メトロイドトータス〜鳥人族の後継者〜   作:ウエストモール

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大軍神はメトロイドゼロミッションからの出典です


大軍神

「ハジメ・ナグモ。我らフェアベルゲンの長老衆は、お前さんを“鳥人族の後継者”として認める。また、本日をもって魔力を持って生まれた同胞に対する差別的な扱いを廃止し、保護するものとする」

 

 熊人族不在で始まった長老会議は、最終的に二つの結論を出した。一つは、ハジメを“鳥人族の後継者”として認定すること。もう一つは、魔力持ちの亜人に対する迫害をやめて保護するということだ。それに伴い、シアとハウリア族は無罪となる。

 

 長老会議での決め事は全会一致が原則であるのだが、ハジメを“鳥人族の後継者”として認めることについては、すんなりと可決した。条件と完全に一致していたし、亜人達に対して差別的なこともしなかったため、印象が良かったのだろう。

 

 ただ、忌み子に対する差別撤廃に関しては一悶着あった。森人族のアルフレリックは勿論のこと、元より差別意識がそこまで強い訳ではなかった狐人族のルアや翼人族のマオはすぐに賛成したが、比較的過激派の部類に入る虎人族のゼルと土人族……いわゆるドワーフのグゼは難色を示した。

 

 ゼルは同族がハウリア族に追い詰められたことを、グゼは仲の良かったジンがシアによって制圧されたことをそれぞれ根に持っており、反対派へ回るに至った。

 

 一応、ゼルはグゼと比べてそこまで頭に血が上っていなかったため、説得に応じて最終的に賛成派へ回っている。熊人族が不慮の事故で不参加だったことが、過激派の劣勢に拍車をかけているといっていい。

 

 最後までしぶとく抵抗していたのがグゼであった。アルフレリックらの説得では効果が全くなかったが、ハジメには最終手段があった。それは、エルダーバードによる説得だった。

 

 イヴが投映した立体映像を通してエルダーが語りかけたのだが、長老衆が一斉にひれ伏すという事態になった。やはり、鳥人族に対する敬意は強く残っているようだ。

 

「このように我々は決定したわけだが、基本的に亜人族は魔力を持った他種族を嫌う。我々の通達を無視してお前さんやハウリア族を襲おうとする、血気盛んな者がいる可能性も否定できない。もしもその時は、襲った者達を殺さないでほしい」

「可能な限り努力はする」

 

 殺意を持って向かってくる相手を不殺で制圧するのは難しい。やり過ぎれば相手を殺してしまうし、中途半端にやれば自分の命が危うくなるからだ。一応、ブラスターには相手を痺れさせるスタンモードがあるが、相手を殺さずに制圧できる保証はない。

 

「すまんな……」

 

 亜人族からも“鳥人族の後継者”として認められたハジメは、鳥人族の神殿及び大樹への案内を受けることになったのだが、大樹に関してはその周辺のみ亜人族が迷う程に霧が濃く、その霧が薄くなる周期が十日後に来るらしく、遺跡に行った後はしばらく滞在することになった。

 

 

 

 

 

「フェアベルゲンの地下には鳥人族の神殿が残されている」

 

 ハジメ達はフェアベルゲンの地下にある神殿に案内された。この場所は、長老衆やその他認められた者しか入ることのできない区画となっている。昇降機で降りた後、アルフレリックの先導で通路を進んでいくのだが、その壁には鳥人族の戦士の壁画や刻印された鳥人族の文字が多く見受けられた。

 

「フェアベルゲンの地下にこんな所があったんですね! 何だかワクワクします!」

「ん……まさか、こんなに大規模な鳥人族の神殿があるとは思わなかった」

 

(ここは落ち着く……まるで、ゼーベスやZDRに帰ってきたかのようだ……)

 

 そうこうしているうちに、彼らは通路の終点に辿り着く。そこにはかなり広い空間が広がっており、空間の中央の地面には魔法陣があり、奥の壁には巨大な壁画や各迷宮に対応している七つの紋章が存在していた。

 

 部屋に入って早々、ハジメは奥の壁画に注目する。何故なら、描かれているものに見覚えがあったからだ。

 

「大軍神……まさか、ここで再び見ることになるとはな……」

 

 描かれていたのは、バリアスーツによく似た甲冑を着込んだ鳥人が両手で丸い何かを支えている巨大な壁画。丸い部分は光を反射しており、鏡のようなものが埋め込まれている。この鳥人の正体は、大軍神と呼ばれる存在だった。

 

「ダイグンシン!って、何ですかそれ?」

「お父様、あれが何か知ってるの?」

「あぁ。あれは大軍神といって、古代の鳥人族が崇めていた存在だ。これと同じものがゼーベスの古代鳥人族の遺跡にもあった」

 

 ハジメは説明した後、壁画に接近していく。

 

(懐かしい……昔、ゼーベスに来たばかりの頃、サムス姉さんに連れられて大軍神の壁画を見たことがあったな……)

 

 壁画を前にしてバイザーの下で目を瞑るハジメ。視界はゼロであるが、初めて大軍神を見た時の記憶が心象風景として瞼裏に映し出されていた。

 

(かつて、俺は大軍神に誓った。最強の戦士となることを……)

 

 ハジメが大軍神を見たのは一回だけだったが、今までで特に印象に残った存在の一つであった。

 

(そういえば、大軍神の壁画に姉さんと一緒に落書きしたことがあったな……相当下手な絵だったが、あの絵はまだ残っているだろうか?)

