そして鎧が内側から弾け飛ぶ!

 

 

「グオオオオッ!!?」

 

「な、なんだ!? 何が起きた!?」

 

 

ジャイアントオーガは鎧が吹き飛び、筋骨隆々の巨体が顕になっている。

その体表では穴だらけの袋のように、鮮血が様々な方向から吹き出しまくり、周囲を赤く照らしていく!

 

 

「撃ち方止め! 撃ち方止め!!」

 

 

隊員が叫ぶと同時、ジャイアントオーガは白目を剥いてその場に斃れた。

ドスンと音を立てて汚れた地面に横たわり、大きな砂埃を辺りに散らす。

 

負けた。 ジャイアントオーガがあっさりと。

捕獲、調教に凄く苦労したのに!

その特製の鉄鎧を作るのに、民間人から鍋やら農具やらの鉄製品を徴収して時間と労力を掛けて投入したのに!

 

それが、あっさりと!?

 

 

「馬鹿な馬鹿な馬鹿なぁ!?」

 

 

頭を抱え、狼狽えるコボルト頭。

そこにガチャ、と銃口を押し付ける隊員達。

 

 

「ひっ!?」

 

「もう抵抗してくれるなよ。 コイツは対人用じゃないんだ」

 

「元々は装甲を纏った巨人……対コンバットフレーム用に作られた銃だ。 丁度お誂え向きだったのさ」

 

 

そう言う隊員達。

手に持つ黄緑色のゴツい小銃は、対装甲目標、コンバットフレームに対抗する為に作られた経緯を持つ特殊小銃だったのだ。

 

名をミニオンバスター。

徹甲榴弾をフルオート射撃できる小銃だ。

装甲に食い込んで間を置き、信管が作動。 内側で起爆し、目標に二段階でダメージを与える恐ろしい武器だ。

弾薬の大きさ、重さの問題で短射程という欠点はあるが、突撃してくるだけの大型目標には当てやすかった事だろう。

 

 

「人間が受けたら内側からバラバラかな。 いや、徹甲弾のエネルギーが強過ぎて、起爆する前に体を貫通、いや、破裂させるかな」

 

「や、やめてくれ……降参だ降参!」

 

「そうしてくれ。 君も未来の無い皇太子より、まだ希望がある皇帝の方が良いだろう」

 

「なに? 皇帝は無事なのか?」

 

「こっちに着けば自ずと分かる。 だが勘違いするな。 EDFは戦争を終わらせたいんだ。 俺達は絶滅戦争をしたがる怪物や宇宙人じゃない。 血も涙もある人間同士、分かり合いたいだけなのさ」

 

 

説得され、委員の者は確かにと力無く項垂れる。

ゾルザルと周囲の主戦派は駄目過ぎる。

それに切札とされたジャイアントオーガが小規模の部隊にあっさりとやられてしまったからには、戦場で勝てる術は……無い。

 

 

「……分かった。 俺が持っている情報はたかが知れているが、提供しよう。 懲罰部隊として戦えというなら戦おう。 最早帝国に希望と兵なし。 だが、捕虜として扱う際は乱暴にしないで欲しい」

 

「そこまで鬼では無い。 協力、感謝する」

 

 

こうしてまた1匹1人と帝国の戦力が消えた。

一方、帝都の包囲網は力を増していく。

 

それに対抗するは碌な訓練を受けていない新兵や徴兵され民兵に仕立て上げられた肉壁の者共。

 

 

 

 

 

もはや帝国に勝ち目は無い。

だが回避出来る戦いあるならば、避けて通る。

 

卑怯なゾルザルもそう。

民草に戦えと命じておきながら、己は逃げる用意を進める。

撤退ではない、転身だと未だ言い訳をして。

 

それはテューレがゾルザルに降伏した際の行動原理に似ているかも知れない。

自分の為、部族の為と言い訳し、戦いのプレッシャーから逃れる為に己の身を差し出したような。

だがテューレは内心言い訳はあったにせよ、本心の、心の底から部族を売って自分だけ助かろうとはしていなかった筈だ。

そこで約束が履行されたなら、結果的には部族の皆は、国は助かったのだ。

それをゾルザルは反故にして、皆を殺すか奴隷にしてしまい、生き残りから恨まれる事になってしまう。

 

ゾルザルが今、それをEDFにしたらどうか。

ただ逃げるだけで無く、交渉するのは。

そうすれば寛容なEDFは戦闘行動を停止、講和交渉をし、賠償金や土地の割譲などはあれど、命がこれ以上消える事態は、戦争は終わる筈だ。

だがそれをしない。 食えないプライドのせいで。

己が生きている限り、考えを改めない限り、多くの民草を犠牲にし続ける最悪の皇太子となり続けるだろう。

馬鹿なゾルザルは人に血を流させ、己は何処までも言い訳して戦争を続けようとするだろう。

そこがテューレとの違いだ。

 

EDFの包囲網を突破するのは容易では無い。

だが用意した肉壁を使えば或いは……。

 

そう卑怯に考え続けるゾルザル。

犠牲なるのはいつだって現場の民や兵達だ。

 

 

 

 

 

「フルタ、ありがとう。 私を城から連れ出してくれて。 まさか本当にEDFの密偵とはね。 薄々感じていたけれど」

 

 

アルヌスに護送されるテューレ及び古田。

揺れるグレイプの中で2人は語り合う。

 

 

「仕事ですから。 すみません、騙していて」

 

「良いの。 でも自分のお店を構えたいって話は本当なのよね?」

 

「ええ。 その時はテューレさんが良ければ、従業員として来てくれますか?」

 

「勿論よ。 というか、その為に付いてきたのだけど。 そこは強引にでも私の手を引いて大陸の果てでも、フルタの故郷の地球にでも連れて行ってやるくらいの度量を見せなさいよ」

 

「あはは……従業員の話ですよね?」

 

「あなたの店は、あなたの王国。 そしてフルタが王様で、侍る女は女王という事になるわ。 一緒に国を興せるのが楽しみね」

 

「従業員の話ですよね!?」

 

 

方々で戦いは続く。

果たして未来は……。




後書き
次はストーム1の視点、学都ロンデル辺りへ
その後はベルナーゴで冥府の王に謁見か
そして帝都攻略へ……
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