地球に放置中だったピニャ達を回収へ。
ハーディと会話
ファルマート大陸の覇権国家、帝国の最高主導者改め、モルト皇帝が復権。
EDFは好戦派を圧倒的武力で帝都ごと黙らせると、残る講和派議員達により新政権樹立、正当政府を宣言。
これに伴い、ピニャを次期皇帝に据える事を予定。
その勢いのまま外交官との交渉の席が用意され、平和条約の話がトントン拍子に進んでいった。
同時にゲート封鎖の話も進行。
繋ぎっ放しだと両世界が崩壊するが、定期的な開閉をすれば交流は続けられるとして、前向きな交渉が行われた。
問題は、その為に必要な設備や技術だが。
ストーム1に憑依した神様……冥府の王ハーディのチカラと提案により、希有の才能溢れる魔法使いレレイと、世界の安定を図る仕事も担う亜神ロゥリィと相談の上、計画を練る事になる。
それで、肝心の本人達は未だ日本におり。
彼女達を回収する為、そして帝国との戦争が終わった事を告げる為、ストーム1はハーディを憑けたまま地球へと帰郷するのであった。
そして今。
「ふーん? ここが地球なのね?」
ハーディはストーム1の肉体越しに、地球観光。 冥府の王としての仕事があるので長居は出来ないが、ひと時の異世界を楽しんでいた。
最も宿主のストーム1としては、戦犯なハーディを快く思っていないから、楽しませる気は皆無である。
「黙れ邪神。 ゲートを潜った先、お前が初めて見たであろう地球の街……銀座では多くの犠牲が出た場所だ。 本当に何とも思わんのか」
「そんな事ないわ。 潜ったら摩天楼が沢山聳え並ぶ異質さには驚きよねー?」
慰霊碑や献花台、訪れる人々が今もいる中、その光景を見てもなお、ハーディはその件には触れない。
わざとなんだろうか、それとも副産物か何かだとして本当に興味が無いのだろうか、自分がやらかした結果の1つだというのに。
「ハーディが神様になるまで、或いはなった後、長い歳月の間にどんな苦労をしてきて精神性が変化して捻くれたか、元々そうだったのかは知らんがな、今その時々の瞬間を生きる側としてはたまったものじゃないんだよ。
それが異世界の停滞、その打破の為としても、それに付き合う理由はこっちにはなかった筈だ。
それとも何か、お前なりの生者への復讐か?」
「ぷぷー! 英雄さんはこの話を何度すれば気が済むのかしら? それともデートが下手なだけ? 繰り返し同じ話題を出したり、たわいない天気の話とかしちゃう感じ?」
ハーディ、質問には答えず舐めた態度のまま。
これが神様ではなく、普通に肉体を持つ人間ならば、美女であろうとぶん殴られる所業ではないか?
なにせ間接的に戦争を起こして大量殺人をしているし、なんなら2つの世界が終わるかも知れない歪みを生み出し、その後始末を人に丸投げ。
亜神が世界の安定の為に働いているのに、主上様が世界を終わらせる要因を作っているというのもチグハグに感じる。
だが、罰する事は叶わないのだろう。
なにせハーディは神様という人智を超えた上位存在であり、肉体を持たず触れられず、逆に向こうは一方的に干渉でき、好きに見た目を変えられ、異世界を繋ぐゲートを作れるチカラを持つ。
そして冥府の王であり、魂を管理、好きにできる。 事実、彼女は好みの魂を人形を並べる様にコレクションし、贔屓にしているロゥリィに見せびらかした事がある。
人によっては神様に気に入られたとして、名誉ある事だと言う者もいそうだが。
死生観的に、そうされた魂は死してなお報われないように思えてしまうのも、ハーディへの悪印象を強める要因になっている。
「少しタイムリープした程度では、アンタらの域には行けないのだろうな。
どんな優秀な兵士となろうと、問題にはならないという事か。
だがな、こうして話し合いは出来るし必要だ。 EDFと帝国が平和条約を結ぼうとしているように。 そしてプライマーが交渉事も何もせず絶滅戦争を仕掛けてきて、逆に滅んでしまった事例もある事を踏まえれば……こうした会話が無駄とは思えない」
ハーディは何も言わなかった。
疲れたか、飽きたか両方か。
「……ロゥリィが見たら、さぞ驚くでしょうね」
「伊丹やピニャ達が見ても、そうだろう」
それもまた、無駄な会話。
だけど抑揚のある、明るい話ではあった……。
後書き
リアル事情、心身に問題もある中…