ゲート、地球防衛軍、暫く戦えり   作:ハヤモ

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4.レレイ・ラ・レレーナ

難民達は突如現れた異端者に困惑した。

その者、兵士達の言語『ニホンゴ』で語る。

いーでぃえふ、すとぉむワンというらしい。

 

格好は途中で合流してきた兵隊と変わらないのに、動きは素人目に見ても卓越していた。

災厄の炎龍の首を難なく吹き飛ばし、亜神であるロゥリィ聖下の攻撃を避け反撃すらしてみせた。

 

夢でも見たのか。

否、現実だと首無し龍が無言で語る。

 

近くには彼が使用した巨大な杖、いや筒か、使い捨てなのか共々地面に横たわる。

 

難民の子供や大人達の表情は興奮と不安、助かった喜びを混ぜているも、ひとまず信仰心を示し、腰を低く膝を曲げ、聖下への挨拶をしていく。

 

そんな中、コダ村に住むカトー老師のもとで魔法を学んでいた15歳の青髪少女は冷静だった。

 

名はレレイ・ラ・レレーナ。

 

横たわるそれぞれと、ストーム1を見比べながら、やがては龍を倒した大筒の前で膝を折る。

 

前と後ろに穴が空いていて中は空洞。

外付けに指を掛ける場所と、覗き穴のように小さなレンズが付いていた。

触れると僅かに熱を感じ、そして硬い。

材質は鉄だろうか、少なくとも木ではない。

持ち上げようとしてみたが、細木のような腕ではびくともせず。 中がくり抜かれているとはいえ、質量からやはり鉄か何かだと予想した。

 

どういう仕組みなのだろう。

災害に等しい炎龍を沈めてしまうなんて。

それを成し遂げたすとぉむワンは何者なの。

他の人が使っていた鉄の杖も気になる。

 

 

「それは無反動砲ゴリアスだ」

 

 

突如声を掛けられ、ビクッと跳ねた。

振り向けば、すとぉむワンだった。

 

 

「ロケットランチャーといっても難しいよな……何と言って良いか……大砲の弾を撃ち出す装置、かな。 連続で使えなくて、1回撃つ毎に新しい弾を入れないといけない。 でも弾切れでね、重いだけだから捨てたんだ」

 

 

男は、ストーム1は見ず知らずの少女の為にアレコレと教えてくれる。

心を覗かれたか様に求める物を与えてくれる。

困惑はあったが、恐怖はなかった。 寧ろ温かく心地良い人だとすら感じた。

 

 

「たいほー?」

 

「ああ、翻訳機が不十分か……いや、火薬を使用した兵器がこの世界には無いのか」

 

「かやく? 色々教えてくれると嬉しい」

 

「難しいな……教官の苦労が少し分かる」

 

 

後頭部を掻きながら云々悩む彼。

人外の片鱗を見せてからの人間らしさが、妙に心を擽るようだ。

レレイは悪い気はしなかった。 そんな凄くて頼もしい人が友好的である事に。

だから、ちょっと揶揄うつもりで質問攻め。

僅かに口角をあげ、興味のままに揺れ動く。

 

 

「じゃあ、あの人達は仲間?」

 

「そう。 同じEDFだ」

 

「いーでぃえふって?」

 

「軍隊だ。 アースデフェンスフォースの略」

 

「あーす……でふぇんす?」

 

「地球防衛機構軍。 地球ってのは、俺たちが住んでいる星……世界の事。 その世界を守るのがEDFの役目なんだ」

 

「杖を持ってる。 みんな魔法使いなの?」

 

「そんな感じだ。 槍やハンマーの人もいる」

 

 

説明が難しいと悟ってか、一部は省略された。

レレイは好奇心旺盛で聡明だ。 実際のところ、EDFの杖は魔法を放つ為の物ではなく、大筒の説明のように火薬で弾を飛ばす装置なのだろうと当たりをつけた。

槍やハンマーとした、馴染みのある武器も使っているらしいが、それも思っている通りの物ではなく、複雑な技術で作られた兵器なのだろうと考える。

 

とはいえ、これ以上の質疑応答は時間がいる。

レレイはそこそこに、他の難民や師匠と今後を考えなければならなかった。

ドラゴンが倒れた以上、村に戻っても大丈夫だとは思う。 だけどドラゴンに襲撃されて酷い所は家屋が焼かれ、親を失った子供もいる。

親戚を頼ったり、無事な村、町に移住するのが現実的な手段だが、受け入れてくれる保証は無い。 寝床に食べ物、みんな自分の事で精一杯だ。

学問より優先するべきは己の生命、そして明日を生きる糧と未来。

歯痒さはある。 けれど模索しないと。

 

そんな時、話し声が聞こえてきた。

今後を話し合っていたのは、何も私達難民だけではない。 ストーム1の仲間もだった。

 

 

「伊丹中尉、どうされるおつもりですか?」

 

「黒川? えーと、何が?」

 

「難民の皆様です。 ドラゴンの襲撃で親を失った子供達もいます。 親戚や大人を頼ろうにも、彼らも自分の事で精一杯で受け入れる余裕はありません」

 

「アルヌスに連れ帰ろう。 現地民とは友好的にしろって言って俺を送り出した人達だ、駄目だとは言えないだろ」

 

「中尉ならそう仰ると思いました」

 

 

背の高い女の人がリーダーの人……イタミにニコリと笑うと、照れ臭そうな表情。

次には私達に向き直り、笑顔を向けた。

 

 

「大丈夫、何とかなるなる!」

 

 

そうして移動の準備が始まった。

馬のいない、鉄の馬車に皆が入っていく。

亜神ロゥリィも、エルフのテュカもだった。

 

これもどういう仕組みなんだろう。 気になる。

……イタミと懇意になりたそうな2人は特に。

 

 

「よし、全員乗車! アルヌスに帰還する!」

 

 

そうして私たちはストーム1たち、EDFのお世話になる事になった。

そこでは不思議な物品や兵器に装備品と、異世界の品々の宝庫だった。

 

師曰く、私の目はかつてなく輝いていたという。

 

……ちょっと恥ずかしいって、思った。

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