やっと…やっと…20話にして、あのキャラを…
出すことができる!!!(歓喜)
それでは、どうぞ(ΘvΘノ)
side mayu
私がマルドゥークを撃退した翌日、ブラッドはラケル博士の部屋に召集された。部屋に入ってみると、ラケル博士とブラッドのみんなの他に、一人見慣れない少女がいた。
黒の紐で結ばれた銀髪のツインテール。人形のような美しい顔立ち。華美な服。そして、その服の小脇に銃の金属光沢がちらつかせていた。
少女は黒い腕輪のついた右腕を持ち上げ、軍人みたいに仰々しい敬礼を私達に向けながら、自己紹介をした。
「 本日付で極致化技術開発局所属となりました、シエル・アランソンと申します。ジュリウス隊長と同じく、児童養護施設マグノリア=コンパスにて、ラケル博士の薫胸を賜りました。基本戦闘術に特化した訓練を受けてまいりましたので今後は戦闘戦略の研究に勤しみたいと思います」
シエルの長々しい自己紹介の後、沈黙が空気を一瞬包みこむ。
「…以上です」
話し終わったシエルはそう言うと、助けを求めるようにラケル博士を見た。
「シエル、固くならなくていいのよ」
ラケル博士は微笑みながらシエルに優しく話しかけた後、私達の方に体を向けた。
「これでブラッドの候補生がみんな揃いましたね、ジュリウス」
そして、ジュリウス隊長に話をふった。
「これからブラッドは戦術面における連携を重視していく。その命令系統を一本化するために副隊長を任命する。ブラッドを取りまとめていく役割を担ってもらいたい」
ジュリウス隊長はブラッド全員を一旦、見回した。
(まぁ、ここは経験豊富なギルか、長年の付き合いのロミオさん当たりだろうな~)
私がそんな予想をしていた時、ジュリウス隊長の口を開いた。
「これまでの立ち回りと早くも《血の力》に目覚めたこと…真結…お前が適任と判断した…副隊長、やってくれるな?」
「はい…えっ?」
ジュリウス隊長にいきなり指名され、理解する前に先に返事をしてしまった。
「わー!副隊長ー!よろしくねー!」
「えっ?えっ?」
「まあ、順当だろ。ナナはあれだし、ロミオは頼りないしな…」
「えっ?えっ?えっ?」
(副隊長なんて…私に出来るわけ…)
「うるさいよ!!お前のほうがよっぽどありえないよ!!」
「前にも言ったが、お前は距離を開けすぎだ。そのくせ被弾率が高いってのはどういうことだ」
「イノシシバカに言われたくないね!!だいたい皆の射線の邪魔になってるのに気づいてないの?」
「みんなって誰だよ?」
「私じゃないよ~」
「うるさい!俺だよ!バ~カ!」
(私にまとめられるのかな…このチーム…)
不安しか生まれない私の気持ちを増幅されるかのようにギルとロミオさんの口喧嘩がデッドヒートを始めた。
ジュリウス隊長は横目でその様子を見て、ため息をつきながら私に話を続けた。
「…チームの連携に不安が残る現状だがお前ならきっとできるさ…シエル!副隊長とブラッドについてコンセンサスを重ねるように」
「了解です」
私の意見を取り上げず、まるでベルトコンベア式に決められいた作業のようにジュリウス隊長とシエルの会話が成されている。
「待ってください!それってつまり、私に丸投g…」
「じゃぁ、俺は任務が入っているから先に退出させてもらう…副隊長、頼んだぞ」
そして、ジュリウス隊長は私に言い分を最後まで聞かずにこの場を去った。
「副隊長」
息する間もなく、シエルから呼びかけられる。
「えーっと、何?」
「改めてよろしくお願いいたします」
「うん、よろしく…」
(もう、諦めよう…)
私が観念した様子に気に止めずにシエルは話し続けた。
「さっそく今後の方針を打ち合わせしたいのですが…」
そこまで言ってシエルは口喧嘩しているギルとロミオさん、それをなだめているナナをチラリと見る。
(そりゃ、あんなにうるさければ、気が散るよな~)
「それなら、この部屋を使うといいわ、一度解散しましょう」
シエルの様子を見て、ラケル博士が機転を利かせてくれた。
「いいんですか?」
私が尋ねると、ラケル博士はいつも通りに微笑んだ。
「ええ、ちょうど、お姉様とお茶を飲もうと思っていたところなのですよ、ほら、貴方達も、立ち話も疲れてくるでしょ?…一度、部屋から出ましょう?」
「うんうん、そうした方がいいよ!!それじゃ!副隊長、がんばってね!」
「あ、うん」
ナナはラケル博士の助け舟に賛同してギルとロミオさんの背中を無理やり押しながら部屋から退出していった。
今の状況をまとめると、ラケル博士の部屋にいるのは私とシエルだけである。
「副隊長、先に確認しておきたいことがあります」
「は、はい…」
「ブラッドとして作戦行動を行った回数はどのくらいでしょうか?」
「…か…あんまり…」
一瞬、「…かなり…」と見栄を張ろうと思ったが、これから行動する仲間にそんな物を張っても意味がないと思い、言葉を呑んだ。
「なるほど、つまりほとんど経験がないということですね…それでは、次回の任務以降、しばらくは戦術レベルでの連携訓練を行っていくべきですね」
「はい…」
(なんか…カタいな…この子…)
少し失礼な事を考えている間にも、シエルは話し続ける。
「副隊長の活躍はラケル博士から伺いました…早くも《血の力》に目覚め、めざましい戦果をあげたと…私も実戦経験では及びませんが、そのぶん戦術の知識でブラッドに貢献できればと考えています」
「うん…」
「ええと、こういうときは…えっと…」
「んっ?」
今まで饒舌に話していたシエルが急に歯切れが悪くなったので、私は不思議に思った。
「ああ…すみません、思い出しました…お互いの足りないところを補って高め合っていければ…と、思っています…ああ、おかしなことを言っていたらすみません、社交的な会話はどうも不慣れなもので…」
「いいよ、そんなこと、気にしなくても」
(意外と…かわいい一面もあるんだな…いや、外見もかわいいけど…)
「あっ、そうだ」
そう言ってシエルはポケットから携帯端末を取り出して、私に渡した。
「こちらが皆さんの戦闘データをもとに作成したトレーニングメニューです」
「…どれどれ…!?…」
そこに書かれていた内容に私は目を丸にした。
「1日24時間のうち、睡眠8時間、食事その他雑事2時間、任務に4時間として…残り10時間のうち、戦闘訓練に4時間、座学に6時間分配します…そして、こちらが各メンバーに合わせた訓練計画です…少し制度が甘いかもしれませんが十分小隊戦力の底上げになるかと…あと、こちらは次のミッションの詳細です…私なりに立ててみました…後で目を通しておいてください…では、失礼いたします…これから、よろしくお願いいたします、副隊長」
長いお経のような台詞を言い捨て、シエルは立ち去った。コツッ、コツッ、コツッと、シエルの靴音が床に反響する音さえ聞こえなくなった時、私は我に返った。
「私、本当にこの部隊の副隊長…やっていけるのかな…」
今日は私にとって、不安が募る一方で終わった一日であった。
side out…
ついにシエル登場!!!
いやぁ、私の中ではシエルはかなり…
というか、一番好感の持てるキャラクターです。
この作品でシエルの堅い部分がどのように和らいでいくのか…
書いている私も考えるだけで楽しいです。
感想、誤字脱字の報告、お待ちしております。
それでは、次回お会いしましょう