TS愛され悪役トリックスターになって背後から胸を貫いてみんなを驚かせるやつやりつつ鬱原作をハピエンにしたい!   作:覚絵テネ

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なんで4話(実質)でラーメン回なんかやるんでしょう
私には私がさっぱりわかりません たぶん何も考えていません


2.5話 ファッションとラーメン回

 人間態。魔人が人間に擬態した姿のことだ。大抵、魔人になる前の姿が人間態として選ばれる。

 あ、魔人は元々全て人間。そこに魔王の血を入れることで魔人に変貌する。魔王クルルクルルも実験施設の子供を一旦魔人にして、そこから魔王.....という段階を踏んでいるので、人間態がある。

 

 俺、クルルクルル、アスター、ルーネの4人は人間態で、とりあえず近くにあるラーメン屋に入った。俺ことフェイカーが筆頭株主のチェーン店で、客は俺たちだけにしてもらった。コッテリからあっさりまで幅広く揃えているので、大抵の好みには対応できると思う。

 

 あ、なぜかフェイカーは人間界有数の資産家でもある。商才もあり、人間に混じって財産を築いているのだ。

 財産以外にも、街を歩いていると来日していた世界的スターに求婚されたり、暇つぶしにやってるSNSアカウントのフォロワーが三億人だったり。原作で登場するたびに本筋に関係ない武勇伝が盛られていって逆によく分かんないことになっているのだ。

 

「バレないだろうか、怒られそうだ。ガンゴーグたちにも。」

 

 クルルクルルが不安そうにソワソワしている。もしここに魔王がいるってしれたら割と核爆弾くらいはぶち込んでくるだろうからな。魔人たちも魔王を内緒で連れ出してるって知ったら怒り狂うはずだ。

 まあ、そんなイケナイことを教えられるから、フェイカーは重用されてきたのだろう。

 

「大丈夫だよ。ここはボクの息がかかってる店だから☆」

「でも、入る前、フェイカー、すごい注目浴びてたぞ?」

「あはは……」

 

 人間態の俺が着ているのは、お嬢様のような漆黒のクラシカルワンピースにトップハット(シルクハットの短い板みたいなやつ)、ちいちゃいサングラス。ガラスに映る自分は、悔しいが人気女優お忍びの姿みたいなオーラがある。誰もが目を奪われる、というやつだ。

 だが信じるなよ、中身はホームラン球の性悪→骨無チキンアラサー男のドブカス2連星。

 そんなのより目の前の美幼女たちに注目すべきだ。

 

「目立つって言うなら2人のほうじゃないかな?」

「うれしいなあ。」

「光栄です。」

 

 人間態のクルルクルルは「不思議の国のアリス」みたいなふわふわワンピース。ほどよく血色がよく、魔王の時に漂わせていた威圧感が霧散している。こうしてみるとお人形さんみたいだな……あ、ガンゴーグの操り人形って皮肉じゃなくて。

 

 アスターはお上品なツインテメイドコーデから一転、オーバーサイズのレザージャケットを纏っている。

 洋画のクール系ヒロインみたいだ。赤い目も相まって絵になる。

  

 

 

「あ、あのぉ……な、なんで私のような新入りが?魔王様と、四天王様と……相応しくないとおもうのですがぁ……。」

 

 などと、掠れた声を出したのはルーネちゃんだ。

 

 なんでって、これから暫く一緒に動いてもらうので、親愛度を上げないと。あとアスターもクルルクルルも意外と良い子だって知ってほしい。同僚が怖いと勘違いしたままだと胃に悪いからね。

 しかし彼女は自分がこの場に相応しくないと思っているようだ。

 

 ちなみに彼女の人間態は麦わら帽子に、白と紺の学生服。目立つ感じではないが素材がいい。クラスの男子全員から「ルーネの良さは俺だけが知ってる......。」と思われちゃう感じだ。

 

(そしてある日、内気な男の子はルーネなら自分をわかってくれるかもしれないと告白する。しかし断られて理由を聞くと、ルーネはイケメンの先輩と付き合っていた。これが内気な男の子は男になるんだ......あ、これは設定とかじゃなくてただの妄想ね。)

「フェイカー?何をぶつぶつ言ってる。ルーネだっけ?困ってるぞ。」

「あ、ごめんねルーネちゃん☆」

 

 席に配置はクルルが一番上座、俺がその隣。アスターの隣ならまあ座れるだろうと思ったのだが。

 こんな感じで一人だけ席に座れず、モジモジしている。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。無自覚ってこわー。

 

 未来ある若者を潰してはならない(戒め)。

 よし、ここでアラサーの人生経験を活かして緊張を解す優しい言葉をかけてしんぜよう!

