今回は歩羽サイドです。
それでは、どーぞ(o^-^)
side fuu
この忍者刀の切れ味を試すべく、私は敵を探していた。
すると、コンゴウがある方向に走っているのが見えた。
「コンゴウか、もっと強い相手で試したかったが…まぁ、いいか…」
私はそう言って気配を消すために、自身の息を殺しながらコンゴウの様子を観察する。
「あれは…ゴッドイーターか?」
コンゴウの向かう方向には、人影が3つ見えた。しばらくすると、どんどんとコンゴウが集まってきた。ゴッドイーター達に分が悪いだろう。
「…狩るか、狩られるか…喰うか、喰われるかの世界だからな…」
顔はイケメンだが、髪型がバナナみたいな奴が、四体のコンゴウを引きつけている。結構の実力を持っているみたいだが、他の二人は素人同然の動きだった。というか、どちらもゴッドイーターになりたての新人なのだろう。猫耳みたいな髪型の女の子は力と体力は有りそうだけど、無駄な動きが多すぎる。もう一人の方はコンゴウの影と重なっているせいではっきり姿は見えない。動きはぎこちなさは少し残るが、猫耳の奴よりは、無駄な動きはない。高いセンスを持っている。
(実践を積めば、きっと良いゴッドイーターになっただろうが、この状況下で生き残るのは流石に厳しいだろう)
私がそんな見解をしていた時、イケメンバナナ君がコンゴウの背中のパイプを結合崩壊させる。コンゴウはその場に倒れ込む。イケメンバナナ君がその瞬間を逃さずに追撃している間に他のコンゴウが体を回転させながらタックルしようとする。この攻撃を受けたら、あのイケメンバナナ君は他のコンゴウ達に集団リンチされるだろう。
(助ける義理はないから、集団リンチの様子でも眺めているかな~っと)
普通の人間はこんな事は思わないだろう。だが、私の感情というものは妹と別れたあの日からねじれ始めた。
あの日、初めてアラガミを殺した。
あの日、初めて人も殺した。
あの日、初めてアラガミを食べた。
あの日、初めて何かを殺す事と何かを喰らうことに興奮を覚えた。
あの日、妹と離れて事でできた埋めきれない悲しみを殺戮と食事だけが埋めてくれた。
(…真結…)
妹の名前を頭の中で呼ぶ。私がボーッと戦況を眺めていると、予想していた集団リンチとは違う状況になった。
「お願い!!…当たって!!」
私がセンスがあると賞賛した新人がなんとか、イケメンバナナ君の危機に気づき、神機を剣から銃に変形させ遠距離から見事に回転しているコンゴウの頭に当て、イケメンバナナ君の危機を回避させる。
私はその新人の声を聞き、既視感を感じた。そして、私は気づかない中に呟いていた。
「…あの子の声、どこかで聞いたことのある声のような…何か懐かしいような…」
その既視感の正体は次のイケメンバナナ君の台詞で判明する。
「助かった…真結…」
「…えっ…」
…今、あのイケメンバナナ君は何と言ったか…
「…真結…なの…?」
確かに九年前の真結の面影がある気がする。そして、あの声は紛れもなく九年前に聞いた妹の声と似ているものだ。
私が少し動揺している時、真結はスタミナ切れを起こしたのか、膝を地についた。その瞬間を見計らったかのように、さっきまであの猫耳を追っていたコンゴウが真結の後ろに回り込む。そして、両手を組み、真結に対してそれを振り下ろそうといていた。
「っ!!…真結!!上だ!」
イケメンバナナ君が言葉を発した同時刻に私の足は既に動き出していた。
(真結に…手を出すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
私は数十メートルあった間合いを一歩でうめ、コンゴウの両腕を忍者刀で切り裂く。コンゴウは自分に起きた状況を把握した時、咆哮を上げた。五月蝿い咆哮の中、私は口調は冷静ながらに、頭の中は怒りで満ちていた。
「…お前達は私の怒りを買う行動をした…万死に値する…私の真結に手を出そうとしたことを後悔しろ…」
私は古書で見た忍者の動きに習い、無駄な動きを全てなくしながらに、反撃を許すことがないようにコンゴウの両腕両足を切り落とす。コンゴウ達の悲鳴が共鳴しあい、さらに五月蝿く感じる。
(五月蝿い…さっさと死ね…)
そう思って、私はコンゴウのコアを一体一体から取り除く。全てのコンゴウからコアを取り除くと悲鳴を止み、静寂がコンゴウの死体を包み込んだ。それを邪魔するかのように横槍が入る。
「危ないところを助けていただき、ありがとうございます」
(イケメンバナナ君を助けたんじゃねーよ!!)
