TS愛され悪役トリックスターになって背後から胸を貫いてみんなを驚かせるやつやりつつ鬱原作をハピエンにしたい! 作:覚絵テネ
「キミの目的は行方不明の姉、魔法少女セラフィナ――星願タンザを救うこと。
本来なら叶わない願い。バーストがいる限りね。
だがキミは賢い。休日に打倒魔法省のデモを扇動するにしたって、『腐敗・癒着を許すな』という大義で深層に踏み込みすぎないようにする。
ええと...ゴホン、トロツキストのような冒険主義とも一線を引いている。
九頭竜が糸を引く宗教組織に二人揃って人生を奪われそうになり、そこから脱したのに哀れだね。
でももうそんな地道な活動に身を費やす必要はない。ボクと来い。それが叶う。」
俺はダラダラダラダラと喋りながら、己の口下手さを呪った。
こんな長々言われても理解できるわけないだろ。現代人ならせめて140文字に収めろ。"思想"に合わせることで加点を狙ったけど逆効果か?
『何言ってるかわかりません!フェイカー、さては
......とか言われたらどうしよう。心が、心が折れる。
最後の抵抗のつもりで、精一杯魅力的に微笑んだ。
.....と思ったものの、幸いにもゼノビアはこくこくと頷いてくれた。
怖くて目が見れないが、一応合意は取れた。
いやまあいきなり背後から爪突きつけて合意も何もないが……まあ、最終的にハッピーエンドにするので許してほしい。原作だと姉もろとも死ぬし。
よし、これでやることは完了!
1,チェリーちゃんの修行(完了?)
2,スカーレットの様子を見る(完了?)
3,ゼノビアを仲間に引き入れる(完了?)
ex,ワイバーンの掃討(完了)
何一つ根本的には解決してねえ。
あ〜もう上司という上司がいないのに帰ってから詰められないか不安で心がザワザワする!
...ん?
「ええと、それで具体的にはどうすればいいのです?!」
「ちょっと待ってくれないか。」
背筋が震え、ばっと空を見上げる。
黒い雲が渦を巻いている。上空から巨大な魔力、敵意、そして……情欲を感じる。
体が覚えている、この無遠慮に体を弄られるような不快感は。
ゼノビアを抱き寄せる。
何を勘違いしたのかゼノビアは頬を赤らめ叫ぶ。
「なんばしよっと?!ここでって、流石に前衛的すぎると言いますか!」
「悪いね。君と踊るのは次の夜だ。...魂よ、燃え盛れ!」
すみません、セクハラで訴えないでくださいね。
地獄を見るぞ。俺が。
心中訴えつつ、固有能力である魂の炎で青の壁を作る。
壁ができたのと間一髪、その場に黒い雷が落ちた。余波を受けた周囲のビル群は焼け焦げるだけじゃなく、腐り、一瞬で古び、倒壊していく。この雷は純粋な【破滅】の概念攻撃。
神とか竜とか、人の上位存在じゃないとできないものだ。
あークソクソ、同格以上は不意打ち以外で相手にしたくないのに!
ルーネに予め決めておいたサインを送り、降りてくるものに全神経を注ぐ。
そいつは翼もないのに、当然のように両の足で空に立っていた。
「ボクが見上げるのは魔王1人なんだけどな。」
「クックック、そう睨むな。俺以外と話しているのでな、つい昂ってしまったのだ___
雲の隙間から、後光と共にホストみたいなガタイの良いケミカルイケメンがゆっくりと降りてくる。
胸元から腹筋までを露出する黒のVネックに、漆黒とアザミ色のロングコートを纏った姿は気合の入った変態。
永い間人に祈られ続け、邪神となり、ついでに性癖を拗らせしもの。
こちらの胸とか顔を舐めるように見る視線にゾワゾワするものを感じる。
この世界に来て初めて、フェイカーの顔が『嫌悪と敵意』に歪む。
「ああ、佳い、佳いな!何れ三つ指ついて俺の帰りを待つと考えれば、今は靡かぬのも、逆に佳い!」
原作知ってる俺からすればフェイカーをビビらせてくれるオモロイケメンなのだが、今その対象は俺なのだ。
コイツはそう、アレなのだ。『ふっおもしれー女』……みたいな謎にヒロインに対して好感度が高い枠。
