メトロイドトータス〜鳥人族の後継者〜   作:ウエストモール

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メトロイドプライム4に備えてメトロイドプライムリマスタードの二周目やってます


鳥人族の後継者

「後は、この扉だけか……」

「ん……」

 

 死闘の末にヒュドラを倒し、バリアスーツを入手したハジメ達。二人は休憩した後、魔法陣の奥にある巨大な扉の前に立っていた。そして、二人が扉に近づくと、ギギッという音を立てて扉が独りでに開き始める。

 

「念の為、警戒はしておこう」

「ん……」

 

 何が潜んでいるか分からないので、ハジメはアームキャノンを構え、ユエはいつでも魔法を撃てるように前方に手を翳している。

 

 やがて、扉が完全に開き……

 

「あ、あんたは……!」

「ん!?」

 

 開いた扉の向こう側に立っていたのは、鳥類の特徴のある年老いたヒューマノイドだった。その姿を見て、思わずハジメは武器を下ろしていた。

 

「お待ちしておりました、後継者殿。私は鳥人族のエルダーバード。あなたをお支えする役目を拝命しております。何なりとお申しつけください」

 

 エルダーバードと名乗った鳥人族は、左手を胸に当てて一礼する。その動きはキビキビとしており、老いた見た目からは想像できない。

 

「なら、あんたのことを教えてほしい」

「承知しました。立ち話もなんです、移動しながらでも構いませんかな?」

「それもそうだな」

 

 エルダーバードに導かれ、ハジメとユエは扉の奥へと入っていく。そこに広がっていた光景は地下の迷宮であると信じられないようなものであった。 

 

 まず、扉の向こう側の空間はちょっとした球場くらいの大きさとなっており、天井には太陽のように輝く球体が浮かんでいる。また、奥の壁は一面が滝になっていて、滝からの水が小川となって奥の洞窟に向かっていた。小川では魚も泳いでいる。

 

 川から離れた所には畑や果樹園、家畜小屋が見え、家畜の気配はないが野菜や果実が育っている。そして、一部の岩壁がそのまま加工された大きな石造りの建物があった。

 

「私はターロンⅣで生まれ育ちました」

 

 彼はターロンⅣ出身の鳥人族だった。ゼーベスと同じ惑星系に属する惑星で、そこに住まう鳥人族は高度な機械文明を遠ざけて自然と共存していた。

 

 自然と共存する道を歩んでいた彼らは、いつしかスピリチュアル的な力に目覚め、未来を予言する者まで現れるようになる。彼らはその力を使い、文明の発展に役立てていた。

 

 しかし、ターロンⅣに衝突した隕石が彼らの運命を決めた。隕石より漏れ出したフェイゾンが惑星全体を蝕み、災いをもたらしたのだ。

 

 鳥人族は多大な犠牲を出しながらも隕石を封印するが、それでもフェイゾン汚染は止まらない。災いを照らして汚れを浄化する(サムス)の来訪を予言した彼らは、全てを光に託してターロンⅣを去った。

 

「私はターロンⅣを去る際、宇宙船の事故に巻き込まれ、宇宙船ごとトータスへと飛ばされてしまいました。そこで私は出会ったのです。解放者と呼ばれる熱意ある者達と……」

 

 エルダーは解放者と出会い、彼らと行動を共にした。技術の供与を行い、開発し、様々な種族と出会い、交流し、時には予言能力で意思決定に関与することもあったという。

 

「では、あの碑文はあんたの予言か?」

「勿論ですとも。私はあなた様の来訪を予言し、迷宮に我らの武具を配置した上、コールドスリープで眠っておりました」

「何百年も、俺一人のために……?」

 

 彼らの予言が当たる確率は高いが、それでもハジメ一人の来訪を信じて待ち続けるなど、並大抵の覚悟では不可能だろう。

 

「私は信じていましたので。これで、彼らの思いも報われましょう……ささ、到着しましたぞ」

 

 やがて、たどり着いたのは大きな石造りの建物。ハジメ達はその三階にある階層をまるごと使った広い部屋に通される。その中央の床には直径八メートルの魔法陣が刻まれているのが確認できた。

 

「是非、見ていただきたい映像がございます。イヴ、映像の投影を」

「了解:所定のプロトコルを実行します」

 

 すると、浮遊する箱型の機械が現れて空中に映像を投影してくれる。そこに映ったのは、黒衣を纏った眼鏡の青年だった。

 

『この映像が流れたということは、鳥人族の後継者が迷宮を突破したということだろう。強化された試練を乗り越え、よくたどり着いた。私はオスカー・オルクス。我が友エルダーと共にこの迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?』

