TS愛され悪役トリックスターになって背後から胸を貫いてみんなを驚かせるやつやりつつ鬱原作をハピエンにしたい! 作:覚絵テネ
2、3回プライベートで遊びに行くと友達認定する
チェリーブロッサム
会話したことがあると友達認定する
フェイカー
友達がいない
スカーレットって地の文で一々書くとちょっとまだるっこしい感じがするので基本スーに統一します
あと前話の最後にちょっと加筆したので見てくれるとね、嬉しいですね…
side:今
「ここがチェリーの家か……」
チェリーはスカーレットと共に魔法省を出たあと、電車で1時間ほど揺られて自宅に移動した。何の変哲もない2階建てだ。周囲にはぽつぽつと田んぼや畑があり、鈴虫の鳴く声が聞こえる。塀にはキジトラの猫があくびをしていた。
夕焼けに照らされながら秋の風を受けていると、スーはなんだかノスタルジックになってしまう。
(閑静な住宅街、という感じだね。チェリーのように健やかな子が生まれたのが分かる気がする。)
「入って入ってー!片付けてきたよー!」
「ああ、ありがとう。」
スカーレットはこれからする話に憂鬱な気分だったが、一方で少し浮き立つ気持ちもあった。
(中はどうなっているんだろう?友達の家に入るなんて初めてだ……ピンクのクッションがところ狭しと置かれていて、これぞ女の子の部屋、みたいな感じなんだろうか……っ?)
「…って、え?」
チェリーの家には、ところ狭しと黒黒とした武器が立てかけてあった。AK47、グレネードランチャー……そして見たこともないような軍用装備の数々。
(模型だと思いたい。いや、模型であってくれ。)
「ええと……もしかして、私たちは家を間違えたのかな?」
「え!?そんなことないよ、ここは私の家だよ!?……あ、スーちゃん、もしかしてこの
「き、嫌いというか……」
スーの中ではどうしても、全身から『無害です』オーラを出しているふわふわ癒し系チェリーと、無骨な武器たちが結びつかない。
チェリーが普段扱っているのも、キューピッドが使っていそうな可憐な弓だし。それがこんな物騒なものと同居しているなんて。
「やっぱり、可愛くないのかなぁ……。昔から、変だ変だって言われて……」
チェリーの声が小さくなる。その瞳に寂しさが宿るのを見て、スーは慌てて言葉を絞り出した。
「スーちゃんなら違うかもって思ったんだけど……。」
「い、いや、うん……かわいい……かわいいと思うよ、うん。」
スーは心を落ち着けながら、チェリーに連れられて玄関を上がる。
「私の部屋へ……いや、えーと、スーちゃんはどっちがいいかな?」
「ん?そうだね、見られたくないものもあるだろうし居間でいいよ。」
友達の部屋というやつに上がってみたい気持ちはあるけど……、とスーは内心で呟いた。
ジュースを取りに行ったチェリーがこっそりガックリと肩を落としているのには気づかない。
居間、と言ってもあれだ。『ヒトラー最後の12日間』みたいな。薄暗い、窓すらない空間。
しかし、『牛乳、レンコン、オクラ』などと買い物のメモがあったり、映画のポスターが貼ってあったりと生活感も漂っている。
「スーちゃんはコーラでいいかな?」
「ああ。……ところで、今思い出したんだが、チェリーのご両親は居ないのかい?」
「……ああ、あの二人……出張に行ってるだけだから気にしなくていいよ!」
「そうかい。」
「で、スーちゃん何する!?ジオラマ作る!?キスカ島上陸作戦を再現できるよ!」
「え、ええと...」
コーラを流し込むと、腹から、くう、という音が鳴った。スーが顔を真っ赤に染める。
そういえば、今日は昼を食べていなかった。報告書の作成とか色々あったのだ。
「あ、もうそんな時間かな。何か作るよ!」
「おや、手料理というやつか。楽しみだ……」
「私オリジナル・オクラとレンコンのグレーンベレーカレー。実際の缶詰を再現した牛肉とニンジンのシチュー。どっちがいいかな?」
「そこまで軍隊仕様なのか…」