まあこいつが惚れてるのはチェリーやゼノビアじゃなくて敵幹部たるフェイカーなんだけどね。何でだろ、このへん曖昧だ。まあ多分アレだよね、フェイカーの寵愛されっぷりだよね。
威嚇するために爪に力を込めれば、九頭竜は髪をかきあげ舌なめずり。くそ、ちょっとは怖がってくんないかな。その表情からは畏怖や敵意などは全く見えず、それが底知れなさを加速させている。
「しかし安心したよ。俺以外の男は近づけていないようだな。俺もお前以外の女は近づけていない。ほら、アレにすら話しかけてはおらんだろう。」
アレ…クルルのことか。
一応フェイカー唯一の友人なのでね。
「クルルをアレ呼ばわりするな。」
「アレに酌をさせようとは思わんな。居ないことにしていないだけで最低限敬意は払っている。」
OK、戦意を取り戻させてくれてありがとう。
ニヤけた面を吹っ飛ばしてやりたくなった。
九頭竜の背後にさらに2人が降りてくる。少女と見まがうほど美しい少年。
こいつらはコクリンとハクリン___黒鱗と白鱗。言わばデスタムーアの右手と左手だ。居ると火力が桁違いな上、先に倒さないと九頭竜をザオリクする。
コクリンは中性的かつ無気力な感じで、現代の若者という感じがする。主よりもR18率が高い。ハクリンはスケスケのワンピースを纏い、とても目に優しい装い。口元を隠して挑発的な笑み。主よりもR18率が高い。
「……ねえねえ同志フェイカー。」
耳元のゼノビアが話しかけてくる。うわちっか……って場合じゃないか。あと同志言うな。
「状況、よくわかりませんけど……あの人女は近づけてないといいつつ、ものっごい美少女を2人侍らせてません?」
そう言うとハクリンはニッコリと手を振った。
「ありがとー!僕たちが可愛いのはその通り!でも現代風に言うとオトコノコっていうかー?」
「常識に囚われない感じっすね。」コクリンが付け加える。
「そうですか。んーっと、女を近づけなければいいってものでもない気がしますが。あと、私は女コミュニストなんですが……」
そこまで言った所で、九頭竜が不意に怒気を放った。
そうするとハクリンとコクリンが笑顔のまま魔力を高め始める。
「あ。逢瀬の場に居る罪。私たちに気安く話しかけた罪。いないことにしてあげてたのに無碍にした罪。って感じですかね……」
「3アウトってことで、命で償う感じでお願いしまーす!」
「え、ただ話しかけただけですが理不尽すぎませんか!?やはり宗教はアヘン!」
コクリンを中心に、3人に黒い【滅亡】の力が集まりだす。アレを受ければ俺はもちろんゼノビアは魂ごと消えるだろう。
物理スペックで受け止めきれるものではないので、私も応じて力を猛らせる。
うーん、これマジで九頭竜の気分で喧嘩売られてるよな?でも、ゼノビアを死なせるわけにはいかない。ある程度の消費は覚悟しよう。
「これ、私離れたほうがいい感じですか!?」
「いや、離れないで。もう始まってるから。」
「?わかりました!」
素直でよろしい。
俺と九頭竜の睨み合う空間から、ギリギリ、と異音が響く。不整合に苦しめられる世界の悲鳴だ。概念攻撃とはあらゆる物理法則を無視して自分が望む結果を押し付ける究極の力。
ゼノビアの目には見えないと思うが、既に概念同士の押し付け合いが始まっている。【滅亡】と【万能の破壊】。
「あ、ごめんなさい!高層ビルが崩れてきてますよ!」
九頭竜の雷で崩壊したビルがこちらに崩れてきていた。質量にすると数百トン、地面に落ちれば地下のインフラにまで致命的なダメージを与えるだろう。
「大丈夫だって。」
そんな巨大な質量の鉄骨とコンクリートは、概念同士のせめぎあいに巻き込まれたら途端、瞬時に沸騰/腐敗し、瓦礫すら残さず消滅する。
「ほーお!魂の炎がさらに激しく燃え盛っている。お前の力は魂を周囲の魂を食らうのだったな。良い魂を食ったと見える。」
げ、ガンゴーグの魂のこと言ってる?
