TS愛され悪役トリックスターになって背後から胸を貫いてみんなを驚かせるやつやりつつ鬱原作をハピエンにしたい! 作:覚絵テネ
ラセツ
世界がやばい時だけ剣を抜くタイプの剣聖系魔法少女。
アル中で躁鬱で最強。
バースト
なんかわるーいことしてる人。
地位と権力と実力と歴史と腕力があるので誰も咎められない。
セラフィナ
かわいそうな魔法少女。妹がいるらしい。
物銃 火氷電風念核祝禍
反反 無無無無無無無無
魔法省の地下深く、魔人を閉じ込める監獄がある。
その最奥には透明な檻があった。中には魔人ではなく魔法少女が四肢を縛られ、天井から吊るされていた。妹への愛と優秀さで知られ、魔人との戦闘で命の危機に瀕し、今も入院しているはずの少女__セラフィナ。その体には無数の点滴が繋がれ、極彩色の蜘蛛の巣に囚われた蝶のようだった。
檻の周囲では白衣の者たちが、耐久性がどうとか、激しい議論を交わしている。そのうち合意が取れたのか、一つの点滴の栓が開けられ、真っ黒な液体がセラフィナの首筋に入っていく。
「やめて……やめて……!それはだめ、終わる、終わっちゃうから!」
「本名が星願七夕ちゃん、でしたでしょうかー。怖いのですー?わかりますー。」
そんな様子を首を傾げ、自分の四肢に入ったキリトリセンをなぞりながら見つめる少女。
『長官』バースト。魔法省の最高権力者。
「まあもうとっくに手遅れ。どれほど我々があなたを
無慈悲にも液体の中身が注ぎ込まれる。
すると少女の体が激しく痙攣し/羽が生え/牙が生え/骸骨のように引き締まり/全ての変化が消えたと思ったら/能のようなトーンで唄いだし/口の中からダレカが覗いていて/全身の関節が異様な角度に曲がり/獣のように吠え出して/全身が鬼のように赤くなり/肢体のバランスが崩れ。
最後は黒いモヤを吹き出し、それに包まれた状態で安定する。
「うんうん、第一段階突破でして。」
その様子を見て、まだ新入りの白衣が当然の疑問を漏らした。
「あ…あの……これは一体何をやっているんですか?少なくとも、人道的なものではないことは……」
「おい馬鹿。俺達は研究者だが、知るべきでないことも……」
「気になるのでしてー?」
老練の白衣が焦って止めるが、バーストは上機嫌に、子供を諭すように笑った。
「今ここで行なっている実験は人道的で安全無害飲んでも大丈夫自然に配慮した肌にも優しい遺伝子非組み替えの素材を使用しています、と言っておけば安心するのでしょうかー?
バーストの声は穏やかで、しかしそれが良い結果に繋がるとも限らない。この少女は今と変わらない穏やかな声色で、同胞のはずの魔法少女の心を引き裂いているのだから。新入りの白衣は自分の愚かさを悟ったのか、顔を青ざめさせ、言葉を失う。
「なーんて!案ずることはありませぬー。ただ、あなたたちはただの歯車。迷うことも逃げることも壊れることも認めない。そこは踏まえてくださいまし?」
バーストの言葉に新入りはコクコクとうなづいた。聡明な彼女は、二つ悟った。
一つは、自分は許されたことで
そしてもう一つは、逆らっても無駄だということ。こんな超越者に抗うのは不可能だ。
彼女は心を閉ざし、環境に適応する準備を始める。
「ふふふ、さすが利口な部品さんなのでしてー。目標だけ教えてあげましょ......」
バーストが白衣たちに向かって大きく手を広げた直後だった。
セラフィナの纏う靄が爆ぜ、四肢の拘束を破壊した。
黒い靄は甲冑のように全身を纏い、魔法少女から、騎士と言うべき姿に変貌していく。
「な、なんですこれは……。変身いや、明らかに別枠...っ?」
新人は理解が追いつかなかった。