スーは諦めてカレーを選んだ。
見た目は真緑で、手をつけるのに少々勇気が必要だったが。
「意外と美味しかった……」
グレーンカレーの体に良さそうなネバトロさと、辛さのバランスが丁度よかった。
「えへへ、やったぜー!」
「器ではなく缶詰に盛る必要があったのかな?」
「必要でしょ!」
「そうかい……。」
スーは苦笑しながらも、心が温まるのを感じていた。
こんな風に、誰かと食卓を囲むのは久しぶりだった。
今なら言えそうだ。
「単刀直入に言う。……チェリー、魔法少女を辞めないか?」
「………へ?」
「正確には、魔法省から逃げよう、という提案だ。」
沈黙。
チェリーは何を言われたのか分からない様子で、残ったカレーをすくう。
「……スーちゃんのことだから、本気で、わたしのことも考えて言ってくれてるんだよね…?」
「……身に染みる信頼だよ。本当に。」
スーは胸が締め付けられるのを感じた。こんな自分を信じてくれる人がいる。
「分かった!じゃあ辞めよう、うん!」
チェリーはあっけからんとした笑顔で頷いた。
「すぐには受け止められないだろうね……ん?」
「逃げるんなら急いだ方が良いのかな?レーションならあるけどそれ以外が...あ、長期戦を考えるならMREの方が...」
「え、いや……待って、待つんだチェリー。」
スーは手を差し出して制止した。
「そんなに軽率に判断しちゃいけない。」
「わ、わたし軽率かな?スーちゃんが言うならそれは正しいと思うんだけど……。」
スーは何か、すっきりしないものを感じた。
もっと強い説得が必要だと思っていた。場合によっては強引にでも連れて行くつもりだった。
それが、あまりにもあっさりと頷かれて。まるで最初からそのつもりだったかのように。
「いや、その……判断する前にまず話を聞いてくれ。」
「う、うん。」
チェリーは姿勢を正す。
「まず、チェリーに私の家族のことは話していないね?私の親は魔法省『長官』のバーストだ」
「あ、あの……怖い人だね。ガンゴーグを倒した後に一回だけ会った。」
「怖い人……そうか、そうだね。」
バーストに初めて会う人は大抵、感激した様子で彼女がいかに素晴らしい人間だったのか語る。
カリスマ、魔性、そういう魅力の持ち主なのだ。チェリーはそれを跳ね除けたようだが。
「……うん?親?あの人、同い年くらいじゃないの?」
「魔法少女は覚醒した瞬間から年齢が固定される。あの人に関する正確な記録は存在しないが……少なくとも、100年前には活動していたことは確かだ。」
「ひゃっく……!?」
「そして、彼女はその間に莫大な数の養子を持っている。私たちの世代で、14人。魔法少女の素養のある、恵まれない家庭に生まれた子を養育しているとされているが………ここからが本題だ。」
スーは一呼吸置いた。
「固有能力を持ったあの人の子は、例外なく消えているんだ。」
「……へ?失踪?」
「敗北、失踪、行方不明。呼び方は何でもいいけどね。私は、バーストがそれに関わっていると見ているんだ。」
スーはふと後ろを振り向く。
もちろん、誰もいないのは分かっている。それでもこの事実を口にするのは悍ましい。
「……それだけじゃない。バーストの養子の割合が多いだけで、希少な固有能力を持った魔法少女が消えた事件を、私は何度も見てきた。……誰も、不思議と話題にしないがね。ああ、失踪だけじゃない。バーストは恐らく魔人とも繋がって」
「......ううん、ちょっと待ってね?情報が多いかも。」
チェリーが両手で頭を抱える。
「それに、魔法省の長官が、実は悪い人?考えすぎなんじゃないかって思っちゃう。」
スーは歯噛みした。
(......確かに、政府の高官でもあるバーストが魔人と繋がっているなんて、陰謀論じみている。証拠もない。ただの推測と、消えていく子たちを見ていただけ。真実を話したが、かえってチェリーに悪印象を抱かせてしまったかもしれない。ここは下手に説明せず、さっさと逃げるべきだったか......)