あれなんか厄ネタになってもアレだし喰わずに焼き尽くしたから魂を喰ったのは冤罪なんだよな。殺したのはマジだけど。
「秘密にしてくれよ?けっこう大喰らいなんだ。神の魂にも食指が伸びる。」
「良いぞ、俺は器が広い。腹がちぎれるまで喰らわせてやろう。」
概念の押し付け合いは均衡状態だ。
「このまま正面からやり合っても負ける気はしないけどね。」
俺の魂の炎は周囲の人死にで火力を増すが、少々燃費が悪い。
消耗制なのだ。だから、ここで本気になるのは勘弁。
「ところで九頭竜。君はいい部下を持っているよね。二人ともSレートだろ?シチュエーション次第ではボクに勝てる可能性だってある。」
「うむ?人間の秤りは気に食わんが...そうだな、こいつらは甲斐甲斐しく、何より強い。強いものは美しい。」
コクリンとハクリン、二人の放つ神気。
一つの国の神として祀られていてもおかしくないほど。だが。
「でもね、キミだけじゃない。優秀な部下を持っているのはね!!」
キラリ、と地上で閃光が瞬いた。
ルーネに送った合図が彼女に伝わったようだ。
紅と紫苑の入り混じった閃光は九頭竜、コクリン、ハクリン...3人の視界を繊細に縫い、背後からコクリンの心臓を貫いた。
「かっ...!?」
浮力を失ったコクリンが落下していく。ナイス胸ドスだ。
九頭竜は概念の押し付け合いを維持しつつもそちらを見据えた。
「制限解除第一段階完了。相手が人間種に該当しない。」
閃光……アスターはメイド服ではなく、真っ赤な外套とシルクハットを纏い、紅の大剣を持っている。広げた翼は血と毒、赤と紫の色。ゆっくりと羽ばたき、浮力を生み出している。
アスターはAランク、小国相当の魔人。ただし、それは全ての
「二、明確な敵意を持っている。
三、イギリス国民ではない。
四、人類種に実害を出す可能性が高い。」
その身に受けた封印を解除するたびに、爆発的に力が高まっていく。
九頭竜が愉快そうに顔を歪め、ハクリンは恐れおののき疑問を漏らす。
「や、やばげ……なんですかコイツ……」
「ウラド卿の伝説を知っているか?あるいはカーミラ、古くはドルト、由来はテッサリアの王女。歴史に度々姿を現す吸血鬼たち。それらは全て、ある一族によって殺されたと言うことは?」
「……どっちかって言うとよもやって感じです。どっちかっていうと首輪をつけられまくっちゃってる感じですし。」
「ボクはなんちゃって吸血鬼だけど、彼女は本筋だ。」
アスターは俯いたまま封印解除の詠唱を続ける。
ハクリンが祝福の力を空に送った。後光が増し、吸血鬼の属性が増したアスターの肌を焼く。
しかし、中天に登ろうとした太陽は、アスターを恐れたかのように東に暮れ、ほんの数秒で満月が中天に昇る。
「太陽すら効かない!?どっちかっていうとガチチートじゃないですか!?」
「ひどい言いようだな。これは彼女が積み上げた力だよ。」
アスターの弱点はいくつかある。
人間相手には全力を出せないこと。聖職者や特定のルーツを持つものにめっぽう弱いこと。
何より優しいこと。
本来の世界線では彼女は終始全力を出せず、それが仇になった。
「第五段階。周囲に同一組織に属する聖職者が判断を下せる状態にない。
最終封印解除、五段階。邪剣限定解除。」
でも、今目の前にいるのは悪神だ。縛るものはほとんどない。
彼女は赤と紫のオーラを集中させ、振りかぶった大剣がさらに大きさを増す。
振り下ろされる寸前、九頭竜は概念の押し合いを諦めた。ハクリンを身代わりに炎を躱し、アスターへ突進する。
が、もう遅い。
「『
アスターが振り下ろした大剣は、振り下ろされるまでの刹那に数百倍に拡大し、まるで竜巻のように九頭竜を飲み込む。
この剣は周囲の生命力を対価に、その力で不死や蘇生などあらゆる概念を打ち破って相手を死に至らしめる。絶命を悟ってなお、九頭竜は笑う。
「なるほど、コレは留めきれぬ!一本取られたわ!」
九頭竜の体は17に引き裂かれ、地表へ落下していった。
camera:スカーレット
真紅の竜巻が吹き去った。
「私が……相手にしようとしていたのは、このレベルの化け物たちなのか……いや、今はそれより……」
目の前で起こった出来事に私は…また、打ちのめされていた。
神をも切り裂く一撃。私に……届くのか?
あの力があれば、例え世界が敵になろうがきっと問題ない。
何があっても大事なものを守りきれるだろう。
「いや、今はそれより……やったのか!?」
九頭竜が落下していった地点を見つめた。
やってない筈はないのだ。17分割されて生きていられる奴などいるものか。
考えることは多いが、市民への被害はなくなった。
当初の予定通り、逃げよう。チェリーを連れて。
そう思って、傍らにいる筈の桜の少女に声を掛ける。
「…………へ?」
「色々予定外のことがありましたが、これで首の皮はつながったのでしてー。」
チェリーの腹を、一本の糸が貫いていた。チェリーの体が
小さい頃に見慣れた能力だ。よくこれで遊んでもらったっけ。
「な、何を……」
「スー。この子は、もらっていきますよー。」
母にして、私よりも幼く見える魔女…バーストは申し訳なさそうに笑っていた。
そして私は動けない。一歩でも動いたら、周囲に張り巡らされた極細の糸が私の体をバラバラにするだろう。
「ではでは。逃げるも戰うも自由ですが……この子のために、はやめて起きなさい。この子は……世界の誰よりも悍ましい化け物ですよー?」
某終末世界吸血鬼漫画リスペクトでコクリンとハクリンを猿空間送りにしようかなとかちょっと考えましたが流石にやめました