私は面倒ながらに返答する。
「…誰がお前を助けるためと言った…」
「…えっ…」
イケメンバナナ君から声が漏れる。
「私は愛しの“妹”を助けるために動いただけ…イケメンバナナ君と猫耳ちゃんを助けたつもりはない」
「イケメンバナナ君…だと?」
「猫耳ちゃん?」
どうやら、私の素晴らしいネーミングセンスに納得していないようだ。
「っ!!…それよりもお前は!!…ナナ、真結!!逃げるぞ!!」
(これが助けていただいた人に対する態度なの?…私がお灸を据えてあげようか…)
たかが、ゴッドイーターごときが私から逃げるなんてことが出来るはずがない。私は先回りして、イケメンバナナ君の足を払い落とす。
「遅い」
「がはぁっ!!」
すると、真結が私に対して視線を送っているのに気がついた。
(イケメンバナナ君に構っている暇はないな…)
「…もう、いいかしら?…私は妹と話したいの?…」
「ぐっ…真結!!…ナナも逃げろ!?…」
「耳障りだなぁ…とりあえずイケメンバナナ君は気絶してて…」
「…何を…ぐはっ!?」
私はイケメンバナナ君の溝内を思ってきり、殴った。別にあばら骨も臓器も壊していないから命の危険はないだろう。
「ジュリウス隊長!?」
猫耳ちゃんがおろおろと、イケメンバナナ君に駆け寄る。
「猫耳ちゃんも、黙らないとイケメンバナナ君みたいな目にあっちゃうから、気をつけてね☆」
「ひぃぃぃ!?はい!?分かりました!!」
うん。良い返事だ。睨みながら言ったから、かなり効いただろう。
「歩羽…お姉ちゃん…なの?」
後ろから真結が私に近づいてきた。
「ええ…私よ…真結…」
私は短い言葉で返答する。
「歩羽お姉ちゃん!!」
すると、真結は私に抱きついてきた。真結の体温が私の冷たい体に伝わる。
「よしよし…いい子いい子…」
私はそう言って真結の頭を撫でる。姉という生き物は妹を愛でるものだ。これは、私が人ならざる存在になっても変えられない人らしい感情だ。
「歩羽お姉ちゃんの体…冷えているけど暖かい…」
(…そりゃ、そうか…私、一日中外で暮らしていれば、体温も下がるか…)
「ごめんね…お風呂には一様入ってはいるんだけど、一日中、外で生
活しているから体が冷えているのは仕方ないの」
私は真結から離れようとするが、真結が抱きつく力が自然と強くなっていることに気づき、離れることを辞める。
「いいんだよ…そんな、些細なこと、私は気にしてないよ…歩羽お姉ちゃんに会えただけで嬉しい…」
「…真結…」
「…歩羽お姉ちゃん…」
私達は互いに名を呼び合っていると、缶バッチを服やニット帽につけているいかにもミーハーな少年が現れた。
「みんな!!大丈夫か!?…ってえっと…どうなってんの…これ?」
「こんにちは…缶バッチミーハー君…妹がお世話になっています…」
私は、わざとらしく言って、お辞儀をした。さっきまでなら、イケメンバナナ君の時みたいな対応をとっていたが、妹の抱擁というご褒美を貰った私の機嫌がかなりいいため、さらにおちゃらけてみた。
「これはご丁寧に…じゃなくて!?なんで不名誉なあだ名付けられるの!?…最早芸名にしか聞こえねぇよ!?」
(意外とノリツッコミ上手いな…)
「うん、そこそこ面白い反応だね…君、もしかしたらツッコミの才能
があるかもしれないね!!」
「いやぁ~それほどでも…じゃなくて!?あんた誰だよ!?」
「神奈 歩羽です」
「えっ?」
缶バッチミーハー君から間抜けな声が聞こえる。
「フェンリルから接触禁忌種に指定されている《血まみれの魔女(ブラッディ・ウィッチ)》です」
悪い意味で有名な私の名前くらいなら誰でも知っているだろうと思い、私は丁寧に名乗った。
「なんでここに!?」
(いい反応するな…この缶バッチミーハー君は…)
「妹のピンチに駆けつけるのは姉の役目…って言いたいけど残念ながら偶然よ、偶然…妹レイダーみたいなのがほしいなぁ(ボソリ)」
(こんな時のために、発信機でも作っておけば良かった!!)