 

 青年はオスカー・オルクスと名乗った。彼こそがオルクス大迷宮を創造した存在なのだろう。

 

『予言にあった鳥人族の後継者に、世界の真実を知る者としてメッセージを残させてもらうことにした。どうか聞いて欲しい。我々は反逆者であって反逆者ではないということを……』

 

 こうして始まったオスカーの話。それは、ハジメが収集した情報とは大きく異なっており、あの碑文の通りであった。

 

 神代の少し後の時代、多くの種族が自らの信じる神の神託を受け、神敵を滅ぼすという大義名分の元に戦争を続けていた。だが、何百年と続いた争いに終止符を打とうとする“解放者”と呼ばれる集団が現れた。

 

 そんな中、解放者達は異世界からの来訪者であるエルダーバードと接触する。解放者達は彼と協力し、長い戦争で停滞していたトータスの技術レベルの向上を目指した。その際、交流のあった種族や派閥にチョウゾテクノロジーが部分的に提供されている。

 

 順調に争いが終わりつつあったある日、解放者は神の真意を知ってしまった。それは、神々が世界の全てを操って遊戯のつもりで人々に戦争を行わせていたということだ。

 

 それを許せなかった彼らは、神々がいるとされる空間である“神域”を突き止めると、解放者の中で強力な力を持つ七人を中心に戦いを挑んだ。

 

 だが、その目論みはその前に破綻してしまう。何と、神は人々を操って解放者を世界に破滅をもたらす神敵……“反逆者”に仕立てあげてしまったのだ。守るべき人々に力を振るえなかった彼らは次々と討たれ、最後に残ったのは七人の解放者とエルダーのみだった。

 

 敗北を喫した七人の解放者は、バラバラに大陸の果てに迷宮を作り、神の遊戯を終わらせる者が現れることを願って、迷宮を攻略した者に自らの持つ力……“神代魔法”を授けることにした。だがその時、エルダーがある予言をする。

 

 それは、鳥人族の遺伝子と叡知、力を受け継ぎ、チョウゾの鎧を纏った後継者がオルクス大迷宮を攻略し、邪神を討つ意思を受け継ぐというものであり、最強なる戦士へと至った後継者が邪神を討つとされていた。

 

 そこで、解放者とエルダーは後継者を支援するため、チョウゾの武器……パワーアップアイテムを迷宮等に設置すると共に後継者用のコースを準備した。アイテムの中には魔法とチョウゾテクノロジーを融合させたエーテルアビリティと呼ばれるものも含まれている。

 

 その後、解放者はそれぞれの迷宮に留まり、エルダーバードはコールドスリープによって後継者が来訪するのを待ち続けることになった。

 

 長い話が終わり、オスカーは微笑む。 

 

『長い話をしてしまってすまない。だが、我々の真実を君に知っておいて欲しかった。私は、鳥人族の後継者である君に力を授ける。また、今後の活動で必要になるであろう情報やデータを準備してあるので、工房のオブジェからダウンロードしてほしい。きっと役に立つはずだ』

 

『君に神殺しを強要するつもりはないが、その力を悪しき心を満たすために振るわないでくれ。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが、調和の精神と共にあることを願っているよ。そして、我が友エルダーのことを頼む』

 

 話が終わると、オスカーの立体映像は消えた。

 

「後継者殿、どうか我が友人達の意思を継いでいただきたい……もはや、あなたにしか頼めないのです……」

「ハジメと呼んでくれ。解放者の意思は俺が引き継ぐ。だから、ここからは俺に任せてほしい」

「ん、私もいる」

「感謝します、ハジメ殿……ユエ殿……」

 

 この日、鳥人族の後継者である南雲ハジメは一人の鳥人族と出会い、世界の真実を知り、解放者の意思を継いだ。

 

「ハジメ殿、ユエ殿、魔法陣の中央に立ってください。我が友オスカーの言っていた神代魔法の一つを手に入れることができるはずです」

 

 エルダーに言われ、二人は魔法陣の上に立つ。すると、魔法陣が輝くと同時に二人の脳裏に魔法が刷り込まれていく。やがて、魔法陣の輝きが収まると頭痛や違和感は止まり、脳裏に情報が浮かんできた。

 

「生成魔法……なるほど、鉱石に魔法を付与して特殊な鉱石を……」

「お父様、私も習得したけど相性が悪いみたい……」

 

 ハジメが入手したのは生成魔法という神代魔法であり、ハジメが言ったように鉱石に魔法を付与するものとなっている。それにより、アーティファクトを生み出すことが可能である。

 