 唸れ灰色の脳細胞!

 

 すう、と俺は息を吸いこむ。

 

君は神を信じるか(緊張しないでいいよ)?」

 

 .......ん?今俺なんて言った?

 

「」

「へっ?」

 

 ……ん?んんんんんん?なんだ、今俺は何を口走った????ちょっと深く物事を考えたせいか?フェイカーらしい勿体ぶったセリフに変換されちゃった。肉体に染み付いた癖ってやつか?まあ元々作者の考えた厨二セリフを喋らせるためのキャラって側面もあるから仕方ないのか?

 

 ていうかまずい。ルーネちゃんの表情が凍りついている。

 

己は己でしか救済できない(ここで友達作ってみたらいいかもよ)その気がないなら永遠すら君を救えない(みんな割といい子だから)。」

 

 うーーーーーん、最悪!ラーメン屋で言うことじゃないだろ。絶対に。

 

 ルーネちゃんがあんぐり口を開けてるじゃん。お口ちっちゃくてかわいいね、じゃなくて!

 大意は伝わったと思うけど言い方ってものがある。会社でこんなこと言われたらその晩吐くぞ。俺なら。

 他の二人も「ええ……?」って表情なんだが。

 

 俺は誤魔化すように曖昧に笑う。

 

あるいは、ボクと翼を並べるのは嫌かな?(あーーー、とりあえず食べよっか)

 

 渾身の誤魔化しは上手くいっただろうか。俺はさらに悪化させたと思う。

 

「……し、失礼します。」

 

 ルーネちゃんがアスターの隣に腰を下ろした。その表情は緊張がほぐれた、という感じではない。

 やっべー、雰囲気が死んでる。店主、はよう注文に取りに来て!はよう!

 

「……フェイカーは優しいな」

 

 そんなフォローをクルルクルルがしてくれた。

 情けが逆に人を傷つける時だってあるんだぜ?

 

 

 

 

 

 side:ルーネ

 

 14年生きてきてわかったことだけど、私はどうやら劣等な人間のようだ。

 

「瑠音、テストは?」

 

 家に帰った時、母のその言葉が怖かった。

 

「なんで……何でなんでなんで、こんな点数しか取れないのッ!?」

 

 ごめんなさい、一生懸命やりました。……と言っても信じてもらえない。

 

「学校のテストなんて暗記なんだから、どれだけ出来が悪くてもできるはず!アンタはアタシと同じで、ただでさえ頭が悪いの!わかってる?」

「はい、わかってます……。」

「テストすらできないなら誰も嫁に貰ってくれないよ!甲斐性のない旦那と惨めな生活を送ることになるよ!」

 

 母の言葉は私を思いやっているようでいて、その実、どこか遠くの誰か……きっと昔の自分を見つめているようだった。そうじゃなければ、私が何を思っているのか一度くらいは当てられたはずだ。

 どれだけ叱咤されても、私の心は冷えていくばかり。

 父は3食を大抵外食で済ませていて、家に帰ると直ぐに自室へ入る。

 

 自分の家というところに、私はとんと愛着を持てなかった。

 

 

 

「まったく、あの子は酷いことばっかり言うんだねえ。大丈夫、おばあちゃんは知ってるからね。仏様も知ってる、瑠音は頑張れる子だって。」

 

 唯一、おばあちゃんが大好きだった。

 畑仕事を手伝った後はおばあちゃんの家に行った。

 

「お嫁さんにだって素敵な誰かがもらってくれるものさ。」

 

 日の当たる縁側で、膝枕をしながら頭を撫でてくれた。その時の言葉はあまりにも優しくて、温かくて、救いで。......斜に構えた私には信じられなかった。

 いつか、私の元にも白馬の王子様がやってくる....?まさか。

 

 おばあちゃんが死んだ時、世界は空っぽになった。

 その頃には出来のいい妹ができ、私は家庭で空気と化した。

 学校でも浮いてて、皆が楽しむ場所で孤独感に苛まれた。

 

 

 

 

 転機が訪れたのは、学校の屋上に立ち尽くしていた時だった。

 私の後ろに魔人が現れたのだ。

 

「哀れな、君は生きる気持ちをなくしてしまったんだね。では、私が新しい人生をあげよう。道具としてすり潰されるだけの人生で良ければね。」

 

 魔人は私を抑えて、血管に注射のようなものを打って……そして、私は魔人になった。

 生態として人を殺す化け物になって、いじめっ子連中を皆殺しにする手伝いをした。

 