スーは昔から、優等生っぽく振る舞うのが得意だった。
周りの大人が自分にどんな言葉を求めているのか、大体理解できた。他の姉妹ほど強くなくても、それ以外は完璧だと褒められた。
けど、それは本当のスカーレットという少女じゃない。
(チェリーなら、本音の私でも受け入れてくれると思ったのに...)
「何が事実かはわからないけど.....何が正しいのかはわかるよ。スーちゃんなら、絶対に私を騙すようなことはしない。そう信じてる。」
チェリーの声が、スーの思考を遮った。
「えっ?」
「初めて出会った時のこと、覚えてる?」
「.....忘れるはずはないさ。」
side:数ヶ月前
「大丈夫でして、スカーレット。そんなに頑張らなくともー。あなたがいなくともわたくしの『計画』は回りますからー。」
小さい頃、バーストにそう言われたのが小さなトラウマだった。
優秀な姉たちとはよく「内緒のおしゃべり」をしているのに。
自分だけが輪から外されている気がする。
それが嫌で、スーはバーストの言葉に逆らうように魔法少女として励んでいた。が、Cランクで伸び悩んでいた。お世辞にも優秀とは言えないランクだ。
加えて近頃は、イマイチ活動にも熱が入らなかった。何のために戦っているのか、よく分からなくなっていた。
魔法省の廊下。スーは他の魔法少女に詰められていた。
「また訓練サボったの?スカーレット。」
「...いえ、サボったわけでは......」
.....嘘だった。
みんなが訓練をしている裏で、スーは自室で蹲っていた。
優秀な姉たちが行方不明になったり、死んでいたりするのに、自分だけはのうのうと生きている。元からある劣等感と相まって、スーはこの頃頭痛と吐き気が止まらなくなっていた。
毎朝ベッドから起き上がるのが苦痛だった。
「あなた、このままじゃバーストさんの期待に応えられないわよ?優秀なお姉さんたちの名に傷をつけるつもり?」
周囲の大人たちの言葉は、いつも正論で、いつもスーを追い詰めた。
スーは申し訳ない、と謝ることしかできなかった。自分の心身が異常を来しているのは分かっていた。でも、魔法少女、護国を託された身。それを言い訳にするのは甘えだと思っていた。
「あの、ちょっといいですかっ...?」
そこに現れたのがチェリーだった。
新人の魔法少女で、スーよりずっと後に入ってきた子だ。
「スカーレットさん、さっき私を医務室まで送ってくれたんです。」
「え......。」
スーは戸惑った。そんなことをした覚えはない。
「わたし、体調戻ってきたので、お礼を言わないといけないって思って!あ、そうだ!スカーレットさん、忘れ物をしていたらしいですよ!取りに来てくださいって、お医者さんが!」
チェリーはにこにこ笑いながら、スーの腕を掴んだ。
「来てください、スカーレットさん!」
「えっ...」
「あっ、おい!......次からは報告をしてくれ!」
周囲の制止を振り切り、二人は夕焼けの廊下をかけていく。
スーは現実に心が追いつかなかった。
「お、おい君......わ、私は...!」
「あ、余計なお世話でしたか?困ってるのかなって思ったんですけど!初めまして、新人のチェリーブロッサムっていいます!ランクはE!固有は自己再生!今友達探してて、よろしくお願いします!早速だけど、友達になりませんか?」
「なんなんだ君は......すごく、マイペースというか......。」
「私は困っている人を助けるために魔法少女になったので!スーさんみたいに頑張っている人を見ると、尚更助けたいなって思うんです!」
「___頑張ってるだけじゃダメなんだ!」
スーは思わず叫んでいた。
「私は、弱いんだから!期待されてないんだから!それを跳ね返せるくらい、誰よりも頑張らないと!」
感情が堰を切ったように溢れ出す。
「私には、存在価値がない!」
初めて会った相手に何を言っているんだ、と思った。でも言葉と涙が止まってくれない。
