巻きで後片付け。
帝都は陥落した。
折り畳み式の大砲を背負った黒き巨人、アーマメントバルガが軽く歩いただけで城塞は破壊され、城をも踏み壊された。
象徴的存在である城を潰されて、その代わりに堂々聳えるは黒き巨人。
兵士は止めようとはした。 だがその表層は硬く、弓矢や剣、魔法も通用せず、ただただ、その歩みを見上げる他なかったのだ。
その巨人の後に続き、EDFの戦力が雪崩れ込んだ。 それもほんの一部だけ。
一部、といっても分母がデカ過ぎで、満身創痍の帝国軍からしたら大部隊の様相だった。
地球規模の軍隊であるEDFと、帝国軍の戦力比は、頭数だけでも全くと言っていいほど差があり過ぎた。
先陣を切ったのは都市迷彩を施した戦車隊、それも最新のバリアスTZ4-S。
その主砲140ミリ多目的高圧榴弾砲の火を噴けば、中世風の建物は跡形も無く粉々になり、榴弾による爆発、その加害範囲のままに、敵歩兵部隊は纏めて赤い霧になるばかりだった。
「鉄の馬車!? 馬もなく動いて……ぐああ!」
「上についてる棒が火を出したと思ったら、その先にあった建物が吹き飛んだ!?」
「大きな魔法の杖を載せて動く馬車なのか!」
随伴歩兵のレンジャー部隊は、量産型原子光線銃ブレイザーというSFな武器を標準装備。
放たられた熱線が甲冑に当たれば、一瞬で溶かし、人間の血肉を焼いていった。
「噂に聞いた光の槍!?」
「相手は全員魔法使いなのか!?」
「甲冑じゃ防げない!」
飛行ユニットを装着した女性のみの兵科、ウィングダイバーは、空からブラスターやプラズマ弾をばら撒き、市街地の地形を無視して攻撃、相手の地の利を潰し、残党狩りを終わらせる。
「女有翼種までいるのか!」
「コイツらも魔法を!?」
「空から一方的にやられる!」
強化外骨格パワードスケルトンを身に纏うフェンサーは、巨大なハンマーや大太刀を振り回して建物ごと敵を粉砕し尽くした。
「相手にも甲冑を着込んだ連中がいる!」
「凄い怪力だ! 巨大なハンマーや剣を振り回しているぞ!」
「道ごと兵士が吹き飛ばされる!」
「逃げろ! もう帝国は終わりだ!?」
城塞の外に逃げた兵士は、ストーム1により完膚なきまでに叩きのめさせて全てが終わった。
「外にはたった1人、死に土産に命を頂戴して、ぐはぁっ!?」
「なんだよアイツ、強過ぎる!?」
「バケモノだ!?」
「奴だ、あのイタリカにもいた死神だぁ!」
「俺たちは呪われてる、呪われてるんだぁ!」
そうして帝国は城も軍隊も失い、戦意を喪失。
その中においてもEDFは後続部隊を続々と投入、城を中心に帝都に展開。
降伏した者は拘束。 逃げる者は追わず。
「周囲を制圧!」
「本部より各隊へ。 生存者の捜索に移行、重鎮が生きていたら拘束、確保しろ。 ゾルザルはどうでも良い、話が通じる奴が優先だ」
やがて隊員達は城跡地となった瓦礫の山を掘り返し始めると城の生存者がいないか捜索。
ゾルザルの生死は問わない。 というより死んでくれた方が処遇が分かりやすくて良いまである。
自称帝国の最高指導者だとしても、ここまで相手の軍事力の差を理解せず平和交渉を拒否し続け、無理矢理かつ無意味な軍拡を続けて力押しすればイケると考えていた馬鹿だ。
それは間違っていると、EDFはご丁寧にも交渉と脅しで教えて、粘り強く我慢してきた。
その度にゾルザルはビビっていたが、落ち着くやプライドが傷付いたと激昂、家臣に中身スカスカの言葉で怒鳴り散らし、上手くいかないのは人の所為にし続け、EDFの停戦交渉どころか家臣の進言にも耳を貸さなかった。
最初からあるなら、穏健派の議員を適当な容疑をかけて投獄したりしなかったであろう。
「死体多数! ゾルザルの側近達です!」
「地中から本人と思わしき遺体確認!」
EDF側としては今後、ゾルザル派は切り捨て、救助した皇帝及び穏健派の議員、そして日本にいる皇女のピニャを正式な新皇帝に据えた、新政権と交渉するつもりだ。
「本部了解。 晒し首にする価値も無い、大陸全土にEDF側の勝利を告げるだけで良い」
「了解。 広報に手伝って貰います」
こうして戦争はあっけなく終わった。
圧倒的な科学力と軍事力で、中世な文明の、井の中の蛙な帝国の歴史は一旦終わりを告げる。
そして新たな新政権として帝国は息を吹き返し、総司令部仲介の下、地球側と平和条約をようやっと結ぶのであった……。
乱暴ながら。