私は切に後悔した。
「なっ…とりあえずフライヤに連絡を…えっ…無線が使えない!?」
「えっ…嘘!?…何で…?」
缶バッチミーハー君と真結が無線を取り出して何やらいろいろいじっているが、私は原因に心当たりがあった。
「ごめん、真結…それ、私のせい…」
「えっ…」
「私の体から出る感応波が電波を妨害しているの、ちょっと待っててね…今、しまうから…」
ここ数ヶ月前、私の体から感応波が発生していることに気づいた。発生原因は不明。ただ分かっていることは、この感応波は電波を妨害する力があること、そして、私が意識すれば感応波の発生を押さえることができるということだ。
無線が繋がり、真結は現在の状況を軽く説明した後、無線をポケットに戻した。
「真結…帰っちゃうの?」
私が悲しそうに呟くと、真結は私に手を差し伸べた。
「歩羽お姉ちゃんも帰ろう!!」
(掴みたい。その手を取りたい)
それは長年思い続けた妹の手…
(…だけど…)
私はその手を掴まずに、下ろさせた。
「ごめん…真結…この手は今は受け取れない」
「なんで!?」
真結は私に聞き返した。
「…真結…私は、アラガミと同じ…真結と一緒にいたいけど、フェンリルには私は関わりたくないの…だから、ごめん…」
フェンリルと関わりたくないのは、本当だが他にも理由がある。それは、真結には言えない。言えなかった。
「…歩羽お姉ちゃん…」
「またね…真結…」
私は別れを告げる。
「お姉ちゃん!?」
私は勢いよく近くの崖を駆け上がり、おそらく追跡されないだろう位置まで走った。
「…真結…成長したな…」
髪は昔と変わらずショートだが、幼かった顔立ちがあそこまで凛々しい顔立ち変化していた。胸も年頃の女の子ぐらいだろう。
そして、私は真結と別れる時を思い出し、感傷に浸る。
「…真結の手…取りたかった…けど、私はもう…んっ?」
その呟きもつかの間であった。私がいろいろと考えている間に周りにザイゴートがフヨフヨと浮遊している。
「邪魔だ」
忍者刀で一線を描くとザイゴートの体は見事に半分に引き裂かれる。私は忍者刀に付着したザイゴートの血をペロリと舐める。
「私が遊んであげているんだから、もっと喜べよ…この化け物…まぁ、私も化け物だけどさ!!」
そう言って、私はザイゴートの女体の胸部を腕で貫く。胸の柔らかい感触の後にゴツゴツとした骨に手が当たる。
「こっちがハズレなら、目玉にコアがあるのか?」
次に私はザイゴートの大きな目玉に腕を突っ込む。
「ビンゴ」
目玉からコアが見つかり、それを肉から引き千切る。
「…楽しいなぁ♪…殺すのは♪」
私は笑いながら腕に付着した血を舐める。これは、真結が知らない私。隠したい汚い私だ。
「本当に止められない…けど、アラガミの血肉は大味すぎるんだよな…」
これは、私の一つの本音…人ならざる私の本能と言っても良い。
「…人の血肉を喰らいたい…」
その一言を呟いた後、私は我に返る。
「…何…言ってんだ…私は…」
九年前以降、私は人は一人も殺していない。殺すのはアラガミだけだ。殺して喰らえば私の欲求は満たされる。今までそうだった。だが、ここ最近、殺して喰らっても満たされない。そして考えつく答えはいつも“人を殺して喰らいたい”という欲求だった。こんな状態の私を最愛の妹の側に居させたくはなかった。
「…真結…私はあなたの側にいたいよ…けど、私は真結の知っているお姉ちゃんじゃ…無いんだよ…」
しばらくして、雨が降り注いだ。
赤い雨。
真っ赤な雫は私の体を無常に打ちつけるのであった。
side out…
どうでしたか?
歩羽サイドは不確定要素を残すような書き方を意識しているせいもあって、書くのに苦労しました(^0^;)
次回ほもちろん真結サイドから♪もしかしたら歩羽サイドがあるかもしれないし、ないかもしれないww←どっちだよ!!
それでは次回お会いしましょう。