 

 実は罰当たりなことをやっていたハジメ。大軍神に雷を落とされそうだが、再びゼーベスの大軍神の壁画を見に行きたいと思いを馳せていた。

 

「あの、師s「待って、シア」……」

 

 壁画の前でしばらく動かないハジメに対して、待ちきれなくなったのか声を掛けようとしたシア。だが、ユエによって制される。

 

「きっと、お父様は過去に思いを馳せているのだと思う。だから、もう少し待ってあげて」

「ユエさん……そうですね、今のは無粋でしたね」

 

(大軍神……俺は歩みを止めるつもりはない。必ずこの世界から帰還し、銀河を守る最強の戦士になってみせる)

 

 そして、ハジメは目を開いて過去の光景から現在に戻る。目の前にあるのはゼーベスではなくフェアベルゲンの大軍神の壁画。七つの紋章が壁画を囲むように埋め込まれ、正面の床には魔法陣がある。ハジメが魔法陣に乗ると、何もなかった空中空間に鳥人族の文字でメッセージが投影された。

 

 

七つの試練。それを乗り越え、全てのチョウゾの武器と七つの大いなる力を手にした戦士にのみ、我は力を授ける。その力は最強にして強大。それを使いこなしてこそ、真の最強の戦士(メトロイド)といえよう。

 

 

 投影されたメッセージが消えた直後、壁画の周囲にある紋章のうち、二つに光が灯る。一つは十字に円が重なった紋章、もう一つはサークル状の紋章であり、それぞれオルクス大迷宮とグリューエン大火山に対応していた。また、大軍神が持つ丸鏡にはハジメの姿が映し出されていた。

 

「師匠、あれには何と書いてあったんですか?」

 

 ハジメがユエ達の所に戻ると、シアがあのメッセージについて聞いてきた。この場で鳥人族の言語を理解できるのはハジメのみ。ハジメはメッセージの内容を簡単に説明してあげた。

 

「最強にして強大な力……それがあれば、神すらも倒せるのでしょうか?」

「分からない。だが、その力を求める価値はあるだろうな」

「ん……結局、全ての迷宮を攻略することに変わりはない」

「あぁ……そうだな、ユエ。次の迷宮攻略にはシアを同行させるつもりだ。神代魔法による戦力強化は勿論だが、迷宮攻略は実戦訓練にちょうど良い」

 

 こうして、大軍神が守護する最強で強大な力を手にするために迷宮を攻略するという新たな目的が定まった。

 

「お前さん……いや、ハジメ殿と呼ぶべきだろう。この神殿に出入りする権限をハジメ殿に付与させていただく。もしも大軍神と面会したい時は、自由に来ていただいて構わない」

「感謝する、長老」

 

 また、ハジメはフェアベルゲンが保管していた新しいアビリティを与えられた。

 

『エーテルアビリティ:フラッシュシフトを入手しました』

 

『エーテルタンク一個分の魔力を消費することで、連続で三回まで一定距離を高速移動することが可能です。また、エーテルタンクが一つ追加されました』

 

 平和的に物事は進んでいく。そのまま地上に戻ることになったのだが、そこに慌てた様子で駆け込んでくる一人の森人族の戦士がいた。ハジメ達は知らないが、アリアの側近だったりする。

 

「一大事です! フェアベルゲンが謎の集団による襲撃を受けています!」

 

 どうやら、もう一波乱ありそうだ。

 

 

 

 

 

 ハジメ達が地下に潜っている間、フェアベルゲンの地上では大きな事件が起こっていた。

 

「おのれ、化け物共……これ以上の狼藉はこの私が許さん!」

 

 目の前ではフェアベルゲンを構成する多数の大木が炎に包まれ、焼け落ちていく。激しく炎上して黒煙が立ち上る市街では、空と地上を未知の化け物が支配し、兵士や市民が虐殺されている。女子供に対しても慈悲はなく、燃え盛る死体の山に放り込まれた。

 

 奴らはスペースパイレーツだ。フェアベルゲンは他種族では迷ってしまう霧に覆われ、入り口の門までたどり着くのは至難の技。人間族や魔人族といった敵が侵入してくる可能性は極めて低いのだが、パイレーツは転移して門の付近に出現した。