魔法少女が感情の変化によって、パワーアップする場合はある。憎悪に堕ちたものが黒く禍々しい姿になる『闇堕ち』も。それにしたって、外装はドレスになるはずだ。これはなんだ。鎧から捻じ曲がったツノが生え、鱗のようなものが鎧の隙間を覆い、兜は巨大な牙を持つ爬虫類のように。
悪魔?魔獣?少なくとも、魔法少女という枠に当てはまるものではない。そもそも、この世界線にあるべきものですらない。今のセラフィナはまるで竜騎士のようだ。
『HAAAAAAA!』
セラフィナは人間とは思えない叫び声と共にバーストに襲いかかり、剛腕を鳩尾にめり込ませた。
バーストは回転しながら吹っ飛び壁にめり込み、監獄全体が大きく揺れる。
「あらあらー。」
バーストが左手をかざすと、熱線が竜騎士と化したセラフィナを襲う。が、その外殻に受け止められ、防御の必要すらないようだ。
むしろ、余波で研究所の壁が溶解し、揺れが激しくなる。
「うわああっ!?全然効いてないですよっ!?」
「落ち着いて観察しろ。恐化現象はこれから何度も見ることになるからな。」
「いやでも……瓦礫とか崩れてきますよ?!バースト様もやられたし……逃げないと……」
焦っているのは新人の白衣だけだった。
老練の白衣は落ち着いてスケッチ。竜騎士の特徴――常に開いた口、体に刻まれた紋章――をバインダーに記録。
『オマエ…オマエダケハ!』
バーストは壁に埋まりながらも、ぱち、ぱちと拍手。
「いい一撃ですー。あらあら、相当恨まれているようでしてー?」
『イモウトニハテヲダサセナイ!』
バーストが生きているのを悟ったセラフィナは吠えた。すると、纏った黒光が姿を変え、大剣を形作る。新人白衣にもわかる。アレは、この世に存在しない物質。死という概念に極めて近いもの。Sレートのバーストでも、いや例えこの世の何だろうとアレを喰らえば死ぬだろう。受け止めるなんてとんでもない。
バーストは何故笑っているのだろう?死ぬのが確定しておかしくなったのだろうか。まあ、あの人が死ねばこの世から悪人が一人消える。
白衣の頭上に、崩れた瓦礫が降り注ごうとするが、逃げる気なんて起きなかった。あの大剣が振り抜かれれば、その風圧だけでこの場の人間は皆殺しになる。
走馬灯、というやつだろうか。死ぬ瞬間がスローに感じる。
「心配は要らないよー。おじさんがいる場所が世界で一番安全な場所だ。」
突然現れたように紫電が、白衣たちに落ちる瓦礫をなぞるように砕いていった。
紫電はそのままバーストの前に立ち塞がり、竜騎士の大剣を受け止める。
衝突と同時に砂煙が舞う。地面がひび割れる。
『HAAAAAAAAAAA!!!』
「.....っと。お酒補充しに行った間に大変なことになってるじゃーん。おじさんびっくりー。」
紫電は少女――片手片足を失い、180円の空き酒缶を持つ、最強の魔法少女、ラセツ。片足で床を踏み締め、片腕で0.3mmのアルミニウムを握り...それで何故か、死の大剣の一撃を受け止め、競り合っている。
『HAAAAAA......!』
竜騎士は大剣に力を込めるが、びくともしない。片足だが、その体幹は大木よりもがっしりと崩せない。
「殺さないでくださいましー。血税でやっているのですからー。」
「だから剣は抜いてないよお?」
ラセツは背負った剣にコツンと後頭部を当てる。
二人ともに余裕の笑みだった。手痛い一撃を受けたはずのバーストも、傷一つ、いや汚れ一つついていない。
『HAA!』
竜騎士は即座に逃げを選び、階段に向かって飛んだが。
「推定レートはSってとこかな?大人しくしてねー。ひどいこと.....するけどゆるしてねっ!」
それに倍する速度でラセツが飛び、缶で頭を殴りつける。……その直前、セラフィナが微かに口角を上げた。かかったな、と残忍に笑う。
彼女の新しい固有魔法は
ラセツほどの強者がまともに反撃を喰らえば.....