 全くスッキリしなかった。彼女らを殺した所で何も変わらない。劣等な人間から、劣等な殺人鬼になっただけ。

 ただただ、おばあちゃんを人殺しの祖母にしたことを申し訳ないと思った。

 

 ガンゴーグという偉いさんに詰められた時……わたしの唯一の望みは、

 

「お嫁さんにだって素敵な誰かがもらってくれるものさ。」

 

 きっともう叶わないのだろうな、と思っていた。

 

  

 

 

 そんな私に、本気で語ってくれた人がいた。

 

「己は己でしか救済できない。魔王と四天王と同じ卓につくなんてこの上ない機会だ。それを掴めないなら永遠すら君を救えない。」

 

 隣にいるだけで、無性に安心してしまう揺らぎのある声。フェイカー様だ。

 

 塵芥のような私にすら真剣に悩み、見通し、自分ごとのように憂いて話しかけてくれた。

 世界の厳しさについて、言葉だけじゃなく心で寄り添ってくれた。

 その言葉は深謀遠慮に満ちて理解しきれなかったけど、彼女が私にないセカイを持っていることだけがわかった。

 

 きっと、彼女はその時人が欲しい言葉をかける才能があるのだろう。

 

 もっと、この人のことが知りたい。

 もっと、この人と同じものを見たい。

 もっと、この人と同じものを求めたい。

 

 この思いは叶わないと思っていた。フェイカー様と私は住む世界が違う。

 

 けれど、彼女は寄り添うように慈愛のほほ笑みを浮かべてくれた。

 

 「あるいは、ボクと翼を並べるのは嫌かな?」

 

 その時初めて、私はフェイカー様の瞳を見た。恐ろしいくらいに綺麗な紅。見ていると、何かをしたいという気持ちがグングン湧いてくる。

 

 そういえば。彼女は魔人会議でも私の命を救ってくれた。

 私の中でただの恩人という言葉では片付けられなくなっていた。

 

 

 

 

 おばあちゃんの言葉が脳裏に蘇る。

 

「仏様もよく知ってる。瑠音が優しい子だってね。お嫁さんだって、素敵な誰かがもらってくれるものさ。」

 

 ………あ。

 

 もう、私は人殺しの道具。劣等だけじゃなく、悪性で、害悪な存在。

 それでも許されるなら…おばあちゃん、私この人のお嫁さんになりたい。

 

 

 

 

side:アスター

 

 

(なるほど、そういうことだったのですね.....。)

 

 ルーネさんの命を助け、生きる道まで与えた主人を見て、私、アスターは己の未熟と無知を深く恥じた。

 

 数日前まで、あまりに常軌を逸していた我が主人の素行を見て、人格破綻者かと思っていた。それでも恩人は恩人だから、身も心も定める決意はあったのだけれど。

 実際は違った。フェイカー様は私のような常に気を張らなければならない凡人とは違う。動くべき時を見据えられる真の智者なのだ。

 それを踏まえると、ただの悪行に見えた彼女の行動も全て、見え方が変わってくる。

 

 私はなんという不忠ものなのだろう。

 この罪を告白したとて、断罪してくれる主人ではない。

 

 目の前にあるラーメンも、一滴残さず糧にしてこの過ちを清算しなければ。

 

(改めて.....この命を捧げさせていただきます。)

 

side:フェイカー

 

 ラーメン回の間、なんか常に張り詰めたような終わりの空気が流れていた。

 アスターもルーネも何か思い詰めた表情でラーメンを食べている。

 そもそも、だ。このテーブルに毛筆で食べ方指南とか書かれているラーメン屋というチョイスはおかしくなかったか?

 最近はオシャレな創作ラーメンとかいくらでもあるだろうに。

 

「おかわり。二郎風デカデカテラテラキョダイマックス。今度はニタマゴを10個つけろ。」

 

 モヤシ、豚、海苔、そして半熟煮卵。それらが底の深いサラダボウルみたいな器に大輪の花のように盛り付けられた一皿は一周回って何かのスイーツに見える。

 

 ひえー……。トッピングで見えないけどたぶん1キロくらい入ってるよね。麺。

 

 周囲を気にせず象のように飲み食いするクルルクルルの口を拭いているときが一番幸せだった。この小さい体の…ああ、アレに入ってるのか。

 まあテーブルマナーとか気にしないで食べれるのも珍しいだろうし、いっぱい食べろ……

 

 あー、また対人関係の嫌な思い出が一つ増えてしまった......。




ちょっとスローテンポかな.....?
ルーネちゃんはこの先しばらく頑張ってもらうので丁寧丁寧に描写したかったのでし......やってること洗脳?まあはい

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