 

 急な出現に対応できなかったことが、被害の増大に拍車をかけた。迎撃や避難の態勢が整う前に襲撃されたことで、亜人族は効果的な対応ができていない。もっとも、仮に態勢が整っていたとしても、彼らの力ではスペースパイレーツに歯が立たず、犠牲者は多数になるのだが。

 

 アリア・ハイピストはそのような光景を目にして激しい怒りを感じ、パイレーツの部隊に対して啖呵を切った。

 

 そして、アリアが精神統一すると首にかけていた鳥人族の頭部を模したネックレスが輝き、彼女の体全体が光に包まれて姿が変化した。

 

 アリアはパワードスーツのようなもので全身を覆っていた。その形状は戦士型鳥人族が着用していたアーマーに酷似しており、丸い肩アーマーに至ってはバリアスーツとほぼ同じだ。ヘルメットに関してはフルフェイスではないが、鳥の頭部を模したものとなっている。

 

 これはチョウゾギアといい、エルダーが亜人族のために残したパワードスーツだ。当初は二十機ほどあったのだが、現在では経年劣化によって使い物にならないギアが殆どであり、まともに使用可能なのは森人族が所有するギアだけであった。

 

「鳥人族が残したチョウゾギアの力、とくと味わうがいい!!」

 

 パイレーツの意識は、想定外のイレギュラーであるアリアへと向けられる。最優先で排除すべきと判断されたらしく、集中攻撃が開始された。

 

「アリア・ハイピスト、推して参る!」

 

 チョウゾギアを装着した彼女は、チョウゾスピアとチョウゾシールドを構えて突撃し、接触した全てを撥ね飛ばしていく。その姿はまるで重騎兵のようだった。

 

 彼女は獅子奮迅の戦いを繰り広げた。敵集団に勢いよく斬り込み、槍を振り回す度に複数のパイレーツが宙を舞う。盾を攻撃に使用することも忘れず、シールドバッシュで撲殺する場面もあった。

 

 これを見ただけなら、アリアがパイレーツを圧倒しているように思えるだろう。しかし、物量に関しては敵が圧倒的である。別の方面から応援部隊が現れてから、彼女は押され始めた。

 

「くっ……空からも来るとは……」

 

 フライングパイレーツは飛び道具を持たないアリアにとって苦手な部類の相手だった。彼らは常に一定の距離を保っており、彼女が跳躍したとしても退避されるので攻撃を届かせることは困難。彼女は一方的に空から撃たれる状態となり、地上の敵を相手にするのに支障が出ている。

 

 やがて、フライングパイレーツは一斉にミサイルを放ってくる。小型ミサイル群はアリアが咄嗟に構えた盾に殺到。酷使で耐久力が大幅に下がっていた盾は数発で砕け散り、本体の方が激しい攻撃に曝される。ミサイルの運動エネルギーと爆発に連続で激しく殴られ、吹き飛ばされた彼女は近くの建物に突っ込んでしまった。 

 

「ぐっ……がぁ……」

 

 苦しそうにしながらも、建物から這い出てきたアリア。目の前に見えたのは、自分を完全に包囲しているパイレーツの姿。アームキャノンの先端は輝いており、ビームの集中砲火を浴びることになるのだろう。だが、その時は訪れなかった。

 

ドガドガドガドガドガドガッ!!!

 

 突然、多数の光弾が何処からか飛来し、ビームを撃とうとしていたパイレーツをぶち抜いていく。さらに…… 

 

「“砲皇”」

 

 空中に竜巻が出現し、付近にいたフライングパイレーツの集団を巻き込んでいく。真空刃を伴う竜巻であり、ズタズタに切り刻まれる結果となった。この一撃で上空に存在する大半のフライングパイレーツが取り除かれた。

 

「な、何が……?」

 

 直後、アリアの近くにパワードスーツの戦士とその娘、弟子が降り立つ。 

 

「ハジメ・ナグモ……?」

「すまない、俺の世界の連中がとんでもないことを仕出かしてしまった」

「連中のことを……知っているのか……?」

「あぁ。奴らはスペースパイレーツ。平和を脅かす海賊にして、俺の宿敵だ」

「つまりは賊ということか……」

「奴らの撃退に力を貸す。まだ戦えるか?」

「ふっ、この程度でくたばる私ではない……」

 

 アリアは立ち上がり、ハジメとユエ、シアと共に並び立つ。すでにハウリアの部隊は市民の保護のために動いており、所々で戦闘音が聞こえてくる。今、勇敢な戦士達による反撃が開始されようとしていた。




次回、パイレーツ蹂躙確定

南雲ハジメ(バリアスーツ)のコンセプトアートです。左手の爪については、実際はもう少し短い感じになります

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