「オスカー・オルクス……あんたの意思と力は受け継がせてもらった。解放者の汚名は必ずそそぐと約束する……安らかに眠れ」

 

 そこにオスカーはいないが、ハジメは感謝の言葉をかける。彼らを反逆者のままにしてはいけない。そして、彼らの名誉を必ず回復させるのだとハジメは誓った。

 

 

 

 

 

 その後、一行はオスカーの話にもあった二階の工房へと移動していた。鳥人族の意匠を持つオブジェがあったのだが、ハジメはアームキャノンを差し込む前に、先ほどからあった疑問を投げかけた。

 

「ところで、こちらのドローンは?自然と現れたので受け入れてしまっていたが…」

「紹介:私はイヴ、このオルクス大迷宮を管理する有機生体コンピュータ〈セントラルユニット〉です。そして、当機体は分身である随行支援ユニットになります」

「本体が別にいるということか?」

「肯定:当機には本体が存在します。精神感応能力を持っており、物理的な距離を無視して各ユニットを操作可能です」

「マザーブレインと同じか…」

 

 有機生体コンピュータと聞いて思い出すのはマザーブレインの存在だ。彼女も精神感応能力を持っており、パイレーツの戦闘員やメトロイドを制御するのに活用していた。

 

「疑問:マザーブレインとは?」

「私も聞いたことがありませんな。そもそも、ターロンⅳを去ってからの出来事を把握できておりませんので」

 

 ターロンⅳから鳥人族が去ったのは何十年も昔の話だ。異世界に来てしまった以上、現在の鳥人族の状況を知る術などあるわけがないのだ。

 

(話すべきだろうか……だが、隠す意味もないだろう)

 

 マザーブレインについて話す以上、ゼーベスにおける惨劇の話をするのは避けられない。多少のショックは受けるかもしれないが、いつか話すことになるので今話すことにした。

 

「あぁ、マザーブレインというのは……」

 

 ハジメがマザーブレインについて説明する。話したのは誕生の経緯とマザーの裏切りについてだ。それに関連し、鳥人族の遺伝子を移植した存在であるハジメとサムスの話もしている。

 

「そうですか、やはり鳥人族はそこまで追い詰められているのですね。そして、鳥人族の後継者として未来を託されたのがハジメ殿と、そのサムス殿というお方であると……」

「あぁ。使命を果たすためにも、俺は邪神を倒して元の世界に戻る必要がある。元々、迷宮を探索する動機は世界を越える手段を探すためだった」

「それでしたら、概念魔法と呼ばれるものがございます。その前提条件は全ての神代魔法を所持していること……」

「概念魔法……それならば、元の世界にも帰れるかもしれないな」

 

 エルダーによるとそれに関する情報もオブジェに収められているというので、早速ハジメはオブジェにある穴にアームキャノンを差し込み、データをダウンロードする。

 

 その中には様々な情報があったのだが、ハジメが最も注目したのは、やはり概念魔法の情報だった。ダウンロードしたデータには次のような説明があった。

 

「概念魔法」

概念魔法はあらゆる概念をこの世に顕現・作用させる魔法。七つの神代魔法を手に入れることが条件であり、極限の意思こそがそれを生み出すだろう。

 

 あらゆる概念を顕現させ、作用させる魔法ということは、元の世界の位置を特定する概念と、世界と世界を繋ぐ概念を生み出すことで、元の世界に帰ることができるのではないかとハジメは考えた。

 

 大迷宮を攻略すれば神代魔法が手に入る。ハジメは全ての大迷宮を攻略するという意思を固めた。その分だけ能力も向上すると思われ、最終的に邪神を倒すことにも貢献するだろう。

 

 また、ダウンロードしたデータの中にはデータ化した新たなアビリティも含まれており……

 

『アイスビームデータをダウンロードしました。アイスビームが新たに使用可能です』

 

『アイスビームは、直撃した対象を凍結させる効果を持つビームです。高温地帯のクリーチャーに対して有効ですが、ビームの威力が低下する欠点があります』

 

 新たなアビリティはアイスビームだった。アイスビームは威力の低下という欠点があるが、高温地帯の敵に対する特効武器となっている。大迷宮の一つであるグリューエン大火山は高温地帯であり、そこを攻略する際に役に立つだろう。

 

「エルダー、そしてイヴ。しばらくの間、ここに滞在しても構わないか?ここの設備を使って戦いの準備や研究をしたい」

「構いません。ここの設備は鳥人族の後継者のために残したものなのです。是非、我らのこともお使いください」

「ありがとう。しばらく、世話になる」

 

 ハジメはオルクスの隠れ家に留まり、大迷宮の攻略や神の尖兵と戦うための準備を行うことにした。

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