「ごめんなさい、私はそうは思いません!」
「___は?」
「私は頑張ってる人が好きです!あなたが誰より頑張ってるのは一目で分かりました!.....だから、たまにサボってみてもいいんじゃないですか?」
スーにとっては、涙が出そうな言葉だった。
きっと初めてだった。完璧じゃない自分を認めてもらったのは。
「あ、今度は私が訓練に遅刻しそうです!じゃあ!」
走り去っていくチェリーの姿を見て、スカーレットは体に中に暖かいものが溢れてくるのを感じた。
完璧だと思われたい、それ以外に戦う理由が見つかった。
「...あれが、本当の魔法少女なのかもしれないな。.....心が、本当の魔法にかけられたようだ。」
side:今
「忘れるはずもないさ。」
「うん、あの時見て思ったんだ。スーちゃんってびっくりするほど真っ直ぐな子なんだって。だからバディを組めるって時は本当に嬉しかった。」
「そうかな。ズル休みをしていたのに。」
「そうだよ?」
チェリーは笑顔で頷いた。
「誰にも弱音を吐けなくて、一人で抱え込んでて。それを見て、私、思ったんだ。この人は本当はまっすぐで優しくて、でも不器用で、だから苦しんでるんだって。」
(私がまっすぐ、か。.....どうかな?私は君が守れればそれでいい。姉や、家族からも逃げようとしている私が...)
「だから、スーちゃんが逃げようって言うなら信じる!世界の果てまで逃げよう!」
チェリーはそう言って手を差し出した。
曇りない、何を言っても受け入れてくれるであろう笑顔がそこにあった。
「......ふふ。私がどれだけ君に救われているか、一度形にした方が良さそうだ。」
スーは席を立ち、チェリーに近づいた。
そして、ゆっくりとその頬に手を添える。
「えっ?スー、ちゃん......?」
目と目が合った、その直後。
けたたましくサイレンが鳴り出した。ラジオからだ。
『緊急招集!緊急招集!魔人及び魔獣の出現を確認!近隣にいる魔法少女、チェリーブロッサム・スカーレット・ゼノビアの3名で殲滅せよ!
繰り返す___』
「___流石に無視はできない、よね?」
「ああ、逃げるのは少し先になるかな!」
side:魔人の出現した市街地
「魔人!ここから先は通さないぞ!」
チェリーとスーが退治に乗り出した頃。
街に、Dランク相当の数十匹の魔獣……
加えて、三人の魔人がいた。それを、一人の警官が拳銃を抜き、必死に威嚇していた。
SSレート・フェイカー。Aレート・アスター。Dレート・ルーネ。
車の上から、フェイカーが呆れたように口を開く。
「子供でもわかるだろう、勝てないってことは。さっさと逃げたらどうかな?いや、一般人に危害を加えるつもりはないとかじゃあない。狩りは逃げるウサギを狩るから面白いんだ。」
フェイカーの言葉を聞いて、警官は脳が揺さぶられるような感覚を覚えていた。
恐ろしい。恐ろしいと思えないことが、最も恐ろしい。
警官は、威嚇の射撃でもするべきなのだろう。
けれど、指が凍ってしまったかのように動かない。
フェイカーからは他の魔人のような、こちらの命を奪おうとする敵意や憎しみは感じない。
感じるのは、何か大きいものに包み込まれるような気配。きっと、命を刈り取られるその瞬間まで、不思議と敵意みたいなものは持てないのだろう。
格が違う、というやつだった。
それでも警官は引けない。
「黙れ!飛龍だけでも被害が出ている!お前たちの仕業だろう!」
「さて、あるいはそうかもしれないわね。私たちでもこの方の真意は見通せないもの。」
背後に控えるアスターや警官たちの視線を受け、フェイカーは無言で口角を上げる。
(いや何この飛龍。この地域時間に襲撃する魔人は居ない筈なんだけどなにこれ 知らん こわっ。)
3人称視点だと文章力がアレなのがアレしちゃって嫌ですねえ
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