「っと。」
『GAっ!?』
セラフィナの反射は発動せず、何故か普通に殴り飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「ラセツさまー?あの子は物理攻撃を反射、それ以外の攻撃は無効化する固有能力でしてー。」
「ええ?先に言ってよ?反射した衝撃を
セラフィナはもう一度ラセツに襲いかかるが、再び地面に叩きつけられる。
「申し訳ありません♡でも、ラセツ様ならなんとかしてくださいますよね?」
「まあね。この子の反射、あれだね。1秒間に返せる回数に限界がある。今100回ほどで反射速度が落ち始めて、256回目で完全に反射が発動しなくなった。昔のゲームみたいだねえ。まああれだ。ネタが割れたことだしさっさと終わらせようか。」
セラフィナはようやく、逃げなければならないことを悟った。
反転して出口を求め走り出す。.....が、それに倍する速度でラセツが跳躍し、その足首をガッチリと掴む。
「ごめんね、おじさん弱いものいじめは得意なんだよね。まあ、おじさんが世界で一番強いんだけど。」
セラフィナはその日初めて、本当の暴力と言うものを知った。変な実験に巻き込まれ、数え切れない代償の果てに望まぬ強さを得ても。自分が実験動物にすぎないことを悟った。
白衣たちが慣れた手つきでセラフィナを繋ぎ直していく。
バーストがてずから持ってきた車椅子にラセツはどっかりと腰を下ろした。
「死んでないとは思うけど。うん、S上位くらいはあったかもー。」
「能力もいいですね、ガンゴーグを思い出しますー。惜しくない人を亡くしました。」
「思い出さなくていいよあんなバカ。恨みを買いすぎて誰に殺されたのか見当もつかない。」
規格外の化け物を殴り倒しておいて平然と二人は何気なく談笑する。
バーストはラセツの肩に寄りかかりながら、きゃっきゃと、心の底からおもしろそうに笑った。
バースト様ってあんなふうに笑うんだ、と新人白衣はぼそっと呟いた。
「ああそうです、目標を教える、そう言うご褒美でしたかー。ラセツ様のような勇者がたくさんいたら心づよいでしょう?だから、作るのでしてー。」
バーストは闇の中に指を指す。その先には、無数の透明な檻に繋がれた魔法少女が囚われている。
「ただし光とは程遠い。血塗れも血塗れ、ニーベルンゲンの勇者でしょうか。」
side:フェイカー
会社とかでさ、査定とか給与計算って大体社長とかの仕事じゃね?
あれちょっと勿体ないと思うんだよね。社長ってことは何かしらのスペシャリストとして一角の人物であるわけで、専門をもっと活かしてもらったほうがいい気がするんだよね。いや、スペシャリストの側面もある人が社長やらないと色々とめんどいんだろうけどさぁ。
つまり何が言いたいかっていうと、仕事が終わった。1轍して時間はあさ9時。
デスクから全ての書類が消えた時、俺は心の中でガッツポーズをした。
「雑事は二度とやりたくないね……。」
「フフフ、お疲れ様でした……」
ルーネがクマのある目で、デスクに肩肘を置いて頭を撫でてくる。あらゆる意味で近いが、俺も脳の疲労が限界だ。されるがままにしていると、
「……では私も。」
アスターも手を伸ばしてくる。一応上司というか主なんだけど。みんな疲労で距離感がVRchatになってるな。でも撫でられるのはいい。幸福感が湧いてくる〜。
でも、やられっぱなしはなんかアレだな。
「えい。」
二人の頭に手を伸ばす。
わしゃわしゃわしゃー。
あ、二人とも予想外だったのか顔を赤くして俯いた。撫でるやつはさあ、撫でられる覚悟が必要なんだよね。
……ともあれ、元気は充填できた。
「2人とも、寝る気分じゃあないよね?」
「そうですね。このまま寝たら生活リズムが乱れそうです。」「ハァイ」
朝日の差し込む窓を開け、そこからひらりと翔んで屋上へ。
あ、俺たちは吸血鬼だけど日光に当たっても死にはしない。原作アスターも普通に日の下歩いてたから日光に当たっても死なない吸血鬼ってなんだよって?知らん。
屋上には白磁器のプランターと、そのうえで可憐に揺れる青い花々がある。桜と同じで、一斉に散る性質だ。
アスターとルーネが屋上の扉を開けたのと同時だった。
風が吹いて、直後花びらが一斉に散る。
青い花吹雪が天へ昇る中、俺は笑った。次の悪だくみのために。
「退屈凌ぎだ。セカイを壊すよ。」
今回から登場人物紹介を冒頭につけてみました
わたしは記憶力が死んでるので「あれ、これ誰だっけ」ってなりながら読んでることが稀に良くあるっぽいそうなのです
読む時
-
PC
-
スマホ
-
どっちも
-
ハーメルンで読んだことがない